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「Dead Space」リメイク版の“魔改造的リメイク”を紹介するライブストリーミングが配信。グラフィックス強化などでホラー感もさらに充実
2021年7月に開催された「EA Play Live」で,リメイク版の開発がアナウンスされた(関連記事)ばかりの「Dead Space」は,2008年にリリースされた三人称視点のホラーアクションゲームだ。人類が太陽系を超えた宇宙開発を行っている26世紀の未来を舞台にしている。“マーカー”と呼ばれるモノリスが眠る惑星イージスIVでは,資源採取を行っていたコロニーの人々が死んでしまうか,“ネクロモーフ”というゾンビ化した狂暴なミュータント生物に変化してしまうという現象が発生していた。数人のサバイバーが残る掘削船USGイシムラの整備のために訪れた,主人公アイザック・クラークに巻き起こる体験を描いている。
当時のホラーアクションのジャンルでは,「バイオハザード」や「サイレントヒル」などの人気作が話題を集めるという非常に寡占的な状況にあり,Electronic Artsにとっても賭けであったことは,現地時間2021年8月23日から27日まで開催されていた「devcom 2021」に登壇した,オリジナル版「Dead Space」(PC / PS3 / Xbox 360)の生みの親であるグレン・スコフィールド(Glen Schofield)氏のインタビューセッションでも紹介されていた(関連記事)。しかし,「Dead Space」がリリースされるや否や,ファンやメディアの人気は非常に高く,その後のホラーゲームの盛り上がりに大きく貢献することとなった。
今回のライブストリーミングは,Motive Studio(旧EA Motive)のプロデューサーであるフィリップ・デュシャーム(Phillipe Ducharme)氏と,クリエイティブ・ディレクターでオリジナルシリーズの開発にも参加しているロマン・カンポス‐オリオラ(Roman Campos-Oriola)氏がゲームについて解説し,2人のストリーマーが質問していくという形式で開催された。まだα版にも達していない開発中のゲームプレイシーンを断片的に見せる程度のものであったが,デュシャーム氏によると「ファンに開発状況を細かく見せて,その都度評価を得ていくための手法」であるとのことで,オリジナル開発チームではないMotive Studioの独りよがりにならないよう努めているという印象だ。
まず紹介されたのはグラフィックス面についてで,オリジナル版と同じElectronic Artsの内製エンジンである「Frostbyte」を利用しつつ,現世代機に合わせたさまざまなエフェクトを搭載。狭い通路の床部分に漂う冷気を表現したボリューメトリック フォグ効果以外に具体的な説明はなかったものの,レイトレーシングやローディング時間の短縮を始めとするグラフィックス機能は搭載していることは,以前から言及されている。今回,カンポス‐オリオラ氏は,オーディオ面でのアップデートについても語っていたので,このことから3Dスペーシャルオーディオなどに対応することになると思われる。
もちろん,リメイク版ではアニメーションも大きく向上しているが,開発チームがこだわっているというのが“ディスメンバリング(肉体破壊)”の新システムだ。本作は,厳密にはホラージャンルのサブカテゴリ―である“スプラッター”に近く,兵士ではなく修理工であるアイザックも,プラズマカッターやリベットガンといった工具のような武器を使用して,相手を斬ったり,破壊したりして戦い抜いていく。
こうしたゴア表現のあるゲームは少なくないが,基本的にはキャラクターモデルの特定のパーツごとに切断されたり,肉片が飛び散ったりといったアニメーションに留まるのが一般的である。
しかし,武器の中には切り刻むのではなく衝撃を加えるようなタイプのものもあるため,リメイク版では新たにキャラクターモデルの皮膚,筋肉,内臓,そして骨などが異なるレイヤーで作成されて,武器の強度や部位によってディスメンバリングが変化する新システムが搭載された。これにより,タマネギの皮が剥けるように“ピーリング”していく状態も再現できるという。
今回のデモでは,フォースガンと思われる武器を使ったデモが披露されたが,エネルギー系銃弾は骨までは貫通しないため,皮膚や肉片だけが吹き飛び,頭蓋骨や大腿骨が剥き出しになるような表現が見られた。このことについてカンポス-オリオラ氏は,被弾した角度によっては皮や筋だけが繋がった状態でブラブラと肉体の一部がぶら下がり,中身がゴッソリと削げ落ちるというような,耳にするだけでも悍ましいビジュアル効果にまで仕上げていくと話しているので,このあたりのスプラッター感の向上には多いに期待しておきたいところだ。
また,カンポス-オリオラ氏は,オリジナル作品で足りなかったものは,無重力の宇宙船外でのトラバーサル(移動表現)であったと話しており,より自由度の高い表現が可能な「Dead Space 2」(PC / PS3 / Xbox 360)や「Dead Space 3」(PC / PS3 / Xbox 360)のシステムを,さらに向上させた上で導入しているという。事実,宇宙遊泳というよりも“ビッグジャンプ”に近いトラバーサルであったが,今回は空間を360度自由に動き回りながら,以前にはプレイヤーが到達することのできなかったようなマップの隅々もチェックできるようになったほか,例えばドアを通過するのではなく,その上部につながる崩壊したセクションからドアの裏手に移動するというような進め方も可能になっていると,デュシェーム氏は話している。
ゲームの基本的なストーリーやメカニックに変更が加えられることはないようだが,オリジナル作品でアイザックの恋人という設定だった医療従事者のニコル・ブレネンなど,特定のNPCの動向や彼らの顛末といったものが,オーディオログ以外の手段で加えられているようだ。
なお,「Dead Space 3」にはマイクロトランザクション要素があり,このあたりではルートボックス問題などでは何かと話題になるElectronic Artsだけに,ファンの不安は尽きないかもしれない。しかし,今回のライブストリームでは,デュシェーム氏とカンポス-オリオラ氏が声を揃えるように否定しているので,そうした心配はなさそうだ。
それを踏まえたうえで,今回は赤い色を発する未知のアーマーを装着したアイザックも映されていたので,隠しアイテムだとか何らかのクラフティング要素があると考えても良いのかも知れない。
ちなみに,上記したとおりオーディオ面でもHD化されるために,アイザックの声優だったガンナー・ライト(Gunner Wright)さんが再起用されることが,今回のライブストリーミングで明らかにされており,多くのファンにとっては懐かしいアイザックの声が維持されるのは嬉しいところだ。
今回のデモが開発中の序盤のものであることからリリース時期はまだ先になりそうだが,ホラーゲーム好きであれば続報に期待しておこう。
「Dead Space」公式サイト
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