プレイレポート
「神々の悪戯」が,より美しく,遊びやすくなってSwitchに“降臨”。人間と神の“禁じられた恋愛と宿命の物語”を描く「神々の悪戯 Unite Edition」
人気イラストレーターのカズキヨネ氏がデザインしたキャラクターたちや,それを描き出す美しいビジュアル。「うたの☆プリンスさまっ♪」でおなじみのElements Gardenによる楽曲。そして,“神話の神々との学園生活”という斬新な設定が話題となり,アニメや舞台などのメディアミックス展開で高い評価と人気を得ている“神あそ”こと神々の悪戯(かみがみのあそび)が,ついにSwitchに“降臨”するのだ。
そんな本作を発売前にプレイできたので,ゲームの魅力やSwitch版ならではの特徴を紹介しよう。配信中の体験版(関連記事)でプレイ可能な範囲の先にある“ときめきのシーン”をいくつか紹介しているので,すでに体験版を遊んだという人もぜひチェックしてほしい。
「神々の悪戯 Unite Edition」公式サイト
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「乙女チック4Gamer」第329回は,ブロッコリーから2022年1月27日に発売予定のNintendo Switch用ソフト「神々の悪戯 Unite Edition」を特集します。本作は,2013年発売の「神々の悪戯」と,2016年発売の「神々の悪戯 InFinite」を1本にまとめて,Switch向けに移植した恋愛ADVです。
人間と神の“禁じられた恋愛と宿命の物語”を描く
記念すべきシリーズ第1作「神々の悪戯」
シリーズの始まりとなる1作目「神々の悪戯」の物語は,主人公である女子高生の草薙結衣(苗字固定 / 名前変更可能)が,異世界に召喚されるところから動き出す。主人公が召喚された先は,神話の神が集められた“学園”。人間嫌いの神々を教育するため,全知全能の神ゼウスが人間の世界の学校を真似て創った学び舎だった。
学園の生徒として集まったのは,ギリシャ神話,日本神話,北欧神話,エジプト神話の神々。主人公は,そんな彼らに「人間とはなにか,愛とはなにか」を教える“人間代表”のクラスメイトとして箱庭に呼ばれたのだ。1年の就学期間で,人間を,そして“愛”を深く理解してもらうことができれば,晴れて箱庭を卒業。主人公は元の世界に帰ることができる。
■学園の生徒たち
陽気な太陽神 アポロン・アガナ・ベレア (CV:入野自由) |
不運な冥府の神 ハデス・アイドネウス (CV:小野大輔) |
寡黙な月の神 戸塚月人(CV:上村祐翔) |
粗暴な海の神 戸塚 尊(CV:豊永利行) |
温和な光の神 バルドル・フリングホルニ (CV:神谷浩史) |
狡猾な炎の神 ロキ・レーヴァテイン (CV:細谷佳正) |
しかし,そううまくことは運ばない。学園生活のスタートとなる入学式に出席したのは,主人公と3人の生徒だけだった。人間嫌いの“問題児”たちは,人の世を模した学園に不満を持っており,授業が始まってもそれをボイコットするなど,なかなか人間のことを学ぼうとしないのだ。
相手が神とあって,人間の常識はなかなか通じない。そんな彼らに,どうやって生徒として学園生活を送ってもらうのか。どのようにすれば,人間や愛を知ろうと思ってもらえるのか。ゲームの序盤では,部活動や生徒会といった活動を通して,神々との関係を深めていくことになる。
もともと気性の激しい一面を持つ尊は,人間の真似事のような茶番には付き合いたくないと,学園生活を拒否。入学式の参加を拒否し,授業が始まってもボイコットをしている |
最初から好意的な生徒も。その中の一人であるアポロンは,主人公を妖精さんと呼び,強調したいことは2度言うなどクセがあるが,誰に対しても友好的なムードメーカー的存在だ |
そんな日々ののちに迎える大きなイベントが,全キャラクター総出演となる体育祭だ。体育祭が終わると,各キャラクターのルートに分かれる。
最初に進むことができるキャラクターの個別ルートは,アポロン,ハデス,月人,尊,バルドル,ロキの6名。それぞれ全4章の構成となっており,さらに終盤では「恋愛ルート」と「宿命ルート」へと分岐。各ルートにはエンディングが2つずつ用意されており,主人公(プレイヤー)の選択で“人と神の物語”の結末は変化するのだ。
仲が深まっていくと,ふとした会話で知られざる趣味嗜好が判明したり,本来の神の姿を見せてくれたりする。そんな出来事を通し,互いの距離が縮まっていく過程を実感できるのが本作の魅力だ。ときには,彼らの抱える心の闇が垣間見えることも。そのとき“どのように行動し,なにを選択したか”によって,主人公とその対象となる神の辿る運命が変化するのだ。
最初はあれだけ学園生活を拒んでいた尊が,文化祭の出し物で女性の恰好に? こういった学園のさまざまなシーンで,神々との仲の深まりが感じられる |
本来の姿になった尊。箱庭の中では神の力を封じられているはずだが……ほかの生徒も,物語の展開によってこのように神の姿を披露してくれる |
その名のとおり,2人の運命に深く関わる選択に必要となるもので,ポイントの溜まり方次第では,進みたいルートへ行けない場合も発生する。会話中に選択肢が出た際は,相手の気持ちをしっかり考えて,最適な答えを導き出そう。
本作の物語の大きなテーマとなっているのが,人間と神との“禁じられた恋愛と宿命”の物語とその結末だろう。
神と人間が結ばれることはあるのか。結ばれたとき,その先にはなにが待っているのか。それらはもちろん,ともに物語を進める相手となった神によってその結末と描かれ方は異なる。幸せを感じられるものもあれば,切なさが残る結末もあるが,そのどちらも美しい。ぜひ各キャラクターのすべてのルートを見届けてほしい。
クリア後のお楽しみとなるのが,ゲーム内に登場したイラストやイベントスチル,モノローグや辞書の閲覧,音楽鑑賞などが楽しめる「EXTRA」だ。
その目玉と言えるのが「箱庭」。本編のゲーム進行やクイズなどで取得したアイテムをプレイヤー好みに配置し,その名のとおり箱庭が作れるというモードだ。アイテムは大きく分けて,ちびキャラ,家,そのほかのオブジェクトの3種類あり,配置するアイテム次第でボイス付きのミニシナリオが発生する。本編を進めてアイテムがたくさん集まったら,いろいろな組み合わせを試して,本編では見られなかったキャラクターたちの一面に触れてみよう。
さらに,いくつかのルートをクリアすることで,アヌビスとトトのシナリオが開放される。「カー,バラバラ」としか話せないアヌビスと心を通わせる物語や,学園の教師であるトトの大人の色気が漂う物語を堪能しよう。
純粋な死の神 アヌビス・マアト (CV:梶 裕貴) |
傲慢な叡智の神 トト・カドゥケウス (CV:森川智之) |
あの日,あのとき,別の選択をしていたら?
1作目の“IF”を描く「神々の悪戯 InFinite」
1作目と同じ時系列となっており,“前作の物語でもし別の選択をしていたら”というIFの物語が展開する。もちろん,前作の8人も攻略対象として登場。章仕立てのシナリオ,選択肢や運命の糸といったシステムは1作目そのままに,新たな物語をたっぷり堪能できる。
快楽主義な豊穣の神 ディオニュソス・テュルソス(CV:野島裕史) |
日本神話の太陽神 戸塚 陽(CV:内田夕夜) |
雷を司る最強の戦神 トール・メギンギヨルズ(CV:杉山紀彰) |
主人公の世話役 メリッサ(CV:関 智一) |
陽(左写真)は戸塚兄弟の長兄で,月人と尊それぞれに対して態度は異なるものの,保護者のような立場で彼らを気に掛けている |
トール(右写真)は,バルドルやロキといった北欧神話の神々の理解者であり“お目付け役”。芯が通っていて頼りになる兄貴的存在 |
それらの物語は,1作目では知り得なかった彼らの事情や関係性,それぞれの気持ちが浮き彫りになるような展開となっている。攻略対象が増えた分,ルートやエンディングの数も多くなっているが,1作目に比べ個別のキャラクタールートへの導入が簡潔になっているので,周回プレイもスムーズに進められるはずだ。
1作目からの攻略対象のキャラクターたちには,ギリシャ神話のアポロンとハデス,日本神話の月人と尊といった,同じ神話の神である2人の仲を深めていく新たな物語も用意されている。また,関係性が深まった段階から物語が楽しめるので,前作で“糖度”が控えめだったキャラクターともすぐに甘い一時が過ごせるところも嬉しい。1作目をプレイしている人ほど,作品の深みを感じられるだろう。
「神々の悪戯」の久しぶりのゲーム展開となる本作は,より美しくなったグラフィックスで描き出される神々を,携帯モードやテーブルモードでは携帯ゲーム機向けだったオリジナル版と変わらず,身近に感じられる。さらにTVモードであれば,大画面でそのお姿を拝めるのが大きな魅力だ。
豪華声優陣による神々のボイスと声の演技には引き込まれることばかりで,神々と急接近したときに流れるキャラクターソングも,そのユニークな演出と相まって印象的だ。実際の神話をモチーフにしたエピソードがさりげなく織り込まれていたり,とあるルートの出来事がほかのルートでも語られていたりして,遊べば遊ぶほど作品の深みに触れられるところにも唸らされる。
より美しく,より遊びやすくなって“再誕”した「神々の悪戯」をぜひプレイしてみてほしい。
「神々の悪戯 Unite Edition」公式サイト
(C)BROCCOLI Illust.Yone Kazuki