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[インタビュー]「自分で作る,挑戦する」を忘れない。Odencat代表のDaigo氏に聞いた,2つの新作の開発を進めるうえで大事にしていること
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印刷2024/07/20 14:03

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[インタビュー]「自分で作る,挑戦する」を忘れない。Odencat代表のDaigo氏に聞いた,2つの新作の開発を進めるうえで大事にしていること

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 「くまのレストラン」PC / Mac / Nintendo Switch / iOS / Android)や「メグとばけもの」PC / Mac / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / Xbox One)のデベロッパとして知られるOdencatは,“心になにかが残る”ゲームを作り続ける日本のインディーゲーム開発スタジオだ。

 そんな個性的かつ独特の雰囲気を持つOdencatが,京都のみやこめっせで開催中のインディーゲームイベント「BitSummit Drift」に出展している。同スタジオのブースにCEO兼プロデューサーを務めるDaigo氏がいるというので,今回の出展やタイトルについて話を聞いてきた。

Daigo氏
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ブースに着いたら嬉しいサプライズ。

「メグとばけもの」コンサートのクラファン達成!


 今回出展している作品は「Dream Channel Zero」と「ねずみバスターズ」PC / Mac / Nintendo Switch / iOS / Andorid)の2作品で,どちらも試遊が可能だ。ブースに赴き,Daigo氏にそれぞれのゲームについて聞こうとしたところ,「4Gamerさん,ちょうどいいところにきましたよ。いいお話があるんです」とのこと。
 いい話? どんなの? と思っていると,それは「メグとばけもの」コンサートについて。筆者が話を聞いたBitSummit Driftの初日(2024年7月19日)は,「メグとばけもの」コンサートのクラウドファンディング開始日だったのだが,開始から3時間ほどで目標額の100%である400万円を突破したのだ。すごいっ。

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 Odencatは本日,「メグとばけもの コンサート -音楽の世界-」のクラウドファンディングと,「メグとばけもの」サウンドトラックの無料配布キャンペーンの開始を発表した。コンサートは同作の音楽を担当した裏谷玲央氏が,主催・企画・演出・アレンジのすべてを手がけるという。

[2024/07/19 10:00]

 「まずはその話をしましょう」ということに。すると,ビラ配りをしていたお兄さんが話に参加してきたぞ……って,わ,わわわっ。「メグとばけもの」の楽曲を手がけ,コンサートの主催として作曲家人生を懸けてクラファンに挑んだゲーム作曲家の裏谷玲央氏,ご本人だったのである。


 今の心境を聞いてみると,目標達成の喜びと応援してくれた人への感謝を述べたのち,「まだ目標とする金額は決まっていませんが,ネクストゴールとして2回公演を実現したいです」と話してくれた。Daigo氏からも「公演が2回になれば,喜んでもらえる人も2倍になる。さらなる応援をお願いします」とメッセージをいただいた。
 コンサートのクラウドファンディングの詳細は上記の記事をチェックしてほしい。なお,BitSummitのOdencatブースでは,毎日先着50名に「メグとばけもの」のサントラDLカードを無料で配布している。

 ということで,喜びのサプライズでした。続いて,あらためて出展ゲームのお話へ。

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Dream Channel Zero


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 ゲームの世界にひきこまれた青年アキラが,フードをかぶった少女のルミコと共にさまざまな困難を乗り越えながら脱出を目指す新作タイトルだ。なんでもありな世界観とキャラクターが特徴で,クラシックなデザインのテレビのつまみを回すと別世界にワープしたり,資料と呼ばれるものと戦ったり,やばい住民が出てきたりと掴みどころのない雰囲気がクセになる。
 シュールで笑えるけれど,なんだか不穏な感じがあってソワソワしちゃう感覚をトレイラーで確認してほしい。




4Gamer:
 このタイトルにOdencatはどの程度関わっているのでしょうか。パブリッシングタイトルということですか。

Daigo氏:
 いえ,しっかり開発に関わっています。ストーリーや世界観,キャラクターデザインなどはFumingさんが担当し,ワールドマップのシステムやプログラムなどで技術協力をしています。

4Gamer:
 なるほど。Steamのストアページは「開発元:Fuming,パブリッシャー:Odencat」となっていて。でも「FumingがOdencatとおくる」と説明されているし,そもそも雰囲気がOdencatな感じだし,どういうことだろうと思っていました。

Daigo氏:
 ドットもOdencatですし,カバーのイラストも「メグとばけもの」の人ですからね。同じゲームもエンジンで動かしています。Odencatも技術的に進化していて,それを強みにして何かできないかっていうのはよく考えています。

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4Gamer:
 新たな取り組みというか,挑戦をと。

Daigo氏:
 それはゲーム開発に限らずで,BitSummitもそうですね。
 コロナ禍があったから毎年という感じではないですけど,今回で3回連続の出展なので,こちらも何をすればいいか分かっているし,お客さんも「今年もあるね」という安心感があると思うんです。
 それでは今年,Odencatは何をやったかというとグッズに力を入れてみたんですね。

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4Gamer:
 確かにゲーム単体だけではなく,メーカー自体が好きになると,いろいろなアイテムが欲しくなります。Odencatはキャラクター絵がいいですから。

Daigo氏:
 そうやって,今までやってなかったことを自分でやってみる。やっていくと,初めてのことでも何をどうするかが分かってくるんですよね。
 最初はそれこそ「グッズを作ろう」と言っても,ぬいぐるみの作り方は分からないわけじゃないですか。でもやってみないと,自分たちのグッズがどう作られて,それはどう大変かが分からない。
 あっ,このぬいぐるみ,けっこう推しているグッズなので,ぜひ記事に写真を載せてください。

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4Gamer:
 ぬい好きとしても大きな写真で紹介したいです。あとで写真をということで,話を戻しましょう。
 「自分でやろう」というのが,実に精神的な意味でもインディペンデントでいいなと思いました。

Daigo氏:
 これってゲーム開発でも同じで,最初モバイルだったところから移植という形でPCやコンシューマのゲーム作りに触れてきた。それがあるから,「メグとばけもの」のときにいきなりPCとコンシューマ向けに作ることができた。
 ゲームもグッズもコンサートも,全部人に頼めばいいようなことじゃないですか。でも自分でやることで,自分たちの知識になるし,ノウハウが分かるし,何より経験になるんですよね。
 社長になると法務や財務のことも出てきて,それを楽しめるかどうかが出てきますが,自分たちの作ったものがどういう形で扱われて,どういう形で表に出るのかを知るって大事だと思います。

4Gamer:
 それを踏まえて「Dream Channel Zero」でのFumingとOdencatの共同開発と考えると,「ああ,なるほど」となりますね。

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ねずみバスターズ!


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 突然,ねずみの姿に変わってしまったあなた(プレイヤー)。人間の姿に戻るため,師匠ねずみの提案に乗って「ねずみバスターズ」の一員として,アパートの悪霊を除霊するというミッションに挑むというお話。いろいろな部屋に足を運んで,いろいろな住人たちの行動を利用して探索し,いろいろな悪霊たちを除霊する。
 なぜあなたはねずみになったのか,アパートには悪霊が湧いて出てくるのか。師匠ねずみは夜な夜なコソコソして怪しいし。このアパート,一体何があるんだろう?




4Gamer:
 ……な「ねずみバスターズ!」ですが,もともとはモバイル向けのゲームで徹底的にテコ入れして大幅パワーアップさせたと。実際,何が新しくなってるのでしょう。

Daigo氏:
 最初はただ移植するというのも検討したんですけど,画面が横向きになって背景が広くなるし,操作するにしても感覚が変わるわけですよね。じゃあ,モバイルで作ったときの不満だったところじゃないですけど,「ここはこうできたな」というところも直しちゃおうと。

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4Gamer:
 だったらリマスターじゃなくて作り直そうということですね。ここはこうしたかったみたいなところって,どのあたりですか。

Daigo氏:
 大きいのだと2つあって,何が足りないかって考えたときに「ねずみの話なのに,ねずみの視点の世界がなさすぎるだろ」というのがありました。
 こういう作品の面白いところって,文房具とかリモコンとか,普段見慣れているものがクソでかい! みたいなところにあるのに,そういうシーンが全然なかったんですね。だから入れました。

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4Gamer:
 だから入れた。いいですね。確かに,人間の世界で足元をちょろちょろ動くねずみ感をもっと体験したくなります。では,もう1つとは?

Daigo氏:
 除霊ですね。モバイル版は画面をタップするだけのシンプルなものでしたが,「物足りないなあ。バトル感出さなきゃダメだろう」って。もったいないからシューティングゲームにしました。

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4Gamer:
 もったいないから。これまたいいですね。

Daigo氏:
 EEB(エキサイティング・エクソシズム・バトル)って名前なんですけど,なんかこう,気づいたら思った以上に力入っていました。
 「ねずみバスターズ!」って海外受けはけっこういいんですが,日本だと「くまのレストラン」と比べて一段落ちるというと言い方が悪いですが,あまり知られていないというのがあって。

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4Gamer:
 ああ,確かに……というと失礼ですが,「くまのレストラン」でOdencatの名前が広まったという印象はあります。

Daigo氏:
 そうなった理由はいろいろあると思いますが,「ねずみバスターズ!」もたまに遊ぶとかなりいいゲームなんですよ。
 やっぱりちゃんと世に出すじゃないですけど,今のOdencatができることで一気にアップデートしようと。ぜいたくな話ですよ,一度作ったものをまたこうやって作れるというのは。

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4Gamer:
 モバイル版の良さはそのままに,という形ですね。

Daigo氏:
 ええ,そこは。モバイルゲームって,ちょっと下に見られるというか,そういうのありますよね。
 でも,本当に「ねずみバスターズ!」はモバイル版のときから面白いんですよ。モバイルゲームにも愛着があるし,その思いは大事にしています。

4Gamer:
 「くまのレストラン」もそうですが,ルーツにモバイルゲームがあると。初日のお忙しいところ,しっかりと時間をいただいてありがとうございます。最後にメッセージをお願いできますか。

Daigo氏:
 Odencatは今,「Dream Channel Zero」と「ねずみバスターズ!」の開発を進めていて,BitSummit Driftでは2つのゲームをプレイできます。「Dream Channel Zero」はオフィシャルセレクション,「ねずみバスターズ!」はOdencatブースと異なりますが,場所はすぐ向かいです。毎年進化するBitSummitで,進化したOdencatブースをぜひ見にきてください。

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