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「夢游仙境ロマネスク:Chronicles of Refugia」を紹介。1つの島を舞台に,雰囲気の違う3つの物語が楽しめるADV
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印刷2022/08/31 12:00

プレイレポート

「夢游仙境ロマネスク:Chronicles of Refugia」を紹介。1つの島を舞台に,雰囲気の違う3つの物語が楽しめるADV

 2022年8月27日に発売されたPC用ソフト「夢游仙境ロマネスク:Chronicles of Refugia」は,1つの島を舞台に,人と人ではない者の関係を描いたテキストアドベンチャーです。

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 舞台となるのは,アジアにある「鳳嶺島(ほうれいとう)」
 この世界では,温暖化によって海面が上昇しており,さまざまな理由から地上の環境は一変しています。地上に住めなくなった人々はシェルター化した都市で暮らしており,そういった生活をするなかで,人々は安全のために新たな隣人「人外種」を認め,受け入れながら生活をしています。

 人外種というのは,人間に似た姿をしているものの,角や牙,変形した耳などを持つ人とは異なる生き物のこと。さまざまな人外種がいるなかで,数が多いのは「人狼」や「ヴァンパイア」のようです。

 物語は,オムニバス形式で描かれており,今回発売された本作には,主人公が違う3本のストーリーが収録されています。主人公が変わることで取り巻く環境も変化するので,それぞれ違った雰囲気が楽しめます。

 今回は,3本の物語をそれぞれ軽く触れたので,紹介してきます。


シリアスで重いメインストーリー


 本作のプロローグでは,本編で主人公となるアリス有栖愛麗の3人が鳳嶺島で過ごす様子が描かれています。鳳嶺島は,人間と交渉を行う人狼が設立した政府関連法人「全種保全管理機構」が99年のリース契約をしており,アリスが管理者となっています。

見た目は可憐な美少女のアリスですが,表情や口調が強者のそれ
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鳳嶺島では,アリスがオープンさせたカジノクラブ「夢游仙境」が営業中。主なお客さんはシェルターからやってくる人間の富裕層です
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 鳳嶺島を開発し,カジノクラブをオープンさせたアリスのことを島の住民たちは“独善的な権力者”と思っているようで,人外種のラマルたちはアリスへの敵対心からたびたび戦いを挑んできます。カジノクラブで働く者たちは,彼らとの戦いに繰り出す日々を送っており,そんな戦いに愛麗も参加しています。

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 医者である有栖は,戦いには参加せず,運ばれてきた怪我人の治療を担当。カジノクラブで働くミゲルと気さくに話をしていますが,事なかれ主義ということで中立な立ち場かもしれません。

 現在の島の様子を描いたプロローグを読み終わると,物語が選択できるようになります。最初に選べるのは「メインストーリー」「Episode1:赤のアリス編」のみです。
 この物語は,アリスを主人公にしており,プロローグから約10年前――アリスが初めて島を訪れたころの出来事を描いています。この頃の鳳嶺島は人が離れ,廃墟ばかりが目立つ無人島で,島を訪れたアリスは,思いがけない協力者と出会います。

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 全種保全管理機構が絶滅阻止計画の施策として進めている「ロッジメント設置計画」。これは特定地域に拠点を設置するという計画ですが,アジアでは前例がありません。辺鄙な場所ということもあり,機構に所属する評議員のなかに自ら候補者になる者はおらず,結局,駐在員になったのがアリスでした。

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 執事のカインと一緒に島を訪れたアリスが自然豊かな地で出会ったのは,以前から島に住んでいる仲買人のです。
 溟によると,外の人が島の所有権を得ることは簡単なことではないらしく,だからこそ今回はリース契約となっているそう。人は住んでいないものの,人外種は暮らしている“無人島”なので,昔からの決まりには厳しそうです。

アリスと一緒に行動するカインですが,なにやら秘密があるようで……
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 この頃の鳳嶺島は,3つの名前を持っています。人間の地図には小神島として載っており,地元の人からは隣島と呼ばれていました。3つ目の名前こそが鳳嶺島で,100年ほど前に人間の開発会社が名付けた名前とのこと。溟は,どれか好きなのを選ぶようにとアリスに伝えるのでした。

 拠点にはランクが存在しており,この島もランクBへ昇格しないと,機構からの援助が絶たれてしまいます。昇格の必須条件には“人間の医師との提携”というものがあり,これが難しそうで……。さらに廃墟ばかりの島ということで,開拓から始めなければいけないため,前途多難な道のりかもしれません。

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 メインストーリーは,かなりシリアスで全体的に重い雰囲気で物語が進むのですが,美麗なイラストがその雰囲気にとてもマッチしていました。
 赤のアリス編では,開拓のために行動するアリスが島に関わるさまざまな人外種に出会い,行動することになります。時には非情な選択もしなくてはいけないアリスですが,それを指摘されてもはっきりと受け答えができて,本当にかっこいいです。


メインストーリーとは異なる形で物語が楽しめるアナザーストーリーとエクストラストーリー


 特定のキャラクターにスポットをあてた物語が楽しめる「アナザーストーリー」では,カジノクラブから少し離れた山中にあるティーサロン「禮帽茶館」の店主・ノアとあなたの物語が描かれています。

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 アナザーストーリーでは,メインストーリーとは異なりプレイヤーが主人公になっており,最初に性別と一人称を選択できます。

 見知らぬ土地で,自分が何者かも忘れた状態で目覚めた主人公は,赤い目の男――ノアに出会います。ノアは主人公のことを戸惑いながらも“呼鳥”と呼び,一緒に来るように言うので,主人公はそれに従うことに。

アナザーストーリーでは,本編ではなかったマップでの移動があります
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 千年飯店を訪れた主人公は,ノアに言われるがまま食事を取り,どうして呼鳥と呼ばれるのか溟から教えてもらいます。どうやら“鳥居から来た人間”を呼鳥と呼んでいるようで,主人公のほかにも5人の呼鳥がいるそうです。

 溟は,島のオーナーであるアリスに会うことで,仕事を紹介してもらうことをおすすめしてくれますが,ノアが口を挟みます。これまで呼鳥を3回も見つけたものの,ほか2回はその場に放置し,溟に報告するだけだったノアが今回に限って面倒をみると言い出したのです。
 結局,主人公は禮帽茶館に住み込みで働きながら,島でノアと過ごすことになります。

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 アナザーストーリーは,メインストーリーに比べて選択肢が多く,プレイヤーが主人公ということで,アリスの物語とは違う気持ちで楽しめました。

 「エクストラストーリー」では,鳳嶺島で起こるさまざまな出来事を描いた物語が楽しめます。今回収録されたのは「鳳嶺島エクスカーション!」という,有栖が主人公の物語です。

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 人外種よりも体力がない人間の有栖は,アリスに2日間の休暇をもらいます。といっても急なお休みなので,することがありません。どうしようかと思っていた有栖でしたが,突然,愛麗とカジノホストのルカによる「鳳嶺島観光スポット体験会」に参加することになって……。

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「鳳嶺島定番コース」を選ぶと愛麗,「癒やしとリラックス体験コース」を選ぶとルカと一緒に行動することになります
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 鳳嶺島定番コースでは,ガイド役の愛麗が明るく元気に案内してくれます。ルカが“初心者向け”と言っていましたが,実際鳳嶺島のいろいろなところに行くので,島のことを知りたい場合はこちらの選択肢を選ぶのがおすすめです。

普通に人間に見えますが,どうやら愛麗も人外種のようです
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 ほかのストーリーとは違い,エクストラストーリーでは鳳嶺島で暮らす住民の和気あいあいとした姿が描かれていて,明るい気持ちになりました。

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 本作に収録されているのは,メインストーリーの「赤のアリス編」,アナザーストーリーのノア「或る鳥」,エクストラストーリーの「鳳嶺島エクスカーション!」の3本です。同じ世界観ですが,3本とも異なる雰囲気となっているので,新鮮な気持ちで楽しめました。

 本編の残り2本「白のアリス編」「青のアリス編」は,今後発売される作品に収録される予定とのことで,人間と人外種の不可思議な関係を描いた物語はまだまだ続きます。
 世界観が複雑で専門用語も多いので,少し難しいという印象もありますが,話を読み進めていくうちにキャラクターたちに愛着がもてます。彼らの今後はどうなってしまうのか……本作はもちろんですが,今後の展開にも要注目です。

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「夢游仙境ロマネスク:Chronicles of Refugia」公式サイト

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