インタビュー
[TGS2022]「釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館」のプロデューサーにインタビュー。ヒットを記録した前作から,パワーアップしたポイントを聞いた
前作「釣りスピリッツ Nintendo Switchバージョン」は,2019年に発売され,ワールドワイドで80万本以上のセールスを記録したヒットタイトルだ。約3年ぶりに発売される最新作「釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館」は,「水族館テーマパーク」を舞台に釣りはもちろん,5つのアトラクションが楽しめるという。今回4Gamerは,プロデューサーを務める冨所弥生氏へインタビューを実施。前作からパワーアップした点などを聞いた。
5つのアトラクションで,多彩な釣りと魚のゲームをプレイ。大目標は水族館の完成
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。3年ぶりの新作となる「釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館」の,前作からパワーアップした部分などを教えてもらえますか。
冨所弥生氏(以下,冨所氏):
一番パワーアップしたところは,タイトルにもなっている「釣って遊べる水族館」という点ですね。本作には釣りと魚に関わるゲームがいろいろ入っているんですが,それらが「大漁メダルランド」というゲーム内の施設に集約されており,プレイヤーが実際に水族館型のテーマパークに行ったような気持ちで選べます。本作には,そうしたシチュエーションも含めた楽しさを入れられたと思っています。
また,釣りスピリッツの移植作である「釣りスピリッツ+(プラス)」のアトラクションでは,前作では遊べなかったアーケード版のステージが一部追加されていますし,家庭用ゲーム機ならではのオリジナル要素も増やしています。なので,アーケード版のファンの皆さんも楽しめると思います。
ストーリーモードでは,毒に冒された海を“釣りとごみ拾いで救う”という内容となっていて,SDGsの「14.海の豊かさを守ろう」をバッグボーンにしたお話を体験でき,エデュケーション的な面白さもあります。トンデモ話ではなく,実際の魚への興味から入ってきてくれる方が多いIPだと捉えていますので,魚や海の話といった部分を極力入れるようにしています。
4Gamer:
公式サイトでは,5つのアトラクションが紹介されていますよね。それぞれどんな内容なのか教えてもらえますか。
冨所氏:
まずは,先ほども話にあがったアーケード版「釣りスピリッツ」の移植がベースになっている「釣りスピリッツ+」です。前作のメダルモードにアーケード版の新しいアップデート要素と本作のオリジナル要素を加えたモードになります。前作のメダルモードは,増やしたメダルを使って「マシン開発」をし,だんだんゲームがグレードアップしていく流れが組まれています。このマシン開発の流れはあまり知られていないのですが,実はアーケード版のアップデートの歴史に沿う内容にしていて,釣りスピリッツが稼働初期から進化してく道のりを体感できるので,とても気に入っていたんです。そのため,今作でもそのまま生かしています。
マシン開発については,前作は17段階までありましたが,本作は24段階まで増やしました。セーブデータの引き継ぎができますので,前作を遊んでくださった方は,その続きからマシン開発を楽しむこともできます。そして,本作オリジナル要素として,「黄金郷ビクトリーロード」と「魚召喚」の2つを実装しています。
4Gamer:
それでは「黄金郷ビクトリーロード」について聞かせてください。
冨所氏:
「釣りスピリッツ」には、金色に光るゴールドクラスのお魚たちが登場します。ゴールドクラスの魚を釣ると,「黄金郷ゲージ」が溜まり,黄金郷に行けるようになります。黄金郷では,門を守るゲートモンスター5匹を次々に釣ることで,最深部にある宝に近づいていきます。いわゆるジャックポット的なモードで,「次の魚を釣りたい!」とドキドキワクワクできるところが面白いんじゃないかと思います。
4Gamer:
もう1つの「魚召喚」はどんな内容なのでしょうか。
冨所氏:
ウルトラロッドなどのゲーム内で使うロッドを,魚たちが宿る魚召喚ロッドにカスタムすることができ,魚とのバトルの中で,ここだ!と思った時に,魚召喚のエサを使ってロッドに宿る魚を召喚して強力な必殺技が撃てます。お魚が派手に動く演出も施されているので,魚たちのカッコいい姿にテンションが上がると思います。
4Gamer:
続いて,2つめのアトラクション「毒ドク伝説」について教えてください。
冨所氏:
こちらは,先ほど少し触れたストーリーモードです。たとえば「2000キロ分のお魚を釣り上げましょう」といったミッションをクリアしていくことで,物語が進んでいくというモードです。ストーリーは先ほど話しましたが,毒に冒された海を釣りの力で救うという内容で,「こういうお魚がこういう毒に汚染されている」「海ではこういう問題が起きている」といったエデュケーションの部分も含んでいます。ミッションは短時間で遊びやすいですし,物語を進めていく楽しさを感じられるモードです。
4Gamer:
「オンラインゴッドアングラー選手権」はどうでしょう。
冨所氏:
シリーズ初のオンライン対応釣り大会モードで,最大4人での対戦を楽しめます。勝つと「勝利のスター」がもらえて,一定数集めるとアングラーレベルが上がっていくというシステムになっています。
4Gamer:
「釣りスピパーティー」は,前作にもあったミニゲーム集でしょうか。
冨所氏:
このモードでは釣り大会モードに加え,お魚に関する12種類のミニゲームとそれらをツアーとして楽しめるモードを用意しています。ミニゲームは前作の6種類のほか,「ワニワニパニック」などより一層テーマパーク感を得られるものが追加されています。
4Gamer:
5つめの「サメサメフィーバー」についても教えてください。
冨所氏:
「釣りスピリッツ」をモチーフにした,いわゆるメダル落としのゲームです。やっぱり「釣りスピリッツ」自体がもともとメダルゲームですから,メダルゲームの華と言えばプッシャーゲームということで。プレイヤーの皆さんも,この遊びを面白い,楽しいとご存じですから,釣りスピリッツがプッシャーゲームになったらこんな感じかなと考えました。
4Gamer:
ストーリーモードには,当然エンディングがあると思うのですが,ゲーム全体としての目標はあるのでしょうか。
冨所氏:
そこがまさに前作と違うところです。本作は,大漁メダルランド中央にある水族館のお魚をどんどん増やし,水族館を完成させるというのが大目標になっています。アトラクションでメダルとチケットを集めて,それを使ってガシャを引いて,魚を増やしていくんです。
どのゲームを遊んでも大目標を達成できるので,お好きなものだけを遊んでいただいてもいいですし,効率をあげるために各アトラクションの実績にいろいろ挑戦するプレイもできます。
4Gamer:
どんな遊び方でも,水族館は完成させられると。
冨所氏:
はい。あと水族館の内部の表現には非常に力を入れました。「釣りスピリッツ」の大きなポイントとして,「大物を釣れる」というところがあるんですよね。通常の釣りゲームだとまず釣れないような,とんでもない大物が釣れるんです。それをアーケード版では大型の筐体を使って表現していますが,家庭に大型テレビが普及しているとはいっても,どうしても小さく表現されがちになってしまいます。
そこで.今回はプレイヤーの「マイキャラ」を用意して,それと比較して大物の大きさを表現しました。そうやって,「こんなに大きなお魚を,自分が釣り上げたんだ」という気持ちになれることを大切にしています。
また,水族館には250匹以上のお魚が泳いでいるんですけれども,実在する魚の情報は“お魚王子”こと鈴木香里武さんに監修をお願いしました。魚の泳ぐ様と画面下に表示される情報を見て,「なるほど,こういう魚なのか」と知識を得られるようにもなっています。
全12フロア,ステージに合わせた世界観を作り込んでいますので,ぜひゲームを通してメダルやチケットを集め,水族館を完成させてほしいですね。
「魚への興味」を根幹に,身近な問題をゲームを通じて楽しませながら伝えたい
4Gamer:
ストーリーの中にSDGsの要素があるというお話でしたが,2021年9月から10月にかけて,「釣りスピリッツ ぱくぱくキャンペーン」を開催していましたよね。その取材時に,「せっかく釣ったのに流通できないから廃棄されてしまう美味しい魚を食べることで,SDGsについて考えてもらう」みたいなお話を聞いたんです。やはり「釣りスピリッツ」チームは,そういった意識が強いのでしょうか。
離島で獲れた鮮魚が届く「釣りスピリッツ ぱくぱくキャンペーン」の狙い。10周年を控えたシリーズの新たな取り組みを生みの親・小山順一朗氏が語る
バンダイナムコアミューズメントは,「釣りスピリッツ」にて,「釣りスピリッツ ぱくぱくキャンペーン」を2021年10月31日まで実施している。この取り組みは,環境問題や魚本来の魅力を子どもたちに発信する目的で行われているという。今回は発足の経緯などを聞くべく,シリーズの生みの親・小山順一朗氏を取材した。
冨所氏:
釣りスピリッツを面白そうと感じる気持ちの根幹には,“海は身近な未知。魚は不思議で面白い”という海と魚への興味があると思うんです。その魚とのコミュニケーションの1つとして,“釣り”という魚とのバトルが面白そうに感じる。
海や川といった水のある部分が実際の生活に近いので,そこに生息する魚に興味を持ちやすいんです。だからこそ実際に近い問題であったり,話題や知識になったりするものを,ゲームなどのツールを使ってより面白く,楽しく伝えられたらいいなと考えています。
4Gamer:
本作の目玉の1つである「ざんねんないきもの事典」とのコラボも,そうした取り組みの一環なのではないかと思うのですが。
冨所氏:
はい。「ざんねんないきもの事典」さんとのコラボに関しては弊社からオファーしました。「ざんねんないきもの事典」さん自体が,生き物の面白い生態を楽しく伝えていくコンテンツですから,すごく魅力的だなと感じていました。そこで「釣りスピリッツ」に登場しているお魚のエピソードなどを少し切り出して,ゲーム内でそのお魚を釣るとその生態情報が見れるという仕様を入れました。
4Gamer:
本作では,専用の新しい「サオコン」も同時リリースするそうですね。
冨所氏:
今回はバンダイと一緒に「釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館専用 サオコン for Nintendo Switch」を開発しました。
新しいものは,リールの回転でボタンを連打する仕様になっています。リールを回す感覚が実際の釣りに近いのと,Joy-Con1つで遊べるのが大きなポイントですね。Joy-Conが1セット,サオコンが2個あれば,2人同時に本格的な釣り体験をしていただけます。
4Gamer:
サオコン開発中のエピソードが何かあれば,ぜひ教えてください。
冨所氏:
リールを回したときの音の大きさについては,かなり調整しましたね。音があったほうが臨場感が出ていいのですが,音の大きさをどのくらいにするかをバンダイと相談しました。
例えば,家族がリビングルームで遊んでいるときは,プレイに参加しないで家事をしている親御さんが「騒々しい」と思うかもしれないので,何度も何度も試作で試し,最終的には良いバランスの音量にすることができました。
4Gamer:
確かにプレイしている人は気にならない音でも,それを隣で聞いている人はうるさく感じるかもしれません。
冨所氏:
あとはコンパクトなデザインにしたのも,“リビングの中で存在しやすい形”がいいとバンダイと共に考えたからです。Joy-Con1本で楽しめますし,家族の人数分を購入してくださるお家もあるかと思うので,私自身が母親ということもあり,収納しやすいサイズ感だと嬉しいよねと話し合いました。新しいお魚や遊びも盛りだくさんとなっていますし,この新しいサオコンでぜひ新しい体験をしてほしいですね。
4Gamer:
最後に,本作に注目している人に向けてメッセージをお願いします。
冨所氏:
前作は,すごくたくさんの方に応援してもらえたので,さまざまなアップデートも実装でき,こうして新作を作ることができました。新作は,釣りスピリッツ家庭用の決定版!ともいえる盛りだくさんの内容になっています。1人で遊んでも,家族や友達と遊んでも楽しいゲームなので,夢が泳ぐ水族館テーマパークにぜひ遊びにきてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館」公式サイト
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釣りスピリッツ 釣って遊べる水族館
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