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RPGタイム!〜ライトの伝説〜

RPGタイム!〜ライトの伝説〜
公式サイト https://rpgtime.jp/
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP3372-CUSA33547_00-RPGTIMEGAME00001
発売元・開発元
発売日 2022/08/18
価格 3651円(税込)
ジャンル
レーティング
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このゲームの読者の評価
65
グラフ
読者レビューについて
 4Gamer読者レビューは,読者の皆さんがご自身の判断で書いたレビューを掲載するためのコーナーです。掲載前には編集部で主に公序良俗面のチェックを行っていますが,掲載されている情報について,4Gamer.netが正確さの保証を行うものではありません。掲載情報のご利用は,読者の皆様自身の判断と責任で行ってください。
 なお,ゲームの評価を表す「GamerScore」は,投稿されたレビューの平均点を表示したものではありません。投稿の傾向を分析・考慮し,補正を加えることで,有用と思われるスコアを目指した形となっております。詳しくは「こちら」をご参照ください。
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  • 一発ネタのわんこそば。現代の万里の長城。楽しむゲームではなく、存在を崇め奉るモノ。 65
    良い点
    ・狂気と言って差し支えない作り込み

    古今東西「狂気的な作り込み」と称される作品は多数ありますが、
    本作は間違いなくトップクラスの作り込みを誇ります。

    これまでに様々なゲームをプレイしてきましたが、
    ゲームをプレイしていて、物量に対する恐怖を感じるどころか、
    開発者の人生を想像して涙が出てくるようなゲームは始めてです。

    ただし、この作り込みのみが、本作唯一の評価点であるともいえます。

    ・圧倒的な「物理感」を誇る精緻なグラフィック

    本作の魅力を語るにあたり、そのグラフィックは決して外せません。
    本作は、小学生ケンタくんが作ったアナログゲームをプレイするという設定になっており、
    そのため、ケンタくんが作ったアナログアイテムが大量に登場します。

    そして、驚かされるのは、そのすべてが本当に本物のようなグラフィックであることです。
    ノート、ダンボール、磁石、鉛筆、鉛筆削り、ビーズ、石、消しゴム、メジャー、切り絵・・・
    すべてが実写と見紛うグラフィックであり、そのリアル感は半端ありません。
    「存在感」だけなら、AAAタイトル含めた全ゲーム中でもダントツでトップです。
    MGS5すら余裕で上回るレベルです。

    画面内に同時に登場するアイテム数が少ないので、
    単独のアイテムの描画にフルパワーをかけられるからこそなし得る業です。

    ・尋常ではないネタの数

    本作に仕込まれているネタの数と、その消化速度もまた圧倒的です。
    数える気すら失せるほどの膨大なネタがあり、
    1つ1つのネタにはかなりの労力がかかっていることがひと目で分かるのですが、
    それが湯水の如く消費されていきます。

    「50年物の酒を一晩で飲み尽くした感」とでもいうのでしょうか?
    手間暇かけて作られた贅沢なものをあっという間に使ってしまったという、謎の感動が得られます。




    悪い点
    ・全体ストーリーが皆無

    本作には全体ストーリーはありません。
    したがって、続きが気にならず、モチベーションを保つのは極めて困難です。

    一応お姫様とか魔王とか仲間とかもいますし、
    ロケーションやキャラクターの数は豊富なのですが、
    そのすべてが一発ネタでしかなく、なんらつながっているものはありません。
    (つながっているものもありますが、それすら一発ネタです)

    ・アナログで再現不可能

    「小学生ケンタくんが作ったアナログゲーム」という設定があり、
    すべてのゲーム要素をアナログアイテムの超リアルグラフィックで再現しておきながら、
    実際の内容はアナログでは全く再現不能です。

    ゲームを開始して早々に、パッドで勇者を上下左右に歩かせることになります。
    ノートはリアルタイムに書き換えられており、完全に白黒ディスプレイです。
    アナログゲームを再現するというコンセプトは早々に捨てられており、
    アナログゲームを再現しているのは見た目だけとなります。
    (もっともその見た目は非常に素晴らしいのですが)

    ・すべてがQTE

    QTEとは、簡単なボタン操作だけで、
    キャラクターが全自動で動いて敵を倒したりギミックを攻略したりする操作方法のことで、
    10年くらい前にいろんなゲームで多用され、非常に評判が悪かったシステムです。
    (したがって、現在のゲームでは、ごくまれにピンポイント的な使い方でしか見かけません)

    本作は、ほとんどすべてがQTEです。というか、
    QTEでプレイするミニゲームを300個くらい(数は全く数えてません)並べたのが、本作です。
    したがって、ゲーム的な楽しみは皆無であり、
    ケンタくんに言われるがままにボタンを押すのが本作のプレイスタイルです。

    しかも、ボタン連打で終わるならまだしも、
    妙に難しいものや、操作方法が謎すぎるものも多く含まれており、
    プレイしていてかなりストレスがたまるものも珍しくありません。

    本作がそういうゲームだということは事前に知っており、承知の上で購入しているのですが、
    それでも辛かったというのが正直なところです。

    ・圧倒的な「ケンタくんにつきあわされている感」

    繰り返しますが、本作は「小学生ケンタくんが作ったアナログゲーム」という設定です。
    したがって、ゲーム中にはケンタくんが登場し、ゲームマスターとしてプレイしてくれます。
    ケンタくんは明るく楽しく性格もよく、遊び心とサービス精神にあふれた理想的な小学生です。

    ですが、ケンタくんは極めて気分屋でもあります。
    その場の気分でゲーム内容をコロコロ変えていきますし、
    前後の脈絡が全くない差し込みイベントを異常に好みます。

    はっきり言いましょう。
    実際のところ、ゲームを遊んでいるのはプレイヤーではありません。ケンタくんです。

    一見するとゲームマスターであるケンタくんが接待役であるかのように感じられますが、
    本作の接待役は我々プレイヤーの方です。
    ケンタくんが次々に繰り出してくる突拍子もないネタにつきあってあげて、
    ケンタくんのご機嫌をとってあげるのが、プレイヤーの仕事です。

    ここまでやらされ感が強烈なゲームは古今東西体験したことがありません。
    MMOでしょうもないレベル上げ作業をしているときですら、もっと主体的にプレイしています。

    本作を楽しめるかどうかは、
    非実在小学生ケンタくんのご機嫌取りを楽しめるかどうかにかかっています。

    ・どこまでいってもわんこそば

    本作には膨大なネタが詰め込まれているのですが、
    そのすべてが一発ネタにとどまっており、それを超えるものは1つもありません。

    ネタのバリエーションは非常に豊富であるにも関わらず、
    突拍子もないネタばかりのため、新しいネタに対する感動がほとんどありません。
    わんこそばのごとく、同じ味のものを無理やり連続して食べさせられる感じです。


    ・過剰すぎるボリューム

    本作は10時間程度で完了しますが、正直なところ、あまりに過剰なボリュームです。
    この3分の1くらい、3時間で完了するくらいが適切なボリュームだと感じます。

    本作はかなり早々に飽きてしまうタイプのゲームです。
    序盤こそ狂気的な作り込みへの感動だけでプレイを継続できますが、
    中盤になる前にプレイがかなり辛くなってきます。
    後半になるころには、いちご狩りでいちごを食べすぎて、
    もう一生いちごは食べないと決心した人のような状態になります。

    この作り込みで10時間分を作りきった開発者の努力には本当に頭が下がりますが、
    本作はもっとコンパクトにまとめるべきゲームだと思います。

    ※ボリュームの評価には2点をつけていますが、
     これは少ないのではなくて、多すぎることに対しての点数です












    総評
    評価が極めて困難なゲームです。

    すごいゲームかと問われたら、間違いなくすごいゲームですし、
    なんならここ数年でトップクラスにすごいゲームですらありますし、
    歴史に残るゲームかと問われたら、間違いなく歴史に残るゲームですし、
    購入したことを後悔しているかと問われたら、全く一ミリも後悔していませんし、
    なんならこのような作品にお金を払わせていただけることに感謝したいレベルです。

    ですが、友人にすすめるかと言われたら、私はすすめませんし、
    続編が出たらプレイするかと問われたら、おそらくプレイしないでしょう。
    「プレイして楽しいゲーム」とはとても言えないので、
    人生に余裕がある人以外には、おすすめできません。

    総合評価に70点以上をつけようとすると、
    本能が「そこまで楽しくなかっただろ?」と拒否反応を起こすのですが、
    60点以下をつけようとすると、
    理性が「お前はこの作り込みに60点しかつけないのか?」と拒否反応を起こします。
    したがって、65点以外の点数はつけられませんでした。

    普通のゲームであれば、
    プレイの爽快感や、ストーリーの牽引力が、プレイのモチベーションになるのですが、
    本作に限っては「開発者に対するリスペクト」がプレイの主要なモチベーションです。

    「万里の長城を歩くような体験」というのが、本作のプレイ感に近いと思います。

    はるかかなたまで延々と続くその作り込みには感動を禁じえず、
    その建設(開発)の過程に対して、雄大な歴史の流れ(開発期間)を感じることができますが、
    やっていることはただ歩くだけのことであり、
    最初のうちこそ雄大な景色(開発者がどれだけ人生を捧げたのか想像するのも恐ろしい作り込み)
    を眺めているだけで満足できますが、
    「あー、もう十分かな」という気分になるのにさほど時間はかかりません。

    本作は、プレイして楽しむゲームというよりも、
    その存在そのものに感動し、崇め奉る芸術品のような存在かなと思います。
    この世にこのようなモノが存在していることに感動できるし、
    このようなゲームを作り上げた人がいると思うと、人間も捨てたもんじゃないなと思えるし、
    自分も頑張らなくちゃ! と謎の勇気が湧いてきますが、
    自分でプレイするのはもういいかな、そんなゲームです。

    ※「非現実の王国で」という著名なアウトサイダー・アートがあるのですが、
     本作に対する感動は、それに近いものがあります。



    プレイ時間
    10〜20時間
    グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム
    5 5 2 2 2
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