その最新作「カルドセプト ビギンズ」(Switch2 / Switch / PC版は発売日未定)が,ネオスから明日2026年7月16日に発売される。
シリーズ未経験者ならば,人生初のカルドセプトの醍醐味を味わえるのだろう。経験者ならば,奪うか守るか走るか焼くかはさておき,まずはドモビーやランドプロテクトを追い求めるのだろう。私はそうだ。
■3行で知る「カルドセプト」
・カード40枚でデッキを組む
・2〜4人が自デッキでモノポリー
・侵略に防衛に富豪に破産に七転八倒
※本稿で紹介しない基本的なゲーム概要は以下から。
カルドセプトの「ブック」(=カードデッキ)には,それなりに構築法がある。初心者なら最強そうな高レアカード(設定名称はカルド)を積み込み,実は凶悪な低レアカードに完封されるまでがお約束だ。
なので,未経験者向けの攻略情報でも得られないかと,ネオス担当者に「今作の初心者最強ブックとかありますか」と尋ねてみると――。
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ゲームデザインの生みの親と各社ディレクターたちによる,初心者向けブックのプレゼンが開かれることになっていた。さながら,目の前に「ケルピー」(※)が突っ立っているときの心境に近しい。
※この種の子らと初めて出会ったとき,キミはきっと感動するだろう
今回はこの一連の顛末をお届けしよう。
・春木場將道氏(ネオスのディレクター)
・神宮孝行氏(シリーズのゲームデザインを手がけた生みの親)
・山田真広氏(開発ディレクター)
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■ブック制作ルール
・「第二弾パック」(※)までのカードで構築
・ブック内の同一カードは「2枚まで」
・クリーチャー,アイテム,スペルの比率は自由
・属性も単色 or 複数は自由
※ゲーム内カードショップの販売アイテム
「メインストーリー6章」クリアで開放
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開発セプター3人のエントリー
4Gamer:
「カルドセプト ビギンズ」についてはすでに,開発の経緯やシリーズの振り返りが,ほかのメディアでほぼ網羅されているため,出遅れた4Gamerはゲーム内容に寄せられればと考えた次第ですが。
今回は皆さんが「初心者向けブックを構築してプレゼンしてくれる」とのことで。まずは各自の意気込みからお願いします。
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春木場將道氏(以下,春木場氏):
じゃあ私から。ネオスの春木場です。今作ではゲーム全体のリードディレクターを担当しています。
今日持ち込んだブック「水蒸気」は,守りに強い水属性を中心に据えました。どちらかというと,初心者さんにいろいろな駆け引きを試してもらいたいと考えて組んだものです。よろしくお願いします。
※ブックは「単色属性 or 2属性で染める」のがベター。そのうえで無属性クリーチャー,アイテム,スペルを織り交ぜていくのが基本形
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神宮孝行氏(以下,神宮氏):
ゲームデザインで参加した神宮です。開発内では鈴木社長や武重さん(※)らと一緒に,“大宮チーム”っていうくくりにいますが,今はフリーでゲームデザイナーをやっています。
今回の地属性ブック「翔んでドリアード」はですね,試合序盤に早めに領地を取っていき,終盤は守りに徹するコンセプトとなります。争いごとがあんまり好みじゃない人のために作りました。
※「カルドセプト」を生んだ大宮ソフトの鈴木英夫氏,ジャムズワークスのシリーズプロデューサーの武重康平氏のこと。なお,神宮氏は同シリーズのゲームデザインの生みの親として知られる
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山田真広氏(以下,山田氏):
デベロッパのグランディングで開発ディレクターをやっています,山田です。「カルドセプト」とは公私ともに初めて関わりましたが,とにかくもう神宮さんのゲームデザインがすごくて。開発中もずっと神宮さんを頼らせてもらい,ここまで形にしてきました。
4Gamer:
開発担当になってから,カルドセプトを初体験されたんですか。
山田氏:
はい,恥ずかしながら。
いくつか過去作を遊ばせてもらいましたが,「こんなおもしろさがあるんだ!」って,けっこう衝撃を受けましたね。
もともとデッキ構築系のゲームは好きでしたけど,それとボードゲームを組み合わせたら,こんなふうになるんだなって。
4Gamer:
共感する読者は多いものかと。
さて,山田さんが持ち込んだブックはいかがでしょう。
山田氏:
僕は「先手必勝/火風ブック」ということで,攻めて楽しみたい初心者さんを意識して作りました。領地を侵略して,守るときは「先制」能力で優位を取ってと,とにかく攻撃的な仕上がりにしています。
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4Gamer:
ちなみに,現代のTCG/DCGではカードの束を「デッキ」と呼びますが,カルドセプトは「ブック」の名称を貫いています。この点,未経験者は「ブックってなに?」となる可能性がまあまあありそうですが,本シリーズではやはり世界観を踏襲するのが大事でしたか。
春木場氏:
シリーズファンの方々には,ブックもセプター(プレイヤー)もなじみ深い名称かと思いますので,そこは変えずにきました。
一方,おっしゃるとおりの懸念は持っていましたので,今回はところどころで「ブック(デッキ)」といった表現を採用しています。
同席だけしていたシリーズプロデューサーの武重康平氏:
ぶっちゃけ,今はもうデッキでいいんですよ。
神宮氏:
まあまあ(笑)。
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武重氏:
ブックって名称は当時,「マジック: ザ・ギャザリングとかのTCGが人気になっていて,“デッキ”という商標が取られるんじゃないか」と警戒して,ちょっとひねったのが事の始まりでしたから。
その結果,世界観を上積みして,ここまで続けてきたというだけで。
4Gamer:
確かに,当時だったら必要そうな警戒ですね。
武重氏:
しかも,初代カルドセプトを発売するちょうど1年前,1996年には「ポケモンカード」まで発売されていましたしね。
4Gamer:
なるほど。「ミルメコレオ」(※)くらい防備を高めたと。
※初めて対峙してやっつけたとき,キミはきっと感動するだろう
水ブック「水蒸気」
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4Gamer:
あらためて,春木場さんからブックの紹介をお願いします。
春木場氏:
水属性は全体的に「獲得した領地の守りに強い」ことから,守って勝ちにいくことを意識しました。
まあ,あとでやる対戦で勝ちにいけるかは,AI(プレイ中はいつでも「オート操作」に切り替え可能。のちほどオート操作で対戦する)の作り的にちょっと分からないんですけど(笑)。
それと,先ほど言ったとおり守り特化ではなく,今回は初心者さんにいろいろな駆け引きを楽しんでもらい,ルールを覚えてもらう足しにしたいと考えて,カードの種類は幅広く採用しています。
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4Gamer:
キーカードはどれになるのでしょう。
春木場氏:
エースカード(※)には設定していませんが,例えばこの「ジャイアントアメーバ」や「ジャイアントイール」は,対峙したクリーチャーが火や地,風属性の場合,相手の攻撃を無効化してくれるのが特徴でして。
※本作ではブックのレシピを「ブックコード」として発行可能。また,ブック内のカード3種を「エースカード」に設定できるため,共有時に「これが私の考えたキーカードです!」とアピールできる
山田氏:
それもう僕らへのメタですよね?
春木場氏:
水はおのずとそうなりがちなだけです(笑)。
こうした優秀な守り手を用意しつつ,魔術強打(特定ダメージを1.5倍にする能力)を持ち,魔術アイテムを活用しやすい「トリトン」。手札の枚数分が攻撃力になる「リリス」なども加えて,手札が潤沢なときほど侵略時に上振れしやすくしています。
4Gamer:
魔術系でアプローチされると,いろいろな防備が意味をなさないこともしばしばですしね。物理攻撃反射の「デコイ」を割るとかにも。
※カルドセプトには「物理攻撃をメタるカード」が豊富なため,有事に備えて魔術属性の攻撃手段を握っておくのが保険の鉄板
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春木場氏:
あと,ブック名の水蒸気は,無属性クリーチャー「スチームギア」を蒸気に見立てて付けました。スチームギアは対戦序盤ですごく頼りになりますし,単純に見た目が好きなので入れています。
4Gamer:
スチームギアは「この領地に相手が止まっても通行料1/2」の欠点がキツそうに見えて,条件なしのコスト60召喚,AT50/HP50の恵まれたボディ(※)のおかげで,あらゆる場面で活躍しやすいんですよね。
コンセプト特化ブックでない限り,基本的に入れておいて困らない万能クリーチャーとして,シリーズとおして愛されていますし。
※AT50/HP50相当の強さのカードはいくらでもあるが,手札1枚かつコスト60“だけ”で出せる利便性の高さが,長年のご愛顧の理由(魔力コストについてはタイトルごとに上下あるが,だいたい60〜80)
神宮氏:
実は私もスチームギア入ってます(笑)。
山田氏:
すみません,僕も入れてます(笑)。
4Gamer:
というように,本日最大の初心者向け情報はおそらく「とりあえずスチームギア入れとけ」になるでしょうね。
春木場氏:
確かにそうかもしれません(笑)。
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4Gamer:
アイテムについては絞り気味ですね。
春木場氏:
アイテムはオーソドックスなAT/HPの強化や,相手クリーチャーの攻撃無効化,それと魔術を含めて計7枚にしました。
神宮氏:
戦闘ではアイテムがとても重要ですが,戦闘が起きない限りは手札で腐りがち,っていうのが悩みどころなんですよね。
春木場氏:
ええ。それも踏まえて,守りを重視しつつ,勝ちたいときだけ勝つという狙いを込めて少なめにしました。そのぶん,スペルの比率を高めて“いろいろやってほしい”のキモを詰め込んでいます。
山田氏:
(ブック画面の)下のほうに嫌なカードありますね。
春木場氏:
「サイレンス」ですね。2ラウンドの間,クリーチャーを召喚することができなくなります。
ほかにも,相手クリーチャーをマヒさせて行動できなくさせたり,通行料を下げたり,クリーチャーの能力を上げたりと,今回のルールにもしている「6章くらいで,少しゲームに慣れてきたあたりで,こういうスペルも使ってみると戦略が広がっておもしろいよ」というのをいくつか詰め込んでみました。
欠点としては,盤面のクリーチャーに直接ダメージを与えるスペルがないことです。そのせいで,戦闘でしか盤面が除去しづらいです。
4Gamer:
うげ。デザイン変更で気付きませんでしたが,それケルピーですか?
春木場氏:
ケルピーです。最近ちょっと話題になってるみたいなので。
AI対戦だと,うまく使ってくれるか分かんないんですけど,もしかしたら活躍してくれるかも,という気持ちで入れてみました。
4Gamer:
「オールドウィロウ」とともに,初対面を感動させる1体ですしね。領地レベル5に立ってたら,もう耐えがたい気持ちになれます。
山田氏:
領地を完成させられると突破しづらいですよね。
神宮氏:
対人戦なら見かけた瞬間,みんなでボコボコにできるんだけどね。
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4Gamer:
ちなみに,今回の制作ルールは「初心者が参考にしやすい」「第二弾パックまでのカードで」「1種2枚制限にする」というものですが,使えたカードの総数は全体の何割くらいにあたるのでしょう。
春木場氏:
正確な数はパッと出てこないのですが,ストーリーでいうと6章までの範囲で,初期開放と合わせて6割ちょっとくらいですかね。
山田氏:
傾向としては,序盤開放のパックは「歴代カードかつシンプルな効果が多め」,終盤開放のパックは「新規カードや複雑な効果が多め」といったゲームデザインになっています。
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4Gamer:
複雑というのは,高度化したTCGなどで見られる「パッと見じゃ,もはやどんな効果なのか分からない長文テキスト」みたいな?
山田氏:
ありますね。ゲーム後半になるとそういうのも出てきます。
ただ,実際に使ってみると「ああ,こういうことか」ってなるものが多いので,あまりに身構えないでもらって大丈夫ですよ。
地ブック「翔んでドリアード」
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4Gamer:
続いて,神宮さんのブックを教えてください。
神宮氏:
ブック名のとおり,どこかの空き地に召喚したあと,地属性の空き地に移動できるクリーチャー「ドリアード」が主軸です。
これで地属性領地を速やかに確保し,早めに連鎖して通行料を引き上げて,あとは地属性の醍醐味「援護」で打ち勝つスタイルです。
4Gamer:
援護持ちのクリーチャーは,手札にアイテムがなくとも“クリーチャーカードをアイテム扱いにしてAT/HPを増強させられる”んですよね。
神宮氏:
そうです。ドリアードのほかに「ウッドフォーク」や「グリマルキン」も援護持ちで,戦闘時にAT/HPを増強させやすいです。
なので,本来はもっとアイテムカードを減らしてもよかったのですが,今回は初心者向けと考えて,極端な配分を避けました。
ルール制限がなければ,ドリアードだって4枚入れたいですし。
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4Gamer:
キーカードの4積みは基本ですもんね。
※ブック構築では「キーカード4積み」「要検討の1枚〜3枚積み」を織り交ぜるのがベター。本作ではゲームスピードの向上,デッキ枚数の40枚制限といった新環境に伴い,実際はどうなるか不明瞭であるが,TCG経験者ならば持ち前の経験則をそのまま持ち込んでよし。なお,シリーズ経験者は「こちらの記事で解説している今作の所感」が参考になる
神宮氏:
あと,基本は春木場さんと同じく守り主体ですが,いざ通行料が高いところに止まっちゃったときのために,敵の先制効果を無効化できる,AT60の高火力クリーチャー「グレートタスカー」を採用しました。それと2回攻撃が強力な「ケルベロス」ですね。
これらを「ボーパルソード」や「カタパルト」などのアイテムと合わせて使えば,高レベル領地でも挑みやすいだろうという算段です。
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4Gamer:
わりとオーソドックスなアイテムが多めですが,第二弾パックには,相手のアイテムを破壊する「グレムリンアムル」や,死んでもゾンビになって復活する「ネクロスカラベ」など,使われると舌打ちしたくなる系のひねったアイテムはないんですか?
山田氏:
グレムリンアムルは確か,第2弾に入ってましたよね?
神宮氏:
入ってますね。初心者の場合,それらのアイテムの価値は「使われて初めて分かる」かと思うので,今回は不採用ですが。
防御面に関しては,特定属性のクリーチャーが使えば,相手の攻撃を無効化できるシールド系で足りるかなという考えです。
4Gamer:
では,スペルはいかがでしょう。
神宮氏:
必須だったのは「アースシフト」です。これは“獲得している領地を任意の属性に変えるスペル”で,非常に便利です。
4Gamer:
連鎖数上昇にも使えますしね。
ダイスの出目を固定するスペルは「ホーリーワード6」ですが,これはビギンズにおける最大値ではないですよね?
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春木場氏:
本作だと,「ホーリーワード8」までありますね。
神宮氏:
これは私の持論なんですけど,ホーリーワード8は自分で走るときに使いやすいものの,相手をはめるとき(相手の次の出目が1なら高額領地を踏ませられるなど)にはちょっと数が多すぎて,うまく立ち回れないケースがあるんですよ。そのため,移動にも妨害にもちょうどいい中間値として,あえての6を採用しています。
山田氏:
8だと進まれすぎちゃいますしね。
4Gamer:
利敵になりすぎないラインの見極めなんですね。
神宮氏:
一応,このブックの弱点としては,領地を守らせたいクリーチャーが軒並み低HPのため,対象クリーチャーにHP30ダメージを与える「イビルブラスト」などを使われると,あっさり潰されちゃうことです。
うまく移動させられたドリアードは,対象スペルを無効化してくれるグリマルキンに交換するなど,プレイングが重要となります。
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4Gamer:
ちなみに神宮さんは,もとから地属性が好きなんでしょうか。
神宮氏:
そうです。ぶっちゃけ地属性が大好きです!
なので今回も「みんなで一応,属性をばらけさせましょうか」と交渉しつつも,自分は好きな地属性を使わせてもらいました。
春木場氏:
私は実のところ風ですねー。
山田氏:
僕は水です。「ゼラチンウォール」とかけっこう好きなんで。
4Gamer:
ちなみに,私の魂のブック「ガルーダ&パウダーイーター」は第二弾カードパックでそろえられる感じでしょうか。
※領地を移動させると増殖する「パウダーイーター」をばらまき,風クリーチャーの総数=AT/HP値となるフィニッシャー「ガルーダ」で暴力を振るう構築。「ガッッ!! ルゥゥダァ……」と名前を呼ばれたあと,能力値がビュインビュイン!! と激伸びする快感を味わった者,あるいは味わわされた者は,だいたい一度は握りたくなる定番ブックの1つ
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山田氏:
ガルーダは入手できますが,パウダーイーターはまだですね。
春木場氏:
パウダーイーターは開発内で,「今回のゲームスピードだと,ちょっと強みを伸ばしきれないかも」って言われていますね。
4Gamer:
それは残念。
ですが,今回もまずはガルパウを構築させてもらいます。
火風ブック「先手必勝/火風ブック」
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4Gamer:
最後に山田さんのブックを教えてください。
山田氏:
僕は攻撃的なブックを目指して,火と風の2属性にしました。
本作の初期開放ブックも「火&地属性」「水&風属性」の混色のため,初心者の方々もなじみやすいのではないかという提案です。
4Gamer:
単色構築に思いきる前に,触れやすそうですね。
山田氏:
そうですね。
キーカードでいうと,高コストのクリーチャー「ドラゴン」です。むしろ,ドラゴン以外は領地コスト(指定の属性領地を確保していることがプレイ条件となるカード使用コスト)が求められるカードをなるべく入れずに,序中盤のスムーズな立ち上がりを意識しています。
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4Gamer:
領地コストの必須カードが多いと,せっかく土地に止まっても「なにも出せない!」ってことが増えますしね。
山田氏:
そうなんですよ。だから「とりあえずクリーチャーを出す!」がしやすい構築を心がけました。
神宮氏:
あー,僕も領地コスト少なめにしたつもりでしたけど,クリーチャー20枚中,6枚も条件付きでした。わりと多かったかも。
春木場氏:
私も領地コストは少なめですね。自然とそうなっただけですが。
山田氏:
もう片方の風属性では,強打持ちの定番「ナイト」や,倒されると魔力を獲得できる「コーンフォーク」。そしてエースカードに設定している「マスターモンク」が,初心者へのイチオシです。
マスターモンクは先制能力に加えて,基本ステータスのAT20/HP50が,アイテム未使用時に限りAT50/HP20に変化します。
つまり,状況に応じて攻守を切り替えられるわけです。
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神宮氏:
アイテムは「サキュバスリング」がエース設定ですね。
山田氏:
サキュバスリングもまた,先手必勝のための先制を付与できるアイテムです。もとから先制を備えているクリーチャーもチラホラいますが,それ以外のクリーチャーで先制したいときに使います。
このアイテムは先制効果のほかに,攻撃成功時に「相手のATをゼロにする効果」を持つため,敵を倒せずでも敵にも倒されずで,領地防衛時に勝ち越すにはピッタリなんです。
4Gamer:
風の定番「ナイキー」(※)に近い役割ですよね。
※AT30/HP30のクリーチャー。先制能力かつ攻撃成功時に「マヒ」効果を付与することで,相手を無力化しやすい万能選手
山田氏:
そうですね。あとは「クレイモア」や「カタパルト」,相手の地形効果を無視できる「ドリルランス」,それと魔術系で固めました。
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4Gamer:
やっぱり魔術は入れたくなりますか。
山田氏:
そうですねえ。いくら攻撃に特化しても,相手が物理攻撃のアンチカードを1枚握っているだけで突破できなくなるのがカルドセプトのため,対策として,なにかしらの魔術を入れておきたいんですよ。
4Gamer:
やってみると分かるジレンマですからねえ。
神宮氏:
HP対策が「アーメット」なのもいいね。防具NGな「ガスクラウド」とかでも,アーメットなら道具扱いで使えてHPを底上げできるし。
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4Gamer:
残りのスペルはいかがですか。
山田氏:
お二人と同じくダイス操作を入れつつ,攻撃的な構成だとどうしても所持魔力が足りなくなりがちなので,周回数に応じた魔力を得られる定番スペル「マナ」を盛り込みました。
本当は神宮さんみたいに領地の属性を変える「ファイアーシフト」を入れたかったのですが,パックを剥いても手に入らず(笑)。
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神宮氏:
僕も「ディジーズ」入れようか迷ったんですよね。
山田氏:
ディジーズはどっちかっていうと,「バイタリティ」対策です。
春木場氏:
ああ,バフを打ち消すみたいな。
※戦闘中,「ディジーズ」は対象クリーチャーのAT/HP-20,「バイタリティ」はAT/HP+20のステータス変化をもたらすことから
4Gamer:
個人的には「シュリンク」派ですかねえ。
※指定クリーチャーのAT&MHP(最大体力)を-10するスペル。貧弱だが凶悪なクリーチャーのMHPを0にし,盤面から排除させる小技が利く
山田氏:
あー,シュリンクもありですねー。
4Gamer:
あれ,そういえばマナの効果変わりました? 従来は周回数×50Gだったのが,周回数+1×100マナになってるような。
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春木場氏:
マナに関しては王道の初期スペルということで,ちょっと大盤振る舞いで強くしました。これもまたゲームスピードを向上させるための変更で,1戦を高速化させるための調整となっています。
山田氏:
本作は,あらゆるシーンで従来よりも魔力が手に入りやすい一方で,領地のレベルアップコストなども引き上がっています。
依然として全部にコストを割り振るのは難しいため,状況に応じてどこに注力していくか。そうした駆け引きを強めたかたちです。
4Gamer:
どれも値の幅が大きくなったぶん,取捨選択が際立つわけですね。魔力不足でクリーチャーが置けない問題も緩和されてそう。
AI対戦の準備中に
4Gamer:
カルドセプトのカードは,高レアリティほど能力面にもひと味ありますが,実際の対戦ではレアリティが飾りになりがちですよね。
例えば,Nレアな初期クリーチャー枠のガスクラウドとかでも,平然と領地レベル5のキーマンになれるじゃないですか。
春木場氏:
そこらへんがやっぱり,カルドセプトの持ち味ですよね。
4Gamer:
今回はバランス的に,「カルドセプト セカンド」あたりを目指したと見聞きしていますが,そのへんはいかがでしょう。
春木場氏:
おっしゃるとおり,セカンドをベースにしていますが,正確にはその系譜の最新作である3DS版が近いですね。
前作「カルドセプト リボルト」は,シリーズの進化の1つの到達点でしたが,今回は過去の歩みを振り返り,分かりやすさ重視にしています。開発のスタート地点も,「初めてカルドセプトに触れる人でも分かりやすいものを目指そう」でしたし。シンプルさは終始大切にしました。
山田氏:
そうした判断から,今回は一部能力を削除したり,マップ全体に影響を及ぼす「リビングアイドル」種を削ったりしています。
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4Gamer:
それでいうと,「バトルギアα」と「バトルギアβ」を援護能力で合体させると現れる「バンドルギア」や,領地で「ソードプリンセス」を変身させると現れる「アームドプリンセス」などの特殊なタイプは?
神宮氏:
今回アームドプリンセスはいないんですよ。
でも,バンドルギアはいます。
春木場氏:
あれはロマンですよね。私,あれ大好きなんですよ。
リップサービスとかじゃなくて本当に。
4Gamer:
スチームギアも大好きそうでしたしね。
これらのカードは今回,どのようなサイクルで入手するのでしょう。
春木場氏:
まず,対戦終了時にランダムドロップによるカード入手機会があり,同時に手に入る資金を使って,ショップでカードを購入できます。
ショップでは随時開放されるカードパックのほか,1戦ごとにラインナップが更新される単品販売もあります。
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4Gamer:
となると,カード集めもだいぶ楽になったのでは?
春木場氏:
少しどころか,過去作の2倍以上は集めやすいですね。
4Gamer:
助かります。過去作ではだいたい,(最初のステージと同じ形だがドロップ幅が制限されていない)対戦マップ1で,魔力達成条件を最低値にし,AI相手のタイマン勝負を延々と周回して,ランダムドロップに期待するのが常套手段でしたし。
あれもう体に染みすぎて,タイトルごとの設定BGMがたたき込まれてます(脳内再生余裕はセカンドのBGM「王都マルセスブルク」)。
春木場氏:
そういう苦労も解消されているはずです! それにプレイヤーをAI設定にして,オート操作のスピードを上げるなどもできるため,稼ぐのはだいぶ楽です。ブック構築のハードルを下げるのは必須でしたしね。
4Gamer:
私は最初に「ドモビー」と「ランドプロテクト」を確保しないと,領地レベルを上げる勇気を出せないので稼ぎが必須で……。
※いずれも「対象の領地に嫌がらせスペルを使えなくする防護効果」を備える,石橋をたたいて渡りたいセプター向けの必須札
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山田氏:
ドモビーってステータスが低いこと以外は優秀ですもんね。
4Gamer:
低コストのばらまきにうってつけですし。
ちなみに皆さん,一番好きなカードはなんでしょう。
神宮氏:
僕は本当に「ドリアード」! ドリアードが一番好きです!
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春木場氏:
私は先ほどチラッと触れた「バンドルギア」です。ほんと1番です。
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山田氏:
今回は入れられなかった,風属性クリーチャーの「デスワーム」って新カードがあるんですけど。あの能力が好きなんですよね。
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春木場氏:
あー,あいつですね。
山田氏:
デスワームは “相手クリーチャーの攻撃無効化能力を無効化する”という攻めの1枚で,防衛型クリーチャーの壁を力尽くで突破しやすいんです。あれがお気に入りになっています。
4Gamer:
完全防備で安心してる人に刺さる悲劇が生まれそう。
いざAI対戦へ
4Gamer:
それではこれより,お三方のブックで「AI対戦」(オート操作)をしてもらいます。AIだと適切なプレイングがこなせないことも多々ですが,腕前に限らない平均値を取ってみるということで,ここは一つ。
お三方:
対戦よろしくお願いします!
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現地では,ここまでに紹介した3つのブックをAI操作に任せて,1.5倍速(オプション設定)で観戦していった。
やはりというか,人間ならさまざまな思惑でカードをプレイしていくところを,“カルドセプトらしいAIの動き”ゆえ,ドッタンバッタンな流れに。久々に凶悪カード「ハウント」(※)を思い起こす。
※旧作版では2ラウンド,DS版では1ラウンドのあいだ,セプター1人をAI操作に切り替えさせるスペル。ときには試合展開を理不尽に破壊することから,旧作では最凶カードの1枚に挙げられることも
※注記:対戦中に判明したが,神宮氏のブックは「編成中に採用していたディジーズ×2枚を,バイタリティ×2枚に変えるのを忘れていた」。ブックコンセプトに大きな影響はなく,対戦も盛り上がったので続行したが,記事下部で紹介する「ブックコード」は本来の内容を反映している
4Gamer:
プレイヤーAIには種類とかはあるんですか。
春木場氏:
いえ,プレイヤー用のAIはすべて共通ですね。
ストーリーNPCにはそれぞれ個性を設定していますが。
山田氏:
プレイヤーAIを強くすることは可能ですが,今どきの技術で最適化してしまうと,もはや人より強くなってしまいそうでしたので。
今回はいつでも気軽にオート操作を使える仕様ですし,あまり強すぎると攻略や対戦においてよろしくないだろうと。
神宮氏:
あーまた,マヒをもったいない使い方してえ。AIはとくに呪い(クリーチャーや領地に与える付加効果のこと)を使うのがあんまりうまくないんですよ。ああ,使うな。ほらこんなところで使うな!
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春木場氏:
(勝負する価値はありそうな敵領地を踏んでも,戦闘せずに通行料を支払っているAIを見つつ)やっぱりAIは腰が若干引けてますね。
神宮氏:
プレイヤーAIは「勝てる戦いしかしない」設定ですからね。勝てそうにないなら戦わないし,挑むようならなにかしらの勝ちの目がある。ストーリーNPCの場合は「無謀でも挑む」といった個性付けがあるのですが。
4Gamer:
カルドセプトあるあるですよね。
こちらの試算だとどう見ても負けないのに,知らない手段や見落とした情報と計算で,こっちの思惑を破壊していくNPCたち。知らないクリーチャーやアイテムと出会うたびに「えっ! なんでこんな結果になった!?」となるので。初めて「カロン」(※)と対峙したときとか。
※やっつけようとして感動してほしい
神宮氏:
あるあるですね。
ああ! 「ドリアード」が手札あふれで捨てられてる!?
※ブックの要のドリアードがAIにすべて手札廃棄され,活用されなかった
山田氏:
そういえばマップは「シーダモの港」を選びましたけど,ここって属性ごとのマス数が違うんで,公平なマップじゃないですよね?
春木場氏:
あっ,そこ配慮してなかった。まあ今回は,まあ。
※同マップは火・水の土地が6つずつ,地・風の土地が5つずつで,ブック傾向的に春木場氏が有利,山田氏が微有利,神宮氏が不利であった
神宮氏:
まだワンチャン。まだワンチャン。そこの水を落とせば。あとちょっとだから。あれこれ倒せる? 倒せるの? あー!
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といった流れから勝利したのは,春木場氏の水ブック「水蒸気」。
3人AI操作の1.5倍速プレイで,プレイ時間は16分25秒であった。
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4Gamer:
勝者は春木場さんということで,おめでとうございます。
春木場氏:
ありがとうございます!
神宮氏:
16分はかなり早かったね。
山田氏:
今回だいぶあっさり終わりましたしね。
神宮氏:
なんかもう居酒屋みたいな気分だった。
山田氏:
いやこれほんと,お酒でも用意しておくべきでしたかね。
飲みながら延々と見てられる感じでしたよね(笑)。
春木場氏:
それもオートプレイのいいとこですよねー。
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「カルドセプト ビギンズ」のブック構築は今回プレゼンされたもののほかに,高速周回と自衛に特化した走り構築,ブックを1周させてキーカードを何度も引くドロー構築,ただひたすらに盤面を焼き尽くして阿鼻叫喚のゲームに変える焼き構築など,十人十色だ。
※盤面焼き構築は,勝ち筋の両立に手腕が求められ,かつファンメールが届きかねないキレッキレのブックのため,初心者には非推奨
まあ,カルドセプトなんてものは,たまたま手に入れたカードに興味をかき立てられ,1試合ごとの出会いを通じてブックをグチャグチャにいじり倒すくらいでちょうどいい。実際,それがおもしろい。強みをうまく出せないときも,とりあえずスチームギアがどうにかしてくれる。
スチームギアだけでもう,キミは立派なセプターになれるだろう。
最後に,お三方が使用したブック内容をそのままコピーできる「ブックコード」を,それぞれのメッセージとともに添えておく。序盤のカードをベースにしたものなので,アレンジもしやすいはずだ。
■春木場氏のひと言
勝者の春木場です(笑)。
今回はAI対戦だったので,本来のブックコンセプトが発揮されてないシーンもありましたが,どのブックもはじめてカルドセプトに触れてくれた人が,少しゲームに慣れてきたころに使ってみてもらうと面白いブックだと思います。
今回紹介したもの以外にもたくさんのカードがあるので,気になるカードが出てきたら是非ブックに入れてみてください!
ブックコード:
qg&o Atty JN9N QFxP
XkGx Vf6q DTEm K&AF
XgFd fR#=
■神宮氏のひと言
弱々な「代打ちAI」には使いこなせなかったようですが,「ドリアード」の本当の強さは,こんなもんじゃないです!(負け惜しみ)
ストーリーを進めていくと,さらに優秀で凶悪なカードも現れます。新たに入手したカードを少しずつ足したりして,理想のブックを組み上げていく過程も面白いですよ。
「ビギンズ」は,初めての方でも,久々の方でも,ずっとファンだった方でも楽しめる一作になったと思います。ぜひ多くの人に楽しんでいただきたいです!
ブックコード:
qwMn AY?h BGLz ag14
eXZg g&Fp sd+@ Gmp7
My#F gRw=
■山田氏のひと言
名作の10年ぶりの復活をお手伝いすることになり,恐れ多くも誇らしい気持ちです。
カルドセプト好きのスタッフ達やネオスさん,神宮さん達に支えられながらも本作をようやく世に出せます……。
新時代のカルドセプトとして皆さんに届くことを願っています!
ブックコード:
qQg@ BAPx &N&& KTw#
sbC# t6aM k5g7 J54N
dH#2 g@Mu KDoQ
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