インタビュー
[インタビュー]10年ぶりの最新作「ARMORED CORE VI」は,メカだからできる動きと,近年のフロム・ソフトウェアの技術を盛り込んだ“メカアクション”
武器の組み合わせや脚部の変更でアクションが大きく変わる,新たな「アセンブル」
4Gamer:
それでは,ACVIでアセンブル可能なパーツについても教えてください。
山村氏:
まずカテゴリとしては,見た目やAPなどを決めるフレームパーツ,攻撃手段となる武器パーツ,そして機体の基本性能を定めるインナーパーツがあります。
小倉氏:
フレームは頭,コア,腕,脚の4つ。武器は左右の手と背中で4つ。インナーパーツはジェネレータ,ブースタ,FCSの3つですね。
4Gamer:
武器が4つということは,サブウェポン的なインサイドやエクステンションといった概念はない?
山村氏:
はい。新規参入のハードルは下げたいところでもあったので,情報過多にならないよう本作では一度リセットをかけました。
あと武器については,先ほど申し上げた「ウェポンハンガー」機能をアンロックすれば,ダブルトリガーで戦いながら適宜ブレードに持ち替えるといったプレイもできますね。
4Gamer:
それ,本当に操作が忙しくなりそうです。
山村氏:
そこは実際そのとおりなので,基本操作ではなくOSチューニングでの解禁機能に持っていった次第です。
4Gamer:
なるほど。OSチューニングでアクションをアンロックしていくことが,応用的な操作を学んでいくことにもなるわけですか。
そうですね。ゲーム開始直後の初期機体もあえて3つの武器しか持たせてないですし,少しずつ複雑な操作にもトライしていってもらえればと。そういった序盤のサポートは,弊社にしてはけっこう丁寧にやっているつもりです。
4Gamer:
最初から,4つのボタンを使って敵を撃つというベースの上に,アーマー張って,蹴り飛ばして,武器変えて……はさすがについていけなさそうですからね。
山村氏:
あとは4つの武器についても,武器によって挙動が違うという個性のところで操作難度を下げられるようになっていますね。
例えばブレードは,全身を使ったモーションである以上その他の武器と完全同時には扱えないですし,バズーカのような反動の大きい射撃武器も同様です。こういった単発系の武器は攻撃力も高いことが多いので,初心者にも扱いやすいんじゃないかと。
逆に一番難しくなるのは,長押し操作の連射武器を4つ積んだときですかね……。
4Gamer:
今までになかったような特徴を持つパーツはありますか?
山村氏:
それで言うと脚部パーツがそうですね。名前こそ過去作と同じですが,四脚にホバリングモードがあったり,タンクではドリフトターンができたり,それぞれアクションに特徴を付けています。武器にもチャージショットで銃身が変形するものがあったりするので,スタッフの細かいこだわりを楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
4Gamer:
二脚と逆関節のアクションはどう違うのでしょうか。
山村氏:
二脚は軌道変化の柔軟性が高いのが強みです。挙動にクセがなく,上昇とクイックブースト(回避)を絡めてクイックな縦横の移動ができるのが長所ですね。逆関節は跳躍力に特化していて,ジャンプはもちろんクイックブーストにも脚力を上乗せします。空対地で強みが出てくるんじゃないかと。
本作には「アセンブルがパラメータの高低に留まらず,アクションゲームとしての手触りに反映されるようにしよう」という方針があるんですが,それが反映されているところですね。
4Gamer:
えらく手間のかかっていそうな作りですね。
山村氏:
そうですね。数値だけでは測れないアクションの相性という要素が強まっているので,調整は大変でした。ただその分だけ,ユーザーの皆さんがプレイフィールの観点で自分好みの機体を構築できるようなゲームにはなったかと思います。
探索で活用する「スキャン」と,バトルにメリハリを付ける「スタッガー」
4Gamer:
ACVIでは,スキャンも重要になるとのことですが。
山村氏:
まず本作のスキャンはACV系のスキャンモードとは違って,ワンボタンで発動するアクションになっています。死角にいる敵を見つけたり,屋内探索ミッションでパーツの入っているコンテナを見つけたりするためのアクションですね。
屋外で撃ち合うようなミッションでは必須ではない機能ですが,スキャンした敵は壁越しでもロックオンできるようになるので,遮蔽物の多い市街地戦などでは活用できる余地があります。
4Gamer:
マップ上でパーツのコンテナが見つかるのは楽しそうですね。
山村氏:
探索型のミッションで,道中にコンテナが配置されている形になります。
他にもACの残骸からパイロットの残した通信ログや文書データが拾えたりする「アーカイブ」という収集要素があったりもします。これはゲームクリアに必須なものではないので,本作の世界観設定やNPCの背景に興味を持っていただけた場合は,ぜひ探してみていただきたいなと。
4Gamer:
バトルの新要素となる「スタッガー」についても教えてください。
山村氏:
スタッガーは,敵を攻撃して姿勢制御システムに負荷を与えていくことで引き起こせる行動不能状態で,その間の追撃は全て「直撃」扱いとなる,という要素です。スタッガーという用語や「固め」といった概念は過去作からあったものですが,本作向けにフィーチャーして新たに設計しています。
これを導入した意図はふたつあり,ひとつは「バトルが決着するまでの過程の中にも,区切りとなる成功体験や,達成感や高揚感を感じられる瞬間を作りたかった」というものです。
4Gamer:
バトルに,よりメリハリを付けているわけですね。
山村氏:
はい。そしてもうひとつは,本作の4武器を並列で扱える仕様と絡んでくるところです。つまり「どの武器でスタッガーを引き起こし,どの武器で直撃を取るか」というところで,ユーザーの皆さんが自分なりの複数武器連携を構築できるようになっているわけです。これは武器選択という遊びに加わった,本作ならではの新しい一軸と言えると思います。
4Gamer:
スタッガーを発生させるための衝撃ダメージを蓄積させやすいのは,どんな武器でしょう?
山村氏:
おおむね見た目のイメージどおりです。爆発など重そうな攻撃は衝撃を与えるのに向き,レーザーなど鋭そうな攻撃はダメージを与えるのに向く,といった傾向になっていて,ライフルなどの実弾系はバランスタイプですね。全武器をレーザーで揃えたらスタッガーは引き起こしづらくなりますが,代わりにAP削りに特化していく,といった塩梅でバランスを取っています。
ACシリーズの新たな一歩を目指して
4Gamer:
それでは世界観についても教えてください。今回は,ACシリーズの中で一番過酷な印象を受けました。AC4のコジマ粒子の汚染も深刻でしたが,ACVIのコーラルは惑星1つで済まずに,周辺の星系にまで致命的な影響をまき散らしているといった感じで。
山村氏:
久々に地球以外が舞台となるので,できごとのスケールは大きくなっていますね。それが災害だというのは,まあACらしいところかなと。
4Gamer:
これまでのACシリーズとのつながりはあるのでしょうか。
前作や過去のACシリーズとの物語の直接的なつながりはありませんので,これまでにACシリーズをプレイしたことのない方でも問題なくエントリーいただけると思います。
山村氏:
ですね。初めてのACとしてもおすすめできます。
4Gamer:
公式サイトに掲載されているプロローグやコンセプトを読むと,企業間抗争のようなストーリーなんですか?
山村氏:
対立構図はもう少し複雑ですかね。
舞台となる惑星「ルビコン」は過去の大災害を受けて「惑星封鎖機構」という星間公的機関がまるごと封鎖している状態なんですが,その監視をかいくぐって不法に進駐しているのが企業勢力です。
企業たちは新物質「コーラル」の生み出す利権を求めて抗争を繰り広げていまして,土着民族からなる武装勢力「ルビコン解放戦線」とも敵対関係にあります。
こういった三つ巴の状況で,主人公は独立傭兵として戦火に身を投じていく流れになります。
4Gamer:
面白そうですね。企業が絡む世界観のACはとくに好きです。お気に入りの企業ののパーツを使いたくなるんですよね。
山村氏:
ACと言えば企業というイメージはやはり強いですよね。本作ではアセンブル画面でも企業ロゴがズラッと並ぶので,贔屓企業の製品で固めるロールプレイも捗るものと思います。
4Gamer:
企業からの依頼を受けて,ミッション制でストーリーを進めていって,さらに本作にはアリーナもあるわけですよね。懐かしい感じがします。
山村氏:
どこか懐かしくも新しいACであると受け取っていただけたら嬉しいですね。初代ACから26年も経つので,トラディショナルなスタイルも一周まわって新鮮なんじゃないかと。
4Gamer:
今回は,ACシリーズのリブートタイトルという側面もありますから,従来のスタイルと聞くとほっとします。
マルチプレイコンテンツについても教えてください。
山村氏:
本作のメインコンテンツはあくまでシングルプレイのキャンペーンモードと位置付けていますが,マルチプレイにはオンライン対戦を用意しています。1対1のシングル戦と3対3のチーム戦があり,ルームを作成してそこにプレイヤーが参加していく方式ですね。
4Gamer:
あとは,ACシリーズの楽曲を手がけてきたFreQuencyがどうなっているのかも,ぜひ聞いておきたいです。ACの新作が出ていなかったのもありますけど,公式サイトの更新も止まっているようですし。
小倉氏:
FreQuencyのメンバーは弊社のサウンドチームの人間ですので,普段は基本的にはタイトル開発に従事してます。その傍らで音楽活動を行っておりますが,近年は多忙が続いており,FreQuencyとしての活動が行えていないというのが現状です。
ACVIのBGMなどのサウンドは星野(歴代ACシリーズでコンポーザーを担当している星野康太氏)が引き続き担当しており,雑談ベースではありますが,またFreQuencyでの活動を行っていきたいね,と話はしています。
山村氏:
今回は新曲がたくさんありますからね。
本作では「オールドSF」というテーマでアナログシンセを活用した宇宙的サウンドを目指してもらったので,星野ファンの皆さんには彼の新境地をお聞かせできるものと思います。
4Gamer:
楽しみにしています。
それでは最後に,ACVIの発売を楽しみに待っている人達に向けて,メッセージをお願いします。
小倉氏:
前作ACVDから10年という長い期間が空いてしまい,ユーザーの皆さんには本当にお待たせしたと思っております。そしてそんな中でも変わらずACシリーズへの熱いご支援をいただき,本当にありがとうございます。かなり時間が掛かりましたが,ようやく皆さんとの約束が果たせると思うと,とても感慨深いです。
本作は,近年のタイトル開発で培った知見や経験と,ACシリーズの根幹の面白さが融合し,今の我々が作る新しいメカアクションゲームに仕上がったと思いますので,ぜひ手に取って楽しんでいただけると幸いです。
そして本作がこれからのACシリーズの新たな第一歩となると嬉しい限りです。
山村氏:
ACシリーズを待っていてくださったファンの皆さん,お待たせしました。変わらない良さを思い出していただきつつ,進化したところにも新しい魅力を感じていただけると幸いです。
本作でACに興味を持っていただいた皆さん,ありがとうございます。三次元空間をフルに使った,ダイナミックでアグレッシブな銃撃戦をぜひ体験してみてください。
本作が「アーマード・コア」というタイトルの可能性を広げるきっかけになることを願っています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」公式サイト
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- インタビュー
- カメラマン:増田雄介
- ライター:大陸新秩序
- 編集部:御月亜希
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