男色ディーノが「三國志8 REMAKE」のキーマンたちにインタビュー。TGS会場で気になるポイントを聞いてみた［TGS2024］

　コーエーテクモゲームスは，「三國志8 REMAKE」（PC / PS5 / Switch / PS4）を2024年10月24日に発売する。本作は「三國志VIII」「三國志VIII with パワーアップキット」をベースに，さまざまな要素やイベント，データを追加したリメイクだ。
　「三國志VIII」は，君主を含む武将個人になって遊べる「武将プレイ」が特徴で，シリーズの中でも特に人気が高いタイトルとして知られている。


　今回は，「三國志8 REMAKE」の公式番組「三國志8 REMAKE 開発者通信」（Part.1 / Part.2 YouTubeリンク）にいわゆる“ガチ勢”として出演してきた私，男色ディーノが東京ゲームショウ2024の会場で，越後谷和弘氏，石川久嗣氏，佐野 新氏の3名にインタビューを実施した。

　公式番組内のコメントで挙げられていた疑問点や私の本当に聞きたかったことを，TGS会場という比較的お口が緩んでしまいそうなシチュエーションで聞いてみた。

「三國志8 REMAKE」公式サイト

左から石川久嗣氏（三國志8 REMAKE 開発プロデューサー），越後谷和弘氏（三國志8 REMAKE プロデューサー），佐野 新氏（三國志8 REMAKE ディレクター）

男色ディーノ（以下，DD）：
　本日はよろしくお願いします。今回はコアユーザーが気になっている点と，新規ユーザーを獲得するうえで，どのような点に気をつけて開発しているのかという点をうかがいたいと思っています。

越後谷和弘氏（以下，越後谷氏）：
　よろしくお願いします。

DD：
　まずは，コアユーザーの視点から。「三國志8 REMAKE」は，自分で作った武将を登録できる数が現状150人とのことですが，増やすことは考えているのでしょうか。
　本作は，武将プレイができるタイトルなので，コアユーザーはどうしても「自分だけの三國志」を求めると思うんです。公式番組でも「新武将の登録を増やしてほしい」という声がかなり寄せられていました。

越後谷氏：
　実はメモリの関係で150人という数がギリギリなんです。プラットフォームによっては増やすこともできなくはないんですが，どのプラットフォームを選んでも同じように楽しんでもらいたいという思いがありますので。

佐野 新氏（以下，佐野氏）：
　とはいえ，開発としては限られた条件の中でもできることは常に模索していますし，ユーザーが望む声が高いものに関しては，今後も方法を模索し続けていくつもりです。

DD：
　現状ではどうしようもなくとも，今後はその限りではないと。
　ところで，今回はシリーズの中でも自由度が高い「三國志VIII」のリメイクです。開発陣の中でも，面白いと思うポイントが多岐にわたると思うのですが，どのように方針を決めて開発に臨んだのでしょうか。

越後谷氏：
　本作は「ドラマ」というのをひとつのキーワードに決め，システム面から制作していきました。たとえば，ナンバリングでは最新の「三国志14」では，「戦線を押し上げていく面白さ」を作り上げようとしていました。
　今回は，三國志としてのお話の面白さ……つまり「ドラマ」をキーワードに開発を進めていった形になります。

佐野氏：
　本作はリメイクなので，「三國志VIII」という作品が軸にあって，そこからどう味付けしていくかという話し合いになりました。結果，「今回はドラマだよね」という結論が出たので，そこに注力することになりました。

DD：
　今回新しく出たアイデアはありますか。

佐野氏：
　今回は，プレイするたびに違う体験ができるようになっています。たとえば，今までであれば義兄弟は自分で決められましたが，今作ではある程度ランダムに起こるイベントになっています。
　これによって，同じ武将でプレイしても別の人生を歩めるので，プレイごとに違う体験ができる面白さは表現できていると思います。


DD：
　大いに自信アリということでしょうか。

佐野氏：
　大アリですね。当初の発売日を延期して，ブラッシュアップしたポイントのひとつがそこでしたし，開発中もプレイするたびに体験が変わるという部分がどんどん良くなっていくのを感じています。

DD：
　なるほど。変更した部分に手ごたえがあるというのは心強いです。
　さて，三國志シリーズ公式Xを見て気になったんですが，今回は武将の能力値を多く紹介している印象です。こちらはユーザーからの声が多い点なのでしょうか。


越後谷氏：
　はい。多くのユーザーが気になっている点だと思いますし，我々としても，能力は毎回見直して設定しています。

DD：
　能力値の評価基準は，作品によって変わるのでしょうか。

石川久嗣氏（以下，石川氏）：
　最近の作品の能力値は私が決めています。私はよく「三国志演義」を見直すのですが，時々で武将の印象が変わることもあります。
　タイトルごとの作品性を考えて変化させている部分もありますが，基本的には私が総合的に考えて定めていますね。

DD：
　難しいところですよね。たとえば野球ゲイムでも，選手の能力値に対して万人が納得することないわけですから。

石川氏：
　そうですね。ただ「この武将の能力値はおかしいでしょ！」という議論もまた三國志シリーズの面白さだと考えていますので，自信を持って定めてはいますね。

DD：
　本作は編集機能もついているので，納得いかないのであればプレイヤーの好きなように変えることもできますしね。

越後谷氏：
　それも含めて，本作の自由度はかなりのものだと思います。


DD：
　さて，次は新規ユーザーに向けた取り組みついて聞かせてください。今作は新規ユーザーを獲得するために，どのような工夫をしているのでしょうか。

越後谷氏：
　こだわったのは，武将プレイですね。もちろんチュートリアル等の細々したところも丁寧にナビゲートしていますが，開始画面から「武将プレイ」を選べるようにしたんです。

DD：
　詳しく聞かせてもらえますか。

越後谷氏：
　今までの作品はシナリオから武将を選んで遊ぶ方法でしたが，本作は最初に好きな武将を選び，その後に年代を選べるようにしています。
　三國志シリーズは，基本的には何かしらの形で三国志を知っているプレイヤーが多いので，好きな武将から選べるという選択肢は入れたかったんです。また「自由過ぎて選べないという人のためには，おすすめ武将でも選べるようにしています。

DD：
　三国志をどれくらい知っている人を新規ユーザーとして想定しているのでしょうか。

越後谷氏：
　少しでも三国志というコンテンツに触れたことがある人を想定しています。武将の名前くらいは知っているくらいの方でも楽しめるところを目指して作っています。

石川氏：
　三国志は一見難しそうな題材に見えますが，実は若い世代の方もスマホを中心に何かしらのコンテンツに触れていることが多く，まったくのゼロ知識ということはないと思うんです。そういった方でも「三國志8 REMAKE」は楽しめると思いますよ。

DD：
　コアユーザーも新規ユーザーも楽しめる作品を期待しています。それでは最後に，読者にメッセージをお願いいたします。

越後谷氏：
　三國志シリーズは初めてで購入を迷っておられる新規の方は，「三國志8 REMAKE」に触れてみて，三国志というジャンルの教材にしてみてください。それくらいの楽しさがあるタイトルになっていますので。
　コアユーザーの皆さんは，間違いなくシリーズで一番のボリュームになっていますので，ぜひ遊び尽くしてください。

DD：
　ありがとうございました。


　今回は，私の聞きたかったことと，公式番組で一番コメントがあった部分を中心に話を聞いた。「三國志8 REMAKE」の開発としては，もうほとんどの作業が終わり，あとは発売日を待つばかりの状態だそうだ。話をしてくれたキーマン3人からは，発売延期を経てとにかくボリュームを上げてブラッシュアップに成功したという自負が伝わってきたのが印象的であった。
　シリーズファンの私としても，何度も変わるゲイム体験は非常に興味深い。PC / PS5 / Switch / PS4と多くのプラットフォームで楽しめるので，発売を楽しみに待ちたいところだ。

「三國志8 REMAKE」公式サイト