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壁は呪術によって絶えず姿を変え,二度と同じ景色を見せない。運命を決めるのはただ一つ,掌中で転がるダイスの目だけ。
今日もまた,誰かが地下へと足を踏み入れる。
本日は,スペインのインディースタジオATICOが手掛ける「Die in the Dungeon」を紹介しよう。
本作は虫が支配する地下迷宮を舞台にしたデッキ構築型ターン制ローグライトだ。プレイヤーはカエルの騎士となり,ダンジョン最深部を目指して階層を踏破していく。
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本作の特徴は,カードではなくサイコロでデッキを構成していくという点にある。
手番ごとに振ったダイスをボード上に配置し,その出目に応じて攻撃や防御,回復といった行動を実行する仕組みだ。
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ダイスには色ごとに役割があり,赤は攻撃,青は防御,緑は回復,紫は周囲のダイスの効果を増幅するブースト役を担う。
さらに「重い(数ターン残留)」「ガラス(一度しか使えない)」といった特殊な属性が付与されたものも登場し,どこに何を置くかという空間パズルの色合いが強い。
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エネルギーポイントの範囲内で配置を組み立て,敵が次に繰り出す行動も事前に確認できるため,運任せではなく明確な計画性が問われる設計になっているわけだ。
ダイスを「置く」パズル的な戦略性
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本作の戦闘は,ただサイコロを振るだけというわけではない。ボードにあるどのマスにどのダイスを置くかで結果が大きく変わる。
たとえばブースト役の紫ダイスは隣接する攻撃ダイスの威力を引き上げるため,配置順や隣接関係を読んで最大効率を狙う必要がある。
鏡のダイスは対面にあるダイスの能力をコピーし,地形ダイスはマス自体に補正を与える。
そこにエネルギーポイントの制約が加わることで,毎ターンが小さなパズルになるわけだ。敵の次の行動も画面に表示されるため運の比重は思ったより小さく,どう組むかの判断こそが勝敗を分ける。
多彩なレリックが生む歪なシナジー
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道中で手に入るレリックは142種類用意されており,ダイスの効果を増幅したり,ボードのスロット自体を強化したりと組み合わせの幅が膨大だ。
ある走破ではブースト特化の極端なビルドを組めたかと思えば,次は防御を捨てて攻撃に全振りする破滅的な構成が成立する。
また,ダイスのカスタマイズも可能で,1個のダイスに刻まれた6つの面に対しても手を入れられる。
出目の数値を書き換えたり,特殊な効果を付け足したり,ダイスそのものに性質を加えたりと,自分の戦い方に合わせて1個ずつ仕立てていく。
攻撃寄りに振り切るのか,回復とブーストで耐久型に組むのか,ガラスダイスを高威力で揃えて短期決戦に賭けるのか。レリックとのシナジも考えながらデッキを磨き上げていくのが面白い。
カエルと虫の世界観を支えるピクセルアート
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ATICOが4年がかりで磨き上げてきた本作は,ドット絵の表現力でも一線を画す。
主人公のカエル騎士は愛嬌たっぷりに動き,敵の虫たちは蚊やハエ,トンボといった身近な存在ながら,それぞれ固有の攻撃パターンや弱点を持つ個性的な敵として描かれる。
背景の迷宮は薄暗くも温かみのある色調でまとめられ,不穏なはずの世界がどこか牧歌的に見えるのも面白いポイントだ。
カードをダイスに置き換えたデッキビルダーは数多く存在するが,配置パズルとしての戦略性,レリックが生むビルドの幅,そして虫を主役にしたピクセルアートの統一感が,本作を一段抜けた存在に押し上げている。
Slay the Spireのような定番デッキビルダーをやり込んだ人,あるいはボードゲーム的な配置の妙を楽しみたい人にはとくに刺さるはずだ。


























