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[プレイレポ]“超”重量級ボドゲ「フロストヘイヴン」は,その重量に見合う面白さなのか。先行プレイで確かめてきた
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印刷2024/03/29 08:30

プレイレポート

[プレイレポ]“超”重量級ボドゲ「フロストヘイヴン」は,その重量に見合う面白さなのか。先行プレイで確かめてきた

 CMON Japanが2025年4月頃の発売を予定しているボードゲーム「フロストヘイヴン」。同作はCephalofair Gamesが2022年に発売した「FROSTHAVEN」の日本語版にあたり,現在はCMON Japanの特設ページにて,早期予約受付が行われている最中だ。

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 本作は同じく協力型のキャンペーンゲームである「グルームヘイヴン」の続編にあたり,その巨大すぎるパッケージに2500枚以上のカード,18体のフィギュア,数百のコマやトークン,そして138本におよぶ長大なシナリオを収録。物理的な重量にして約13キロという,まさに超大作とでもいうべき作品だ。
 しかも,いわゆるレガシー系のシステムのため,基本的にプレイできるのは1度のみ。シナリオのネタバレ要素はもちろんのこと,マップにシールを貼ったり,型抜きボードを使ったりといったギミックがあるため,コンポーネントの再利用ができない仕組みだ。それだけに一期一会の体験が味わえるとあって,前作ともども世界中のボードゲームファンから熱狂を持って迎えられた,人気シリーズとなっている。

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 気になるお値段は4万9500円で,公式ショップの早期予約限定価格でも3万8500円(共に税/送料込)もする。同梱されるコンポーネントの量を考えればむしろ安いくらいだが,おいそれと手を出せない値段であることは間違いない。

 そこで今回4Gamerでは,購入を迷っている人の参考にしてもらうため,現在制作中の日本語版を先んじてプレイさせてもらうことにした。ちなみに筆者は,前作は未プレイである。正確には購入こそしたものの,現時点ではプレイする機会を得られずにいる。そんな筆者でも,フロストヘイヴンを楽しむことは可能なのだろうか。
 なお,体験会で使用されたのはモックアップ版(試作品)であり,実際の製品とは異なる可能性がある。一部のコンポーネントは紙で表現されているが,製品版では厚紙タイルなどが用いられるとのことだ。その点はどうか留意のうえ,読み進めてもらえたら幸いだ。

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 2020年最高の冒険はボードゲームにあった。筆者はそう思い込んでいる。超重量級のファンタジーボードゲーム「グルームヘイヴン」が,あまりに面白かったからだ。お値段3万円,重量9キロというこの狂ったゲームの魅力を語りつつ,拡張や新作も紹介していこう。

[2020/12/29 00:40]

CMON Japan「フロストヘイヴン」特設ページ



氷霜港に夏,来たる。新たなキャラクターと共にチュートリアルシナリオに挑戦


 前作と同じく,分岐するシナリオを追いかけながら物語が進行していく「フロストヘイヴン」。その第1章は,物語の舞台となる集落――フロストヘイヴン冒険者達の一行が到着するところから始まる……のだが,そこに至るまでの旅を描く“第0章”も用意されている。

こちらはシナリオのフローチャート。攻略するとパンチボードが開き,次のクエストが開放される
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 この第0章はいわゆるチュートリアルで,これを通してゲームの基本を学べるとのこと。「フロストヘイヴン」がシリーズ初プレイであれば第0章から,前作プレイ済のグループであれば,第1章からスタートすれば良いということらしい。筆者は初プレイなので,この第0章をプレイすることにした。
 さてゲームを開始するには,まず使用するキャラクターを選択しなくてはならない。最初に選べるのは全6体のキャラクターで,それぞれにまったく異なる能力と,カードデッキを用意されている。

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前作同様,ゲームを進めていくと使用できるキャラクターが増えていく。収録キャラクターは初期の6体を含め,全17キャラクターとのことだ
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 初プレイではそのすべてを理解して選ぶのは難しいが,キャラクターのタイルには「背景設定」「大まかな性能」「使いこなす難度」などの情報が書かれているので,これを参考にするといい。
 なお本作のプレイ人数は1〜4人(GMは不要)で,基本的に1人が1体のキャラクターを操作する(1人プレイの場合のみ,2体を操作)。パーティ人数に合わせてシナリオ側で難度調整が行われるが,やはり人数は多いに越したことはない。今回の試遊では,筆者のほかに2名のプレイヤーを加え,3人パーティでの出撃となった。

 キャラクターを選んだあとは,ざっくりとゲームの概要のインスト(説明)だけを受けてゲーム開始。導入はかなりスムーズで,“超“重量級と聞いていただけに拍子抜けしたくらい。少なくとも,この時点ではさほど“重い”という印象はない。

筆者が選択したのは,槍を振るう前衛「バナー・スピア」。対応する位置に味方ユニットが存在すれば,複数の敵を同時に攻撃できるほか,防御や回復にも長け,バランスの良い主人公ポジションのキャラクターだ
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前衛に特化した「ドリフター」も仲間に加わった。自身にバフをかけ,どんどん前線に出ていく頼もしいキャラクターだ。ただしバフを張る最初の手番は,周囲がサポートしてあげる必要がある
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後衛を担うのは,影タイルを操る「デスウォーカー」。マップに影タイルを配置することで,対応する場所にワープしたり,攻撃と移動を同時に行ったりと,テクニカルな戦い方を得意とする
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 担当するキャラクターがそれぞれ決まったら,いよいよ攻略開始だ。各シナリオには読み上げるだけで物語が分かる背景情報,戦場となるボードのセットアップ方法,シナリオだけで適用される特別ルールなどが記載されており,これらを順番に処理していくだけで準備完了となる。
 最初の相手は,フロストヘイヴンへの道を塞ぐ野獣「恐狼」の群れだ。彼らは遠巻きにパーティの周囲を観察し,弱点を探っている。単体では大したことのない相手だが,疲労しているときに集団で襲われたら厄介な相手だ。ここは先手をうって,我々の力を見せてやろうではないか。

恐狼は2種類存在し,台座の色によってステータスが異なる。黄色い台座の敵は,通常の個体よりもやや強いので注意が必要だ
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 戦闘システムは特徴的で,ラウンド開始時に手札から出す2枚のカードによって,行動順や行動内容が決まる仕組み。各カードは“上段”と“下段”に分割されており,片方のカードで上段をプレイしたら,もう片方では下段の効果をプレイしなければならない。
 「小休息」「大休息」を宣言すれば手札をリフレッシュできるが,その際に手札1枚がゲームから除外される仕組みだ(小休息はランダム,大休息は任意の1枚)。つまり長期戦になるほど手札が減っていき,最後には行動不能になってしまう。このため後半戦まで見越してデッキを構築し,カードが尽きる前に勝利条件を達成できるよう,戦略を立てなくてはならないのだ。

初期手札はキャラクターで異なるが,概ね10枚前後だ。アクションを実行するにはカードが2枚必要なので,休息を挟むたびに取れる行動が少なくなっていく。この辺りは前作から変わらないメカニクスだ
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 文字で説明すると複雑に思えるかもしれないが,実際に遊んでみると処理はかなりスムーズだ。カードという形で使えるアクションが一覧化されているので,どのカードを使うかで悩むことはあれど,何をしていいか分からないということにはなりにくい。
 とはいえ,選択肢から適切な行動を導き出すのは簡単ではない。強力な上段アクションのカードを,不本意ながら下段アクションとして使用せざるを得ない場面もあり,初動からジレンマにさらされる。さらに味方の行動まで考慮するとなれば,さらに難しい。チュートリアルの時点から,“楽しく悩む体験”を十分に味わえるだろう。

本作にはダイスロールによる判定が一切存在しない。その代わり,攻撃時に「攻撃修正デッキ」からカードをめくり,そのぶんダメージが上下する
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攻撃修正デッキの結果により攻撃がミスになったり,反対にダメージが2倍になることもある。また「祝福」「呪い」のカードを敵や味方のデッキに追加するバフ/デバフ能力も存在する
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チュートリアルでも軽く死ねる。限られた手数から最適を探る緊張感


 最初の部屋の恐狼は駆逐できたものの,次の部屋への道は扉で閉ざされており,その先がどうなっているかは開けてみなければ分からない。シナリオ冊子でも丁寧にページが分けられていて「扉を開けてから指定のページを読むように」と書かれている。
 扉の先にいるだろう敵ユニットは,扉が開けば即座に襲いかかってくるはず。なので陣形を整えてから突入するのがベストだが,パーティはいずれも前半戦ですでに手札がカツカツで,全員が扉の前に揃うのを待つヒマはなさそうだ。

 そこで我々は,「無傷の前衛を突貫させて敵をおびき寄せる」戦略を取ることにした。筆者の使うバナー・スピアは自分の手番で味方キャラクターを移動させる能力を持っているので,これで仲間が移動に割く手札を減らせるはずだ。よし,行ってこい!

扉を開けると,そこには先程以上の数の恐狼がズラリ。しかも分散していて,まっとうに追いかけていたら撃破に時間がかかりそうだ
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 この作戦が見事にハマり,マップに散らばった恐狼達が前衛に襲いかかる。ダメージを軽減するバフを積んだ前衛はなんとか攻撃に耐え,後続の仲間と連携しながら寄ってきた恐狼を撃退していく。
 残るは最奥に待ち構える2匹の恐狼だが,前衛に引き寄せられたこともあって,そこは後衛が温存していた大技「漆黒の霧」の範囲にスッポリと収まる位置だった。計算どおり――かは怪しいところだが,この一撃で恐狼の群れは壊滅! 勝利条件を達成し,第0章はクリアとあいなった。

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 なんだか勢いで攻略した感はあるが,最終的な手札は3枚しか残っておらず,その実かなりギリギリの戦いだった。前衛を突入させるのがもう1ラウンド遅かったら,もっと厳しい戦いを強いられたことだろう。これでチュートリアルなのだから,本編の難度は推して知るべしである。

体力には余裕があったものの,選択肢はかなり狭まっていた。ときにはリスクを背負って前に出ることも大切だ
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 今回の試遊はこれで終了となったが,実際のプレイでは,この後にさまざまな処理が行われる。レベルアップすればデッキに組み込むカードの選択肢が増え,攻撃修正デッキを改善したり,手に入れた素材を組み合わせて新たな装備を生み出したりといったことも可能になる。
 さらに,シナリオの合間には特殊なイベントが発生することもある。フロストヘイヴンの1年は「夏季」「冬季」に分かれており,季節によって出現するイベントが変化する。冬季に発生するイベントはとくに厳しく,それまでに準備を整えておくなど,パーティ全体のリソースマネジメントも重要そうだった。

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パッケージには,前作と比べても巨大なマップが収録されており,シナリオを攻略するとパンチボードからシールを取り出せる。これを対応する場所に貼り付けることで冒険が記録されていく
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敵を撃破すると袋がドロップし,取得するとランダムなアイテムカードを引けるチャンスがある。ここで入手したお金や資源を使い,フロストヘイヴンを再建していこう
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 今回体験した内容は“最初の一歩”の,さらに前の内容だったが,それでも本作の奥深さの一端には触れられたように思う。戦闘はシビアなバランスの上に成り立っており,仲間と密に連携しなければ突破できない。またキャラクターには個人個人の目標(クエスト)も設定されていて,それらを両立しながら攻略していく本作は,確かに“ゲーマー向けのゲーム”と言えるだろう。

 一方で,一つ一つの要素はかなりシンプルにまとまっており,プレイフィールは想像以上に軽快だった。難度は確かに高いものの,その性質は“確実な答えのない意思決定”の難しさであり,複雑さによるものではない。たった1つのシナリオでも攻略できたときの充足感は相当なもので,それが138本も収録されているというのだから,挑む価値は十分にある。

「フロストヘイヴン」には,前作より“謎解き”の要素が強化されているという。コンポーネントのパズル冊子をどう使うのか,今から楽しみだ
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 これらを踏まえた上で,「まずは遊んで予習しておきたい」と思った人は,オンラインで遊べるPC版「Gloomhaven」を試してみるのが良いかもしれない。有志によって日本語化MODが作成されており,4GamerではPC版のガイド記事も掲載しているので,合わせて参考にしてもらいたい。

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 アナログでのプレイフィールを確かめたい場合は,単体で25本のシナリオを収録した「グルームヘイヴン スタートセット 獅子のあぎと」を遊ぶのも良さそうだ。こちらの製品には,より手軽にゲームを遊べる工夫が施されているほか,一部の要素はフロストヘイヴンに引き継げるとのこと。北へと進軍する前の準備運動として,筆者も「獅子のあぎと」に挑戦してみようと思う。

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