インタビュー
[インタビュー]「アルトレコード」をとおして母性や庇護欲を感じてほしい。“AI”をテーマにした理由やこだわり,配信直後の反響について聞く
サクセスが2024年11月6日にリリースしたスマートフォンアプリ「アルトレコード」(iOS / Android)は,感情を持つAI「アルト」とのふれあいが楽しめる育成シミュレーションゲームだ。2024年11月9日,10日に開催された「アニメイトガールズフェスティバル」(AGF2024)では,「アルトレコード」のブースが出展され,キャラクターパネルの展示やチェキ風カードがもらえるアプリダウンロードキャンペーンなどさまざまな施策が行われた。
今回,4GamerはAGF会場にて「アルトレコード」のディレクターにインタビューする機会を得た。本作の開発経緯やリリース後の反響について話をうかがったので,お届けしよう。
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AGF2024「アルトレコード」ブースへ潜入!
インタビューのために「アルトレコード」ブースへ足を運ぶと,本作に登場するアルトや,小熊井北斗の等身大パネルが出迎えてくれた。またコスプレイヤーの紅羽りおさんが北斗の姿でフライヤーを配布するなど,作品の世界観が感じられるブースとなっていた。
ブース内では缶バッジ,アクリルスタンドといった新作グッズの販売も実施していた。机にはキャラクターデザインを手掛けたニナハチ氏の色紙も展示されており,ファンにとってはたまらないコーナーとなっている。現地では来場者がノベルティを受け取る姿も見られた。
今回は特別にブース内も撮影させてもらったが,まるで物語の舞台である「ミライ創造研究所」に足を踏み入れたかのような雰囲気が味わえ,筆者も思わず胸を躍らせた。
「アルトレコード」のディレクターにインタビュー!
開発秘話や作品のこだわりについて聞く
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。最初に「アルトレコード」の開発に至った経緯を教えてください。
ディレクター:
経緯としては,社内で毎年,企画募集を実施しており,それに応募した企画が今回採用された「アルトレコード」になります。自分好みに育成して,自分の手で幸せにしてあげられる育成ゲームという,私のやりたいことをすべて詰め込んだ企画だったのですが,この企画がかなりそのままの形で今のアルトレコードになっています。
4Gamer:
そうなんですね。「アルトレコード」のテーマに,“AI”を選んだ理由もうかがいたいです。
ディレクター:
「男の子を育てていく」という観点で,キャラクターとはいえ人間の育成になると,長い年月がかかりますよね。また,育て方によって見た目が大きく変わってしまうことに,違和感を覚えてしまうのではないかと思いました。
その点に一番合致して「幸せ」や「感情」にもフォーカスできる存在を考えたときに,AIの“人間のようで人間ではない”という側面がテーマに沿っているのではないかと考えたんです。なおかつ,見た目が変わっていても受け入れやすいのではないかと感じたのもありますね。
4Gamer:
確かにそうですね。アプリ開発でとくにこだわった部分は何ですか。
ディレクター:
プレイヤーが行うアルトとの「ふれあい」システムが,「アルトレコード」のメインであり,軸になっています。アルトは幼少期,少年期,青年期と成長していくのですが,その中でも細かい変化を感じ取っていただきたいなと考えました。
また,どのようにしたらアルトに愛着を持っていただけるかという部分や,プレイヤーとアルトの会話周り,さらには細かい表情についても制作過程でかなり考えた部分になりますね。
4Gamer:
私もゲームをプレイしましたが,アルトに言葉を教えられる機能がとても印象的でした。忘れたころに教えた言葉を使ってくれたときは愛着が湧きましたね。
ディレクター:
ありがとうございます。
4Gamer:
作中では少年期のアルトが反抗期を迎えるなど,AIでありながらも人間と同じような成長過程を感じるシーンがありました。やはりアルトの成長はリアルに寄り添うようにしているのでしょうか。
ディレクター:
そうですね。「アルトレコード」をとおして母性や庇護欲を感じてほしいので,子供の成長に可能な限り沿うようにしました。反抗期についても大抵の人間に来るものだと思うので,そういったところも育児や母性を感じてもらうために取り入れています。幼少期に関しては,赤ちゃんの感情がどのように芽生えていくのかということを踏まえてシナリオなどを考えさせていただきました。
4Gamer:
なるほど。では,開発で苦労したことはありますか。
ディレクター:
やはり決められた期間内でベストなものを作らなければいけないというところです。それこそ最初はいろいろな機能を入れたいという意見も多く出たのですが,期間や予算の面でどうしても制限がかかってしまうので,決められた中で何を実装するのか? 何を実装したら一番ユーザーに響くのか? と常に試行錯誤していました。とくに最初は,実装する機能の取捨選択をかなり苦労して考えていましたね。
4Gamer:
今回叶わなかったものの中で,今後追加していきたい機能はありますか。
ディレクター:
そうですね……個人的な夢の話になってしまうのですが,最初は「着せ替え機能」も検討していました。しかし期間的にも少し厳しいねという意見があり,実装には至りませんでしたね。
4Gamer:
性格とは真逆の服に着せ替えられたら面白そうです! 背景の変更機能もあったらなおうれしいですね。
ディレクター:
そうですよね。
4Gamer:
一緒に写真も撮れるようにしましょう(笑)。
ディレクター:
ぜひ実現させたいですね! ユーザーの皆さんからもさまざまな意見をいただいているので,この先,皆さんの希望に沿うような形で,より楽しんでいただけるような機能を追加していけたらいいなと考えています。
4Gamer:
期待したいです。11月6日にリリースされたばかりですが,反響はいかがでしたか。
ディレクター:
Xなどで反響を見ていると,思った以上に好意的に受け止めていただいている印象です。「アルトレコード」は自分がやりたいことを突き詰めていったところがあるので,これが本当にユーザーに受け入れてもらえるのか,またソーシャルゲームとしてもかなり特殊な部類だと思うので,リリース時にどう受け取られるんだろうか,と考えてばかりいました。Xでは「面白い」とか「アルトくんかわいい」といった声をいただけて,本当に作って良かったなとすごく感じましたね。
4Gamer:
とくに評判が良かった機能を教えてください。
ディレクター:
やはりメインである「ふれあい」でアルトに感情移入する声が多かったように感じます。また「アルトレコード」はチュートリアルがかなり急展開ということもあり,ユーザーにどう受け取られるか気になっていたのですが,「すごく刺さった」「心にきた」「アルトを育てなきゃ」といった感想をいただきました。シナリオの中ではチュートリアルの反響がかなり大きく,うれしかったです。
4Gamer:
確かにチュートリアルはグッときました。今後どうなっていくんだろう? と感じましたね。
ディレクター:
わりとすぐ成長していくと思ったら急に……! という声は多かったですね。
4Gamer:
「アルトレコード」のキャラクターデザインにニナハチさんを起用した理由を教えてください。
ディレクター:
今回イラストレーターの方にキャラクターデザインをお願いすることになり,その関係でニナハチさんのイラストを拝見したのですが,すごく色彩表現が綺麗な方だなという印象を受けました。「アルトレコード」のテーマがAIということで,アルトには人間とは少し違う特異性を持たせてあげたいと思っていたので,ニナハチさんの鮮やかで際立つイラストは作品にハマるのではないかと思い,今回お声がけさせていただきました。
実際,ニナハチさんの描くテイストが「アルトレコード」の世界観とうまくミックスされていると感じています。ユーザーの皆さんからも「イラストやキャラクターがかわいい」という声をよくいただいています。
4Gamer:
ニナハチさんにデザインをお願いする際,キャラクターそれぞれのデザインはかなり細かく指定されましたか。
ディレクター:
髪色や服装,キャラクター設定などの資料はお送りさせていただきましたが,ある程度は先生(ニナハチさん)の自由に描いてくださいとお伝えしました。最初にキャラクターデザインをいただいたときは,完成度の高さに大はしゃぎしたのを覚えています(笑)。
本当にイメージ通り,もしくはそれ以上で,ニナハチさんの手にかかればキャラクターがこんなにかわいい子たちになるのか……! と驚きました。細かい修正はお願いしていますが,大元のデザインとしてはニナハチさんにいただいたものから大きくは変更していません。最初から作品の世界観に合わせて描いていただいたので,感謝の気持ちでいっぱいです。
4Gamer:
キャストの起用についてはいかがでしょうか。
ディレクター:
北斗役の河西さんにはご出演のお願いをさせていただいたのですが,アルト役はオーディションでした。演技をお聞きして,幼少期から青年期まですべてのアルトのイメージにバッチリでしたので,住谷さんにお願いさせていただきました。
4Gamer:
幼少期と青年期でキャストを分けないのは新鮮ですね。
ディレクター:
アルトの姿が成長しても,変わらない要素という面で今回は(キャストを)統一する方向でお願いいたしました。すべてのアルトを住谷さんに演じていただいたことで,アルトという存在が確立したようにも思えますね。
4Gamer:
愛着もより増す気がします。最後に読者へのメッセージをお願いします。
ディレクター:
「アルトレコード」をプレイするにあたって,各ユーザーにとってそれぞれのアルトが存在するのではないかと思っています。皆さんが育てるアルトは育て方によって少しずつ違いが出てくると思いますので,そこは各々のアルトをたくさん大事にしてくれていたらうれしいですね。今後もアルトとの生活を楽しんでいただけたら幸いです。
4Gamer:
本日はありがとうございました!
――2024年11月9日収録
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