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世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた
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印刷2013/06/25 13:00

インタビュー

世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた

 各種電源ユニットやPCケースなど,PCパーツやゲーム用デバイスの流通/販売を行っているマイルストーンは,2013年4月,コンペティティブゲーミング推進事業を発足した。同事業の目的は,世界的に広がっているe-Sportsを,日本において認知/普及させることである。
 マイルストーンでは,同事業の発足以降,オンライン対戦ゲームのアマチュアリーグ「JCG」(Japan Competitive Gaming)を設立し,大会の開催や各試合の動画配信などを行っている。今回4Gamerでは,マイルストーン 代表取締役 李 光耀氏および同社コンペティティブゲーミング促進事業部 部長 兼 JCGディレクター 松本順一氏に,JCGの設立意図と現在の手応え,将来的な展望などを聞いてみた。

マイルストーン 代表取締役 李 光耀氏(左),同社コンペティティブゲーミング促進事業部 部長 兼 JCGディレクター 松本順一氏(右)
画像集#001のサムネイル/世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた

マイルストーン公式サイト

JCG公式サイト



マイルストーンがe-Sports/PCゲームに注力

そのきっかけとなったPC市場の変化とは


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。
 まずは,マイルストーンがどういった企業なのかを教えていただけますか。

画像集#002のサムネイル/世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた
李 光耀氏(以下,李氏):
 マイルストーンは,2002年10月に設立した会社で,主にPC本体およびパーツの販売代理店としての業務を行っています。とくに2011年からは,ゲーム用デバイスの流通/販売に力を入れており,日本のe-Sports選手やゲーマー向けに,優れた製品を提供しようと努力しています。

4Gamer:
 ゲーム用デバイス販売に注力し始めた理由を教えてください。

李氏:
 国内のPC市場において,ゲーム用デバイスの需要が非常に高まってきたからです。先日開催されたCOMPUTEX TAIPEIも,会場全体がゲーム一色という感じでしたから,今後,日本のメーカーもゲーム用デバイス分野を強化していくことでしょう。
 これまで,PCの進化というとスペックの追求が中心でしたが,MicrosoftやIntel,NVIDIAなどの動向を見ていると,もうその方向は頭打ちになっていると私は感じます。
 しかしゲームPCの場合は,単に高スペックを追求するだけではダメで,プレイ中の安定性やバランスが非常に重要になります。そこで弊社のゲームPCは,PCのパーツやデバイスを各タイトルに最適化することに努めているんです。

4Gamer:
 それは,各ゲームタイトルの,いわゆる推奨PCと同じようなものと考えていいんでしょうか?

李氏:
 いえ,少し考え方が異なります。一般的な推奨PCは,「この性能があれば,このゲームを遊べます」という,スペックを中心にした構成になっています。
 しかしマイルストーンのゲームPCは,そのゲームをプレイできる十分なスペックを持たせた上で,対戦における勝利の可能性を0.1%でも上げるような構成にしています。

4Gamer:
 つまりマイルストーンのゲームPCは,リアルスポーツに例えるなら,いわばプロ仕様のゴルフクラブやテニスラケットのような存在であると。

李氏:
 そうです。どのパーツがどのゲームに向いているかという判断は,数値だけでなく,アナログ的な感覚を含みますから,非常に難しいですね。ただ,マイルストーンのスタッフは全員がゲーマーですから,各タイトルを競技としてプレイする場合に,なぜこの製品が適しているのかを厳しく選定できます。

4Gamer:
 なるほど。そのようにゲーム用デバイスの需要が高まる中,日本のPCゲーム市場は今後どうなっていくとお考えですか?

李氏:
 オンラインゲームでいうと,日本ではFPSの人気が高いですが,世界全体で見ると,MOBAを含めて圧倒的にRTSが強いです。日本においても,国内ローカルサービスが始まれば,RTSの人気が高まるでしょう。台湾の例ですと,「League of Legends」(以下,LoL)のプレイヤー数は,ローカルサービスが始まる前は約20万人でしたが,ローカルサービスが始まって1年も経つと,200万人程度まで伸びました。
 今後,LoLのようなビッグタイトルのローカルサービスが始まれば,日本でも同様のことが起きるのではないかと期待しています。

League of Legends
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4Gamer:
 そうした状況の中,マイルストーンがどのように事業を展開していくのか教えてください。

李氏:
 まず2013年7月以降,マイルストーンは全社を挙げてゲーム用デバイス販売に注力します。その軸となる事業は三つあるんです。

4Gamer:
 一つずつ教えてください。

李氏:
 一つめは,海外/国内を問わず優れた製品の流通です。これらの製品の中には,メーカーと弊社が共同開発したものもあります。
 二つめは,弊社オンラインショップの運営です。そうした高性能のゲーム用デバイスを,プレイヤーの皆さんにダイレクトにお届けします。

4Gamer:
 ゲーム用デバイスの共同開発は,具体的に進んでいるんですか?

李氏:
 はい。すでに数社と取り組みを始めていますので,順次販売を開始します。繰り返しになりますが,これら共同開発製品は,現在プロゲーマーとして活躍している方や,プロを目指している方に提供するものという位置付けです。


JCGはゲームを楽しむ人達のすそ野を広げ

定着させるためのプラットフォーム


4Gamer:
 それでは,マイルストーンの軸となる,三つめの軸について教えてください。

李氏:
 2013年4月からスタートしたJCGの運営です。JCGでは,オンラインゲーム各タイトルの競技的なオンライン/オフライン大会の運営管理を行っています。
 そもそも,そういったプロゲーマーやプロ志望者が活躍できるような環境を作らないと,マイルストーンの提供するプロ仕様のゲームPCやデバイスが必要になりませんからね(笑)。

4Gamer:
 JCGの構想は,いつ頃からあったんですか?

李氏:
 約1年前の2012年7月頃から考えていました。そもそも私は,日本のプレイヤーを世界のトップが競う場に送り込みたいと思っているんです。ゲーム人口に関しては,ほかの国と変わらないはずなのに,日本ではプロチームがなかなか生まれません。それはとても寂しい話だと思うんですよね。
 そして昨年の11〜12月頃,日本におけるe-Sports推進活動の第一人者である松本とコンタクトを取ったというわけなんです。

4Gamer:
 松本さんは,マイルストーンから話が来たとき,どのように感じましたか?

画像集#005のサムネイル/世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた
松本順一氏(以下,松本氏):
 実は当時,e-Sports事業に関して,数社から同じようなオファーをいただいていたんです。その多くは,すでに各社が持っている仕組みの中で,私の力を発揮してほしいというものでした。
 ところがマイルストーンからのオファーは,日本におけるe-Sportsの普及と発展という大きな目標を掲げ,それに向かう過程を一緒に作っていこうという内容だったんです。非常に大きな裁量を任せてもらえるということでしたので,最終的にマイルストーンへの入社を決めました。

4Gamer:
 なるほど。それではJCGの理念や取り組みについて,あらためて教えてもらえますか?

松本氏:
 e-Sportsの根底にあるのは,ゲームをプレイすることです。それをどこまで真剣に突き詰められるかどうかは,同じ志を持ち,真剣にゲームをプレイする人達がどれだけいるかに掛かっています。つまりすそ野が広いほど,プレイヤー層のピラミッドが大きくなり,その頂点も高くなるというわけです。

4Gamer:
 いわば,リアルスポーツと同じ構造を作ろうというわけですね。

松本氏:
 ええ。ゲーマーのピラミッドを上から作るのではなく,すそ野から作っていこうという考えです。
 今現在,ゲームが上手な人を集めるのではなく,まずは単なる趣味としてゲームを遊んでいた人達に,真剣に向き合う競技としてのゲームを紹介します。そのうえで,より競技性の高いレイヤーを示し,最終的には,プロとしてトップを目指す場を提供します。
 これはずっと私がe-Sportsを日本に定着させるべく考えてきたことなんですが,これを総合的にデザインしたプラットフォームがJCGなんです。

4Gamer:
 2013年4月の発足から,まだ2か月に満たないJCGですが,具体的な手応えはいかがですか?

松本氏:
 やってみて初めて分かることが多いですね。私達は,プレイヤーの求めることに対し,逃げることなく真摯に向き合うことを掲げています。
 しかし,そうしたプレイヤーの要求と,私達が当初理想としていたものにはズレがあったのも確かです。今は,そうした難しさを実感するとともに,順次ズレを修正している真っ只中です。

4Gamer:
 そうしたズレの原因をどのように分析していますか?

松本氏:
 何よりも,参加するプレイヤーのニーズが一様ではない点が挙げられます。
 例えば,実力が拮抗するプレイヤー同士で腕を磨きたいという人もいれば,とにかく強豪と戦って経験を積みたいという人もいます。それらすべてのニーズに応えるのは現実的には不可能でしょう。それでも,可能な限り多くの人が参加できる仕組みを作らなければなりません。そのバランスを取ることが難しいですね。
 やはり全体の70%の人に満足してもらうよりも,80%,90%に満足してもらいたいですから。

4Gamer:
 現在,JCGでは「オープンクラス」「マスタークラス」「プレミアリーグ」と,三つの階級を設けていますが,それをさらに細分化するということですか?

2013年4月18日開催「コンペティティブゲーミング推進事業説明会」より(関連記事
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画像集#010のサムネイル/世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた
松本氏:
 いえ,単純に細分化するというわけではありません。
 そもそも私達は,ゲームを始めたばかりでチームを組めない初心者をオープンクラス,チームで勝利を目指す人達をマスタークラス,さらに上を目指す人達をプレミアリーグと考えて階級を設けました。
 しかし,この分け方では,実力はあるんだけれどチームに入っていない,あるいは入りたくないという人の居場所がないんですよね。また,初心者が集まってチームを組んだ場合にも,練習する場がありません。

4Gamer:
 確かにそれだと,参加しようというモチベーションも下がってしまいますし,すそ野を広げていくのも難しくなりそうです。

松本氏:
 ええ。なので,現在の3階級をベースにするのは変わりませんが,そのうえで,さまざまなニーズに応えていくための施策を,あらゆる角度から検討しています。

4Gamer:
 分かりました。
 それでは,各タイトルのプレイヤー人口に対する,JCGへの参加率をどのように分析していますか?

松本氏:
 以前からよく言われていますが,対戦モードのあるゲームのプレイヤーで,実際に対戦を楽しんでいる人の比率は,全体の10%以下です。さらに対戦を競技的にプレイする比率となると,1%いるかいないかでしょう。
 これはつまり,趣味としてゲームをプレイしている人達の母数は非常に多いということでもあるわけですから,JCGの活動を通じて今後ゲーミング人口が増えていく可能性は高いと信じています。

4Gamer:
 現状,JCGに参加する人達は,競技に対するモチベーションが高いんでしょうか。

松本氏:
 非常に高いです。これまで,ゲームに真剣に向き合っていても,その成果を発揮する場がほとんどなかったわけですから,大会の開催を求める声も多いですね。そうしたリクエストにも,随時応えていきます。

4Gamer:
 それでは,JCGで扱うタイトルやジャンルについて教えてください。現在は,LoLと「StarCraft II: Heart of the Swarm」「カオス ヒーローズ オンライン」の3タイトルで,ジャンルはMOBAを含めてRTSばかりですが。

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松本氏:
 まず大前提として,私達はJCGを長期的な取り組みとして考えています。そのため,ローンチ時などに一時的に盛り上がっても,やがてフェードアウトしてしまうようなタイトルは扱えません。
 そういう意味では,長期にわたり,かつ世界的に競技としてプレイされているタイトル,あるいはそうした存在に育てたいという意志のもと,企画運営されているタイトルをチョイスすることになります。

4Gamer:
 李社長のお話にもありましたが,今の日本ではやっている競技的なオンラインゲームというと,まずFPSが挙げられます。JCGではFPSや,あるいはRTS以外のジャンルを扱う予定はないのでしょうか。

松本氏:
 日本のFPSシーンはすでに確立しています。つまりFPSの運営チームおよびプレイヤーは,すでに彼ら自身で独自のやり方を見つけ出しているわけです。そしてその盛り上がりは,世界各国と比較しても──それこそ韓国と比較しても,まったく引けを取りません。そういったシーンに,これからJCGが入っていっても,あまりお役に立てることはないと思うんですよね。
 ただ,今までにない新たなシーンをJCGと一緒に作りたいとおっしゃっていただけるのであれば,FPSを扱うことも検討します。もっとも,この姿勢はほかのジャンルについても同じことなんですが。

画像集#004のサムネイル/世界のトップが腕を競う場に,日本のプレイヤーを送り込みたい──マイルストーンがオンライン対戦リーグ「JCG」を設立した理由を二人のキーパーソンに聞いた
李氏:
 今,RTSを中心に扱っているのは,日本のプロチームが世界で活躍する場を見たいからという理由もあります。
 RTSは世界中でプレイされていますので,その可能性が高まりますが,日本でしか人気のないタイトル/ジャンルだとそうはいきませんから。ぜひJCGから「サムライジャパン」を生み出したいですね。

4Gamer:
 そういえばJCG発足の発表会で,企業によるチームのスポンサードの話も出ていましたが,そちらの進捗状況はいかがでしょうか?

李氏:
 すでに数社と話を進めています。2013年7月以降,JCGの公式サイトにて具体的な展開をお知らせできる予定です。また,セミプロ制度の準備も進めています。

松本氏:
 この件は,単に活動資金を提供する/提供されるということに留まりません。プレイヤー側は企業からスポンサードされることが何を意味するのか,企業はチームを持つとはどういうことなのかということを,お互いに理解する必要があります。
 JCGは,そうしたプレイヤーと企業の間の交通整理も行っているんです。

4Gamer:
 それでは,JCGの中長期的な展望についてあらためて教えてください。

松本氏:
 まずは,日本のe-Sports/ゲームシーンを盛り上げるために,何ができるかを考えていきます。当初立てた方針を変えるつもりはないのですが,一度決めたことにこだわり過ぎることなく,プレイヤーが求めることは何なのか,それに対して何ができるのかを常に模索し続けます。
 次は世界との連携です。海外のe-Sports/ゲームシーンは,日本の何十倍もの盛り上がりを見せていますから,その力を借りて日本の盛り上がりを加速させたいですね。
 最終的には,競技的なゲームプレイを楽しみたいという日本のプレイヤーが,まずJCGの扱うタイトルをプレイしてみよう,配信を見てみようと思っていただけるようなプラットフォームとして,JCGを育てたいと考えています。より多くの方に,とくに競技的なゲームプレイを望まれる方に参加していただき,大会にも出場していただけるとうれしいです。

4Gamer:
 最後に,マイルストーン全体の今後の展開についても教えてください。

李氏:
 マイルストーンでは,2013年7月から「Your Gaming is Here」というスローガンを掲げ,ゲームのトータルソリューションを提供していきます。
 ゲーム用デバイスのプロショップとして,そして一人からでも参加できるゲームプラットフォームのサービスを通じて,一人でも多くのゲーマーを増やしたいと考えています。

4Gamer:
 今後の活動に期待しています。
 本日はありがとうございました。

マイルストーン公式サイト

JCG公式サイト

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