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[GDC 2016]VrvanaのVR・AR兼用デバイス「Totem」を体験してきた
日本ではあまり知られていないTotemは,Vrvanaの創設者でもあるBertrand Nepveu(バートランド・ネップビュー)氏が,まだ大学でエンジニア学科に在籍していたころから取り組んでいたプロジェクトだという。Xbox 360の周辺機器としてリリースしようと計画したこともあったそうだが,技術面で自分のアイデアが達成できないため,作業を中断していたところ,Oculus VRの「Rift」が彗星のように現れ,話題をさらってしまった。
それを見たネップビュー氏は,慌てて2014年9月にKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンに乗り出すも失敗。ただ,Oculus VRが先鞭をつけたVR市場の盛り上がりもあって,その後,ベンチャーキャピタルからの投資を受けることに成功したそうだ。ネップビュー氏は「Oculus VRが私のプロジェクトを軌道に乗せてくれた」と話す。
公式サイトでは,一時期450ドルでプレオーダーを受け付けていたので,正式に販売されるときも,そのあたりの価格帯になるかもしれない。現在公表されている主なスペックは以下のとおりだ。
- パネル:有機EL,解像度2560
× 1440ドット - 視野角:120度
- AR用アウトカメラ:解像度2560
× 1440ドット,垂直リフレッシュレート90Hz,視野角120度 - 接続インタフェース:DisplayPort入力
× 1,USB × 1,ヘッドフォン出力 × 1 - 搭載センサー:3軸ジャイロ(1kHz),3軸加速度(4kHz),3軸地磁気
- 対応エンジン:Unreal Engine,Unity,OSVR
- 対応プラットフォーム:PC
今回体験できたデモは,QRコードが書き込まれたページを見るとさまざまなオブジェクトが表示されたり,カメラの映像にエフェクトが加えられて映画「マトリックス」風の世界に見えたりといったもので,ARデバイス初体験となった筆者はかなり興奮させてもらった。体験中に自分の手を素早く動かしてみても,その映像に残像感はなく,その点もなかなか好印象を持った次第だ。
また,VR側は「Unreal Engine 4」の「Showdown」がデモとして体験できるようになっていた。
2016年に入ってから,「Impression Pi」(関連記事)や「Sulon Q」(関連記事)のようなAR・VR兼用デバイスが次々と登場しており,Totemの競争相手は増えるばかり。資金力に劣るVrvanaはオープンソース化を表明し,幅広く活用されることをを期待しているようだ。技術面では決して引けを取っていないと感じられるので,今後の展開には注目しておきたい。
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