「ストライカーズ1945」「ガンバード」「戦国エース」etc……。1990年代にゲームセンターに通っていたアーケードゲーマーであれば,一度は耳にしたことがあるだろう。そんな名作シューティング(+通好みのアクションゲームや脱衣麻雀)を世に送り出していたゲームメーカー“彩京”のIPを現在展開しているゼロディブを,同じくアーケードゲームのIPを数多く保有しているシティコネクションが100%子会社化する形で統合した。
今回のインタビューは,ゼロディブがシティコネクションの子会社となったタイミングで,オファーがあったことで実現したもの。シティコネクションの代表を務める
吉川延宏氏,ゼロディブの代表であり,シティコネクションの執行役員に就任した
原神敬幸氏の2人に,今夏に発売を控えた
「彩京 SHOOTING LIBRARY」に加え,今回のインタビューが初出情報となる「ストライカーズ2020(仮)」やNintendo Switch版「対戦ホットギミック アクセス雀」など,現在シティコネクション&ゼロディブが進めているという,さまざまな企画について語ってもらった。
“名作の復刻”の先を目指すシティコネクションの戦略
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。はじめに2人のシティコネクションでの役職や業務について教えてください。
吉川延宏氏(以下,吉川氏):
ひと言でいうと社長です。いまは昔と比べると部署や拠点が増えてきたので,そのあたりをまとめたりすることが,ほぼメインの業務ですね。今回ゼロディブさんとシティコネクションがくっついたことで,グループの体制を整えることに自分はより注力しています。あとは個別にプロジェクトを立ち上げるきっかけを作ったり,人を集めたり資金を調達したりとかですね。
原神敬幸氏(以下,原神氏):
ゼロディブの代表取締役でもある原神です。僕の現在の仕事は現場担当というか,ゲームのコンテンツ作りをいろいろ見ている状況です。
吉川延宏氏(写真左),原神敬幸氏(写真右)
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4Gamer:
ゼロディブさんがシティコネクションの子会社になったということですが,これまでに業務的なつながりはあったのでしょうか。
吉川氏:
それが実は,深いつながりというのはないんですよ。お互い存在は知っていたけど,直接何かをやり取りするような関係ではありませんでした。
子会社化の経緯は,もともと彩京さんのシューティングをNintendo Switchで展開していく中で,「ストライカーズ1945Plus」だけ,オリジナルがNEOGEO(MVS基板)だったんです。NEOGEOの古めのタイトルはハムスターさんがアーケードアーカイブスで配信をしていて,ゼロディブさんがハムスターさんと交友がなかったので,ウチが仲介する形で入ったのがきっかけでした。そのときに会ったのが2回目ぐらいでしたよね?
原神氏:
そうですね。
吉川氏:
それがきっかけで仲良くさせていただくようになり,いろいろな話をする中で,
一緒に活動していくことによって大きな相乗効果が得られるだろうというビジョンが見えてきたんです。ウチのほうは当時からパブリッシングを強化していて,一方でゼロディブさんは開発やデベロッパーの色が強い。そこの噛み合わせの良さと,お互いが派遣業を行っていたり,ゲーム制作,開発以外でやっていることまで重複していると。話をしていく中で相性のよさや共通点がどんどん見つかってきて,それなら一緒にやりましょう,という流れになったわけです。
4Gamer:
シューティングが得意でお客さんの層が被っている。さらに外の人間には見えない部分の業務にも共通点があったというわけですね。
吉川氏:
あくまでも一例ですが,Nintendo Switchの彩京シューティングを買っている人は,弊社から発売しました「サイヴァリア デルタ」や開発を担当した「ゲーム天国 CruisinMix」などを買っていることが多いんですよ。
4Gamer:
ジャンルはもちろんですが,アーケードで稼働していた時期も被っていますし,なんとなく分かります。子会社化するにあたって,ゼロディブ側で悩んだりはしませんでしたか。
原神氏:
僕としても彩京というコンテンツを持っていて,ゲームが好きな者同士で組んでいければ,もっと面白いことができるんじゃないかなと思っていましたので,抵抗はなかったですね。
4Gamer:
シューティングに強いメーカーがタッグを組むことで,今後何かをやってくれるという期待感があるんですが,いかがでしょうか。
原神氏:
ゼロディブとしては,彩京コンテンツをやらせていただく中で,シューティングは目玉ではありますが,違うコンテンツ――脱衣系の麻雀や格闘ゲームもやっていきたいですね。もちろん,シティコネクションが保有しているジャレコのIPともうまくコラボできればと考えています。
4Gamer:
シューティングに目が行きがちですけど,アーケードの麻雀もそろってきています。シティコネクションとしては,シューティングや脱衣麻雀といった特定のジャンルのIPを意図的に集めているのでしょうか。
吉川氏:
集めるという方針はありませんが,何か作品を作るとして,IPが必要でしたら買うことを検討する場合もありますし,お借りする場合もあります。昔は買った方が結果的に安かったこともあったので,会社として利益を出す必要がない時期に資産を全部IPに変えていたことはありました。
4Gamer:
シティコネクションは少し前にバンダイナムコエンターテインメントとカタログIPオープン化プロジェクトをやっていましたよね。あれと同じことを今後,彩京を含めて行うことは考えていますか。
吉川氏:
プロジェクト自体はバンナムさん主導で,ウチはそれに乗せてもらったという形でした。ただ,またやりたいなと,漠然と考えてはいます。例え別の企画であったとしても,ウチが旗を振ることでけっこうなIPを活用できると思うんですよ。ひとつのIPをいろんな人に使ってもらって最大化するというのは,やっていきたい戦略ですし,ゼロディブさんと組んで彩京のIPが加わったことで,シティコネクションのIPの量も質も上がっていますから。
吉川氏:
……だいぶ“よそ行き”なキレイな話をしてますよね(笑)。
4Gamer:
(笑)。ではキレイでない話もうかがってみたいのですが,大丈夫ですか。
吉川氏:
ええ(笑)。今回,インタビューをお願いしたのは,100%子会社というトピックスを取り上げてほしいという気持ちもありましたが,それ以上にここ10年ほどのゼロディブさんの評判に思うところがあったからです。率直に言って,ゼロディブさんって,けっこう叩かれてますよね。
原神氏:
(苦笑)。
吉川氏:
ゼロディブさんって,ここ10年で3桁に届くくらいゲームを作ってるんですよ。そんな中で,原神が過去に所属していたクロスノーツ時代の「重装機兵ヴァルケン」など,うまくいかなかったタイトルのことをずっと引きずられていたりします。アクワイアさんの傘下にいた時期に,デベロッパとしてどれだけの裁量を持ってやれていたのか,といった見えない事情もあるでしょう。
もちろん,過去をなかったことにしてほしいというわけではありません。ただ,Nintendo Switch版の「ストライカーズ1945」のように評価されているタイトルも少なくないので,
いい部分にももっと目を向けてほしいとはずっと思っています。
4Gamer:
確かに2000年代の彩京シューティングで移植されたタイトルと,ここ数年の間にNintendo Switchに移植された彩京シューティングの評判はまるで別物です。
吉川氏:
今後のクオリティコントロールについては,自分たちがきちんと手綱を握っていますので,もうちょっとゼロディブさんに優しくしてほしいと思っているんですね。これを今回,読者の方に伝えておきたかったんですよ。
原神氏:
ありがたいことです。
4Gamer:
でも本当にNintendo Switchになってからは悪い評判を聞かなくなった気がします。
原神氏:
ゼロディブは今もさまざまなゲームを作っているのですが,なかなか表立って「このゲームは我々が作りました」とアピールする場がありませんでした。スタッフロールに名前は載っているんですが……。
4Gamer:
ゼロディブが子会社化するニュースが流れたときも否定的な意見はSNSで見受けられました。
原神氏:
そうなんですよね。僕が関わった作品の影響で悪い評価になりますから……。
吉川氏:
原神が一切悪くないというわけではありません。ただ,原神個人の裁量というわけでもないんですよ。いまのゼロディブ,シティコネクションには,優秀なスタッフがたくさん集まっていますので,これを機に再評価してもらいたいといった気持ちは強いです。
4Gamer:
2000年代に行われたアーケードタイトルの移植は現在よりもずっと風当たりが強かったと言いますか,センシティブな問題だった印象があります。
原神氏:
個人的には,アーケードタイトルの移植にハードのパワーが追い付いていなかったり,引き出し方がうまくなかったように思います。2000年代の移植作品で評価されている作品が少ないのも,そうした理由からじゃないでしょうか。
吉川氏:
いまはさまざまなタイトルをマルチプラットフォームで展開していますが,最新ハードのスペックに助けられている部分は大きいですね。
海外版よりボリュームアップし,レアな特典もつく「彩京 SHOOTING LIBRARY」
4Gamer:
7月25日に
「彩京 SHOOTING LIBRARY」の「
Vol.1」が,8月29日には「
Vol.2」が発売されます。以前,アジア向けに彩京タイトルが複数入った「彩京コレクション」がリリースされていますが,内容は同じものでしょうか。
原神氏:
「彩京コレクション」は,Vol.3まで発売しているのですが,1作品に4タイトルずつ収録されていました。今回発売する「彩京 SHOOTING LIBRARY」は,Vol.2までで1作品に6タイトルずつ収録することでボリュームアップを図っています。また,今回は「ストライカーズ」シリーズを中心に収録したVol.1と,「ガンバード」シリーズと「戦国」シリーズを収録したVol.2といったように,カテゴリー分けした形で発売させていただきます。
あと,Vol.1についてですが,「ストライカーズ1999」の存在が大きいですよね,こちらはまだ配信はしていませんし,さらに言うと家庭用機向けには初移植でもあります。この「ストライカーズ1999」が日本で最初に遊べるのが,今回のパッケージ版になるわけです。
4Gamer:
ダウンロード販売の予定については。
原神氏:
もちろん考えています。ですが,パッケージ版が先行になりますので,一足先に体験できますよといった感じですね。
また,本作にはオンラインランキングも搭載されます。先ほど話がありました「彩京コレクション」はオンラインに対応していないこともあり,オンラインランキングは「彩京 SHOOTING LIBRARY」のオリジナル要素になっています。
吉川氏:
韓国ではそもそもNintendo Switchがオンラインに対応していないということで付けていなかったのですが,そこが期せずして「彩京 SHOOTING LIBRARY」のウリになりました。ほかに注目してほしい点として,付属する特典もあります。
原神氏:
豪華特典のひとつとして入れさせてもらっているのが,今回用意させてもらった未発表の資料になります。
吉川氏:
これはぜひ記事に掲載してください(笑)。
4Gamer:
これはすごいですね。作っていた時代の影響が大きいんでしょうけど,ほとんど手描きっていうところには驚きました。
吉川氏:
当時使用した資料なんですが,これらをある程度まとめた形で特典としてお付けする予定です。「ストライカーズ」シリーズの資料がこういう形で世に出るのは今回が初めてだと思います。
4Gamer:
見慣れない人型ロボットがいますね。
原神氏:
こちらは彩京が当時,シューティングから脱却しようとしている中で,家庭用向けに企画していたもののひとつです。最終的には未発表のまま終わってしまいましたが。
吉川氏:
このロボットを活かして格ゲーとかやってみたいですよね。「バトルクロード」
※のロボ版みたいな。
※1994年に彩京が発売したアーケード向け対戦格闘ゲーム
原神氏:
当時は「バトルユニット(仮)」という開発コードで企画が進んでいて,メカのデザインやモデリングも終わっていたんです。ロボットには人間のパイロットを乗せるつもりで,カットインで表情のアップが入る予定でした。こういった未発表タイトルの資料の一部も,限定版の特典ではお見せできるかと思います。
4Gamer:
これらの資料はゲーム内のギャラリーにデータとして入るのではなく,冊子として同梱されるのでしょうか。
原神氏:
はい。さらに限定版の特典資料はファイリングしていけるような仕組みを用意します。ちなみにVol.1には「ストライカーズ」シリーズの資料を,Vol.2には先ほど紹介したロボットものなどの未発表資料を収録する予定です。
吉川氏:
資料集以外にも特典として,収録タイトルのインストカードを復刻したものを封入したいと思っています。こちらに関してもファイリングできますし,一つひとつ取り出して,当時と同じような形で飾ることもできます。また,これまで紹介した特典は限定版の封入特典で,それとは別に予約特典も用意しています。
「Vol.1」限定版特典
復刻インストラクションカード
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「Vol.1」予約特典 「ストライカーズ1999」復刻フライヤー |
「Vol.2」限定版特典 復刻インストラクションカード |
原神氏:
「彩京 SHOOTING LIBRARY」に収録されるタイトルは,すでにダウンロード版が配信されているものも含まれていますので,あらためて購入される方にも満足してもらえるよう,できるだけ多くの特典を付けたいと思っています。
4Gamer:
「彩京 SHOOTING LIBRARY」は今回の2作品でいったん打ち止めになると思うのですが,他ジャンルの彩京ゲームや,残っている変わり種のシューティングを今回のようにまとめてリリースする予定はありますか。「堕落天使」は今年のJAEPOで発表もありましたが……。
原神氏:
あれはどこまで語っていいのか……。
吉川氏:
発表しちゃダメだった情報も含まれていたりします(苦笑)。ただ,彩京コンテンツなので我々が関わっていないわけはないんです。まだ何も言えませんが,なにか動きはあるかもしれません。
原神氏:
今回タイトルに「ライブラリ」と付けましたが,これは今後も続けていくことを意識しています。今回の発売する2作品が好評であれば,今後もシューティングに続く「彩京〇〇ライブラリ」といったタイトルを続けて出していけるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
少なくとも今回だけで終了というわけではないと。
吉川氏:
はい。彩京に限らず,ライブラリ的な路線は2019年と2020年の間に3〜4タイトルぐらい出すことを目標に進めています。
4Gamer:
ところで,冒頭でも少し話が出ましたが,ゼロディブがNintendo Switchで配信した一連の彩京シューティングの評価が,2000年代にPS2などに移植していたものと比較にならないほど高いのはなぜなのでしょうか。
原神氏:
彩京のタイトルを完全な形で預からせてもらったのは,ゼロディブが初めてなんです。ゼロディブの前身であるクロスノーツから出していた「彩京シューティングコレクション」は,社内で作っていたわけではなく,ほとんどが外注で,指示出しができないまま進んでしまうことも多くて……。
4Gamer:
今はゼロディブで直接手を入れられるようになったのが大きいと。
原神氏:
そういうことですね。
吉川氏:
クロスノーツ時代の彩京タイトルは原神の管理下にあったわけではないので……。また,ゼロディブさんがNintendo Switchに向けて,ダウンロードタイトルの配信を始めたのは2017年頃になるんですが,当時自分はいちユーザーとして,「800円だし,どんなもんなのかな」といった感じに,斜に構えつつダウンロードしたことを覚えています(笑)。いざ遊んでみると,舌を巻く出来で,どうやってこのレベルの移植を行ったのかと直接聞きにいったくらいです。
原神氏:
当たり前のことなんですが,ゼロディブから彩京のゲームが出ると発表された時,否定的な意見が多く見られました。ただ,実際に遊んでいただいたユーザーからは肯定的な意見が聞こえてきて,ダウンロードランキングでも上位を獲得した時期もありました。
4Gamer:
原神さんとしては,Nintendo Switchへの移植は再挑戦という気持ちが強かったんでしょうか。
原神氏:
そういう気持ちがあったかもしれません。移植するにあたって,彩京時代の資料が残っている物は再利用しようと考えていて,多くのタイトルで活用しています。もちろん,残っていない作品もありましが,そういった作品に関しては“目コピ”で再現することをがんばりました。
ただ,資料が残っていなかったタイトルの中で「ゼロガンナー2−」だけは,当時と同じものを再現するのはどうしても難しかった。開発陣としては,ほかのタイトル以上にがんばってみたんですが,3Dゲームということもあり,限界があったんです。そういう経緯がありまして,開発陣には申し訳なかったんですけど,タイトルにマイナスと付けて,オリジナルに敬意を払わせていただきました。
4Gamer:
敬意を払ったのに当時はけっこう……。
原神氏:
言われちゃいましたね。「ユーザーを舐めている」といった意見を当時よく見聞きしたんですけど,気持ちとしては逆で,ユーザーさんに対して申し訳ないと思ったところからのマイナスだったんです。
彩京シューティング新作「ストライカーズ2020(仮)」の開発も始動!
4Gamer:
続いて新作情報を聞かせてください。
「ストライカーズ2020(仮)」なる新作を用意していると聞いているのですが。
吉川氏:
「ストライカーズ2020(仮)」ですが,ライブラリシリーズは進めていくとして,同時に新作も作らなければと考えたのが企画の始まりです。シティコネクションはゲームのIPを集めて,ライブラリを作るだけの会社ではないということです。また,彩京だけでなくジャレコのタイトルも新作のラインを引いていく予定で,割合としてはライブラリ3〜4本に対して,新作1本くらいにはなるかなと考えています。
※こちらのロゴは,仮のものとのこと
4Gamer:
ストライカーズの新作に決まった理由はあるのでしょうか。
吉川氏:
彩京の新作で何を作るか,といった話を原神としたときに,まずは「ストライカーズ」でしょって。そこの意見は最初から私と原神で完全に一致していました。ですが,まだタイトルが決まっただけでして,現状は「ストライカーズ2020(仮)」はどういったチーム編成で開発していこうか? みたいな話をし始めたくらいです。
4Gamer:
発売時期やプラットフォームについてお話しいただける情報はありますか。
吉川氏:
そのあたりは全然決まっていません。プラットフォームは現時点で決め打ちする状況ではないですし,そもそもウチは基本的にマルチプラットフォームでやっているので,「ストライカーズ2020(仮)」もマルチプラットフォームで展開することになると思います。
4Gamer:
マルチプラットフォームということは,家庭用機向けに発売されるということでしょうか。
原神氏:
まずは家庭用機向けですが,ストライカーズはアーケードからのタイトルなので,マルチプラットフォームの中にはアーケードも含まれると思います。
吉川氏:
シティコネクションとゼロディブのマルチプラットフォームという定義にアーケードは確実に入っています。ただ何度も言いますが,「(仮)」ということで,まだ何も決まっていません。実は今日「ストライカーズ20XX」で発表しようかなと迷っていたぐらいなんですよ。2020年に出なかった時のために(笑)。
4Gamer:
「ストライカーズ2020(仮)」にしたということは,2020年には発売されるということでしょうか。
吉川氏:
……それはまあ,2020ってタイトルをつけたらこちらの気合が入るじゃないですか(笑)。
原神氏:
2021だとキリが悪いんですよね。あと,ユーザーさんをそれほど待たせることなく新しい「ストライカーズ」を提供したいとも考えていますし。
4Gamer:
内容は決まっていないということですが,戦闘機を操作する縦シューである,といった大前提は踏襲しているんですよね?
原神氏:
はい,そこはもちろんです。
縦画面モニターに対応した縦シューになります。
4Gamer:
あくまでイメージとしてですが,「2020」は従来の「ストライカーズ」シリーズでは,どの作品に近いゲームになりそうですか。
原神氏:
ユーザーさんが「ストライカーズ」と言われて思い浮かべるのは,「ストライカーズ1945」「ストライカーズ1945 II」だと思うんですよ。ですので,それらに近い感覚にはなると思っています。ただ,難度的に初めてシリーズを遊ぶユーザーさんが楽しめない可能性もあるので,そこは工夫したいところですね。
ストライカーズ1945
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ストライカーズ1945 II
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吉川氏:
我々は社長兼プロデューサーであって,プランナーやディレクターではないので,いま話していることがすべて白紙になって,ゲームが完成する可能性もあります(笑)。現状ではこんな話をしていて企画は進んでいるということを知ってもらえればなと。
4Gamer:
話を聞く限りでは,往年のファンが思い浮かべる「ストライカーズ」シリーズのイメージから大きく離れることはないようで安心しています。
原神氏:
これまで
シリーズを楽しんでくれていたユーザーを後悔させないタイトルにしていくことが一番大事だと考えています。
吉川氏:
ただ,最新のシューティングゲームの情勢も取り入れるべきですよね。グラフィックスや演出面の見せ方は,当時よりも高画質になっているので派手にはなると思うんですけど。
原神氏:
当時のシューティングをそのまま作ります! っていうのは言ってしまえばただの逃げだと思っているので。いまの時代に即したものを作るといった使命感は持っています。
4Gamer:
彩京弾
※の有無も気になります。
※彩京弾:見てから回避するのが非常に難しい高速弾。また,高速弾を絡めた一連の弾幕の総称
原神氏:
彩京シューティングを作るうえで絶対に外せない要素だと考えてはいます。
吉川氏:
ファン目線の話をすると,いまの解像度で彩京的なパワーアップアイテムやボムがあって,彩京弾が飛んでくるだけで激アツですよね(笑)。
原神氏:
彩京のシューティングゲームは,“彩京シューティング”と呼ばれる1カテゴリーとして,ユーザーに親しまれてきました。彩京弾もそうですが,いまも言葉して残っているのはとてもありがたいし,光栄なことだと感じています。
吉川氏:
彩京シューティングの系譜から外れるくらいであれば,最初から別のIPを使います。そこは実際に作るディレクターに伝えていかないといけませんね。
彩京のもう一つの顔。「ホットギミック」シリーズの復活も!?
4Gamer:
今年は
「対戦ホットギミック アクセス雀」もNintendo Switchに配信されるとのことですが,こちらはPS2で発売された同作を純粋に移植するといった認識で大丈夫でしょうか。
原神氏:
そうなりますね。ですので,白い光は入らない感じです。
吉川氏:
ただ見た目というか,解像度はかなり変化しています。
4Gamer:
白い光といえば,「ホットギミック」と並ぶ麻雀タイトルの「スーパーリアル麻雀」シリーズもNintendo Switchで発売されています。あちらは順次過去のシリーズを展開していくことが発表されていますが,「ホットギミック」も過去作の移植や,新作を作る予定はあるのでしょうか。
原神氏:
そうですね……。考えていますとだけ(笑)。
4Gamer:
保有しているIPを考えると,ジャレコの「スーチーパイ」シリーズと「ホットギミック」シリーズのコラボレーションも面白そうです。
吉川氏:
そこは
考えていないわけがないですよね。ただどういった形でみなさんにお見せするかについては検討を進める必要があります。
原神氏:
単に「ホットギミック」と「スーチーパイ」のキャラクターを合わせて麻雀をしますというだけでは,両シリーズのファンは納得できないと思うんですよ。現段階では,いい着地点を見つけるべく,模索中といった状況になりますね。
4Gamer:
ところで,アーケード版の「ホットギミック」の移植はやっぱり難しいんでしょうか。白い光を使ったりとか……。
原神氏:
いまの時代の倫理的な問題を解決するのが難しいんです。そもそも“おしおき”といった表現がダメで,「おしおき=女の子に暴力を働いている」といった判断になってしまうので。ですので,家庭用に移植したタイトルは“ハプニングH”っていうカテゴリーにして解決しました。いずれにせよ今後,移植や新作を出すにしてもギリギリまでこだわっていきたい,妥協はしたくないですよね。
今回配信する「アクセス雀」ですが,PS2版を出す時にCEROさんと打ち合わせをしたときに,対象年齢15歳以上じゃなく,当時の一番上のレーティングである18歳以上を目指したいと主張したことを覚えています。家庭用に移ってもギリギリまでユーザーさんに見せてあげたいというこだわりがありましたね。
また,今回は移植ですが,
「ホットギミック」シリーズで次をやるのであれば,オリジナル――新しい作品を作りたいと考えています。
吉川氏:
いまってゲームを遊べる形態ってたくさんありますよね。ですので,隠さなくても出せるプラットフォームもあるんじゃないかなって思っているんですよ。
現状はフラットに,どのハードで出すのか,ハードではなくクラウドなのか,発売するのも日本なのか海外なのか,そういった思いつくすべての選択肢を全部混ぜて,「ホットギミック」というIPをどう展開していくかを考えているところです。
少なくとも,隠して制限して,開発の方も苦労して,ユーザーも満足できないプラットフォームでわざわざ出す必要はないとは思っていて,そこはしっかりと考えていきたいですね。
原神氏:
開発もユーザーも満足する形で展開したいですね。
4Gamer:
脱衣の方もですけど,当時のユーザーとしては,アーケード版のジャンファイト
※がやりたい気持ちもあります。
※アーケード版のジャンファイト:全身タイツを着用した“ジャンファイター”が登場するモード。あがった役によって変化する必殺技をぶつけあう対人戦や,シリーズ後半の作品ではギャグやパロディ満載のストーリーが楽しめた
※写真はNintendo Switch版のもの
原神氏:
「ホットギミック」シリーズは,脱衣麻雀をまっとうに作ったタイトルのつもりだったんですが,一部ユーザーさんにとっては「ジャンファイトがメインだ!」という人までいるぐらいなので,そちらをフォロー,ピックアップする企画も動かしています。
また,いまの麻雀ゲームは4人打ちが主流になってきていますけど,こういった2人打ちの麻雀ゲームの文化は残していきたいし,今後面白い形で出せたらなと考えています。
4Gamer:
脱衣麻雀に100円を積んで必死に遊ぶといった文化は,いまの若い子には伝わりづらいかもしれません。
吉川氏:
そうですね。「ストII」で負けてムカついたから「スーパーリアル麻雀」をやる,みたいな(笑)。シューティングはもちろん,麻雀ゲームでも他社さんと話がしてみたいですね。それこそいまNintendo Switchで「スーパーリアル麻雀」を出しているマイティ―クラフトさんなんかとは一度お会いしたい。
原神氏:
「スーパーリアル麻雀」「ホットギミック」「スーチーパイ」と3つそろったら夢が広がりますね。
吉川氏:
あとは「アイドル麻雀ファイナルロマンス」シリーズシリーズなんかも。
4Gamer:
お話があれば,ぜひ4Gamerで記事化させてください(笑)。
原神氏:
実現すれば面白いかもしれないですね。脱衣麻雀ゲームの重鎮座談会! みたいな(笑)。
4Gamer:
麻雀もシューティングも,ひとつのハードにさまざまなタイトルが集まってきているのは,プレイヤーにとっては魅力的なことに感じます。
原神氏:
シューティングに関しては,「ストライカーズ1945」をNintendo Switch向けに配信したときは少なかったんですけど,いまは集まってきていますよね。また,Nintendo Switchに限らず,いろいろなプラットフォームでシューティングというジャンルが盛り上がってくれると個人的にはうれしいです。
4Gamer:
本日は長時間ありがとうございました。最後に「彩京 SHOOTING LIBRARY」をはじめ,シティコネクション,ゼロディブの今後の展開に期待するファンに向けたメッセージをいただけますか。
原神氏:
シティコネクションさんと連携して,みなさんに楽しんでもらえるゲームをドンドン作っていきますので,応援よろしくお願いします。
吉川氏:
シティコネクションとして扱えるIPが増えるとともに,開発環境も強化されてきたので,これまでやってきたことをさらに拡大してやっていけるようになりました。しばらくは組織づくりなどに時間を使わせてもらいますが,今日話をさせてもらった「彩京 SHOOTING LIBRARY」を皮切りに,続々とタイトルが発売されていく予定ですので,楽しみにしていただければと思います。