テイルスとナックルズも参戦！ 映画「ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ」は復活したロボトニックとソニックの因縁のバトルに注目

　2022年8月19日の全国公開が予定されている映画「ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ」は，セガの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を原作とする映画シリーズ第2弾だ。海外では3月から順次公開されているが，5月時点で前作「ソニック・ザ・ムービー」（2020年公開）の興行収入を超える大ヒットを記録している。

　今回，全国公開に先がけて試写会に足を運び，日本語吹替版を鑑賞してきたので，予告編で明かされている要素のみを交えつつ，本作の感想や見どころをお伝えしよう。なお，前作のストーリーや結末について多少触れているため，その点はご了承いただきたい。

映画「ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ」公式サイト

　「ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ」は，前作の“その後”の物語が描かれる。異世界からやってきたソニックは，地球で出会って良き友人となったトム＆マディ夫妻の元で暮らしていた。自ら“ブルー・ジャスティス”と名乗り，グリーンヒルズの町の人々を救うヒーローを気取っているが，実際にはうまくいかず空回りしているようだ。
　一方，キノコだらけの異世界へと飛ばされていた“エッグマン”ことドクター・ロボトニックは，ある出来事をきっかけに地球へと帰還を果たし，ソニックが持つ未知のパワーを再び狙っていた。


　2本の尻尾を持つキツネのテイルス，圧倒的なパワーを備えたハリモグラのナックルズは，ソニックとロボトニックそれぞれの陣営のキーマンとして登場する。ゲーム版とはひと味違う，彼らとの出会いのシーンも見どころの一つだ。


　また，シリーズ第2弾ということで，前作に登場したキャラクターのドラマはより濃密に描かれている。トムとソニックはいい関係を築けているものの，その間柄は保護者と子供のようだ。一緒にはしゃげる友達がいないソニックのもとにテイルスが現れる場面をはじめ，地球に帰ってきたロボトニックの復活，そしてソニックが知らなかったナックルズとの因縁が語られる場面は，ソニックファンならずともグッと来るものがあるだろう。


　ソニックファンに嬉しいポイントとしては，ゲーム版のさまざまな設定がうまく生かされている点を挙げたい。ソニックの“泳げない”という唯一の弱点が強調されていたり，ロボトニックの飛行メカが丸みを帯びたデザインになっていたり，テイルスが自作メカを使って活躍したりと，思わず「そう来たか！」と感心してしまうはずだ。もちろん，小ネタもふんだんに散りばめられているので，ぜひスクリーン全体に目を凝らしてほしい。
　映画版ならではの設定には，新旧アクション映画やアメコミ作品からインスパイアされたと思われる要素が多く，エンターテイメントとしての完成度がさらに高まっていると感じた。もし叶うならば，映画版をモチーフにした“逆輸入”の新作ゲームを遊んでみたいところだ。

　そして，今回もジム・キャリーさんが演じるドクター・ロボトニックは弾けまくっている。紆余曲折を経て，スキンヘッドに立派な口ひげを蓄えた姿は，まさにエッグマンだ。丸い飛行メカに乗り込み，ドローンを携えてソニックに襲いかかる。前作ではソニックが持つパワーに執着していたが，今回は新たにナックルズと出会ったことから，彼が追い求める「マスターエメラルド」の力に着目する。ナックルズも加わった壮絶な争奪戦は必見だ。


　前作に引き続き，日本語吹き替え版のソニック役を務める中川大志さん，ロボトニック役の山寺宏一さんは，すっかり主役のキャラクターとして板についている印象だ。
　新キャラクターのテイルスはゲーム版と同じく，広橋 涼さんが演じているのだが，映画ではちょっと異なるアプローチをしていると感じた。ソニックと初めて出会い，2人の絆を深めていく過程にも注目してほしい。
　もう1人の新キャラクター，ナックルズを演じるのは木村 昴さん。とにかくソニックへの対抗心をむき出しにして，ユーモアやコミカルさを一切感じさせないストイックなライバルを演じている。
　また，DREAMS COME TRUEの中村正人さんが声優として参加，さらに日本語版の音声監督を担当していることも明らかになっている（関連記事）。中村さんの出演シーンはかなり楽しいので，ぜひ注目してほしい。


　王道のヒーローアクションムービーとして，前作以上の完成度であることは間違いないだろう。その一方でメガドライブ時代からのオールドファンから，近年のシリーズ作品でソニックを知ったファンまで，そのツボを刺激する演出は多数盛り込まれている。なお，今回もエンドロールが終わるまで，決して席を立たないことを強くおすすめする。
　ちなみに日本版の主題歌は，DREAMS COME TRUEの「UP ON THE GREEN HILL from Sonic the Hedgehog Green Hill Zone - MASADO and MIWASCO Version -」となっている。劇中に“あのメロディ”を耳にすれば，胸に熱いものがこみ上げてくるはずだ。
　来月の公開を待ちきれないソニックファンは多いと思うが，それまでに前作を復習しておき，新しいソニックの冒険を楽しんでほしい。

映画「ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ」公式サイト