その1つが,先日紹介した韓国・ソウルにあるテーマパーク「ロッテワールド・アドベンチャー」の新エリア「Maple Island」だ。人気タイトルである「メイプルストーリー」を題材にした常設エリアがオープンしたということで,現地取材を行ったが,4Gamerではこの機会に,ほかの施設にも案内してもらった。
「メイプルストーリー」の世界が,韓国・ソウルのテーマパークに登場。常設エリア「Maple Island」を見てきた
ネクソンは,韓国・ソウルにあるテーマパーク「ロッテワールド・アドベンチャー」にて,新エリア「Maple Island」を2026年4月から展開している。MMORPG「メイプルストーリー」の世界観をもとに作られており,4つのアトラクションを楽しめる常設エリアだ。現地で見学してきたので,レポートをお届けしよう。
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- 編集部:御月亜希
それが今回紹介する「MAPLE AGIT(メイプルアジト)」だ。
ソウル・江南駅の4番出口を出てすぐ目の前という好立地に,2025年秋にオープンしたPCカフェであり,名前のとおり,メイプルストーリーがテーマのお店である。しかも,期間限定の店舗ではなく,常設で営業しているPCカフェなので,韓国旅行のついでに立ち寄ることも可能となっている。
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PCカフェについて補足しておくと,イメージ的には日本のインターネットカフェのゲーム特化版だ。韓国では主にオンラインゲームを遊ぶための施設として利用されていて,PCがずらっと並んでいる。
MAPLE AGITは約200坪の店内に177席が用意されており,ハイスペックなゲーミングPCを利用可能だ。しかも,チェアやマウスパッド,ヘッドセット,マウスやキーボードなど,さまざまなものがメイプルストーリーデザインになっている。
食事を注文したときに出てくるカトラリーまでメイプル仕様のこだわりようだ。
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利用料金は1時間で3000ウォン(320円程度)。PCカフェの価格としては割高なのだが,筆者が訪れたときはMaple Islandのオープンを記念して,長期間の半額キャンペーンが行われていたので,周辺のPCカフェとそれほど変わらない価格で利用できたようだ。……めちゃくちゃ安いのでは?
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食事もメイプルストーリーにちなんだものを注文できる。一番人気は目玉焼きの乗ったお弁当だ。
「サクサクの海老フライ」の服をモチーフにしたエビフライ丼もあり,こちらは「日本でエビフライ丼を作ったら想定できる味」がして,韓国感のなさにびっくりした。かなりおいしい。
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MAPLE AGITはグッズショップも充実している。店内のメイプル仕様の周辺機器をはじめ,さまざまなグッズを購入可能だ。
「日本人が韓国に来て,一番簡単にメイプルストーリーのグッズを手に入れる方法」を考えたら,立地や入りやすさ的に「MAPLE AGITに寄る」が最適解だと思う。常設店舗だし。
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以上,MAPLE AGITを紹介してきた。Nexon Koreaはこれ以外にも,先述したMaple Islandなど,メイプルストーリーのさまざまなリアルでの展開を行っている。こうした施策を進めているのは,プレイヤーコミュニティとの関わりを重要視しているというのが,理由の1つだそうだ。
今回は,韓国メイプルストーリーのディレクターであるキム・チャンソプ氏,グローバル版メイプルストーリーのチーフ プロダクト オフィサーであるオ・ハンビョル氏に,コミュニティについての合同インタビューを行った。
韓国メイプルストーリー ディレクター キム・チャンソプ氏
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――自己紹介をお願いします。
キム・チャンソプ氏:
韓国のメイプルストーリーを担当しているキム・チャンソプと申します。今回はメイプルストーリーのコミュニティについてお話しできればと思います。
――メイプルストーリーにおいて,コミュニティを維持・拡大していくことの意味と重要性についてお聞かせください。
キム・チャンソプ氏:
ご存じのとおり,メイプルストーリーはライブサービス基盤のIPとなっています。つまり,長期間の維持を前提として提供されるものです。
なので,プレイヤーの皆さんに新しい楽しさを持続的に供給するには,皆さんのニーズについて耳を傾けて,反映していくことが大事になります。
メイプルストーリーが20年以上サービスされるなかで,プレイヤーのニーズも変化し続けています。そうした皆さんの意見をちゃんと聞ける,皆さんが集まれる場所というのがコミュニティであり,この場所があるからこそ,IPも発展していけるのだと思います。
――コミュニティから意見を集約するにあたって,良い状態にあるコミュニティというのは,どういったものだとお考えですか。
キム・チャンソプ氏:
いろいろな意見が行き交っているコミュニティです。ひたすら批判ばかり,あるいはひたすら褒めてばかりといった偏った状態は,良い状態とは言えないと思います。
コミュニティの活性化のために韓国でやっているのが,「Maple Now」という月1回ぐらいの生配信です。ここでは,アップデート情報だけでなく,最近のメイプルストーリーに関するいろいろな話をお伝えしています。
もし,コミュニティ内で誤解に基づく意見が大きくなっている場合は,こうした場で直接ご説明させていただくこともあります。
――メイプルストーリーにおいて,アップデートが一番最初に行われるのは韓国ですし,プレイヤーの熱量も相当なものだと思います。ゲームに対する意見というのは,たくさん出てくるかと思うのですが,どのように吸い上げて,どのように取り入れているのでしょうか。
キム・チャンソプ氏:
収集する方法については部署ごとに異なりますが,運用や開発では,コミュニティに出ている意見について,バイラル(バズり)の総量に応じて,それを直接目で確認して,ある程度収集しています。
そうした大きな意見のほぼすべてについて,取り入れるかどうかを検討しています。
プレイヤーの皆さんに楽しんでいただけるものは,積極的に提供していきたいですから,皆さんが心から求めているものを把握しなければなりません。なので,実際に行っているアップデートのほとんどは,皆さんの意見やお話に基づいて行われていると言っても,過言ではありません。
もちろん,すべての意見をそのままゲームに入れ込むわけではないです。開発上の都合や,長期的なサービスを維持していくうえでの優先順位がありますから。
それでも,意見の中で本当に希望しているものは何か,要となっているのは何かを,実装できる形に解釈することが,私達の仕事だと思います。
――韓国のゲーマーコミュニティには,どういった特色があるとお考えですか?
キム・チャンソプ氏:
韓国は首都圏に人口が集中している国なので,オフラインイベントの効果がとくに表れやすいという特色があると思います。アメリカのような,大都市が分散している地域の場合,同程度の効果を得るのは難しいかもしれません。
今回,オフライン施策としてMaple Islandを展開しますが,ソウルのロッテワールドが舞台ということで,大きな影響があるのではないかと期待しています。
ロッテワールドは,韓国で有名なテーマパークの1つですし,ソウルにあるという点で,アクセスも優れています。そうした象徴的なスペースに,常設のエリアを開設できるというのは,韓国において大きな意味を持ちます。同時に,韓国でこれができるIPは限られており,メイプルストーリーはその1つだと思っています。
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――Maple Island以外には,どういったオフライン施策を行っているのでしょうか。日本ですと,ポップアップストアやコラボカフェ,コンサートなどが思い浮かぶのですが,韓国も似たような状況ですか?
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そうですね。そうした施策は韓国でも実施しています。
ほかの例で言うと,常設施策として行っているものとしては,江南にあるPCカフェのMAPLE AGIT,それとタイトル単体ではないですが,済州島にある「ネクソンミュージアム」などが挙げられます。
それと,近年は社会福祉の一環として,メイプルストーリーをコンセプトにした遊具のある公園を増やしています。最近開設されたものは3つ目の公園なのですが,4つ目も準備中です。これも,メイプルストーリー以外のIPでは難しい施策かもしれません。
さらに,劇場版アニメ「DEAR MY HERO」も6月に韓国の劇場で公開されます。
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――コミュニティを維持・拡大していくうえで,最も課題に思っているところと,最もやりがいがあるところを教えてください。
キム・チャンソプ氏:
課題につきましては,ゲームのコミュニティである以上,基本的にはゲーマーの皆さんが描くイメージを形にしてあげることが,一番の方針だと考えています。
IPの拡張やコミュニティの拡大といった取り組みを進めていると,ときどき,この方法は正しいのかと疑問が湧いてくる瞬間があるんです。そういうときは,これは皆さんのイメージに応えられるものなのかを自分自身に問うようにしています。
それと,ライブサービスのゲームである以上,ネガティブな意見は常にあると思います。しかし,そうした意見もちゃんと見ることが大切ではないかなと。もちろん,担当者としては辛い気持ちになることもありますし,その意見に引っ張られて,ゲームにとって良くない判断をしてしまうこともあるかもしれません。
それでも,そうした意見の中に,ゲームを正しい方向に持っていける何かがちゃんと隠されていると思いますから,しっかりと見ていくことが必要なのではないでしょうか。
やりがいにつきましては,振り返ってみると,あまりにもたくさんのことを思い出します。
その中でも印象に残っていることは,メイプルストーリーと一緒に成長してきたたくさんのプレイヤーが,「このゲームが人生の大きな部分を占めている」とお話ししてくださったことです。
20年以上サービスしているゲームですから,小学校ぐらいに初めて触れた人も,今は30代半ばぐらいになっています。多くの方々の人生において,その一部になれるようなものを作っているということが,私にとって大きなやりがいですし,これからもそう言っていただけるようなコンテンツを作っていきたいです。
グローバル版メイプルストーリー チーフ プロダクト オフィサー オ・ハンビョル氏
――自己紹介をお願いします。
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私は2006年にNexon Koreaに入社し,その時からメイプルストーリーの開発者としてのキャリアを積み始めました。2011年末まで韓国メイプルストーリーのディレクターを務めた後,メイプルストーリーのグローバル・エグゼクティブ・プロデューサーに就任し,世界すべての地域における包括的な開発戦略とクリエイティブビジョンの統括を担当していました。
そして現在は,グローバル版メイプルストーリーのチーフ プロダクト オフィサーを務めています。コミュニティとの対話だけでなく,そこからのフィードバックを踏まえて,開発に反映するところまでやっています。
――今回はプレイヤーコミュニティについてお話しいただけるとのことですが,メイプルストーリーにおいて,プレイヤーコミュニティをどのようなものと認識していますか。
オ・ハンビョル氏:
このゲームはサービスを開始してから20年以上も経っている長寿IPとなります。
オンラインゲームの開発は,リリースされるまでは開発者の領域であり,ゲームを作りたい人が,作りたいと思っているゲームを作るものです。しかし,サービスが始まり,3年,5年,10年と時間が経つにつれ,開発者が作りたいという気持ちよりも,ゲームを楽しんでいるプレイヤーの皆さんの声が大きくなってきます。
そうなると,ゲームの持ち主は開発者ではなく,プレイヤーやコミュニティの方へとどんどん移っていくんです。つまり,ゲームの運用は,コミュニティが中心となっていくべきということですね。
さまざまなゲーム展開において,コミュニティと対話しながら進めていく。これが大切なことだと考えています。
――コミュニティが中心にあると考えたときに,良い状態にあるコミュニティというのは,どういうものだと定義されていますか。
オ・ハンビョル氏:
いい質問です。私は,バランスの取れたコミュニティが良い状態だと考えています。
例えば,グローバル版のメイプルストーリーは,北米を中心に世界のさまざまな地域の方がプレイしています。そうなると,地域によって文化や価値観,考え方が異なりますから,いろいろな意見がぶつかり合います。
ただ,これは一方に偏っていないということでもありますから,こうしたさまざまな意見が出る状態が良いのかなと。同時に,ここからバランスよく意見をくみ取るのは,すごく難しい部分でもあります。
また,メイプルストーリーは20年以上もサービスしていますから,何年もプレイしているコアに遊びたい人もいれば,カジュアルに遊びたい人や,新しく入ってきた人もいます。
これが,例えばコアなプレイヤーばかりで,意見が偏ってしまうコミュニティではなく,さまざまなプレイヤーがいて,お互いを尊重しあえる状態のほうが,良いコミュニティと言えるのではないでしょうか。
――コミュニティを見て,良い状態だと分かるシグナルのようなものはありますか?
オ・ハンビョル氏:
あると思います。例えば,ファン同士が描いた絵やキャラクターのちょっとした自慢,ゲーム中での印象的なエピソードなどを誰かと楽しく語れる環境になっているかどうかが分かりやすいです。
お話を語っていく,それが続いていくことが,コミュニティを良い状態で維持することにつながりますから。
――逆に,コミュニティ内で意見がぶつかり合っているときに,介入していくことはあるのでしょうか。
オ・ハンビョル氏:
メイプルストーリーの場合,職業バランスや特定のアップデートについての議論は白熱しやすいのですが,基本スタンスとして直接介入はしません。
ただ,事実誤認に基づく噂などが広まってしまった場合は,私が自分の名前を入れて開発ノートを公開する,もしくはDiscordなどのコミュニティチャンネルを通じて運営チームの見解を示し,誤解を解いてコミュニティをクールダウンさせるといったことは実際にやっています。
――コミュニティから意見を拾うにあたって,注意していることはありますか?
オ・ハンビョル氏:
拾う意見に偏りがないよう,バランスを取ることを心がけています。コアプレイヤーの熱意ある意見を尊重しつつも,発言回数は少なくともゲームを楽しんでくださっているカジュアルプレイヤーの声とのバランスを取らないと,全体としての判断を誤ってしまいますから。
そのため,「どういう意見なのか」だけでなく,「どういう方の意見なのか」も重要視していますね。
コミュニティからの情報をそのまま受け入れないよう,いろいろな場所で意見を集めてから,テーマごとにフィルタリングするツールなども活用しています。
――コミュニティを盛り上げるための施策としては,どういったものを行っていますか?
オ・ハンビョル氏:
SNSであれば,休眠中の人やカジュアルなプレイヤーが多いので,広く興味を持ってもらいやすい施策を行います。ファンアートやタグイベントなど,ゲームプレイに直接関わらない施策も展開しやすいです。
一方,Discordの場合は,コアなプレイヤーが中心ですから,ボスの討伐を競うなど,ゲームに直接関わるものをよく実施しています。
ただ,私達にとって,皆さんは同じゲームを愛してくださるプレイヤーです。こうして別々のアプローチを続けるよりは,一体化できる施策のほうがメイプルストーリーらしいと考えています。
そのため,オフラインイベントは毎年実施しています。代表的なのが,昨年はロサンゼルスで開催した「Maple Con」です。
もともとは別の名前でしたが,8年ほどアメリカで開催していて,規模は毎年大きくなっています。私が担当するようになったのは2024年からですが,もともと100〜200人規模の小規模開催だったところを,1200人に増やしました。それが2025年には3000人まで拡大し,大成功しました。チケットは1時間で売り切れです。
こうしたオフラインイベントの開催は,ゲームやIPにも良い影響を与えているのではないでしょうか。
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一番大事なのは,プレイヤーの皆さんの絆だと思います。プレイヤーの皆さんは,互いに考え方も,ゲームの見方も,プレイ環境も違いますが,メイプルストーリーが好き,このキャラクターが好きといった気持ちは一緒です。
そんな皆さんに,1つの場所に集まっていただいて,みんなつながっているという絆を感じられるようにすることは,コミュニティにとって重要なことなのかなと。
我々としても,そうした気持ちを育んでいけるよう,オンラインとオフラインの両方で,さまざまな取り組みを進めています。
――コミュニティを維持・拡大していくうえで,最も課題に思っているところと,最もやりがいがあるところを教えてください。
オ・ハンビョル氏:
いろいろなご意見をいただいているなか,気持ちとしては全部叶えたいのですが,限られたリソースで進めていかなければなりませんから,どうしても優先順位をつけなければなりません。
そのぶん,メジャーな意見だけでなく,マイナーな意見を見逃さずに,バランスの取れた運用をしていくというのが課題になるかと思います。
一番やりがいを感じている部分としては,私がグローバル版メイプルストーリーを担当することになって,初めてプレイヤーの意見を本格的に反映してアップデートをしたときに,「ありがとう」というメッセージをたくさんいただいたことです。すごく感動しましたし,自分はちゃんと正しい方向を向いていたんだなと思えて,報われた気持ちになりました。
これからも,皆さんのフィードバックを聞いて,ゲームに正しく反映していこうと思うきっかけにもなりましたね。



















































