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  • 発表日:2008/06/02
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[COMPUTEX]2010年のNVIDIAは,タブレット,DX11,そして3D立体視。NVIDIAプレスカンファレンス詳報
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印刷2010/06/01 13:04

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[COMPUTEX]2010年のNVIDIAは,タブレット,DX11,そして3D立体視。NVIDIAプレスカンファレンス詳報

NVIDIA単独ブースは,Taipei 101タワーの近くに特設された大型テント。下はその入り口だ
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 2010年5月31日,NVIDIAは,COMPUTEX TAIPEI 2010の開幕に先駆けてプレスカンファレンスを開催した。
 COMPUTEX TAIPEI 2010はざっくり,TWTC(Taiwan World Trade Center)&Grand Hyatt Taipei地区とTWTC Nangang地区の2か所で開催されるが,NVIDIAは,前者の近く,会場から独立した場所に“NVIDIAテント”として単独出展しており,プレスカンファレンスはここに特設されたシアター内での開催となった。
 筆者が知る限り,PC/IT系イベントで設けられたNVIDIAブースとしては最大規模のものとなっており,力の入れ具合が相当なモノであることが窺い知れる。

 プレスカンファレンスはNVIDIAの社長兼CEO,Jen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏による基調講演の形で実施されたので,今回はその内容をまとめてお届けしたい。


2009年を振り返りつつ

タブレットPCブームに乗るNVIDIA


Jen-Hsun Huang氏(Co-founder, President and Chief Executive Officer, NVIDIA)
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 登壇するなり大歓声で迎えられたHuang氏は,挨拶もそこそこに,まずはNVIDIAの2009年度を振り返った。

 NVIDIAは2009年もさまざまな技術やマーケティングキーワードを発表したが,最初に出てきたのは「Optimus」だった。これは,IntelのチップセットやCPUに統合されるグラフィックス機能と,ノートPC向けGeForceとを,動作させるアプリケーションの種類に応じて適宜,自動的に切り替えて用いることで,3D&CUDAパフォーマンスと消費電力効率を両立させようというものだ。
 続いて示されたのは「ION」GPU。IONは,AtomベースのNetbookなどに,GeForce 9400M mGPU相当のグラフィックス機能を与えるソリューションである。

OptimusとIONが,2009年のトピックだったとHuang氏
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タブレットPCは,あなたの最もパーソナルなコンピュータだとするスライド。NVIDIAはタブレットPCにこそ大きなビジネスチャンスがあると確信している
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 では,2010年度にNVIDIAが最も力を入れていくプロダクトとは何か。そこで真っ先に示されたのが「タブレットPC」であった。
 先にレポートを掲載したラウンドテーブルでも氏はそう述べていたので,スレート(slate,石板)型のタブレットデバイスに氏がかける情熱は本物なのだろう。

 なぜそんなにまでNVIDIAはタブレットPCを本命視するのか。ここに疑問を持つ読者も多いと思うが,その理由としてHuang氏は下に示したグラフを挙げ,「タブレットPCのほうがNVIDIAにとって潜在的ビジネスチャンスが大きいから」と,明快に理由を述べている。
 存在するデジタルコンテンツを楽しむに当たって,適しているコンテンツの種類が最も多いのはタブレットPCである。リッチなグラフィックスで楽しむのであれば,そこにGPUのニーズはあり,その数たるや軽くGeForceの総数を超えるはずである。そのタブレットPC向けGPUとはなんぞや。「Tegra」である,というわけだ。

この世にはさまざまなデジタルコンテンツがあるが,再生という観点で,すべてにコンテンツに適したデバイスは(Tegra搭載の)タブレットPCであるというのがNVIDIAの主張
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 ラウンドテーブルでの説明と切り口はやや異なるが,到達する結論としてTegraがやってくる論旨は同じだ。NVIDIAとしては,2009年にあった空前のNetbookブームの次は,スレート型タブレットPCが“来る”と踏んでいるのだろう。Windows XP時代にも「タブレットPCが来る!」と騒がれて,お騒がせな嵐として過ぎ去っていったことがあったが,今回はiPadというブーム引率者があるので,これまでとは違う流れになるのかもしれない。

最新世代のTegra 2は,組み込み用途向けのモバイルCPUとして初めて,デュアルコア構成を採用。グラフィックス機能はGeForce 6ベースになるといわれている。これからは,Tegra 2がたくさん出てくるかも
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デスクトップPC向けには

噂のテッセレーションモンスターをアピール


DirectX 11のテッセレーションステージを重要視するNVIDIA
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 続いて,2010年イチオシの製品として挙げられたのが,「DirectX 11世代GPU」だった。言わずと知れたGeForce GTX 400シリーズだ。
 NVIDIAは,とくにテッセレーションのパフォーマンスに力を入れており,競合の最上位モデルがテッセレーションユニットを1基しか搭載しないのに対し,シリーズ最上位モデルの「GeForce GTX 480」では15基も搭載している。

 どうしてNVIDIAはここまでテッセレーションに力を入れたのか。その理由について,Huang氏は,ここでもグラフを用いて解説した。
 いわく,「GPUが進化してきた歴史の中で,演算性能(GFLOPS,下のグラフ中オレンジの線)は順当な上昇を見せているのに対し,取り扱うジオメトリ量(GTriangles/s),同グリーン線)はそれほど上昇していなかった」。

GeForce 200シリーズ時代は演算向上率が過剰に上がり,ゲームなどの要求仕様における描画ポリゴン数の伸び率を追い越してしまったというグラフ
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 ジオメトリ量(=ポリゴン数)が増えるとビジュアル表現は美しくなるが,アニメーション処理や物理シミュレーションの適応対象が増えてしまい,負荷は高くなる。一方,アニメーション処理や物理シミュレーションには,それほど多くのポリゴンがなくても事足りる。レンダリングにおいても,多ポリゴンモデルをそのままレンダリングすると,視点との距離によって,1ポリゴンが1ピクセル未満となる事態が頻発し,ピクセル描画時に,せっかく行ったジオメトリ演算が完全に無駄になってしまう。

ここ10年,キャラクターのポリゴン数は,演算性能の向上率と比べるとなだらかな変化に留まっていたが,DirectX 11のテッセレーションによって,実効ポリゴン数はいきなり10倍に
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 そこで,DirectX 11に実装されたテッセレーションステージの出番となる。テッセレーションステージを活用すると,リアルタイムの適応型ポリゴン増減処理が行えるようになる。アニメーション処理や物理シミュレーションを低ポリゴンで実施し,レンダリング時に多ポリゴンにしたり,あるいは視点からの距離に応じてポリゴンの自動増減までを行ったりもできる。
 演算パワーを無駄なく活用しつつ,高品位な多ポリゴン表現を行うことを可能にするのがDirectX 11のテッセレーションステージなのだ。

 ATI Radeon HD 5000シリーズだと,本ステージへの対応はAPIレベルに留まるため,重度の活用を行うとパフォーマンスが低下するという特性が指摘されている。2010年のNVIDIAとしては,競合との明確な性能差として,この部分を突いていきたいということなのだろう。

テッセレーション無効時と有効時の比較
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そのワイヤーフレーム表示。オンにしたときの多ポリゴン状態に注目
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すべてのPCは3D立体視対応へ

3D Visionこそがデファクトスタンダードと強調


3D Vision,そして3D立体視は,マニアのものからみんなのものへ(※3D Vision関連スライドは,カンファレンスで配布された3Dメガネを使って見るようになっていたため,一部ボヤけている。この点はご了承を)
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 三つめに挙げられたのが,3D立体視である。
 NVIDIAは,2010年から本格化の兆しを見せつつある立体視対応テレビのブームよりもはるか前から立体視ソリューションを提供してきたが,これまでは立体視というもの自体が,SLIと同様,マニア向けのものだった。
 だが,その認識は変わりつつある。昨今の立体視ブームが追い風となり,NVIDIAの立体視ソリューション「3D Vision」が,主流へ昇華していく兆しを見せているというのだ。

ASUSのCEO,Jerry Shen氏が壇上に招かれた。Huang氏と二人してかけているのは立体視対応メガネだ
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 Huang氏によると,COMPUTEX TAIPEI 2010では,3D Vision標準採用のPC製品がリリースラッシュを迎えるという。なかでも力を入れているのはASUSTeK Computer(以下,ASUS)だそうで,同社製品の一部では,ただ3D Visionキットを添付するのではなく,アクティブシャッター方式の3Dメガネと同期するためのIRトランスミッタを,本体にビルドインしているという。

IRトランスミッタを内蔵した,3D Vision対応のノートPC「G51Jx-EE」(左)。右は,肉眼では見えないが,デジタルカメラで撮影すると光って見えるIEトランスミッタ部分。液晶画面下部,中央右部分に組み込まれている
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3画面立体視システム「3D Vision Surround」に対応したASUSのデスクトップPC「CG5390」。GeForce GTX 480の2-way SLI構成を採用する
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 また,「Blu-ray 3D」と呼ばれる立体視対応Blu-rayソフトも今年後期から続々と登場する予定だが,そのPC向けのプレイヤーソフトとしてCyberlinkの「PowerDVD 10」を紹介。インターネットベースのストリーミングビデオも,近い将来,立体視に対応していくとし,その先陣を切る存在として,MicrosoftのWebアプリケーションフレームワーク「Silverlight」も紹介された。

CyberlinkのCEOであるAlice H.Chang氏を壇上に招いて,PowerDVD 10が3D Visionに対応していることを確認したり,MicrosoftのEngineering&Strategy部門ゼネラルマネージャーであるMurray Vince氏を壇上に招き,Web上のインタラクティブメディアも3D化が加速していく未来予想図を語り合ったりするHuang氏
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ソニーのデジタルカメラ,αシリーズから,3D立体写真撮影対応モデルが登場予定と発表された。PCベースの立体視メソッドとしては,3D Visionが推奨機器になるとのこと
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 ここでのポイントは,ハードウェアとソフトウェアのいずれにおいても,PCベースの立体視ソリューションでは3D Visionが標準的に採用されることが強調されたこと。NVIDIAは,PCにおける3D立体視環境において,デファクトスタンダードのポジションを勝ち取った,と言いたいわけだ。
 それを踏まえると,Huang氏が「いずれ,3D立体視対応のPCが当たり前になるだろう」という予測も,なかなか示唆的である。

3D立体視写真の作例
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最後に提示された,NVIDIAのキーメッセージ「タブレットPC」「DirectX 11」「3D立体視」。「2010年のNVIDIAは,この三つだ」(Huang氏)
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 COMPUTEX TAIPEI 2010のNVIDIAは,回りくどいイイワケが少なく,メッセージが明快で分かりやすい。タブレットPCがノートPCを置き換えるのか,テッセレーションステージがPCゲームを救うか,すべてのPCが3D立体視対応になるかというと,いずれも結論が出るまで時間がかかりそうだが,NVIDIAが何を考えて,どの方向へ進もうとしているのか,その中核が理解しやすい基調講演だったとまとめることができるだろう。

ブース内には,東芝製の3D Vision対応ノートPCも展示されていた。型番・スペックとも未公開という状態だが,筐体には「Satellite」のロゴが見える
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