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「Radeon RX 560」レビュー。フルHDのゲームプレイがターゲットとなるエントリーミドルGPUは競合製品に勝てるか
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印刷2017/08/28 14:30

レビュー

フルHDのゲームプレイがターゲットとなるエントリーミドルGPUは競合製品に勝てるか

Radeon RX 560
(SAPPHIRE PULSE RADEON RX 560 4G GDDR5 OC)

Text by 宮崎真一


PULSE RADEON RX 560 4G GDDR5 OC
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:1万7000〜1万9500円程度(※2017年8月28日現在)
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 エントリーミドルクラスの位置づけとなるGPUは,搭載カードが安価なこともあり,カジュアルなゲーマーや,それほどの3D性能が要求されないゲームを好んでプレイする人達からの引き合いが強い。今回取り上げる「Radeon RX 560」(以下,RX 560)も,そんなエントリーミドルクラス市場向けGPUの1つだ。
 RX 560は2016年8月リリースとなる「Radeon RX 460」を置き換えるGPUであり,搭載グラフィックスカードの販売自体は2017年5月から始まっている。なので,少し遅いタイミングということになるが,4Gamerでは今回,AMDからSapphire Technology製の「PULSE RADEON RX 560 4G GDDR5 OC」(型番:SA-RX560-4GD5OC001/11267-00-20G,以下,PULSE RX 560 4G OC)を借りることができたので,RX 560の3Dゲーム性能を確認しておきたいと思う。


フルスペック版Polaris 11を搭載するRX 560。動作クロックはRX 460比で6〜8%程度向上


RX 560 GPU。RX 460のダイサイズは公称124mm2だが,デジタルノギスを用いたRX 560の実測ダイサイズは10.86×12.22mmで132.7mm2だった。実測だとサイズが大きく出ることを踏まえるに,ダイサイズは(少なくともほとんど)変わっていないという理解でいいだろう
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 テストに先立ってまずは,RX 560のスペックを確認しておこう。
 RX 560は第4世代の「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャに基づくGPUで,コアにはRX 460と同じ「Polaris 11」を採用している。

 GCNアーキテクチャの場合,シェーダプロセッサ「Stream Processor」は64基がひとかたまりとなって,キャッシュやレジスタファイル,スケジューラ,テクスチャユニットなどとセットで演算ユニットたる「Compute Unit」を構成する。Polaris 11のフルスペックだと,このCompute Unitを8基まとめ,ジオメトリプロセッサやラスタライザ,レンダーバックエンドといった機能を追加して“ミニGPU”的な「Shader Engine」として扱い,それを2基搭載する仕様だが,RX 460だと,このうち2基のCompute Unitが無効になっているのを憶えている人もいるだろう。
 RX 560はその点,Polaris 11のフルスペックとなっているため,総Compute Unit数は16基,総シェーダユニット数は1024基となる。ちなみにこれは,Radeon RX 500シリーズのエントリーモデルである「Radeon RX 550」(以下,RX 550)比でちょうど2倍の規模だ。

 また,RX 560のベースクロックは1175MHzとRX 460の同1090MHzから約8%ほど引き上げられている。ブースト最大クロックもRX 550は1275MHzで,RX 460の1200MHzと比べて約6%高い。
 その一方,RX 550のメモリインタフェースが128bitで,メモリクロックが7000MHz相当(※実クロック1750MHz)というのは,RX 550と変わらず。もちろん,メモリバス帯域幅が112GB/sというのも同じだ。もっと言えば,この数字はRX 550とも同じである。

AMDが公開しているRX 560のスペック。ターゲットとなる解像度が1920×1080ドットなのも分かる
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 気になる消費電力の目安となる公称典型消費電力値は80Wで,これはRX 460より5W高い。その結果として6ピンの補助電源コネクタが1基が必要になってしまった点は留意しておきたいポイントだ。
 表1は,そんなRX 560の主なスペックを,RX 460とRX 550,そして競合製品となる「GeForce GTX 1050」ともどもまとめたものになる。

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PULSE RX 560 4G OCはマイルドなファクトリーOCが入ったオリジナルデザイン採用モデル


 続いてはPULSE RX 560 4G OCそのものを見ていくことにするが,製品名に「OC」とあることから想像できるように,メーカーレベルで動作クロックを引き上げてある,いわゆるクロックアップモデルとなっている。具体的には,ブースト最大クロックがリファレンスより25MHz高い1300MHzになっている。一方でメモリクロックは変わっていないので,マイルドなクロックアップモデルという理解でいいだろう。

 なお,Sapphire独自のオーバークロックツール「Sapphire TRIXX OC Utility」(Version 6.4.0,以下 TRIXX OC)を使うことで,自己責任を覚悟すれば,「GPU Clock」のスライドバーからGPUのブースト最大クロック指定できる。範囲は560〜2300MHzで,1MHz刻みだ(※0〜559MHzの指定もできるが,その場合は最大560MHzになる)。

TRIXX OCの起動画面。画面が大きく見やすいのだが、設定できる項目はそれほど多くなく,また,どこが操作できる部分なのか,ぱっと見だと判別しづらい
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 気になったのは,「GPU Voltage」のスライドバーから変更できるはずのGPUコア電圧は変更できなかったこと。いずれより新しいTRIXX OCが出てくれば変更できるようになると思われるが,発売から数か月経ってこの状態というのはちょっと残念だ。

TRIXX OCでGPU Clock(とMemory Clock)のスライダーを動かすと,画面上部のメーター部で設定値を確認しながらオーバークロック設定を行える
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 GPUコアクロックのブーストにおいて,高いクロックにどれだけ長い時間入るかを間接的に指定できる「Power Limit」は,GPU ClockとGPU Voltageの設定項目に挟まれたところの小さなスライドバーから行える。−75〜+75%の範囲を1%刻みだ。
 メモリクロックは「Memory Clock」のスライドバーにより,0〜2700MHz(※データレート換算で0〜1万800MHz相当)の範囲から1MHz刻みで指定できる。こちらはブースト最大クロックと異なり,極端に低い設定も行えるのだが,やりすぎると動作しなくなるので要注意だ。


エントリーミドルクラスモデルらしく,基板はいたってシンプル


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 入手したPULSE RX 560 4G OCの長さは実測約213mm(※突起部含まず)。いわゆる短尺モデルでもない,エントリーミドルクラスのグラフィックスカードとしては,ちょっと大きいかもしれない。
 GPUクーラーは2スロット仕様で,「大きめのヒートシンクによってGPUの熱を受け,また別途電源部にもヒートシンクを搭載したうえで,それらを90mm角相当のファンによるエアフローで冷却するという,これまたオーソドックスな仕様となっている。

基板もGPUクーラーも黒色で統一された外観を採用するPULSE RX 560 4G OC。エントリーミドルクラス市場向けのカードとしてはやや大きめといったところか
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側面から覗き込むと,「カバー+ヒートシンク」という構造なのがよく分かる(左)。右はファンに寄ったところで,先端部はツヤありとなしで分かれた構造になっているのだが,Sapphireは具体的な説明を行っていないので,これに何か効能的なものがあるのか否かといったとこは不明だ
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 ファンの回転は,Sapphireが「Intelligent Fan Control 3」と呼ぶ機能により,GPU負荷の低いアイドル時には止まる。もっとも,前述したTRIXX OCにはファンの回転数を手動で設定するための項目もあり,標準の「Automatic」から「Fixed」もしくは「Custom」へ変更すれば,ファンを常時回転させることも可能だ。
 Fixed選択時はポップアップするウインドウ上で,0〜100%の範囲から1%刻みで選択することによってファン回転数を固定でき,またCustom選択時は,やはりポップアップするグラフウインドウ上で,GPU温度とファン回転数の関係を自由にカスタマイズできるようになっている。

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Fixed選択時にポップアップするウインドウ。1%刻みで,0〜100%の範囲から回転数を固定することが可能だ。画面は50%に設定したところで,これで回転数は約2100rpmになった
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Custom選択時にポップアップするウインドウ。グラフは縦軸がファン回転数,横軸が温度だ。こんな感じで,GPU温度が低い状態でも縦軸を0%より上にしておけば,アイドル時のファンを低速で動かし続けることもできる

 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は失効する。そのことを断りつつ,今回はレビューのため特別にクーラーを取り外して基板を見ていきたい。

GPUクーラーのカバーを外したところ
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 まず,GPUクーラーのカバーを外すと,前述のとおり,電源部にはヒートシンクが載っている一方,メモリチップの冷却はファンのエアフローのみに頼っていることがよく分かる。
 さらに,ヒートシンクを両方とも外すと,電源部が3+1フェーズ構成のようであることも見てとれるようになる。ちなみにこの電源部には,耐久性が高い部材を採用しており,コイル鳴きを最小限に抑える設計が施してあるそうで,実際,テスト中を通じてコイル鳴きは確認されなかった。

2個のヒートシンクを外したところ(左)と,基板全景(右)。ヒートシンク,基板ともシンプルだ。Sapphire独自設計の基板であることは,6ピン補助電源コネクタ近くのロゴで確認できる
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電源部のクローズアップ
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 電源部をもう少し細かく見てみると,MOSFETはMagnaChip Semiconductor製のNチャネルタイプである「MDU1514」を1フェーズあたり3個組み合わせる構造になっていた。メモリチップ用と見られる1フェーズ分は,MDU1514が2個に減っている。
 PWMコントローラはRichtekの「RT8880C」で,これは基板の背面側に実装してあった。
 グラフィックスメモリチップはMicron TechnologyのGDDR5「MT51J256M32HF-70」(7.0Gbps品,チップ上の刻印は「6UA57 D9SXD」)。8Gbit品なので,グラフィックスメモリ容量4GBは4枚で実現することになる。

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Richtek製PWMコントローラ,RT8880C
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搭載するメモリチップはMicron Technology製GDDR5だった


カードの定格とGPUの定格,2種類のクロック設定でテストを実施


 テスト環境に話を移そう。
 今回,比較対象には前述のRX 550とRX 460,それにGTX 1050を用意。また,PULSE RX 560 4G OCはクロックアップモデルであるため,TRIXX OCでリファレンスにまで動作クロックを引き下げた状態でもテストを実施することにした。カードの定格動作となるクロックアップ状態と,リファレンス相当にまでクロックを引き下げた状態を区別すべく,以下,ベンチマークパートにおいては文中,グラフ中ともに前者を「Sapphire RX 560」,後者を「RX 560」と表記するので,その点はあらかじめお断りしておきたい。
 また,テストに用いたTul製RX 460カード「PowerColor Red Doragon Radeon RX 460 2GB GDDR5」(型番:AXRX 460 2GBD5-DH/OC)はメーカーレベルのクロックアップ品であるため,MSI製オーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.3.0)で,やはりリファレンス相当にまでクロックを下げている。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,Radeonの3製品が「Radeon Software Crimson ReLive Edition 17.8.1」で,GTX 1050は「GeForce 385.28 Driver」。どちらもテスト開始後に新しいドライバが出てしまっているが,テスト開始時点の最新版ということ理解してもらえればと思う。
 そのほかテスト環境は表2のとおりだ。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション20.0準拠。テストプリセットは基本的に,描画負荷が高いものをそのまま利用している。今回,テスト解像度として,AMDがRX 560におけるターゲットとする1920×1080ドットのほか,アスペクト比16:9で一段上になる2560×1440ドットだけでなく,一段下の1600×900ドットでもテストを行っているので,描画負荷は高めでも問題ないと考えたためだ(※一部,そうではなかったので反省しているが,その点は後述する)。
 ただし,「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)だけは,レギュレーション20の標準プリセットである「ウルトラ」だとメモリ使用量が4GBを超えてしまったため,「中」に下げている。


RX 460と比べてきっちり高いスコアを示し,メモリ容量4GB搭載の効果も大きいRX 560


 それでは「3DMark」(Version 2.3.3732)の結果から見ていこう。グラフ1,2はDirectX 11ベースのテストである「Fire Strike」の総合スコアと,そこからGPUベンチマークとなる「Graphics test」のスコアを抜き出したものだ。
 「Fire Strike Ultra」は,グラフィックスメモリ容量が2GBのGPUにとって明らかに荷が重く,RX 460とGT 1050はいずれも大きくスコアを落としている。その点,RX 560は有利と言えるだろう。
 Fire Strike Extreme以下を見てみると,RX 560はRX 460に対して12〜14%程度高いスコアを示す。一方,GTX 1050に対しては86〜90%程度という結果になった。
 Sapphire RX 560は,マイルドなクロックアップ設定で,かつメモリクロックはリファレンスと同じこともあって,RX 560との間にスコア差はほとんどない。

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 一方,同じ3DMarkからDirectX 12ベースのテスト「Time Spy」のスコアをまとめたものがグラフ3で,ここでは総合スコア,Graphics scoreの両方で,RX 560は比較対象に対して優位に立ち回っている。対RX 460だと15〜16%程度高いのは純粋にGPUの規模,対GTX 1050で約6%高いのはDirectX 12ベースのタイトルに強いGCNアーキテクチャの効果によるものと思われる。

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 グラフ4は「Superposition Benchmark」(以下,Superposition)の総合スコアをまとめたものだ。
 Superpositionで,RX 560のスコアとRX 460の差は14〜17%程度。両者でGPUの規模は約14%異なるので,きっちり規模分の違いが出ていると言えよう。
 GTX 1050は「1080p Extreme」でグラフィックスメモリ容量不足によりスコアを大きく落とすが,残る2条件ではDirectX 11に強いPascalアーキテクチャの強みが出ており,それと比べると,RX 560のスコアは80〜81%程度に留まった。
 なお,Sapphire RX 560とRX 560のスコア差がほとんどないのは3DMarkと共通の傾向である。

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 そんなSuperpositionの平均および最小フレームレートをまとめたものがグラフ5〜7で,ほぼ総合スコアを踏襲した結果だと述べていいだろう。
 いずれのスコアも非常に低いが,「まだ見られる」結果の出ている「1080p Medium」だと,RX 560のスコアは平均フレームレートでRX 460の約144%,GTX 1050の約80%。最小フレームレートでは順に約116%,約85%となっている。

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 グラフ8〜10は「Prey」の結果となる。
 平均フレームレートで比較すると,RX 560はRX 460に対して9〜14%程度高いスコアだが,GTX 1050と比べると約8割というところに留まる。
 ベンチマークレギュレーション20では,最小45fpsを合格ラインとしているが,それをRX 560でクリアできるのは1600×900ドットだ。1920×1080ドットで快適に……という場合は,グラフィックス設定プリセットを1〜2段落とす必要があるだろう。

 ちょっと面白いのは,Sapphire RX 560がRX 560に対して3〜7%程度高いスコアを示しているところ。3DMarkおよびSuperpositionとは異なる傾向だ。描画負荷が低いほどスコア差は開いているので,PreyではメモリよりもGPUクロックのほうが“効く”ということなのだろう。

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 続いて「Overwatch」の結果がグラフ11〜13となる。平均フレームレートで比較すると,RX 560はRX 460に対して9〜10%程度高いスコアを示し,対GTX 1050だと80〜90%程度となっていた。Sapphire RX 560のスコアがRX 560と変わらないのは3DMarkおよびSuperpositionと同じだ。
 全体を通じて注目したいのは,RX 560の最小フレームレートが60fpsを超えていること。さすがに垂直リフレッシュレート120/144Hz級のディスプレイと組み合わせるには実力不足ながら,「普通に60fpsでプレイする」なら十分な性能を持っているわけである。

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 「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)のテスト結果はグラフ14〜16にまとめた。テストのセットアップのところで「反省している」と述べたのはPUBGのテスト設定で,レギュレーション標準の「高」では,エントリーミドルクラスのGPUにとっては負荷が高すぎてしまったようだ。
 そのため今回はプレイアブルかどうかではなく,純粋にスコア差だけを比較することになるが,平均フレームレートでRX 560はRX 460の118〜125%程度,GTX 1050の75〜80%程度。RX 460とのスコア差がGPUの規模以上に開いているのは,搭載するグラフィックスメモリ容量の違いがもたらしたものと思われるが,それだけに,RX 460と同じメモリ容量のGTX 1050に大きく引き離されてしまっているのは気になるところである。

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 前述のとおり中プリセットを採用したWildlands。そのスコアはグラフ17〜19のとおりだ。
 ここでRX 560の平均フレームレートはRX 460に対して28〜44%も高く,GTX 1050ともかなりいい勝負を演じているが,これはひとえに4GBという,エントリーミドルクラスのGPUとしては豊富なグラフィックスメモリがもたらしたものだろう。いわゆるAAAタイトルは「グラフィックスメモリ喰い」のものが少なくないわけだが,そういうタイトルにおいてRX 560は強みを発揮できるわけである。
 ただし,最小フレームレートに目を移すと,RX 560はGTX 1050比で80〜88%程度のスコアに留まった。このあたりは3DMarkなどでも確認できた地力の違いだろう。

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 グラフ20は「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアである。本テストは毎回Radeonに不利となるが,RX 560もその例に漏れず,GTX 1050にはまったく太刀打ちできていない。とくに,GTX 1050だと1920×1080ドットでスクウェア・エニックスの示す指標最上位である7000を超えるのに対し,RX 560だと解像度を1600×900ドットへ下げなければスコア7000をクリアできないという現実は重い。

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 グラフ21〜23はそんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均および最小フレームレートをまとめたものだ。フレームレートで比較しても,RX 560で得られるスコアはGTX 1050と比べて一段低いのが分かるだろう。

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 性能検証の最後は,「DirectX 12&メモリ喰い」という,今回取り上げるGPUの中では圧倒的にRX 560が有利となる「Forza Horizon 3」だが,グラフ24〜26にスコアをまとめたとおり,RX 560が比較対象を圧倒した。平均フレームレートでRX 560はRX 460と比べて90〜118%程度,GTX 1050と比較しても56〜64%程度高いスコアを示した。最小フレームレートだと,そのスコア差はさらに開く。
 もっとも,実フレームレートは低く,満足にプレイできるレベルではないため,あと1〜2段はグラフィックス設定を下げる必要があり,そうなるとスコア差は幾分縮まることになるだろう。PUBGと同じく,ここのテスト設定についても反省している。

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RX 460比で消費電力の大幅増はないものの,GTX 1050との違いは大きい


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 本稿の序盤でお伝えしたとおり,RX 560の公称典型消費電力はRX 460と比べて5W大きくなり,6ピンの補助電源コネクタによる給電が必須となっている。付け加えると,SapphireはPULSE RX 560 4G OCの公称典型消費電力を90Wとしていたりするわけだが,実際の消費電力はどの程度なのか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較したものがグラフ27となる。なお,テストにあたっては,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 というわけで結果だが,アイドル時におけるスコアは,GTX 1050が若干低いものの,ほぼ横並びと言っていいだろう。
 一方のアプリケーション実行時だと,RX 560のスコアは164〜197Wで,128〜177WとなるGTX 1050とのスコア差はかなり大きい。RX 460とのスコア差は小さく,測定誤差やGPUの個体差も考えると「ほとんど同じ」と言っていいくらいだが,それだけにGTX 1050とのスコア差が気になった。

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 続いてグラフ28は,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを使い,RX 560カード単体の消費電力推移を追ったものになる。本来であればテスト対象の全製品で追いたかったのだが,空冷版「Radeon RX Vega 64」のレビュー時に述べた「4Gamer GPU Power Checker Version 1」の機材トラブルが,まさにRX 560のテストを終えてSapphire RX 560のテストを行おうといたところで発生したため,今回はRX 560のスコアのみを掲載することになる。

 さて,グラフを見てもらうと分かるが,各シーンの切り換えで消費電力ががくっと落ちていることと,ピークが135W程度のところにあること,そして,かなり頻繁に100〜120W台の消費電力を示していることが分かる。確かにAMDの公称典型消費電力値である80WからSapphireの90Wまでを示す割合が高く,実際,平均を取ると82Wではあったものの,実際にはそれより高い消費電力を要求するケースが多いことは押さえておくべきだろう。

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 GPUの温度も確認しておこう。ここでは,温度24℃の室内において,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「3DMark時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 2.2.0)から温度を取得することにした。

 その結果はグラフ29のとおりだ。GPUごとに温度センサーの位置も温度管理の方法も,さらにはクーラーすら異なるため,横並びの比較に意味はないことはくれぐれも注意してほしい。本稿でもPULSE RX 560 4G OCというグラフィックスカードが搭載するクーラーの冷却能力を確認するに留めるが,工場出荷時設定,つまりアイドル時にファンが停止する設定になっているため,アイドル時の温度はやや高めだ。とはいえ,「ファンが停止していても50℃を下回っている」わけで,問題はないと言っていいだろう。
 3DMark実行時の温度は70℃台前半と,エントリーミドルクラスのGPUを搭載する製品としてはやや高めだが,これも問題のあるレベルではない。

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 さて,そのGPUクーラーの静音性だが,これはPULSE RX 560 4G OCが実際に動作している様子を録った動画を見てもらうほうが早いだろう。下に示したのは,カードに正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,アイドル状態で1分間放置した後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを4分間実行したときの様子を録画した計5分間をビデオ撮影したものだ。

 最初の1分間はファンが停止しているため,聞こえてくるのは環境音だけ。1分後にベンチマークを起動するとファンは即座に回転を始め,徐々にその動作音が大きくなっていく。
 そして,ベンチマーク起動後3分,つまりファイル冒頭から4分後にはその動作音はピークに達しているが,それでもその音量は比較的小さい。少なくともケース内にカードを収めればほぼ聞こえないレベルだ。PULSE RX 560 4G OCのGPUクーラーは,静音性をかなり重視したものだと述べていいだろう。



順当な性能向上を果たしたエントリーミドルクラスGPUだが,対GTX 1050だと価格対性能比が課題


PULSE RX 560 4G OCの製品ボックス
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 以上,RX 560を見てきた。端的にまとめるなら,RX 460と比べて順当な進化を果たしたGPUといったところだ。GPUの規模拡大に合わせた性能向上は数%といったところながら,標準のグラフィックスメモリ容量が4GBになったことの効果は大きく,「RX 560は1920×1080ドットがターゲット」というAMDの言い分に説得力を与えている印象がある。
 補助電源コネクタが追加となったため,小型PCのグラフィックスカードし替えにあたって「補助電源が必要ないこと」に重きを置く場合にはマイナス評価になると思うが,実際の消費電力ではRX 460と大差ないので,それほど問題にはならない人のほうが多いのではなかろうか。

 むしろ問題として取り上げなければならないのは,RX 560の価格設定のほうだ。以下,実勢価格は2017年8月28日現在のものとなるが,総じて3D性能により優れ,消費電力も低いGTX 1050カードは1万3000〜1万5000円程度で購入できる。今回テスト対象としていない,グラフィックスメモリ容量4GBの上位モデル「GeForce GTX 1050 Ti」ですら,1万5000〜2万1000円程度で購入できる。
 それに対してRX 560搭載カードは――店頭にはグラフィックスメモリ2GBモデルもあるが,今回はテストにも用いた4GBモデルのみの話をする――極端に高価な製品を除くと,実勢価格が1万5100〜1万9500円程度。つまり,競合製品ではなく,競合製品よりも性能が一段上のモデルとだいたい同じくらいの価格設定になってしまっているのだ。

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 Fluid Motionとか,仮想通貨のマイニングとか,ゲーム用途以外を前提にするならまた違った結論を導けるのかもしれないが,ゲーム用途でRX 560をお勧めできるかと言えば,現時点では少々厳しいと言わざるを得ない。せめてGTX 1050カードとわたりあえる店頭売価になれば,フルHDゲーム環境を構築できる手頃な選択肢として,それこそ静かに運用できるPULSE RX 560 4G OCは浮上すると思うのだが。

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SapphireのPULSE RX 560 4G OC製品情報ページ(英語)

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