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RDNA 3世代のミドルハイGPU「Radeon RX 7800 XT」&「Radeon RX 7700 XT」の実力を探る。RX 7700 XTのコスパは良好だ
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印刷2023/09/06 22:14

レビュー

RDNA 3世代のミドルハイGPU「Radeon RX 7800 XT/7700 XT」の実力を探る

AMD Radeon RX 7800 XT
ASRock Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC

Text by 宮崎真一

 既報のとおり,AMDは,ミドルハイ市場向けとなるRDNA 3世代の新型GPU「Radeon RX 7800 XT」(以下,RX 7800 XT)と「Radeon RX 7700 XT」(以下,RX 7700 XT)を発表した。名称から分かるとおり,ハイエンド市場向けの「Radeon RX 7900 XT」とミドルクラス市場向け「Radeon RX 7600」の間を埋める製品で,これにより,ハイエンドからミドルクラスGPUまで,RDNA 3世代のラインナップが揃ったことになる。

Radeon RX 7800 XTリファンレンスカード(左)
Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC(右)

メーカー:AMD(左),ASRock(右)
税込想定売価:未公開(左),7万5800円(右)
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 2023年9月6日22:00,RX 7800 XTとRX 7700 XTのレビューが解禁となった。本稿では,AMD製のRX 7800 XTリファレンスカードと,RX 7700 XTを搭載したASRock製の「Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC」を使用して,そのポテンシャルを確かめてみたい。ミドルハイクラスのGPUを欲するゲーマーにとって,これらの製品はどのような価値を持っているのだろうか。


GPUコアにNavi 32を採用


RX 7800 XTのパッケージ画像
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 まずは,RX 7800 XTとRX 7700 XTについて説明していこう。
 繰り返しになるが,どちらもRDNA 3アーキテクチャに基づくGPUで,GPUコアには新設計の「Navi 32」を採用している。

 Navi 32は,上位モデルの「Radeon RX 7900 XTX」で使われた「Navi 31」コアと同じく,GPUダイ(Graphics Compute Die,以下 GCD)と,それとは異なるプロセスで製造したキャッシュメモリダイ(Memory Cache Die,以下 MCD)を組み合わせた「チップレットアーキテクチャ」を採用している。Navi 32は,GCDが5nmプロセス,MCDが6nmプロセスといった具合に,異なるプロセスルールで製造されている点もNavi 31と変わらない。

 ダイサイズは,GCDが約200mm2,MCDが約150mm2となっており,トランジスタ数は約281億個である。前世代の「Radeon RX 6800 XT」(以下,RX 6800 XT)の「Navi 21」コアが,約520mm2のダイサイズに約268億個のトランジスタを搭載しているのと比べると,GCDとMCDを合わせてもサイズは約67%ほどしかないが,そこに約5%も多いトランジスタを詰め込んだわけだ。

 RDNA 3アーキテクチャでは,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶシェーダプロセッサを,16基でひとまとめにした実行ユニットとしている。そのうえで,実行ユニット4基とレジスタファイル,スケジューラやテクスチャユニットをまとめて「Compute Unit」(以下,CU)を構成する。そのCUを2つまとめて「Dual Compute Unit」としているあたりは,RDNA 2アーキテクチャと変わらない。
 Navi 32では,CUを60基(※Dual Compute Unitで言えば30基)有しており,シェーダプロセッサの総数は,16×4×60で3840基となる計算だ。RX 7800 XTは,そのNavi 32のフルスペック版なので,シェーダプロセッサ数は3840基となる。シェーダプロセッサ数だけ見ると,RX 7800 XTは「Radeon RX 6800」(以下,RX 6800)と同数だ。
 一方のRX 7700 XTは,CU数が6基少ない54基なので,シェーダプロセッサ数は3456基となる。

AMD SoftwareでRX 7800 XTの仕様を確認したところ
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AMD SoftwareでRX 7700 XTの仕様を確認したところ
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 RDNA 3世代のGPUであるRX 7800 XTとRX 7700 XTでも,レイトレーシングユニットは第2世代へと進化した。1基のCUにつき,レイトレーシングユニットも1基あるため,その数はRX 7800 XTが60基,RX 7700 XTが54基となる,また,AI処理向けアクセラレータの「AI Accelerator」は,CU 1基あたり2基を組み合わせているので,搭載数はRX 7800 XTが120基,RX 7700 XTが108基だ。

 動作クロックは,RX 7800 XTのゲームクロックが2124MHz,ブースト最大クロックが2490MHzで,RX 6800 XTやRX 6800などに比べると若干上昇した。なお,後述するテスト環境において,「GPU-Z」(Version 2.54.0)でコアクロックを追ってみたところ,2583MHzまで上昇しているのを確認した。
 一方,RX 7700 XTの動作クロックは,ゲームクロックが2171MHzで,ブースト最大クロックが2544MHzと,RX 7800 XTよりも高めだ。GPU-Zで確認すると,テスト中のコアクロックは2612MHzまで上昇していた。

GPU-ZでRX 7800 XT(左)とRX 7700 XT(右)の仕様を確認したところ
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 GPUに組み合わせるグラフィックスメモリは,どちらもGDDR6で,メモリインタフェースはRX 7800 XTが256bit,RX 7700 XTが192bitとなっている。メモリクロックは,RX 7800 XTが19.5GHz相当,RX 7700 XTが18GHz相当なので,メモリバス帯域幅はRX 7800 XTが624GB/s,RX 7700 XTが432GB/sとなる。
 先代GPUにあたるRX 6800 XTや「Radeon RX 6700 XT」(以下,RX 6700 XT)のメモリバス帯域幅は512GB/sだったので,それに比べるとRX 7800 XTは20%ほど向上しているものの,RX 7700 XTは20%弱減少してしまった。
 さらに,RX 7800 XTとRX 7700 XTのInfinity Cache容量は,順に64MB,48MBだ。RX 6700 XTでさえ,容量96MBものInfinity Cacheを搭載していたのと比べると,RX 7800 XTやRX 7700 XTのInfinity Cache容量は,かなり減っている。

 しかしAMDによると「RX 7800 XTやRX 7700 XTのInfinity Cacheは,第2世代へと進化しており,キャッシュレベルでのデータ配信方法を最適化することで,容量は少なくても最高の効率で動作するようになった」と主張している。実際,AMDが示すInfinity CacheとL2キャッシュメモリを含めた実効メモリバンド幅は,RX 7800 XTが2708.4GB/sで,RX 7700 XTが1995.3GB/sとなり,RX 6800の1664.2GB/sやRX 6700 XTの1278.0GB/sを大きく上回るという理屈だ。

 そんなRX 7800 XTとRX 7700 XTの主なスペックを,RX 6800 XT,RX 6800,RX 6700 XT,それに比較対象として用意した「GeForce RTX 4070 Ti」(以下,RTX 4070 Ti),「GeForce RTX 4070」(以下,RTX 4070),「GeForce RTX 4060 Ti」(以下,RTX 4060 Ti)とともにまとめたものが表1,表2となる。

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カード長はどちらも270mmほど。補助電源コネクタは8ピン×2


 それでは,RX 7800 XTリファレンスカードおよびRadeon RX 7700 XT Challenger 12GB OCのカードそのものについて見ていこう。

RX 7800 XTリファレンスカードの前面(上)と背面(下)。黒い箱のような形状をしている
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 まず,RX 7800 XTリファレンスカードからだが,サイズは実測で約270mm(※突起部除く)だった。RX 6800 XTやRX 6800のリファレンスカードも約270mmだったので,ほぼ同じサイズと言っていい。

RX 7800 XTリファレンスカードの長さは実測で約270mm
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 ただ,RX 7800 XTリファレンスカードの重量は約1102gで,RX 6800リファレンスカードが約1394gであったのと比べると,300g弱軽い計算になる。

RX 7800 XTリファレンスカードの重量は実測で1100gほどで,サイズの割には軽めだ
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 GPUクーラーは2.3スロット占有タイプで,90mm径相当のファンを2基搭載する。これらのファンは,ファンブレードとバリアリングが一体化したタイプで,アイドル時に回転を停止する機能も用意されている。

カードを横から見たところ。大きな放熱フィン全体をシュラウドがカバーしているのが見て取れる
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 補助電源コネクタは,一般的な8ピンを2基備えている。映像出力端子はDisplayPort 2×3,HDMI 2.1a×1という一般的な構成だ。Radeon RX 7900 XTリファレンスカードにあったUSB Type-Cは省略され,代わりにDisplayPortが1基増えた形だ。

補助電源コネクタは8ピンを2基使用する(左)。映像出力はオーソドックスな構成だ(右)。ブラケットにGPU名などの各種情報がプリントされているのが目を引く
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 続いて,Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OCを見ていこう。

Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OCの前面(上)と背面(下)。背面から見ると,大きく上方向に張り出した放熱フィンの銀色が印象的だ
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 カード長は実測で約267mmと,RX 7800 XTリファレンスカードよりわずかだか短い。ただ,マザーボードに装着した場合,ブラケットから約25mmほどはみ出る背の高いデザインなので,一見するとこちらのほうが大きい印象を受ける。

カード長は約267mm。3mmだけだがRX 7800 XTリファレンスカードより短い
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ブラケットから少しはみ出た背が高めなカードとなっている
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 重量は約972gと,RX 7800 XTリファレンスカードよりさらに軽くなっている。

重量は約972gで,RX 7800 XTリファレンスカードより大きい印象はあるものの軽めだ
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 製品名からも分かるとおり,本製品はメーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルであり,ゲームクロックが2226MHzとリファレンスから55MHzほど高い。ブースト最大クロックも2584MHzで,リファレンスから40MHz高くなっている。

 GPUクーラーは2.3スロット占有タイプで,100mm径相当のファンを2基搭載する。これらのファンは「Striped Axial Fan」と呼ばれるもので,ファンブレードに線状の突起が2本設けられている点が特徴的だ。ASRockによると,これらによりエアフローが強化され,効果的な冷却を実現するという。
 カードを横からのぞき込むと,放熱フィンはカード前方と後方の2ブロックに分かれており,その間を5本のヒートパイプで結ぶ構造なのが見てとれる。

カードを横から見ると,放熱フィンが2ブロック構成であることや,その間をヒートパイプが結んでいることが分かる
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 ちなみに,GPUクーラーの側面にはLEDイルミネーションが搭載されており,8ピン×2の補助電源コネクタのすぐそばには,LEDの有効/無効を切り替えるディップスイッチがあった。

補助電源コネクタは,RX 7800 XTリファレンスカードと同じ8ピン×2構成(左)。そのすぐ横には,LEDの切り替えスイッチがある(右)。ブラケット側がLEDオンで,補助電源コネクタ側がオフだ
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 映像出力端子はDisplayPort 2×3,HDMI 2.1a×1という構成で,RX 7800 XTリファレンスカードと変わらない。

映像出力端子の構成はRX 7800 XTリファレンスカードと変わらないものの,ブラケットには通気孔が設けられている
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計8製品で前世代から伸びや競合製品との差を検証


 テスト環境について説明しておこう。
 RX 7800 XTとRX 7700 XTの比較対象には,それぞれの置き換え対象としているRX 6800とRX 6700 XとT,それらの上位モデルであるRX 6800 XTを用意そた。また,競合製品として,RTX 4070 Ti,RTX 4070,RTX 4060 Tiを用意した。
 ただし,先述したようにRX 7700 XT搭載製品であるRadeon RX 7700 XT Challenger 12GB OCはクロックアップモデルである。定格の動作クロックに落とせないかと,ASRockのオーバークロックツール「ASRock Tweak」(Version 2.0.63)で,ブーストクロックをリファレンス仕様に揃えてみたが,ゲームクロックが定格よりも大きく下がってしまい,性能が目に見えて落ちてしまった。そのため,Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OCは,素の状態のままテストを行っており,リファレンス仕様とは動作クロックが異なる点はお断りしておく。

 グラフィックスドライバは,RX 7800 XTおよびRX 7700 XTは,AMDがレビュワー向けに用意した「23.20.01.05-230823a-395195E-PRESS-AMD-Software-Adrenalin-Edition」を使用した。ただし,このドライバはRX 6800 XTやRX 6800,それにRX 6700 XTに導入できなかったため,どうやらRX 7000シリーズ専用のもののようだ。そこで,これら前世代のGPUについては,テスト時に最新バージョンとなる「AMD Software 23.8.2」を使用している。
 一方のGeForceシリーズは,「GeForce 537.13 Driver」で,こちらもテスト時点における最新版だ。そのほかのテスト環境は表3のとおり。

表3 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1J)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード Radeon RX 7800 XTリファレンスカード
(グラフィックスメモリ容量16GB)
ASRock Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC
(Radeon RX 7700 XT,グラフィックスメモリ容量12GB)
Radeon RX 6800 XTリファレンスカード
(グラフィックスメモリ容量16GB)
Radeon RX 6800リファレンスカード
(グラフィックスメモリ容量16GB)
Radeon RX 6700 XTリファレンスカード
(グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 4070 Ti Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量8GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 22H2(Build 22621.2134)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 5.08.02.027
グラフィックスドライバ AMD Software 23.8.2
GeForce 537.13 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション27に準拠したものだ。今回は,GPUの素の性能を見極めるため,「FidelityFX Super Resolution」や「DLSS」といった超解像技術は無効の状態でテストしている。また,「3DMark」(Version 2.27.8160)においては,レイトレーシング性能を見る「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」のテストを追加した。

 テスト解像度は,RX 7800 XTとRX 7700 XTが1440pでのゲームプレイを想定しているため,2560×1440ドット(以下,1440p)を中心に1920×1080ドット(以下,フルHD)と3840×2160ドット(以下,4K)でも実施している。


世代の進化をハッキリ感じるものの,競合製品に対しては微妙な位置づけ


 それでは,3DMarkから順にテスト結果を見ていこう。グラフ1は,Fire Strikeの総合スコアをまとめたものだ。

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 RX 7800 XTのスコアは,RX 6800から3〜15%程度向上したものの,RX 6800 XTには3〜6%程度届いていない。また,競合製品に対しては,CPUがボトルネックとなりつつあるFire Strike“無印”を除いて,RTX 4070に13〜21%程度の差を付けている点は立派だ。だがRTX 4070 Tiには,3〜7%ほど差を付けられてしまっている。
 一方のRX 7700 XTは,RX 7800 XTの84〜94%程度というスコアで,RX 6700 XTを11〜21%程度引き離し,RTX 4070といい勝負を演じている。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics score」を抜き出したものとなる。

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 ここではCPU性能の影響がなくなるため,差がより顕著になっているものの,大勢は変わっていない。RX 7800 XTは,RX 6800を4〜14%程度上回るものの,RX 6800 XTには4〜10%程度離されている。また,高解像度になるにつれて,RX 7800 XTとRTX 4070 Tiの差は縮まり,テスト解像度が4KとなるFire Strike Ultraでは,あと一歩のところまで迫っている点は評価できよう。
 一方のRX 7700 XTは,RX 7800 XTの84〜90%程度と総合スコアに似た傾向で,RX 6700 XTを18〜23%程度上回り,Fire Strike UltraでRTX 4070を超えている点は見どころと言えよう。

 GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果がグラフ3となる。

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 Fire Strike“無印”では,CPUがボトルネックとなっているようで,それ以外を見ていくと,RX 7800 XTはRX 6800に17〜20%程度の差を付けて,RX 6800 XTと横並びの性能を発揮している。RTX 4070比でも16〜19%程度引き離しており,Fire Strike ExtremeではRTX 4070 Tiに並んでいる点は優秀だ。だが,Fire Strike Ultraでは,再び7%ほど差を付けられた。
 RX 7700 XTは,RX 7800 XTの77〜78%程度と,総合スコアやGraphics scoreより差が広がっている。これは,Combined testの描画負荷が大きく,地力の差が表れやすくなったためだろう。ただ,それでもRX 7700 XTは,RX 6700 XTに約19%の差を付けて,RTX 4060 Tiを24〜30%程度も引き離している点は特筆に値する。

 次に,DirectX 12世代のテストである「Time Spy」の結果を見ていこう。グラフ4は,Time Spyにおける総合スコアをまとめたものだ。

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 RX 7800 XTは,RX 6800 XTとほぼ同等の性能を発揮しており,RTX 4070 Tiには届かないものの,RTX 4070を3〜5%程度上回っている。
 RX 7700 XTは,RX 7800 XTの88〜91%程度まで差を縮めており,RX 6800をも上回っている点は要注目だ。どうやらTime Spyでは,RX 7800 XTおよびRX 7700 XTは,第2世代のInfinity Cacheが功を奏してスコアが伸びたのではないだろうか。

 Time SpyにおけるGPUテスト結果がグラフ5となる。

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 総合スコアを踏襲した傾向を示しており,やはりRX 7800 XTは,RX 6800 XTと肩を並べ,RTX 4070を約6%ほど超えてみせた。RX 7700 XTは,RX 7800 XTの86〜89%程度と良好な結果を見せ,RX 6800を上回る点も総合スコアから変わりはない。

 もうひとつのDirectX 12のテストとなる「Speed Way」の結果が,グラフ6だ。

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 Time Spy以上に,RX 7800 XTとRX 7700 XTが好調だ。RX 7800 XTは,RX 6800 XTに約6%の差を付け,RX 7700 XTも,RX 6800を約4%ほど上回っている。ただ,それでもRX 7800 XTは,RTX 4070に約18%ほど置いていかれ,RX 7700 XTもRTX 4060 Tiに届いていない。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果(グラフ7)を見よう。

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 RX 7800 XTは,RX 6800 XTに約6%の差を付けるも,やはりRTX 4070には,約9%ほど離されている。一方のRX 7700 XTは,RX 6800からスコアを約8%ほど伸ばし,RTX 4060 Tiには約11%の差を付けた。つまり,RX 7800 XTとRX 7700 XTは,前世代からレイトレーシング性能が向上している点は評価できるが,競合製品に太刀打ちできるかというと,若干懸念が残る。

 もうひとつのレイトレーシングテストである「DirectX Raytracing feature test」の結果が,グラフ8だ。

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 RX 7800 XTはあまり奮わず,RX 6800を約17%ほど上回るものの,RTX 4060 Tiにさえ届いていない。一方のRX 7700 XTも,RX 6800を超えてはみせるが,RTX 4060 Tiとの差は約24%にも達してしまっている。やはり,RX 7800 XTとRX 7700 XTのレイトレーシング性能は,前世代より向上はしているが,若干割引いて捉えたほうがよさそうだ。

 それでは実際のゲームではどうなのか,「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」の結果(グラフ9〜11)を見てみよう。

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 RX 7800 XTの平均フレームレートは,RX 6800 XTを3〜9%程度上回っているものの,RTX 4070とは5〜16%程度の差が付いてしまっている。1パーセンタイルフレームレートも同じ傾向で,高解像度になるにつれてその差が縮まりつつあるのは見物だが,競合製品に対しては,あまりいいところが見せられていない。
 一方,RX 7700 XTの平均フレームレートも,RX 6800に4Kで逆転されるものの,それ以外では7〜9%程度の差を付けている。だが,4K以外ではRTX 4060 Tiに若干届いておらず,世代の差は感じるものの,競合製品に対しては微妙な位置づけだ。

 続いて「バイオハザード RE:4」の結果が,グラフ12〜14となる。

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 RX 7800 XTの平均フレームレートは,フルHDでRX 6800 XTに約5%の差を付けるも,RTX 4070には約7%ほど届いていない。だが,1440pではRTX 4070に追いつき,4Kでは逆転して約7%の差を付けた点は評価できよう。さらに,1パーセンタイルフレームレートでも,AMDが想定する1440pを含めて,それ以上の解像度で2〜9%程度上回っている点は立派だ。
 一方のRX 7700 XTの平均フレームレートは,RX 6800を最大約8%上回り,RTX 4060 Tiに12〜29%程度もの差を付けている点は見どころと言っていい。

 グラフ15〜17は,「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下,CoD MW2)の結果だ。

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 RX 7800 XTの平均フレームレートは,RTX 4070 Tiといい勝負を演じており優秀だ。最小フレームレートを見ても,RTX 4070 Tiとそん色のない結果を残しており,CoD MW2におけるRX 7800 XTのスコアは,かなり威勢がいい。
 その傾向はRX 7700 XTも同様で,平均フレームレートではRTX 4070に迫り,最小フレームレートではRTX 4070を超える結果を出している。RX 6800 XTがRTX 4070 Tiに,RX 6700 XTがRTX 4060 Tiにそれぞれ届いていない点を見ると,第2世代のInfinity Cacheが効果を発揮したベストケースと言っていいだろう。

 続くグラフ18〜20は,「Fortnite」の結果となる。

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 フルHDでは,CPUのボトルネックが近いようで結果が丸まりつつある。そこで,それ以外の解像度を見ていくと,RX 7800 XTの平均フレームレートは,RX 6800 XTに2〜3%程度の差を付けるものの,RTX 4070には届いていない。RX 7700 XTも,RX 6800を超える結果を残してはいるが,やはりRTX 4060 Tiには離されており,バイオハザード RE:4などと似た結果と言えよう。
 なお,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃く,1440p以下の解像度では有意な差が付いていない。そこで4Kを見ると,やはりRX 7800 XTは,RX 6800 XTを超えてみせるも,RTX 4070 Tiに届いていない。一方のRX 7700 XTは,RX 6800に約11%,RTX 4060 Tiに約13%の差を付け,RTX 4070との間に収まっている。

 「God of War」の結果をまとめたのがグラフ21〜23だ。

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 RX 7800 XTの平均フレームレートは,RX 6800 XTと勝ったり負けたりのいい勝負を演じており,RTX 4070にも3〜6%程度の差を付けた。そして,注目したいのが1パーセンタイルフレームレートの結果で,RX 7800 XTはRTX 4070 Tiを凌駕する性能を発揮している。
 RX 7700 XTの平均フレームレートは,1440pでRX 6800に肩を並べるとなど迫る勢いを見せており,RTX 4060 Tiに18〜21%程度もの差を付けた。1パーセンタイルフレームレートの結果が好調なのはRX 7700 XTも同じで,4Kこそ後塵を拝するものの,1440p以下ではRTX 4070 Tiを上回る点は立派。
 God of Warは,もともとGeForceシリーズで1パーセンタイルフレームレートが伸び悩む傾向があり,それにRX 7800 XTとRX 7700 XTの素性のよさが合わさって,ここでは好結果を残したと捉えるのが妥当だろう。

 グラフ24は,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 同ベンチマークはGeForceシリーズへの最適化が進んでおり,Radeonシリーズは,不利な戦いを強いられることが多い。しかし,そんな中でもRX 7800 XTは,4Kでこそ離されたものの,それ以外でRX 6800 XTをわずかだが上回り,RTX 4070 Tiと肩を並べている点は評価できる。
 一方のRX 7700 XTは,RTX 4060 Tiに4〜10%程度の差を付け,1440p以下であればRX 6800とそん色ない結果を残している。スクウェア・エニックスが示す指標ではスコア1万5000以上が最高評価とされており,それに基づくとRX 7800 XTとRX 7700 XTのどちらも,1440pでかなり快適なプレイができそうだ。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ25〜27だ。

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 平均フレームレートは総合スコアを踏襲しており,RX 7800 XTは,1440pであればRTX 4070を約2%ほど上回り,RX 6800 XTと肩を並べている。
 RX 7700 XTは,フルHDでこそRX 6800を超えているものの,解像度が高まるにつれて差を付けられており,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチでは,Infinity Cacheを含めた実効的なメモリバス帯域幅は,あまり影響がないようだ。

 ゲームテストの最後となる「F1 23」の結果が,グラフ28〜30となる。

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 RX 7800 XTの平均フレームレートは,RX 6800 XTから17〜24%程度も高く,RTX 4070と同レベルに収まっている。最小フレームレートでは,RTX 4070に若干の差を付けられているが,描画負荷が大き過ぎる4Kを除けば,その差は2〜3%程度しかなく,かなり踏ん張っている印象だ。
 また,RX 7700 XTの平均フレームレートも,RX 6800 XTを超える結果を残しており,RTX 4060 Tiに12〜19%程度もの差を付けている。RX 7700 XTの最小フレームレートが,RX 6800 XTを上回っている点も見逃せない。


消費電力は置き換え対象より若干増加。独自設計のRX 7700 XTは若干大きめ


 AMDが示す消費電力の目安「Total Board Power」は,RX 7800 XTが263Wで,RX 7700 XTが245Wであり,どちらも定格出力700W以上の電源ユニットの使用が推奨されている。それぞれ置き換え対象であるRX 6800やRX 6700 XTと比較すると,RX 7800 XTは13W,RX 7700 XTは15Wほど,Total Board Powerが増えてしまっているが,はたして実際の消費電力はどの程度なのだろうか。

 そこで,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向が出たGraphics test 2実行中の結果を示している。
 その計測結果をグラフ31に示そう。

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 この結果を見ると,RX 7800 XTはRTX 4070 Tiと同程度で推移しているようで,RX 6800 XTから大幅に消費電力の低減をはたしているものの,RX 6800からは微増しているように見受けられる。
 RX 7700 XTは,RX 7800 XTが大差なく,RX 6700 XTからはやはり消費電力は増えていそうだ。

 このグラフから,最大値と中央値を求めたものがグラフ32となる。

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 RX 7800 XTの中央値は250W弱で,RX 6800 XTから50W近く減っているが,RX 6800からは20W弱増えており,Total Board Powerの数値どおりの結果と言えよう。ただ,RX 7800 XTの中央値は,RTX 4070 Tiより10W弱低いが,RTX 4070から50W近くも大きくなっており,省電力性ではRTX 4070に軍配が挙がる。
 一方,RX 7700 XTの中央値は,RX 7800 XTより大きくなってしまっている。これは,RX 7800 XTがリファレンスカード,RX 7700 XTがASRockの独自設計カードと素性が大きく異なり,クロックアップモデルかつ豪華なつくりという点が消費電力の増加につながっている。逆に言うと,カードの素性次第で消費電力の大小が入れ替わってしまうほど,RX 7800 XTとRX 7700 XTで消費電力に大きな開きはないということになる。

 念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力も計測してみた。
 ここでのテストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点をアイドル時としている。
 その結果がグラフ33だ。

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 ここではピーク値を結果として採用するため,どうしても差が大きくなる傾向が出てしまうが,それでもRX 7800 XTとRX 7700 XTは,大小が入れ替わる場面があり,クロックアップモデルの消費電力の大きさが表れている。また,RX 7800 XTは,RX 6800から約9W低い場面がある一方で,最大約30Wも高く,消費電力はRX 6800より増えてしまったというのはこの結果から見て取れる。
 RX 7700 XTも,CoD MW2実行時でRX 6700 XTから約7W低いものの,それ以外では2〜42W程度増加してしまっている。

 GPUの温度もチェックしておきたい。温度を約24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,基本的にGPU-Zから温度を取得することにした。しかし,RX 6800 XTおよびRX 6800,それにRX 6700 XTの3つは,GPU-Zから温度が取得できなかったため,AMD Softwareから温度の計測を行っている。
 その結果がグラフ34だ。

画像集 No.061のサムネイル画像 / RDNA 3世代のミドルハイGPU「Radeon RX 7800 XT」&「Radeon RX 7700 XT」の実力を探る。RX 7700 XTのコスパは良好だ

 GPUごとに温度センサーの位置は異なり,また,温度の制御法もGPUクーラーも異なるため,横並びの評価に意味はない。それを踏まえたうえでスコアを見ていくと,RX 7800 XTは高負荷時で約76℃と,RX 6800 XTを始めとした前世代とあまり大きな差は見られない。一方のRX 7700 XTは,高負荷時でも63℃と低めで,ASRock独自クーラーが,その冷却性能を遺憾なく発揮している。なお,アイドル時の温度がどれも高めなのは,どのGPUともアイドル時にファンの回転が停止するためだ。

 最後に筆者の主観であることを断りつつ,RX 7800 XTとRX 7700 XTの動作音について触れると,十分静かな印象を受けた。RX 7800 XTリファレンスカードは,RX 6800 XTなどの前世代より静かになっていることは確かで,ケースに入れてしまえば聞こえないレベル。RX 7700 XTは,そのRX 7800 XTより静かで,静音性については申し分ないできだ。


想定売価はRX 7800 XTが8万円台後半,RX 7700 XTが7万円台後半


 テスト結果を大まかにまとめると,RX 7800 XTは,RX 6800からの上積みはかなりあるものの,RX 6800 XT比で見ると,性能の伸びはあまり大きくない。RX 7800 XTというモデルナンバーを見ると,これまでRX 6800 XTや「Radeon RX 5800 XT」からハイエンドというイメージが強いかもしれない。しかし,RX 7800 XTの置き換え対象がRX 6800だったり,AMDが想定するゲームプレイの解像度が1440pであったりといった具合に,AMDがあくまでもミドルハイの位置付けに留めている点は,RX 7900シリーズに次ぐ高性能GPUを期待したいだけに少々残念ではある。
 だが,CoD MW2で見せたように,Infinity Cacheがハマったときの性能には期待が持てるものがあり,AMDによるゲームデベロッパへのアプローチ次第では,今後化ける可能性を秘めていると言っていい。

画像集 No.062のサムネイル画像 / RDNA 3世代のミドルハイGPU「Radeon RX 7800 XT」&「Radeon RX 7700 XT」の実力を探る。RX 7700 XTのコスパは良好だ

 RX 7800 XTの価格は,おおよそ8万円台後半とされており,これはRTX 4070とほぼ同価格帯だ。現時点ではRTX 4070に離される場面も散見されるので,RX 7800 XTに性能面でのアドバンテージはあまり感じられない。今後,価格がこなれて8万円台前半になってくると魅力を増すとは思うが,やはり現時点ではRX 6800ではなくRX 6800 XTからの上積みを見せて欲しかったというのが正直なところだ。

 一方のRX 7700 XTは,RX 4070に届かないものの,安定してRTX 4060 Tiを超える性能を発揮している点は好印象。RX 77700 XTの価格は,7万円台後半とされ,モデルによっては7万5000円を切るものもあるようだ。そのため,価格帯としては,RTX 4070とRTX 4060 Tiの間に位置し,そのちょうど空いたセグメントで存在感を増すことは間違いない。そのため現時点では,ゲーマーにとって,RX 7800 XTよりもRX 7700 XTのほうが魅力的ではないだろうか。

AMDのRadeon RXシリーズ情報ページ

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    Radeon RX 7000

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