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「ヨグ=ソトースの庭」で知られるBone Nailが開発を手がける本作は,同じくクトゥルー神話をモチーフにした世界観に,農業や錬金術,店舗経営といった要素を掛け合わせた経営シミュレーションゲームだ。
外部世界から隔離された「ダイヤモンドの城」に迷い込んだプレイヤーは,錬金術師として工房を経営し,個性豊かな少女たちと交流しながら,この城に隠された秘密へと迫っていくことになる。
「楽園」と称されるこの世界でのゲームプレイは,1日単位で進行していく。日中はシミュレーションパートで,1日を終え日付が切り替わるタイミングでアドベンチャーパートが挿入される形だ。
シミュレーションパートでは作物を育てたり,素材を加工したり,店を経営したり,街を探索したりと,かなり自由に行動できる。一方,アドベンチャーパートは日によって違うものの,単なるキャラクター同士の掛け合いにとどまらない,かなりまとまった分量のテキストを読み進めていくことになる。
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こうして日々を過ごしながら月の終わりを迎えると,とある事情で「ループ」が発生する。つまり,経営シムとしては1日単位で進みながら,物語としては1か月がひとつの区切りになっているわけだ。
シミュレーションパートで自分の手を動かしたあと,日付の切り替わりとともに,腰を据えて物語を楽しむ。この緩急のついたプレイのテンポと,同じ1か月を繰り返すなかで前の周回との違いを楽しめる点が,本作の魅力となっている。
グロかわキュートな「人柴」を植えて経営の拡大を加速しよう
本作の序盤は,畑を管理して素材を加工し,商品を陳列するところから始まる。
そうして一連の流れに慣れてくると,これがルーチン化し,「またこのアイコンをクリックして……」となってくるのだが,そこで登場するのが生産を自動化してくれる労働者ユニット「人柴」である。
この人柴は,人間の頭部が大きな目玉や脳,手などに置き換えられたような異形の姿なのだが……いわゆる「グロかわいい」デザインで,まさに筆者のツボなのであった。不気味さはしっかりと残しながらも,妙な愛着が湧いてくる。
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序盤に一つひとつの作業を手動でこなし,まずはゲームの基本的な流れを理解する。そして施設を拡張して,クリックの手間が増えてきたところで,人柴による自動化が開放されるわけだ。このタイミングが実に絶妙で,プレイのテンポを崩さずに次の段階に進めた。面倒になってきたところで,ちょうどゲーム側が察してくれた感覚なのだ。
また,序盤は比較的テンポよくお金が増えるものの,ゲームを進めるにつれ,同じことの繰り返しでは資金が増えにくくなる。ところが,そろそろ農場や施設の拡張に手を出したい頃に,ちょうど必要な資金に手が届くのだ。この「あと少し」感が心地よく,ゲームバランスの良さが感じられた。
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なお,本作の操作はシンプルで,大部分がマウスだけで完結する。長押しで作物の世話や収穫を連続して行えるのも快適だ。キーボードショートカットも便利なのだが,時間に追われ秒単位の操作を要求してくるタイプではないので,機会があれば使うくらいの感覚で問題ない。
一方,栽培や加工の自動化では,たとえば素材の個数だけでなく,手持ちのアイテムの数も表示してくれたらさらに便利なのに……といったインタフェースの改善点はいくつか見受けられた。このあたりは,今後のアップデートに期待したいところだ。
釣りにブラックジャックまで。待ち時間を潰すミニゲームも
作物の生産や素材の加工は時間経過で進行する。早送りも可能だが,完成を待っている間にもやれることはある。フィールドにある岩石や野草の収集はもちろん,「釣り」や「黄金籠(ブラックジャック)」といったミニゲームが用意されているので,これらに精を出すのも悪くない。
釣りはシンプルな作りだが,魚を釣りながらフィールド内の宝箱も狙おうとすると,ちょっと工夫のいる難度になっている。「黄金籠」も基本はシンプルだが,ゲームを進めていくと特殊な効果を持ったカードが導入されるので,終盤にはかなり違ったゲームになりそうだった。気になる。
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1か月のループが生む“前とは違う”物語
本作のもう一つの大きな柱が,「ダイヤモンドの城とはそもそも何なのか」「記憶を失った主人公はいったい何者なのか」といった,さまざまな謎が解き明かされていく,箱庭ループものの物語としての側面だ。
正直,固有名詞や設定がかなりクセ強なので,世界観に入り込めるようになるには少々時間を要したが,実質チュートリアルといえるループ1周目の終盤に急展開があり,そこで一気に引き込まれた。
個別ストーリーを持つ6人のキャラクターにも,それぞれきちんと見せ場が用意されていて,2周目以降のプレイには力が入ることだろう。
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そして2周目以降には,ループものならではの面白さが待っている。同じ日々をもう一度プレイするわけだが,1周目と同じアドベンチャーパートをただ見直すだけではなく,「今回は何が違うのか」を探しながら見るのが楽しいのだ。
前の周回では何気なく見ていた会話や出来事がどう変化するのか,登場人物の反応に違いはないか,あるいは新しい情報が追加されていないかなど,既知のはずのイベントを「間違い探し」しながらプレイすることで,真相に近づいていく。この感覚は,シナリオになかなかの緊張感を与えてくれる。
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ただ現時点では,日本語の翻訳には若干の不満が残る。
キャラクターの口調が突然変わったように感じられたり,一部のアイテム名などの訳語が統一されていなかったりといったことがままあるので,非常にもったいない。興味がそそられる世界観と,先が気になる物語があるだけに,ここは早急に対応してほしいポイントといえる。
幸いにも,すでにSteam内のお知らせで改善が予告されているので,これを待ちたいところだ。
農場や工房を発展させながら「あと1日」と過ごすうちに,いつしか「前の周回と何が違う?」と,同じ1か月をもう一度過ごしたくなってくる本作。グロかわいい「人柴」や,クセの強いキャラクターたち,そしてクトゥルー神話を思わせる謎めいた世界観と,刺さる人に刺さる要素が満載のタイトルとなっている。
10月7日までは,リリース記念で10%オフセールも行われているので,気になる人はこの機会に,奇妙な城での1か月を過ごしてみてほしい。
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