ゲーマーのためのブックガイド
“剣闘士”とはいかなる存在だったのか。古代ローマ世界の実情に迫る「剣闘士 血と汗のローマ社会史」(ゲーマーのためのブックガイド:第23回)
ゲームにもしばしば登場する剣闘士という職業のルーツを遡れば,古代ローマに辿りつく。奴隷を死ぬまで戦わせ,それを見世物にしていたと聞けばいかにもグロテスクだが,その実情はどうだったのか。本村凌二氏の手になる研究書「剣闘士 血と汗のローマ社会史」から,最新の剣闘士像に迫ってみよう。
ロンドンの霧に包まれた謎の武術を解き明かす「シャーロック・ホームズの護身術 バリツ」(ゲーマーのためのブックガイド:第22回)
シャーロック・ホームズが操る武術“バリツ”をご存じだろうか。ボクシングのようでもあり,柔術のようでもあり,ときに杖を振るって戦う,この謎の武術は,シャーロキアンの間でも長らく議論の的であった。それをついに解き明かしたのが,今回紹介する書籍「シャーロック・ホームズの護身術 バリツ」である。
AI時代に立ち向かうSF作家たちの夢と幻想と現実認識「AIとSF」(ゲーマーのためのブックガイド:第21回)
日進月歩で進化し続けるAI技術。良きにつけ悪しきにつけ,我々はAIとのうまい付き合い方を考えていかなくてはならない節目にある。そんな時代を生き抜くために,我々は何を読み,何を考えればいいのだろうか。本稿ではそんなあなたに贈りたい,早川書房の国産SF短編アンソロジー「AIとSF」を紹介する。
おぞましいのに心惹かれる,そんなホラーの構造を解明する「ホラーの哲学」(ゲーマーのためのブックガイド:第20回)
ジャンルとしてもすっかり定着した感があるホラーゲーム。実況動画の隆盛と相まって,ますます人気を博する同ジャンルだが,その面白さの秘訣はどこにあるのか。それを分析した書籍「ホラーの哲学 フィクションと感情をめぐるパラドックス」を,今回は紹介してみたい。
ファンタジーの源流を辿る旅「愛蔵版 英雄コナン全集」(ゲーマーのためのブックガイド:第19回)
ここ最近,いわゆるハイ・ファンタジーの元気が良いようだ。そんな中,いわゆる“剣と魔法のファンタジー”を切り拓いた作品が,新紀元社から復刻を遂げた。2024年8月2日に「覇王篇」が発売され,無事完結を迎えた「愛蔵版 英雄コナン全集」全4巻がそれである。本稿では,この記念碑的な作品を取り上げる。
ゲーム世界の現実への浸食を描くライトノベル「デモンズ・クレスト」(ゲーマーのためのブックガイド:第18回)
今回の「ゲーマーのためのブックガイド」のテーマは「デモンズ・クレスト」。「ソードアート・オンライン」シリーズの著者として知られる,川原 礫氏が贈る新シリーズだ。本作はウェブトゥーン(縦に読むデジタルコミック)の原作という位置づけだが,小説単体として完成度の高い作品となっている。
典型的な西洋魔術師の誕生の真相に迫る,エンタテイメント性に優れた古典「魔術師マーリン」(ゲーマーのためのブックガイド:第17回)
魔術師と言われてすぐに思い浮かぶのは誰だろう? ハリー・ポッター? 「指輪物語」のガンダルフ? だが,そんな面々の原型となった英国のマーリンを忘れてはならない。そんなマーリンの実態に手軽に迫ることができる一冊「西洋中世奇譚集成 魔術師マーリン」を,今回は紹介してみたい。
ダマスカス鋼の複雑な刃紋に魅せられる「世界で一番美しい包丁の図鑑」(ゲーマーのためのブックガイド:第16回)
料理にまつわる本というのは,たいていが美しい。そうでなければ美味しそうに見えないのだから当たり前だが,今回はその道具のほう――包丁について掘り下げた本を紹介したい。ティム・ヘイワード著の「世界で一番美しい包丁の図鑑」には,コレクターである著者の愛情と哲学が詰め込まれている。
ドミノ倒しのような目まぐるしいドタバタ展開が魅力のパニックコメディ「ドミノin上海」(ゲーマーのためのブックガイド:第15回)
「ゲーマーのためのブックガイド」第15回で紹介するのは,恩田 陸さんのパニックコメディ小説「ドミノin上海」。25人の主要人物とアウトローなパンダなどの不可思議な3匹の動物たちによる複数の出来事がドミノ倒しのように連鎖していく,スピーディな展開が魅力の一冊だ。
歴史改変にマジック,競走馬の血統。さまざまなテーマと表現で“時間”を描く中短編を収めた「嘘と正典」(ゲーマーのためのブックガイド:第14回)
大巨編の歴史×空想小説「地図と拳」が大きな話題となっている小川 哲さんは,“ジャンルにとらわれない作風”が魅力のSF作家だ。そんな小川さんの作品世界に飛び込むのにオススメしたいのが「嘘と正典」。時間を共通のテーマとした6編の中短編を収録した作品集だ。
「ホグワーツ・レガシー」をより深く知るための,ハリー・ポッターと“魔法ワールド”の関連書籍(ゲーマーのためのブックガイド:第13回)
「ゲーマーのためのブックガイド」第13回で取り上げるのは,J・K・ローリングさんの小説「ハリー・ポッター」シリーズから生まれた魔法ワールドの関連書籍。発売前からSNSなどで大きな話題となっている「ホグワーツ・レガシー」をより深く知るための書籍をいくつか紹介しよう。
攻略感覚で楽しめる戦国“スパイ”小説「城をひとつ―戦国北条奇略伝―」(ゲーマーのためのブックガイド:第12回)
歴史小説にもいろいろあるが,アツいのはやはり戦国時代と幕末だ。今回はそんな戦国ものの歴史小説「城をひとつ―戦国北条奇略伝―」を紹介したい。後北条氏に仕えた武将・大藤信基とその子孫が主人公の本作だが,テーマとなるのは戦ではなく城攻めに至るまでの潜入調略。つまりスパイものの歴史小説なのだ。
“カントリーライフ”を,ちょっと変わった視点で描いた一冊「脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの」(ゲーマーのためのブックガイド:第11回)
「ゲーマーのためのブックガイド」第11回は,本坊元児さんの「脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの」。見知らぬ土地で農作業や家畜の世話をし,近隣の町や村の人々と交流しながらカントリーライフを体験する――近年,一つのジャンルと言える広がりを見せている農業/牧場生活SLGだが,そんなカントリーライフの現実(?)を,ちょっと変わった視点で描いた一冊だ。
DEATH STRANDING 2(仮称)が発表された今あらためて読みたい,安部公房「無関係な死・時の崖」(ゲーマーのためのブックガイド:第10回)
新作「DEATH STRANDING 2」(仮称)の発表で盛り上がる今だからこそ紹介したい一冊が,安部公房の短編集「無関係な死・時の崖」だ。DEATH STRANDINGのベースとなる部分に影響を与えたという「なわ」を含む10編を収録した一冊で,(安部公房の作品としては)比較的読みやすい作品が揃っている。
現実を変容させる第2世代のサイバーパンク「スノウ・クラッシュ」(ゲーマーのためのブックガイド:第9回)
「サイバーパンク2077」がリリースされたことで,改めて注目を集めるサイバーパンクジャンルだが,その発祥は1980年代に遡る。コンピュータ・テクノロジーの発展と共に歩んできたフィクションとしてのサイバーパンクだが,ときに現実の側にも影響を与えてきた。今回は,そんな作品の代表作ともいえる1992年の小説「スノウ・クラッシュ」を紹介する。
ゲームで競馬に興味を持った人に今オススメしたい競馬小説「黄金旅程」と「ザ・ロイヤルファミリー」(ゲーマーのためのブックガイド:第8回)
「ゲーマーのためのブックガイド」第8回は,ゲームで競馬に興味を持った人に,今オススメしたい競馬小説。史実とはまた違った面白さや楽しみ方がある,馬産地を舞台に1頭の競走馬に夢を託した人々を描いた「黄金旅程」と,G1制覇を目指す馬主の物語を独特の視点で描く「ザ・ロイヤルファミリー」を紹介しよう。
ゲーマーのためのブックガイド:第7回「シャーロック・ホームズの建築」
どんな物語でも,舞台となる場所がある。では,かの名探偵シャーロック・ホームズの物語に登場する世界一有名な住所・ベーカー街221Bとはどんな場所なのだろうか。今回はそんな疑問に答えるシャーロキアン必携のガイド本「シャーロック・ホームズの建築」を紹介しよう。
「“無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術」は,現実でもサバイバルを生き抜こうという人にオススメの一冊(ゲーマーのためのブックガイド:第6回)
ポストアポカリプスものやサバイバルゲームをプレイしたことでサバイバルに興味を持ち,「来るべき(?)終末世界に備えて生存術を身に着けたい!」と思っている人もいるだろう。リアルでもサバイバルを生き抜こうという人にオススメなのが「“無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術」だ。
ゲームデザイナー,ゲームマスター必携の一冊「コボルドのRPGデザイン」(ゲーマーのためのブックガイド:第5回)
「ゲームデザイン」を銘打った書籍はさまざまあるが,RPGに特化したものは珍しい。「コボルドのRPGデザイン」はテーブルトークRPGのデザインやシナリオ作法について,実績豊かなデザイナー陣が自らの試行錯誤に基づいた方法論を詳細に綴ったマニュアル本だ。まさしくゲームマスター必携の一冊となっている。
ゲーマーのためのブックガイド:第4回「ドクター・ストレンジ:プレリュード」
「マーヴル・スーパーヒーローズ」に登場したことで,日本のゲーマーにもよく知られたシュマゴラスは,マーベルヒーローの中でも長らく誤解に塗れてきたキャラクターである。マイナーヴィランとされる彼は,どういう来歴で生まれてきたのか。原典となるコミックが収録された「ドクター・ストレンジ:プレリュード」から,その活躍を紐解いてみよう。
各社文庫の夏フェア対象作品で,ゲーム好きに手に取ってほしい5冊(ゲーマーのためのブックガイド:第3回)
「ゲーマーのためのブックガイド」の第3回のテーマは「各社文庫の夏フェア対象作品で,ゲーム好きに手に取ってほしい5冊」。新潮社,集英社,KADOKAWAがそれぞれ実施している夏の文庫フェア(2022年版)の対象作品からピックアップして紹介しよう。
「日本デジタルゲーム産業史: ファミコン以前からスマホゲームまで」を紹介する,ゲーマーのためのブックガイド:第2回
世界で初めてコンピューターゲームと呼び得るものが生まれたのは,1952年のアメリカだと言われる。だが果たして,ここまで発展するまでの間にはどんな歴史があったのだろう? 「ゲーマーのためのブックガイド」第2回は,日本におけるコンピューターゲーム産業の歴史をまとめた「日本デジタルゲーム産業史」を紹介する。
ゲーマーのためのブックガイド:第1回“ゲーム好きに刺さりそう”な本屋大賞2022のノミネート作品「残月記」「硝子の塔の殺人」「同志少女よ、敵を撃て」
「ゲーマーのためのブックガイド」は,ゲーマーが興味を持ちそうなテーマの本や,ゲームのモチーフとなっているものの理解につながるような書籍を,ジャンルを問わず幅広く紹介する隔週連載だ。第1回は,「本屋大賞2022」のノミネート作品の中から,“ゲーム好きに刺さりそうな3冊”を紹介しよう。