インタビュー
8年間,悲喜こもごもいろいろなことがありました。「ラグナロクオンライン」8周年特別企画,RO歴代関係者に集まってもらい座談会を開いてみました
その後,5月に私が引き継いでからは,とくに致命的なトラブルはありませんでした。個人的に一番危険だと思っていたのは,9月に攻城戦が実装されたときですね。携帯電話での攻城戦は,ハードや通信に制限があるので,どれぐらいのものをやれるのか心配していたのですが,実装後も特に目立ったトラブルもなくスムーズに進んでまして,むしろ荻原が異動してから順調になったというか……。
荻原氏:
そこに至るまでに,結構バグとか取り切ったんですよ!(笑)
4Gamer:
その努力の成果が出たわけですね。ちなみに,攻城戦は何人ぐらいで戦っているんですか。
荻原氏:
だいたい5-10人ぐらいのギルドがいくつも手を組んで,入り乱れて戦っている感じですね。
4Gamer:
携帯電話でそこまで攻城戦ができるというのは,改めて考えてみるとすごいですね。小さな携帯電話での操作は,ちょっと大変そうだなと思いますけど。
荻原氏:
我々もテストプレイを重ねてきましたが,実は私は携帯電話での操作はうまくできないんですよ(苦笑)。プレイヤーのみなさんの動きを見ていると,どうやったらそんなにうまく操作できるのだろうと常々思ってます。
攻城戦の正式実装前には,高レベルのプレイヤーさんを集めて,先行体験会というのを行ったんですよ。そのときのプレイヤーは200〜300人ぐらいだったかな。平日のお昼,12時台に先行体験会をやりますと告知を出したんですよ。ただ,いきなり多数のプレイヤーさんが集まるのは,負荷などで危険だと思い,そんなに人が集まらないであろう時間を狙いましたが,結果的には,約250人も集まっていました。
4Gamer:
みんな,昼ご飯を片手に遊んでいたのかもしれませんね(笑)。
荻原氏:
攻城戦以外にも,モバイルだとこうした方が使いやすいよね,という要素はちょこちょこと加えていたのですが,7月7日にモバイルオリジナルのラングラッツという街を実装(関連記事)させていただいて,やっとメジャーアップデートとして,PC版にはないモバイル独自のものが入りました。
4Gamer:
攻城戦が実装されたとなれば,ROと同様の順番で次は2-2次職の実装か,と期待しているプレイヤーさんも多いと思うのですが。
横内氏:
そうなんですよね。本家のPC版ですでにもうご存じなので,これはまだか,これはまだかと要望はたくさんいただいています。
荻原氏:
前向きに,ということで。
横内氏:
キャラクターの成長要素は,MMORPGには欠かせないものです。2次職も夏に実装されたということで,じゃあ次は……と言われたら,そう遠くはない時期に入れたいなと考えています。
4Gamer:
なるほど。それでは,Android版はどのような感じなのでしょうか。
すでにサービスは開始されましたが,ソフトバンクモバイルさんのGALAPAGOS SoftBank 003SHなどにアプリがプリインストールされています。
内容は基本的にROMSのものを踏襲しつつ,キャラクターは新規で描き直し,1次職グラフィックも追加したことで,PCのグラフィックに近くなっています。一番違うのは操作性ですかね。マウスのポイントと同様に,タッチで操作できるモードは入っているんですけども,十字キーや決定ボタン,ショートカットボタンなどのヴァーチャルパッドのようなものを使うゲーミングモードを実装しました。
Androidは,携帯電話より小さいサイズや,逆にタブレットサイズなどさまざまな大きさの端末がありますが,ハードウェアキーがついていない端末が多いです。そのため,操作領域が小さい端末で,タッチで操作してると,指で自分のキャラクターが見えなくるのは避けたくて,「ゲームをやってる」というタイプの入力方法も用意しました。PCのROはマウスでクリックを前提としたゲームですが,モバイルはプレイフィールがコンシューマゲームっぽいゲームとして楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
ちなみに,iモード版とAndroid版のサーバーは共有なんですか?
荻原氏:
共有はできる状態にはなっているのですが,サーバーは今回分けています。携帯電話で,ROMSを結構遊びこんでいるプレイヤーさんもいますし,レベルやアイテムなど新規プレイヤーさんとのギャップが大きいというのもあります。それならば,スタート地点も操作感などの仕様もまったく同じの,Android版だけのサーバーで遊んでもらおうという形になりました。
荻原氏:
共有は,技術上まったく問題ありません。実際にテストサーバーでは,iモード版もAndroid版も一緒に遊べる環境になってます。ただし端末的な側面からすると回線やUI周りなどの問題が出てきますし,一緒にプレイできることが,必ずしも良い効果だけを生むのかに関しては難しいところだと思います。逆に割り切って一緒にしちゃうって選択肢もあるんですけどね。
4Gamer:
通常のサーバーとは別に,共有サーバーを立てるという選択肢はないんですか?
荻原氏:
もし,やるとしたらそちらですね。攻城戦なのか,普通に狩るマップなのか……。一度,イベントやキャンペーンという形で試してみたいとは考えています。ただ,Androidユーザーはイノベーターがほとんどで,まだまだ携帯電話ユーザーがマジョリティです。ですので,Android版のプレイヤーが増え,iモード版と同程度にキャラクターが成長するのは,まだ先だと考えていますので,今はさまざまな楽しみをご提供することを重視していこうと思っています。
もし,プレイヤーさんの側からサーバー統合がアリだよねという声が高まってきたら,前向きに考えていきたいですね。
4Gamer:
いろいろなキャリアやプラットフォームで,同じサーバーで遊べるようになれば,いろいろな環境からプレイできるので,プレイヤーには喜ばれると思います。お話を聞いていると,ROMSはブラウザでも遊べそうな気がしてきます。
荻原氏:
Androidの場合,Flashの10.1以降対応だったりとか,Android OS2.3の登場など,OS自体もすごい速さで開発されています。ROMSをそのままブラウザでということは難しいですが,こういった技術の進歩に合わせて,Android上のブラウザなどでの実現性は見えるかなと言った感じですね。
4Gamer:
ではもうひとつ。「ラグナロクオンライン2」(以下,RO2)はいつごろ発表できるようになるのでしょうか。
先日の「G-Star 2010」でB2Bでブースを出していましたが……。
4Gamer:
すいません,行ったときにはお聞きできる人が誰もいなかったらしくて。うまく連絡が取れないままになっていたようですね。
飯野氏:
私達も現地にいたんですが,ほかの作品を見に行っていて,後になって「取材が来てましたよ」とは言われました。ちょうどすれ違っていたようですね。
RO2に関しては,韓国で今後どうなっていくのかを見守らないといけないと思っています。一度途中まで進めていて止めた経緯もありますので,二度と同じことはしたくないと思っています。ですから,いまの段階でやりますとか,やりませんとかは,正直,軽々しく言えません。これがまっさらなタイトルでしたら「韓国で始まったから期待してくださいね!」と言えるんですが,そういうわけにはいかないので,一つ一つ状況を判断していきたいと思っています。
韓国の方では,すでにサービスに向けて動いているので,2011年のどこかのタイミングで正式サービス化を考えているはずです。それを見ながら,私達も検討していきたいかなと思っています。おそらく,韓国では2011年の5〜6月頃に発表されているんじゃないかな? そこから日本でどうなのかということで,まだまだこれからですね。
9年目,そしてさらに先を目指すRO
4Gamer:
それでは最後に,ROの長期的な展望や取り組んでいきたいことを教えていただければ。
Rocca氏:
日本では今年,3次職アップデートが行われましたが,韓国でもROは約10年続いているコンテンツとなっていますので,次にプレイヤーのみなさんにどう遊んでいただくかを考えた新しいシステムなどが追加されていきます。すでに発表されているように乗り物に乗れるとか,アバター的なところを強化して背中に羽が生やせたりするなど,さまざまな方向に拡張させていこうというのがあります。それと並行して,既存コンテンツの強化を考えています。
4Gamer:
それは3月のカンファレンスで発表していた,イズルード海底神殿6Fとそこに登場する新しいMVPボスなどですか?
はい。いまおっしゃったように,一つはイズルード海底神殿6Fや生体工学研究所の拡張といった,日本から「こういうものを実装しないか」というアイデアを出して,それをGravityに検討してもらうというものです。このアイデアが取り入れられた場合は,日本独自のコンテンツとしてではなく,マップの拡張という形で各国に実装されていきます。
もうひとつは,日本独自の,社内で制作できるようなコンテンツ……,例えば冒険者アカデミーやオリジナルのストーリークエストなどがあります。この二つを軸として,プレイヤーさんに楽しんでいただけるものを提供していきたいなと考えています。
4Gamer:
なるほど。
Rocca氏:
ROは正式サービスから9年目に入りました。今後も,10年,20年と運営を続けさせていただきたいと思います。そうなってくると,長く続いてきた作品ならではの,プレイヤーさんとのROとの関わり方が出てきますね。
最近,数件続いたお話なのですが,ROで出会ったプレイヤーさん同士がご結婚なされるというご連絡をいただいています。「ROのおかげで出会うことができました。ありがとうございます」といった投稿やメールをいただくと,その方たちの人生に関わることができるようなゲームを,長く運営できてよかったなと感じます。
これが10年,20年続いていくとお子さんと一緒に遊ばれたり,リタイアしてからご年配の方々が遊ばれたりするかもしれません。そういった方々にも,長く,そして安心して遊んでいただけるようなゲームにしていきたいと思っています。ちなみに,ご結婚のご連絡をいただいた方には,こちらから祝電などを送らせていただいています。
4Gamer:
式場にですか?
Rocca氏:
ええ,先日は「ウチのギルドのカップルがリアルで結婚することになりました。彼らにサプライズプレゼントを贈りたいので,運営チームから祝電を頂けませんか」というお問い合わせというか,ご相談があったんですよ。それでは,ということで祝電をご用意させていただきました。もちろん,ご本人達から連絡をいただいた場合も,可能であればご祝電をお送りしますというお話もさせていただきます。そんな広がりが最近あるのも,長くサービスを続けてこられたからかなと思います。
4Gamer:
公式サイトに祝電ボタン作っちゃったらどうでしょう(笑)。
Rocca氏:
お名前や会場などを書くフォームを作ったりして,ですね(笑)。それはともかくとして,こちらとしてもこういった嬉しいお話は,喜んで対応させていただこうかなと思っています。
飯野氏:
そういった方々を,これからもたくさん送り出せるように,末永く運営を続けていきたいですね。
4Gamer:
綺麗にまとまりましたね(笑)。本日は,お忙しいところ本当に長い時間ありがとうございました。これからのご活躍にも期待しています。
話しも話したり,約4時間。楽しかったことや辛いことを思い返しながら,懐かしさに目を細めながら,思い出を語ってくれたガンホースタッフの面々。座談会中は,ちょっと筆者にも熱が入ってきたのか,ややインタビューっぽくなってしまったのだが……,あのころは立場的に,また時期的に公表することができなかった,いまだからこそ話せる内容が飛び出した有意義な座談会になったのではないだろうか。ここまで読んだプレイヤーの中には,かつての思い出が蘇った人も多いだろう。しばらくROから離れていた人は,昔の仲間に会いたくなったのではないだろうか。
BOTがワールドを闊歩していた時代には,プレイヤーとガンホーとの間にかなりの確執があったように思えるが,その後のBOT対策など,目に見える形で実績を積み重ねることによって,今はかなり良好な関係が築けてきたのではないだろうか。良かったことも悪かったことも,そのすべてを糧に来年,そして再来年,さらに10年20年先まで運営を続けていくという意気込みを力強く語ってくれたスタッフ。日本で8年以上もサービスが続いているオンラインゲームは,それほど多くはない。そのROが今後,どのような施策を打ってくるか,どんな発展を見せてくれるか楽しみだ。
――2010年12月13日収録
「ラグナロクオンライン」公式サイト
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