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プリストンテール
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なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
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印刷2009/04/17 12:12

インタビュー

なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた

グローバルサービスから日本でのサービスへ移管され,活気を取り戻したリカルデンの街
画像集#011のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
 今をさかのぼること7年前の2002年10月,ツイムネットの運営によって日本での正式サービスが開始されたMMORPG「プリストンテール」は,その後,日本モリア,C&Cメディアと何度も運営移管を余儀なくされた不遇のタイトルだ。
 そんなプリストンテールが,新たに日本サービス独占ライセンスを獲得したアラリオによって,4月2日にはオープンサービスという形で日本での復活を遂げ,4月16日からは正式サービスを開始するに至ったのだ。かつて遊んだ人や,グローバルサービスでプレイし続けていたファンには嬉しい展開だろう。
 一方で,やはり気になるのは,なぜプリストンテールを復活させることになったのかということだ。誤解を恐れずに言うならば,何度か“ケチがついてしまった”タイトルといえる本作である。その本音と,復活にかける本気を同社マーケティング担当島吉誠氏とゲームプロデューサーユ・ヒョンジュン氏の2人に聞いてみた。

「プリストンテール」公式サイト



プリストンテールを支え続けるコアプレイヤーの存在


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。いろいろと答えづらい部分もあるとは思いますが,まずは過去に何度も運営会社が変わるといういささか不幸なタイトル,「プリストンテール」をなぜアラリオの元で復活させることになったのか。その理由を教えてください。

画像集#004のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
島吉誠氏(以下,島吉氏):
 理由はいくつかあります。まず,弊社では現在,FPSの「クロスファイア」,カジュアルレースゲームの「ドリフトシティ」,フライトシューティングの「エースオンライン」の3タイトルをサービスしていますが,どれもいわゆる正統派MMORPGではありません。どちらかと言えばユーザーを選ぶコアなジャンルばかりで,今後サービスラインナップを増やすうえで,やはり純MMORPG作品を運営したいという考えはありました。
 将来的な話になってしまいますが,やがては新規MMORPGのサービスを手がけることになるかもしれませんので。

4Gamer:
 なるほど,新規MMORPGを視野に入れているのですか。では,将来的にMMORPGを運営する可能性を考慮して,プリストンテールで“MMORPG”のイロハ運営を学んでおきたいという考えもあったのですね。

島吉氏:
 それは否定できない部分ですね。では,なぜプリストンテールなのかという点については,おっしゃるとおり,これまで幾度も移管を繰り返した不遇のタイトルではありますが,サービス初期からずっと遊び続けている古参プレイヤーが多くいました。その方々に,よりよい環境が提供できれば,もっとこのタイトルを楽しんでもらえるのではと思ったのが理由の一つです。

4Gamer:
 サービス初期というと,6,7年プレイしているコアプレイヤーな人がいるわけですね。そうすると一定数のプレイヤー数が約束されるというビジネス的な理由も想像できそうですが。

島吉氏:
 もちろん,メーカーにとって,それは無視できない要素です。

画像集#008のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
ユ・ヒョンジュン氏:
 ただ,それが大きな理由だというわけではありません。プリストンテールは韓国で2001年にサービスが始まった古いゲームにも関わらず,非常に良質な作品です。私自身も韓国にいたとき実際にプレイしましたが,プレイヤーが積極的にゲームと関わって盛り上げ,引っ張っていく稀有なタイトルなのです。
 システムは少々古臭いですが,単純なクリックゲーとは異なる戦闘など,プリストンテールならではの魅力をきちんと持っている。だからこそアラリオで復活させたかったんです。

4Gamer:
 並々ならぬ思い入れも,復活の要因にあったわけですね。

島吉氏:
 そうですね。話しを戻しまして,そういった古参プレイヤーの方々は,今もなお大きなクランを維持していますし,プリストンテールのファンサイトを管理している方もいます。それぐらいプリストンテールはプレイヤーに愛されていて,コミュニケーションとコミュニティというMMORPGにとって大事な要素がしっかり根付いているタイトルなのです。

オープンサービス直後に開催されたGMイベントの様子。プリストンテールの復活を祝って,多数のプレイヤーが参加
画像集#020のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた


グローバルサービスと日本ユーザーとの距離感
修正されなかった攻城戦「ブレスキャッスル」


4Gamer:
 なるほど。では,過去のプリストンテールには一体何が足りなかったのか。また,これからアラリオがその部分をどう埋めていくのかを聞かせてください。

画像集#010のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
島吉氏:
 やはりグローバルサービスという特殊な状況が一因だったのではないでしょうか。日本を対象にサービス展開しているわけではないため、プレーヤーとの言葉によるコミュニケーションも難しかったでしょうし……。
 実は先ほどお話したようなコアプレイヤーさんに,事前に連絡をとりまして,現在のグローバルサービスがどのような状況なのかをお聞きしました。それによると,やはりコミュニケーションの難しさが挙げられたのです。

4Gamer:
 グローバルサービスでは,当然英語が中心になるでしょうね。

画像集#009のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
ユ・ヒョンジュン氏:
 はい。そのため,プリストンテールの重要なコンテンツ要素である攻城戦でバグが発生していても,なかなかグローバルサービスでは認識できないという状況が発生していたようです。日本のプレーヤーがメッセージを送っても言葉の壁があります。
 実際に弊社でのサービス決定が発表されて,既存のプレイヤーの方からは「新しいコンテンツの追加でなくてもいい,今ある問題を修正して,とにかく普通に遊べるようにしてほしい」という要望が寄せられたほどです。

4Gamer:
 それは,プレイヤーにしてみると切実な問題ですね。

ユ・ヒョンジュン氏:
 また,アンケート調査を行い,プリストンテールをやめてしまった理由をたずねたところ「本当はプレイしたかったけれど,なかなか不具合が修正されず,グローバルサービスではコミュニケーションが困難なため,嫌になってやめてしまった」という回答もありました。

4Gamer:
 なるほど,その気持ちも分かります。では,アラリオとして,まずはそれらバグの修正から手をつけていくわけですか?

島吉氏:
 そうですね。まずは致命的な問題の修正を手始めに,可能な限り,プリストンテールを良くするためのアップデートを弊社では実現していきたいです。

ナビスコの街にあるインスタントダンジョン「ベラトラ」への入り口。グローバルサービスではシステムの不具合で開始されることがなかった
画像集#013のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた 画像集#012のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた

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攻城戦「ブレスキャッスル」の専用マップ。こちらも同様に,グローバルサービスでは不具合で開始されることがなかったが,アラリオに移管されたあとは,毎週土曜日に20:00〜22:00の期間で実施中だ。その不具合の多さから,GMがモニタリングしながらの運用が行われている
画像集#017のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた 画像集#018のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた


新たな運営を得て動き出すプリストンテール
夏には大型アップデートを予定


4Gamer:
 しかし,実際にアップデート内容を開発するのは,韓国のYedang Onlineですよね。単純に7年前の古いタイトルであるという点を考えると,開発会社が積極的に日本サービスに協力するとは考えにくいのですが。

画像集#005のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
島吉氏:
 そこはご安心ください。今年の夏には大型アップデートの実装を予定しています。

4Gamer:
 さっそく夏に大型アップデートを準備しているのですか。


ユ・ヒョンジュン氏:
 ええ,準備しています。実は,つい先日まで私は韓国に出張していたんですが,Yedang Online側でもこれまでプリストンテールが日本にうまく根付かなかったことを気にしていました。たびたび運営が変わったため,韓国版には実装されているさまざまな要素が,まだ日本でのサービスに対応できていないことを彼らもよく理解しています。

4Gamer:
 グローバルサービスでは,アップデートは行われたのでしょうか?

ユ・ヒョンジュン氏:
 移管を繰り返したという事情もあり,日本サービスが終了して1年以上が経過していますが,アップデートは行われませんでした。当然,未実装のアップデートも多くなっています。1年以上アップデートがないというのは,オンラインゲームではあり得ない状況です。今後アラリオでは,可能な限りアップデートを重ねて,年内には韓国と同じバージョンに追いつきたいと考えています。

4Gamer:
 分かりました。では夏の大型アップデートは,どのような内容が実装されるのか教えてください。

エントリーサイトで実施していたイベント,「メモリアルアバタープレゼント」の賞品。このような日本独自のアイテムも随時実装を予定しているという
画像集#021のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
島吉氏:
 新マップとダンジョン,それにあわせた新モンスターの実装などが挙げられます。例えばLv.100以上対象のマップ,アイテム生産や精錬システムが入る予定です。
 そのほか,今後のアップデートについてもお話しておきましょう。細かな内容になりますが,ゲーム内のポーションのドロップ率の向上,攻城戦の復活の2点は確実に行います。もう少し先の予定としましては,例えば新規プレイヤーに上級プレイヤーがゲームシステムなどを教えるとき,「先生」と「生徒」として登録すると特別なアイテムがもらえるようなサポートシステムを企画しています。もちろん企画段階なので,実装をお約束できるものではないのですが。

ユ・ヒョンジュン氏:
 季節イベントなど運営側で解決できるものは,可能な限り実現します。グローバルサービスは当たり前にできるべきことができない,という環境でした。そこは必ず直しますので,ぜひ期待してください。

4Gamer:
 やはり日本運営による,日本の季節イベントがあるのは喜ばしいですね。コミュニティの活性化にも繋がります。

島吉氏:
 そうですよね。コアプレイヤーからの「満開の桜が見たい」という要望を受けて,すでにお花見イベントは実施しましたが,これからゴールデンウィークも控えていますし,必ずプレイヤーが楽しめる何かを行いますから楽しみにしていてください。

オープンサービス直後には,プレイヤーからのリクエストに応えて「さくら満開」イベントが実施。リカルデンとピーライの街に満開の桜が咲いていた
画像集#002のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた 画像集#003のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた

4Gamer:
 分かりました。では最後に,プリストンテール復活を喜びつつも,やはりこれまでの移管の繰り返しで,不安に思っているプレイヤーも居ると思います。そんなプレイヤーが安心できる一言をお願いします。

アラリオでの運営で最後となるように願いが込められているという,プリストンテールのサブタイトル「The Last Stage」
画像集#019のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた
島吉氏:
 復活したプリストンテールには「The Last Stage」というサブタイトルがついています。これは,もう過去のような運営移管は起きない,起こさせない。4度目の正直で最後にしたいという願いをこめています。
 弊社にとっては初の正統派MMORPGの運営ですので,まだまだ頼りないところもあると思いますが,とにかくプレイヤーの声を聞き,意見を取り入れながらプリストンテールを長い間愛してくれているプレイヤーの期待を裏切らないよう,楽しいイベントもどんどん実施していきたいです。

ユ・ヒョンジュン氏:
 プレイヤーからの反応がないことが運営にとっては辛いことです。厳しいご意見でも構いませんので,やってほしいこと,改善してほしいことをぜひ我々に伝えてください。新生プリストンテールはこれから必ず変わります。これまでプレイしてくださったファンの皆さん,新たに興味を持ってくださった皆さん,どうかよろしくお願いいたします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

画像集#007のサムネイル/なぜアラリオは「プリストンテール」を日本で復活させたのか。今後の展開を含めてインタビューしてみた


 日本で最も多く運営が変わったMMORPGという,いささか不名誉な形で名を馳せてしまったプリストンテールだが,アラリオのもとで4月16日より正式サービスが開始された。
 新生プリストンテールには,日本ユーザーの好む傾向をどこまで要望として取り入れられるか,そのための開発元との連携など,課題は山ほど残されている。しかし,この厳しい環境下で7年ものあいだ本タイトルをプレイし続けてくれた愛あるプレイヤーがいる限り,そして彼らの期待に見事に応えることができるなら,「The Last Stage」というサブタイトルは本当のモノになるだろう。


――4月7日収録
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