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[E3 2005#158]モリニュー氏の語る「ブラック&ホワイト2」
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印刷2005/05/23 23:03

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[E3 2005#158]モリニュー氏の語る「ブラック&ホワイト2」

Lionhead Studios社ピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏
 英国クリエイターの大御所ピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏は,毎年のことながら,多忙を極めるE3会期中にはなかなか会うことができない。氏が目下開発中の「ブラック&ホワイト2」(原題 Black & White 2。以下,B&W2)もだいぶ全貌が見えてきたことだし,会期中に直接話を聞きたいと何度かをアポを取ってきたわけだが,ことごとく延期を繰り返して,結局E3の初日,二日目は会えず終い(ただし,本作の新リードデザイナー,ロン・ミラー氏にはインタビューできた。記事は「こちら」)。

 そうこうしているうちにE3も最終日を迎えてしまい,編集部でも"今年はムリかな"と半ば諦めかけていた矢先に,B&W2のパブリッシャであるエレクトロニック・アーツから「10分なら(なんとか)時間がとれる」との連絡が入った。開始時間は最終日の15時(※E3最終日は,ホールの閉まる時間が通常の18時から,16時に繰り上がる)。さすがにたった10分では細かいシステム部分はとても聞き込めないし,他メディアとの合同のインタビューでもある。なのでいっそのこと,細かい部分にあまり口を挟まず,彼の軽妙な語り口で,改めてB&W2をツアーしてもらった。

 予定の時間になりEAのミーティングルームへ行ってみると,ピーター氏は無理なアポにも関わらず,非常に丁寧に我々を出迎えてくれた。リチャード・ギャリオットもそうだが,ゲームクリエイターの重鎮は皆,意外に人当たりがよく,柔らかい物腰だったりするのだ。

■「I'll give you ultimate power」〜Peter Molyneux〜
(私はあなたに究極の力を与えるでしょう)

 まず氏は,モニターを前に本作の大きな特徴であるグラフィックスについて語る。
 最初に表示されたのは海にぽっかり浮かぶ島。この状態からグングンズームアップして,島の点在する村の様子,そしてさらにズームアップして平原の草木,そのまたさらにズームアップして,最終的に一匹の蟻を表示。「私はこのアリが大好きなんだ」といってさらにカメラを動かして,本作のグラフィックスエンジンで描き出せるビジュアルを披露した。
 その後,「こういった技術的な部分も重要だけど,同時に"シミュレーション"の部分も大切だ。人々の暮らしや家畜の様子など,世界のすべてを再現したいんだよ。まずは,チキン(chicken)をご覧に入れようか」と語り,平地にワラワラと鶏とウサギを生成。「私はチキンが大好きなんだ」(編注:たいがいの彼の作品にはチキンが登場する。「Dugeon Siege」のクリス・テイラー氏もチキンが好きだ。クリエイター共通?)と言って,"神の手"を模ったマウスカーソルで,チキンたちを撫でたり,群れの真ん中にポンと人を置いてみたりして,そのときのチキンの反応を見せてくれた。

 ここで重要なのは,その操作方法だ。B&W2には基本的に画面インタフェースに相当するものが存在せず,その操作のほとんどをマウスカーソルのみで行う。氏はこれを「picking up and place」(つかんで,置く)の操作と呼んでいた。自分だけの箱庭をツンツンと突いて反応を見たり,カスタマイズしたりといった操作には確かにこうしたシンプルなインタフェースが助かる。これは「I hate "menu"」という彼の,まさにポリシーであり,前作「Black & White」から継承しているコンセプトである。




 次に見せてくれたのは,本作のキモであり,我々プレイヤー(神)の使いとなるクリーチャーと,物理エンジンのクオリティ。
 「こちら」のインタビューでも少し話が出ているが,本作に登場するクリーチャーは基本的には4種類。ただし,モーフィングテクノロジを使って多くのパターンを生成できるらしい。
 見せてくれたのは知性を持つ牛のようなクリーチャーで,のっしのっしと2足歩行したり,小躍りして住民を楽しませたりしていた。彼は「神はクリーチャーを持つのがルール。確かににクリーチャーは破壊を呼ぶこともあるが,同時に可愛いペットでもあるんだ」と語る。

 物理エンジンについては,まず画面上に兵士を何人か配置して軍隊を作り,その上で巨大な岩を転がす(!)という彼らしいお茶目な方法で披露(ちょっと驚いたのは,軍隊を表示しているの画面。スタッフがササッとなんらかの操作をすると,人間一人一人の名前が表示されていた。そう,全員に名前がついているのだ……)。
 本作では,全能の神となるプレイヤーがいかなる行動を起こしても,ゲームがそれを受け止めてくれる。そのリアクション部分をある程度自動で計算してくれる物理エンジンは,ゲームプレイの面でもまた開発効率の面でも非常に大きな存在だ。

 最後に,氏に本作の"目的"を聞いてみたところ,

「最初は10人の人間の生活を見るだけだが,プレイヤーの行動次第で住民はどんどん増えていく。大地を人で"満たす"のが目的といえば目的だ」

 と語っていた。「StarCraft」や「WarCraft」に携わったロン・ミラー(Ron Miller)氏を迎えて,本作にストラテジー要素やマルチプレイなどの"ゲーム性"を加味してはいっているが,あくまで氏の実現したいゲームは,もっとフェチシズムを刺激するよう"遊び場"を作ることなのだろう。本作ではその要求を満たすかのように,建物や生物を自由に操作したり,また昼と夜を逆転させたりといった,全能の神のみが可能なあらゆる力で,人と環境の反応と様子を見ることができる。氏の言葉を借りれば「神は何でもできるんだ」ということである。

 本作の発売は,(あえて何も言わないが)"できれば"2005年秋とのこと。インタビュー後,モリニュー氏に4Gamerの読者へ向けての一言をもらっているので,簡単な訳を添えて,動画の形で以下に掲載しておこう。(Gueed)

■モリニュー氏の一言(動画)は「こちら」
  (15秒:4.1MB:MPEG)


【訳】
4Gamerをご覧の皆さん,こんにちは。
ブラック&ホワイト2は,皆さんに,神のもつ強大な力を楽しんでいただくために作っています。あなたの望む,どんな神にでもなってみてください。

余談:ムービーのモリニュー氏が右手に木の枝のようなものを持っているのに気付いただろうか。実はこれ,爪楊枝(つまようじ)である。インタビュー中ずっとこの楊枝をカミカミしていた氏が,突然インタビュアーにも同じものを配り始めたのには驚いた。「彼もついにここまできてしまったか」とも思ったが,この爪楊枝はハッカ味のついた嗜好品。「こんなものでもないと,我慢できないんだよ」というのが,ヘビースモーカーで有名な彼の弁。いろんな意味でホッとした。


  • 関連タイトル:

    Black & White 2

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