インタビュー
Cruz del Surはまだ終らない「大航海時代 Online」。新海域が拡張されるChapter4について恒例インタビュー
今回のインタビューを行う直前(5月21日)には,「書籍の連続閲覧機能」と@Webによる商会ショップの閲覧機能(以上5月28日実装済),Chapter4での「貸金庫預入数の拡張」と有料オプションサービスとしての「アカウント共有倉庫サービス」(以上7月予定)が実装されることが発表されており,これはこれでまだ編集部も見ていない機能なので,一緒に聞いておかねばなるまい。
ちょっと長いが,恒例の運営プロデューサー渥美貴史氏と,開発ディレクター竹田智一氏へのインタビューを,ぜひ確認してみてほしい。
Chapter4の前に,冒険者にスポットを当てたかったChapter3
4Gamer:
いつもながら,本日もよろしくお願いします。まずは,Chapter3“Grand Anniversary”やWelcome Seasonアップデートでの変更による,プレイヤーからの反応はいかがでしたか?
やはり多かったのは,早く新海域や新しい冒険の舞台が欲しいということです。本当は前回のインタビューの時点で新海域のことをお話ししたかったのですが,まだもう1ステップ必要でした。
竹田智一氏(以下,竹田氏):
Cruz del Surは,その計画をしているときから,長いスパンでやりたいことがあったんです。プレイヤーのみなさんのお気持ちはよく分かっているつもりですが,もう少しお待ちくださいと謝りつつ,開発に全力を注ぎました。また,ここまで世界が広がってくると,新しくやりたいこともまた広がってきます。ここ最近のアップデートで実装したいくつかの機能は,やはり新海域を入れる前に必要と考えていました。
4Gamer:
新しく追加されたものに対して,新しいアイデアが生まれてくるというところですね。前回のChapter3では,スキルの入れ替えができるスキルブックが導入されましたが,プレイヤーからの反響はいかがでしたか。劇的な変更だったと思うのですが。
渥美氏:
反響は大きかったです。やはり便利になったこともそうですが,多くのスキルを必要とする冒険など,これまでできなかったことができるようになったとよく聞きます。
竹田氏:
冒険だけではなく,生産もこれとこれしかやってなかったけど,これもやってみようと,新たな生産スキルを取る方がいたり,採集などが楽になったので自力で材料を集めたり,加工したりといったプレイヤーの方もいらっしゃいました。今まで砲撃専門だったけど,白兵を試してみたという軍人さんもいます。
スキルブックを使ってスキルを入れ替えできることで,プレイの幅が大きく広がりましたよね。
そういえば,Welcome Seasonでは,アイテム収集系が継続して発動するようになりましたが,これに伴って,1日の継続スキルの発動が600回を超えると,その日は冒険経験値が獲得できなくなりました。これは,冒険者はやっぱり冒険してくださいね,というメッセージなんでしょうか。
竹田氏:
そうですね,採集や探索による冒険レベル上げはもはやマクロ作業のようなプレイになっていました。ゲームとしてはいささか不自然な状態でしたからそのままにしておけませんでしたが,とはいえ,普通のプレイだけで冒険レベルを上限まで上げるのはとても厳しかった。
4Gamer:
たしかに,ほかの職業に比べて,冒険だけでの育成が大変でしたから,採集などで冒険経験値を得たいという気持ちはよく分かります。
竹田氏:
はい。我々もそこに流れてしまう気持ちは分かっていました。そのため,もっとバランスを考えて冒険経験値を増やさないと,純粋に冒険する人が少なくなってしまうだろうと考えたわけです。
渥美氏:
冒険経験値は上げて良かったと思っています。その結果冒険が非常にやりやすくなり,冒険をやっていなかったプレイヤーも,挑戦してくれるようになったようです。
4Gamer:
採集で上げるよりも,クエストと移動での獲得経験値のほうが多くなりましたからね。
竹田氏:
ええ,それと先ほど出たスキルブックの導入によってスキル枠が増えたことも大きかったかなと思います。冒険はスキルを多く使うので,冒険で使えないものをスキルブックに温存して,必要なスキルを取れるようになったことで,冒険がやりやすくなり,冒険者が増えたんだと思います。
渥美氏:
そういった,新たに「冒険」を始めたプレイヤーのみなさんにも,今回新しく開かれた海域では,当然いろいろなものが出てくるのでぜひ冒険を楽しんでほしいです。
竹田氏:
冒険が楽しくなるような施策を,新海域を開く前にやっておきたかったんです。
4Gamer:
なるほど,実際に冒険を始めるプレイヤーが増えていることを考えると,うまく軌道に乗っているようです。商会でも熟練の冒険者について,冒険を始める人などがいます。商会といえば,最近のアップデート以後はコミュニティには何か変化がありましたか。
渥美氏:
そうですね,商会のコミュニティは,公認商会の仕様が充実してきたあたりがターニングポイントで,みんなで商会のランクを維持したり,上げていこうとして活性化されています。また,前回や前々回のChapterでペットやオーナメントを入れたことでも,獲得するために商会のみんなで協力するというような形で楽しんでいただいていますね。
竹田氏:
ほかにも,遠方への買出しツアーや,先ほどおっしゃったように冒険者についていって発見物を見つけようといったツアーも頻繁に行われているようです。
やはり,商会の仲間同士で遊べる目的ができたことは大きいですね。とくにペットやオーナメントは自分で獲得したいというプレイヤーも多い気がします。オーナメントといえば,ジオラマオーナメントが入りましたね。
渥美氏:
はい,ジオラマは開発に相当無理を言って入れてもらいました。
竹田氏:
ただ置くのではつまらないので,一目見ただけでどこか分かるようにかなり大きく作ってもらったんですよ。
4Gamer:
初めて見たときは「おお,まさにミニチュアだ」とちょっと感動しました(笑)。これからも,こういった新しいグラフィックスは入れていきますか?
竹田氏:
入れていきたいですね。アパルタメントはプレイヤーの帰る場所です。誰かに見せるというわけではなくても,自分の部屋といった感じにしたいですし,そういった雰囲気は大事にしたいと考えています。
4Gamer:
そういえば,オーナメントで気になったのが,例えば見た目が同じで,色違いの像などがありますよね。グラフィックスの根本的変更は難しいんでしょうか。
どんどん種類を増やしたいのですが,クライアントのサイズなどいろいろな問題がありまして,次々というのは難しいです。一つ一つ問題を解決して,なるべくご要望にお応えしたいと思っています。アパルタメントに関しては,プレイヤーのみなさんから多くのご要望がきているので,どれから入れていこうかという感じです。
4Gamer:
アパルタメント/家という要素に対して,すごく多くの要望がありそうですねえ。
竹田氏:
そうですね。開発でもいろいろなテストをやっていますので,ご希望に添えればと思います。
4Gamer:
Chapter4では,それらの要望を満たすものは何か入りますか?
竹田氏:
Chapter4に関してはあとでお話しますが,大きな拡張の要望については,今回は新海域を中心に,データを増やすことをメインにしており,新たなオーナメントなども追加されます。このあとまたどこかのタイミングでお応えしていく予定です。もちろん,すぐにポンとできるわけではないですが,ちゃんと開発は進めていますのでご期待ください。
7月23日実装! 南米西側に広がる新海域には,新たな街が登場
4Gamer:
分かりました。ではさっそく,新海域を中心にデータが増えているという,Chapter4について教えてください。先日にも,“新たな冒険の舞台”が広がるというChapter4が7月に実装されるという情報が掲載されました(関連記事)。
アップデートのタイトルは,その名もずばり“Inca”(インカ)で,7月23日の実装となります。今回はアップデートの名前がそのまま内容と直結しているので,プレイヤーのみなさんにも“いよいよ来たのか!”と思っていただけると思います。
今回のアップデートに関しては,長らくお待たせして申し訳ありませんという気持ちでいっぱいです。Chapter2,3とアップデートを重ねるに連れて,プレイヤーのみなさんからは「次の海域は?」という声が多くて,それはこちらも分かっていたのですが,結果的にはじらすことになってしまいました。
4Gamer:
やっときましたねえ。プレイヤーとして素直に嬉しいです。
インカというと,南米西岸のペルー付近ですね。つまり,新海域は南米西側?
渥美氏:
そうなります。例のごとく,こちらをご覧ください。
4Gamer:
太平洋南側のゾーンが縦に三つ完全にオープンになっていますね。これで,南極海を除いた南半球のすべての海域が開放されたということになりそうですね。
竹田氏:
そうなります。まだこの地図上では街が書き入れられていませんが。
渥美氏:
当然新しい海域が入ったということは,新しい街も入ります。ほかにもインカということですので,さまざまな遺跡が登場します。……ところで,インカといえば,どのようなイメージがありますか?
4Gamer:
……数々の遺跡,ですかね。マチュ・ピチュもインカですね。もっともこちらは,発見されたのが1900年初頭くらいなので,大航海時代からはだいぶ外れてしまいますが。
竹田氏:
でも,その頃のマチュ・ピチュの姿はどうだったのだろうという興味はわきますよね。マチュ・ピチュが登場するかどうかはともかくとして。
4Gamer:
なにやら期待させるセリフですね。もちろん,本作の特徴である“時代背景の圧縮”を考えれば,登場する可能性はあるのかなと思うのですが。
竹田氏:
そうですね。大航海時代 Onlineは,かなりいろいろな時代が並列に走っているという感じではあります。
4Gamer:
では,このインカを含む新海域ですが,どれくらい街が追加されるのでしょうか?
竹田氏:
この海域で経済圏が成り立つくらいの数ですかね。メキシコのアカプルコから南米にかけて,ずらっと主要港が入ることになります。
4Gamer:
つまり,中南米西岸だけである程度の数が入るということでしょうか。
竹田氏:
そうです。各港は同盟港なので,投資戦で所有権が争われることになるでしょう。また,そのうちの一つは開拓地になっていて,香料諸島にある開拓地と同じ位置づけになっています。
4Gamer:
なるほど,「テルナーテ」「アンボイナ」と同じような形になるわけですね。
渥美氏:
はい。また,今回は海域が開くということで,プレイヤーの皆様には久しぶりに“勅命”をやっていただくことになります。
4Gamer:
あー,勅命があるんですね。
竹田氏:
はい,忘れた頃に各国の王様から勅命が下ります(笑)。新しい海域を開くときには勅命が出るのですが,今回は勅命を達成した暁には良いことがあるように,と考えているものがあります。
渥美氏:
まず最初の勅命を達成すると,さらに“驚きの勅命”が下るのです。
4Gamer:
最初の勅命というのは,たぶん新海域の入港許可証ではないかと思うのですが……そこからさらに勅命があるんですね。
竹田氏:
はい,勅命が二段構えになってます。南米の西岸はヨーロッパからはとても遠いじゃないですか。
4Gamer:
ええ,南米最南端まで出向く必要があります。
そこで我々もどうしようか悩んだのですが,大変な勅命をせっかくクリアしてもらうわけですし,二つ目の勅命で“国家的な大事業”を発生させます。ヨーロッパから太平洋まで,簡単にいけるようになるようなものです。
4Gamer:
ヨーロッパから太平洋に抜ける……って,アレですか?
竹田氏:
もちろん,タンカーが通れるようなものは無理ですが(笑)。この時代に即した仕組みでできるものを,勅命の中でやろうかな,と考えてます。
渥美氏:
誤解のないように補足しますと,実際に交易品をもったまま移動することはできません。仮に可能になってしまうと,南米の南側ルートに意味がなくなってしまいます。
4Gamer:
そうですよね。ということは,陸路もしくはそれに近い形での移動になるわけですね。
渥美氏:
そうなります。積荷がなければ,このルートを通ることが一番の近道です。積荷を積んだ帰りは,もちろん遠回りのルートになりますが。
4Gamer:
積荷を積んでいれば,交易としてリスクは必要ですよねえ。
渥美氏:
はい。ですので,まずは海域を開くというところを国家で競っていただき,そのあとさらに国家的な大事業を成し遂げていただければと思います。
4Gamer:
なるほど,それはたしかに勅命を成し遂げる価値がありそうです。
渥美氏:
実は,今回は国家事業に関してお話しせずにサプライズにしようかと悩んだのですが,インカのアップデートがいかに大規模なもので,かつ大掛かりなギミックが実装されるということを分かっていただくために,発表させていただきました。
4Gamer:
勅命が達成された暁には,その国のプレイヤーが利用できるようになるという形ですか。
渥美氏:
そうです。早く達成できた国のプレイヤーは便利になるわけです。
竹田氏:
また,以前からの勅命の不自然さを改善するために,ほかの国とは無関係に到達度が上昇するようにしようと考えています。現在の中枢都市と同じような仕組みになります。
4Gamer:
つまり,その国のプレイヤーが頑張れば,ちゃんと報われるということですね。
竹田氏:
はい,頑張っても蹴落とされることはありません。
渥美氏:
そういう意味では,前回の勅命は他国の足を引っ張るという要素があったので,とても辛口な味付けでした。今回は,そのへんをなくして競い合うということは残した,中間的なマイルドなものになっています。
4Gamer:
小国も安心ですね。ところで,今回の勅命はどれくらいで達成できそうなんですか?
竹田氏:
それは、現時点では調整中です。前回の勅命は驚くくらいに早かったです。だからといって,ずるずると引き伸ばすようなこともしたくありません。
渥美氏:
やはり,アップデートが適用されたあとの1〜2週間というホットな時期を楽しんでいただきたいと思います。
竹田氏:
国のみんなで力を合わせて開いたという感じが出れば良いですね。
4Gamer:
なるほど「1か月でやっと終ったー」というものではなさそうで,安心しました。
渥美氏:
ほかにも海域が開くことによって,遺跡もそうですし,交易品もその地域らしいものを追加します。
竹田氏:
以前もオーストラリアを入れたときにピンクダイヤを交易品として入れて,その買出しツアーが起こったりしましたが。今回は海域が一気に開くので範囲が広いですし,文化も発達している地域なので,名産品のコンボができるぐらいの種類を入れたいと思っています。もちろん南米らしい宝石や貴金属なども追加されます。
渥美氏:
変わったものとして,一昔前に流行った南米原産の滋養強壮剤があります。
4Gamer:
もしかして,アレですか?
竹田氏:
わかります?(笑)。
渥美氏:
使うとどうなるんだろう……性別が変わったり,妙に元気になったりしたほうがいいんだろうか,と運営でも話してます。
一同:(笑)。
4Gamer:
それに関わるアイテムが登場してレシピが追加されたり……。行動力が一気に回復しそうな代物になるのでしょうか。○○エキス配合! とかいう感じの。
竹田氏:
なるかもしれないですね(笑)。あとは,織物なども発達していたインカ帝国なので,いろいろな取引スキルをもった商人のプレイヤーがそれぞれ活躍できると思います。
渥美氏:
インカが入って新しい冒険の舞台ができるので,交易活動や発見が盛り上がると思いますが,それ以外にもクエストにまつわる“エピソード”と呼ばれるイベントを入れたいと思います。
竹田氏:
インカまでたどり着けるプレイヤー向けのクエストになりますが,新しいキャラクターが登場し,それに絡む話が連作のクエストで展開していくことになります。
4Gamer:
新キャラクターですね。どんなストーリーが展開され,どのように関わってくるんでしょうか。
竹田氏:
インカ帝国には巫女のような存在として“アクリャ”と呼ばれる女性がいるんですが,それに選ばれし少女が登場します。今回は,フランシスコ・ピサロによるインカ帝国の侵略がまさに始まろうとしている時代にスポットをあて,インカを知らないプレイヤーにも,インカとはこういうものだという紹介を兼ねたクエストが展開します。
4Gamer:
“お勉強”を兼ねてて本作っぽいですね。
竹田氏:
ちょうどインカ帝国が周りの小さな国々を支配している時期で,その周辺地方の王国の少女が,インカ帝国に囚われの身になっており,ピサロの魔の手が迫りつつある……という展開になります。そこに職業ごとにクエストのルートを作ります。例えば,冒険者であれば冒険の腕を使って彼女の力になるという感じです。
4Gamer:
……ということは,各職業ごとのエピソードが楽しめるということですね。
竹田氏:
そのとおりです。
4Gamer:
では,これらの新しく追加される街の様子はどんな感じなんでしょう? “インカっぽいです”とかはなしでお願いします(笑)。
ちゃんと持ってきました(笑)。まだ制作途中ですが,イメージ画像をお見せしましょう。ご覧のように,高山がかなり近くまで迫っているという風景で,植民地になる前のインカ帝国を再現しています。石積みなど,インカはすごい技術があったので,このようなイメージになっています。
4Gamer:
なるほど,これまでの街の風景とはまた一風変わった雰囲気の街ですね。
高地で,山の岩肌にそって作られた街というイメージです。……次にこちらは,どことは言えないんですが,すでにスペインによって滅ぼされて存在しない街です。ここは鋭意再現中なんですが,この街は資料が非常に少なくて,スペイン人が書いたわずかな情報しかありません。なので,当時どうだったんだろうと,少ない資料からイメージしながら再現しています。
渥美氏:
ちなみに現代の街並みも、土台部分はインカ時代のものと言われていますね。
4Gamer:
そして,「この街は当時こんなだったんだなぁ」と,コーエーイメージが事実として定着しちゃうわけですね。
竹田氏:
いやぁ,それは恐ろしいですね……(笑)。
4Gamer:
すでに“実績”がありますからねえ(笑)。ところで,この土地特有のアイテムや新登場のレシピなどはありますか?
竹田氏:
もちろんあります。ちなみに,この街はすごく山奥にあるので,そう簡単には見つからないと思います。
4Gamer:
山奥ですか……,とある条件を満たすといけるような奥地の街だったりするんでしょうか。
竹田氏:
深読みされていますね。そこはご想像におまかせします。
4Gamer:
否定されませんでしたね(笑)。
渥美氏:
ところで,さきほどお話したアクリャのイメージ画が,なかなかかわいい衣装ですよ。まだ実際にプレイヤーが着られるのかどうかは決まっていませんが,似たような衣装が出るならば,女性キャラクターに着せるプレイヤーが多いかもしれませんね。
竹田氏:
同じ衣装ではありませんが,当然,男女の民族衣装が登場しますよ。
洋上移動の大改革。遠洋上の移動はより快適に
さてここまでは,インカ帝国に関わる新海域や町についてのお話をしてきましたが,二つ目のテーマとして,洋上移動の“改革”についてお話します。
4Gamer:
洋上移動の改革,ですか。これまでも,拠点回航や定期船,船速の向上など移動を改善するアップデートがありましたが。
渥美氏:
そうです。過去の「船の最高速度アップ」に近いのですが,今回はあれよりも大掛かりになっていて,洋上航海のスピードがさらに上がっています。さらに,外洋に出るとスピードが上昇するようにしました。とはいえこれは,ただスピードアップして時間を短縮するわけではなく,交易品の積載量や対波性能によってスピードが変化するようなシステムになります。
竹田氏:
つまり,外洋にいけばいくほど,また,積荷を空ければ空けるほど,対波性能が高ければ高いほど速くなるわけです。この三つの要素が大事です。なお,この対波性能は,船の大きさに対して数値が高いほど速さに影響を与えます。
4Gamer:
なるほど,船が大きいと波が当たる面積も大きくなって,より強く波の影響を受けるわけですね。
竹田氏:
はい。しかし,これだけを聞いていると便利になるなぁ,という程度の印象ですが――。
4Gamer:
交易で荷物を積む船などは……?
渥美氏:
お察しのとおり遅くなります。といっても今よりも十分に速くはなりますが。やはり交易品を多く積む商船などは,積荷による影響を受けてスピードアップの割合が低くなります。一方,海賊からすれば船を軽量化してのスピードアップが期待できます。
竹田氏:
ただし,ガレー船は対波性能が低いですから,白兵戦で襲うには工夫がいりますね。これにより,海賊はただ単にガレーだけで白兵をすれば良いということではなくなります。
渥美氏:
冒険者の船は,比較的大きさよりスピード重視で選んでいるケースが多いので,恩恵を一番受けられると思います。
4Gamer:
積荷は少ないですし,対波性能も高めですね。
竹田氏:
はい。ただ外洋を通る遠洋交易は近距離交易に比べて,実移動時間が減少するため,もの凄く儲かるようになるはずです。
4Gamer:
そうすると,プレイヤーの航路も大きく変わることになりそうですね。
渥美氏:
そうなるでしょうね。太平洋が大きく開かれることで,東南アジアやオセアニアからヨーロッパ間の移動を,西回りにするか東回りにするかといった,どのルートで航海するかを考えることになるでしょう。
竹田氏:
例えば太平洋は,すべて外洋ですから,スピードアップの影響をずっと受けることになります。最大では,実に2倍近い速さになると思います。
……2倍!? 例えば私の船の場合,南米南端からオーストラリアまでがおよそ40〜50日間ぐらいですが,恩恵を最大に受けられる状態なら,25日前後まで短縮できるわけですか……凄いですね。
渥美氏:
それに併せて関連してくるのが,先ほどお話しした“国家的な大事業”です。
竹田氏:
これによって大西洋と太平洋のアクセスが短縮されることになり,積荷を考えないで,単純に移動するのであれば非常に便利なルートになります。
渥美氏:
というわけで,遠回りで往復交易を行うか,近道を通って片道の交易を行うかはプレイヤーのトレードオフになるわけです。
竹田氏:
交易に関する部分については,これまでの変更でもそうだったように,積荷を積んだままショートカットできる手段は一度も用意していません。
4Gamer:
それを入れると,大きくバランスが崩れてしまいますしね。とはいえ,交易品満載の船が通れるようになると,積荷を狙う人たちが大挙して押し寄せて,近道となるその海域周辺が大変なことになりそうですが(笑)。
渥美氏:
そうですね(笑)。海域が広くなるというのは,冒険のステージが広がるメリットがある半面,プレイヤー同士が出会いにくくなったり,何かをしたいときに実時間が掛かってしまったりするため,プレイヤーに大きなストレスを与えてしまいます。そこで,その広がりに見合った形で,随時移動に関して手を入れていきたいと以前から考えており,定期船を始め,一つ一つ手を入れているのです。
竹田氏:
もちろん,なるべく世界観的に許される範囲で,便利にしていきたいと思っています。
4Gamer:
なるほど。これまでのインタビューでもお聞きしたように,洋上の移動についての考え方は,一貫して変わっていないということですね。
- 関連タイトル:
大航海時代 Online
- 関連タイトル:
大航海時代 Online 〜Cruz del Sur〜
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