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[GDC 2009#16]GDC史上最陰気? Flagship Studios崩壊の理由を関係者が激白
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印刷2009/03/27 16:44

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[GDC 2009#16]GDC史上最陰気? Flagship Studios崩壊の理由を関係者が激白

画像集#001のサムネイル/[GDC 2009#16]GDC史上最陰気? Flagship Studios崩壊の理由を関係者が激白
 ゲームファンや業界からの期待を一身に受けながら,大きなインパクトを与えることもないまま消えて行った「Hellgate: London」の開発元,Flagship Studios
 同社はDavid Brevik(デイビッド・ブレビック)氏,Bill Roper(ビル・ローパー)氏,Tyler Thompson(タイラー・トンプソン)氏,そしてMax(マックス)氏とEric(エリック)氏のSchaefer(シェーファー)兄弟ら,「Diablo」を世に送り出したBlizzard Northの中核メンバーによって,2005年夏に結成された。
 そして会心の処女作……となるはずだったHellgate: Londonは,リリースから1年半も経たない2009年1月に,その扉を永遠に閉じる()ことになったのである。

※HanbitSoftによって韓国をはじめとしたアジア地域でのサービスは継続されているが,こうなるともうFlagship Studiosの作品とはいえないだろう<

 そんなFlagship Studiosにおいて,ビジネス開発ディレクターという役職で経営全般に携わっていたStephan Goldstain(ステファン・ゴールドステイン)氏が,GDC09において「My Lesson Learned from Flagship Studios」(Flagship Studiosから私が学んだ教訓)というセッションで壇上に立ち,「Flagship Studiosに何が起こっていたのか」を述懐した。


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 ゴールドステイン氏の話すところによれば,Flagship Studiosにとって一番の問題だったのは,「企業家達につつかれて,その度に間違った判断をしていった」ことらしい。
 「開発チームはいつも楽観的で,高い志を持ち続けていた。でも,起業したときに考えたのはプランAだけで,何かが起こったときに修正するためのプランBを持ち合わせていなかったのです」と,有能な開発者集団であった半面,用意周到なビジネスプランやファイナンシャルプランを持ち合わせていなかったことを指摘。結果,最初のうちは資金繰りに問題がなかったはずなのに,ちょっとしたことをきっかけに,崩壊へと傾いてしまったのがFlagship Studiosであると考えているようだ。
 Flagship Studiosは,「Hellgate: London」をローンチする前に数十億円もの資金を手に入れていたため,「発売前から利益を出した会社」などともてはやされていた。そして起業したときのビジネスモデルは,オンラインゲーム会社の仕組みを利用し,月額プレイ料金を徴収することで,ローンチ後もやりくりしていくことを想定したものだった。
 ところが,さまざまな経緯でHellgate: Londonはパッケージで発売されることになったうえに,シングルプレイモード,無料マルチプレイ,そして有料マルチプレイという三つの料金体系が重なり合う形になり,結果的にプレイヤーにとって,非常に分かりにくいものになっていったのである。


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 ゴールドステイン氏によると,Hellgate: LondonはPC専用ゲームでありながら,50万本近いパッケージセールスを記録したものの,月額利用料金による収益が予想を大きく下回ったという。その結果,ほかのプランを持ち合わせていなかったFlagship Studiosは,急速に資金繰りを悪化させたそうだ。
 今回のセミナーでは,特定の“企業家達”を名指しすることはなかったが,予想に見合わないと分かった途端に,契約や資金調達が簡単に打ち切られてしまったのであろうことは,推測できる。

 「ゲームは,FPSとDiabloらしいRPGっぽさを組み合わせるなど非常に良くできていたはずだ。しかし料金体系は最初からプレイヤー達に受け入れられるものではなかった。さらに,その後も資金繰りの急速な悪化によって,十分なサポートができなくなるという,ビジネス面での判断ミスや失敗が続くことになった。このことで,彼らのゲーム開発者としての実力が評価されなかったのは,非常に悲しいことだ」と,ゴールドステイン氏は続ける。
 「投資会社からオファーがあれば,それをどんどん受けていけばいい。我々は,発売前からさまざまな投資会社からのオファーをもらっていたのだが,これ以上の投資を受けなくてもやっていけるという見込みの甘さで,悪い結果を導いてしまった。あのとき投資を受けていれば,もう数か月は発売を延ばすことができたし,より良い製品やビジネスモデルを考慮する時間もあったかも知れない」と,当時を回想。
 また,Flagship Studios社内の誰もが,発売前から課金モデルを酷評されているのは知っていながら,保身のためかその話題を会議で持ち出すこともなかったという。ゴールドステイン氏は,「外部のコンサルタントやアナリストを招き,自分達の路線を客観的な目で確かめてもらったほうが良かったのではないか」とも語った。


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 Diabloという,ゲーム史上にその名を刻み込むゲームを輩出した開発者によって設立されながら,5年も経たずに解散することになったFlagship Studios。ゴールドステイン氏は,「残念ながら,現在の不況の状態では,今後も我々のような体験をする開発チームもどんどんと出てくるだろう。ナイーブに聞こえるかも知れないが,我々はこのゲーム業界で助け合っていかなければならないはず」と,開発者同士がより深い関係を築き上げていくべきと促してもいた。
 ゴールドステイン氏は,ジョークの一言もなくトークを進めていたのだが,まるで通夜のような重い空気の流れたセミナーだった。GDCでは,ゲームプロジェクトの成功談や失敗談が話題になることは少なくないが,ゲーム会社の失敗談が語られることなど滅多にない。
 そんなFlagship Studiosの裏話を,静かながらもエモーショナルに語っていく彼には,ビジネス面で支えきれなかったことへの責任感や,Flagship Studiosの開発メンバー達に対する思いさえ感じられる。

 ゴールドステイン氏は最後に,「経済的にはゲーム業界は厳しさを増すだろうが,その中には大きな成功のチャンスもある。開発者の皆さんは,投資家や販売会社の力に押しつぶされないような,新しいビジネス手法を見つけ出すと思っています」と,ポジティブに締めくくった。

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