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[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
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印刷2008/10/12 02:51

インタビュー

[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー

画像集#003のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
 「Age of Armor」をエキサイトからサービスするなど,ようやく日本市場にやってきたと思ったら,「ボヤージュ センチュリー オンライン」(航海世紀)をいきなり直接運営で日本展開するなど,このところサプライズの多いSnail Game。同社のタイトル情報や日本進出などについて,東京ゲームショウで来日していたSnail Gameの張 永波氏に話を聞いてみた。


4Gamer:
 ボヤージュ センチュリーのクローズドβテストのほうはいかがですか。

張氏:
 ローカライズ関係ではテスターの方々にご迷惑をおかけしているんですが,こちらが予想していた以上のテスターが集まっています。

4Gamer:
 ローカライズは……なかなか厳しそうですが,Snail Gameが直接日本での運営に乗り出したのはどうしてですか?

「東京は人が少なくて歩きやすいですね」と語るSnail Game張 永波氏。えーと……
画像集#002のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
張氏:
 Snail Gameは基本的に開発会社ですが,中国ではゲームの運営も行っています。アメリカや台湾などでは,海外でも直接ゲームの運営を行ってきていますので,直接運営を行うというのはそれほど不思議なことではないんですよ。

4Gamer:
 「Age of Armor」の日本サービスはエキサイトから行われたので,ほかのタイトルもエキサイトからサービスされるのかと思っていたのですが,エキサイトでなにか問題があったとかではないんですね?

張氏:
 はい。とくに関係ありません。

4Gamer:
 いえ,エキサイトの人も驚いていたようですよ(笑)。ところで,エキサイトでやっているAge of Armorのほうはどうなっているのでしょうか。

張氏:
 Age of Armorは,オープンβテストを終えて,現在日本向けに再調整しているところです。

4Gamer:
 日本向けの要素が入ってくるということですか?

張氏:
 はい。そうです。

画像集#005のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
4Gamer:
 それは楽しみです。ボヤージュ センチュリーのほうに話を戻しますが,こちらのほうはどういう状態でしょうか。

張氏:
 ボヤージュ センチュリーは,中国本社で日本向けにローカライズしたものですが,テキストの翻訳があまりよくなくてテスターの皆さんにはご迷惑をかけています。現在,日本の企業にローカライズを依頼していますので,もうじき改善できると思います。

4Gamer:
 それはいつくらいの予定なのでしょうか。

張氏:
 11月くらいですね。

4Gamer:
 それって,えらく早くないですか? MMORPGで使うテキスト量は膨大だと思うのですが。

張氏:
 現在,クエスト関係で意味が分からない部分が出て,クエストが進行できないという問題が起こっています。これはゲームにとっては致命的ですので,まずクエスト部分に絞ってテキストを改善していきます。それ以外の部分については,追って対応という形になります。

4Gamer:
 なるほど。

「『航海世紀』訳文校正のボランティアを募集中! ゲーム内貨幣がいっぱいもらえるぜ!」キャンペーンのページ
画像集#004のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
張氏:
 また,それでもまだ追いつかない部分もありますので,テスターの皆さんの力をお借りして,変な部分を見つけたら知らせてもらって代わりにアイテムをプレゼントするようなキャンペーンを行うことも検討しています。

4Gamer:
 クローズドβテスター募集の時点でも誤訳報告などを求めていましたね。最近は,クローズドβテストでも,サービスの先行公開くらいの意味でやってるところが多いですので,ああいうのはちょっと新鮮でした。

張氏:
 日本へのローカライズについては,まだまだノウハウがありませんので,プレイヤーの方々の力をお借りしてゲームを改善していきたいと思っています。

4Gamer:
 ところで,ボヤージュ センチュリーの運営は,中国Snail Gameが直接行っていますよね。日本法人を作るとかいう話はないのでしょうか。

張氏:
 しばらくはローカライズにかかりきりですので,そこまで考えてはいません。もっとちゃんとサービスが安定してできるようになったら,支社を作ることを考えるかもしれません。

4Gamer:
 ローカライズがだいたい終わったら正式サービスですか?

張氏:
 翻訳の品質やゲームの不具合などがほぼ解消され,だいたい大丈夫だろうということになったら,大規模アップデートを行い,正式サービスに入る予定です。

4Gamer:
 大規模バージョンアップですか。ところで,現状のプログラムは,中国でサービスしているものと同じバージョンというわけではないのですね?

張氏:
 違うバージョンです。中国ではすでに4年間サービスされてきていますので,何度も拡張が行われています。ですので,日本のサービスでは,当分はコンテンツが足りなくて困るようなことはありませんよ。

4Gamer:
 中国で直接運営するということになると,気になるのが課金決済手段なのですが,これはどのようなものがあるのでしょうか。
 
張氏:
 クレジットカードが基本ですね。

4Gamer:
 日本では,クレジットカードを持っていない若い人などのための,電子マネーやコンビニ決済などが便利に使われているのですが,そういったものへの対応は可能でしょうか。

張氏:
 現状でもプリペイドの一部に対応しています。電子マネー関係についても対応は検討中です。

4Gamer:
 課金システムはアイテム課金ですよね。

張氏:
 はい。そうです。

4Gamer:
 課金アイテムにはどんなものがあるのでしょうか。

張氏:
 装備,武器,薬などが主ですね。

4Gamer:
 装備というと,オシャレ装備とかですか? 日本だとそういうのが人気ですけど。

張氏:
 そうです。オシャレ系の服はたくさんありますよ。

4Gamer:
 以前,舞街区では,服装だけで5000種以上と話を聞いていましたので,そのあたりは期待していた部分でした。大丈夫そうですね。ところで,ゲームで日本向けに変更される部分はあるのでしょうか。

張氏:
 検討中です。日本の行事に合せたイベントや週末のイベントなどは独自に追加予定です。

画像集#005のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
4Gamer:
 ところで,「Voyage Century」の日本語名が「ボヤージュ センチュリー」と,フランス語と英語が交ざった読みの表記になっていますが,これはどうしてですか? 

張氏:
 英語の発音表記の仕方が日本と中国では少し違いますので,日本の知り合いに問い合わせて日本語での表記を聞いてみたのですが……。

4Gamer:
 なるほど。本来は英語読みでいく予定だったわけですね。でも「ボエッジ センチュリー」とするよりはしっくりくるような気がします。あと,再確認ですが,公式掲示板ではクローズドβテストのデータはワイプするとあって,後日4Gamerで確認したときはワイプしないという返答だったのですが,これはワイプなしでいいのでしょうか。

張氏:
 はい。現在のところ,ワイプはしないという方針で固まっています。


ダンスゲーム付き仮想空間「舞街区」の日本展開は?


いつのまにかクローズドβテスター募集と延期が告知されていた公式サイト
画像集#008のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
4Gamer:
 ちょっと気付くのが遅れてしまって,見つけたときは驚いたのですが,実は「舞街区」(日本名:ストリートダンス)もほぼ同時に持ってきてたんですね。

張氏:
 はい。日本で9月末にクローズドβテストを開始する予定でしたが,ローカライズの問題などもあり,現在延期中になっています。

4Gamer:
 日本ではダンスゲームはあまり流行ってませんので,ちょっと不安もあるのですが。

張氏:
 現在,そのあたりも含めて見直しにかかっています。ダンス以外の部分をアピールする形にする予定です。

4Gamer:
 中国では圧倒的な人気を持つ「Audition(X3,日本旧題:ダンシングパラダイス)」も,日本では運営が移管されるなど,なぜかいま一つメジャーになりきれていません。

張氏:
 ダンスゲームの流行は中国だけというわけではありません。韓国や台湾など,アジア各国でダンスゲームは非常に人気を集めていますよ。

4Gamer:
 日本でも以前(10年前か……)はブームになっていたこともあるのですが,ゲーセンで実際に身体を動かすというところがウケていたように思うので,当時のダンスゲームマニアの目には別物と映っているかもしれませんね。日本人からすると,むしろ中国では,どうしてあんなにダンスゲームが流行っているのかが不思議なのですが。

張氏:
 実際の理由は私もよく分からないですね。日本に関していえば,身の周りにほかの娯楽が多すぎて,さほど魅力を感じないんじゃないかと思います。

画像集#007のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
4Gamer:
 なるほど。舞街区では,ダンス以外の部分を中心にするということなのですが,そうなると「ストリートダンス」という現在の日本タイトルも変更される可能性があるのでしょうか。

張氏:
 はい。おそらく街のほうを中心にしたイメージの名前に変更になると思います。

4Gamer:
 そのほうがいいと思います。舞街区は,ほとんどSecond Life系のバーチャルワールドにダンスを加えたような感じで,ただのダンスゲームとして出すともったいないと思っていましたので。


Snail Gameの新作は?


4Gamer:
 Snail Gameの新作でなにか情報はありませんか。

張氏:
 日本展開ではなく中国を含めると,現在MMORPGを5本制作しています。それ以外にカジュアルゲームを8本作っています。

4Gamer:
 MMORPGのほうはいつくらいに出そうですか? 

張氏:
 今年の末くらいに1本,あとは来年以降ですね。3か月おきくらいで出てくると思います。

4Gamer:
 なんか,すごく早くないですか? それって。

張氏:
 いえ,別に1本ずつ作っているわけではないですよ(笑)。

4Gamer:
 並行して作っているにしても,ペースが速いような。MMORPGを1本作るのにどれくらいかかっているのでしょうか。

張氏:
 もちろんゲームによって変わってきますが,だいたい半年から1年です。

4Gamer:
 無茶苦茶速い気がします(笑)。

張氏:
 Snail Gameは開発会社で,ゲームの工場のようなものだと思っています。いろいろなタイトルをたくさん作っていきますが,ダメそうならさっとやめて次を作るという感じですか。

4Gamer:
 新作ゲームは,今後も自社運営でいくのでしょうか。

張氏:
 いえ,それも選択肢の一つでしかありません。需要があれば外部のパブリッシャに売るものもあるでしょうし,共同運営のような形もあります。今後は新しいビジネスプランも考えています。

4Gamer:
 それはどういうものでしょうか。

張氏:
 タイトルの契約金なしでライセンスするというビジネスモデルです。サービスを始めてうまくいったらレベニューシェアするという形ですね。

4Gamer:
 それだと運営側のリスクはかなり減りますね。

張氏:
 とにかくいろいろな形でやっていきたいと思っています。

4Gamer:
 大規模なMMORPGを量産する開発力があるわけですから,日本のどこかのゲームメーカーと共同開発などというのは考えてないのでしょうか。

張氏:
 そうですね。日本のゲームは,日本国内のコンシューマゲーム機を中心に発展していましたので,海外向きではないタイトルが多いと思っています。中国をはじめとした中国語圏には大きな市場があり,私達は中国語圏に向いたゲームに手直しする手助けができます。日本のIPをオンラインゲームで展開したいという場合は,そういう部分でも協力ができます。

4Gamer:
 それが実現すると面白そうです。Snail Gameという会社自体ですが,中国においても,ちょっと変わった会社ではないかと思えるのですが,海外で直接サービスをしているようなところはほかにありますか?

張氏:
 ほかにはないですね。うちは,誰にでもできるゲームは開発したがらない会社なんです。航海世紀にしても,機甲世紀にしても,中国では大衆ウケはしないタイトルです。やらない人は絶対やりませんが,やり込む人はもうずっと遊ぶといった感じですね。ゲームデザインにしてもテーマにしても,よそでできるようなものはやりません。

4Gamer:
 中国産のゲームで武侠色がないのは本当に珍しいと以前から思っていました。武侠色とか中国風のテーマにするところが多いのは,ひょっとしてなにか政府からの指導とかあるのでしょうか?

張氏:
 そういうのはありません(笑)。ただ,武侠系のゲームのほうが圧倒的に一般ウケはいいですね。市場的に見るとどうしてもそうなってしまいがちです。

画像集#009のサムネイル/[TGS 2008#081]日本直接上陸を目指すSnail Gameにミニインタビュー
4Gamer:
 御社のタイトルでは,「天子」は武侠系ですが,あれはどうしたところから出てきたのでしょうか。Snail Gameにしては,ありきたりすぎて不思議に思っていたのですが。

張氏:
 あれは主にユーザーの要望から出てきたタイトルです。武侠系ですが,テーマなど,やり込んでいただければ,そう普通のゲームではないことがお分かりいただけると思います。

4Gamer:
 なるほど。期待しています。では最後に日本のプレイヤーに向けてなにか一言お願いします。

張氏:
 ボヤージュ センチュリーではご迷惑をかけてすみませんでした。ローカライズは現在全力で当たっています。ローカライズがある程度完了したら,日本向けの調整に入る予定です。よりよいゲームにするため,テスターのアイデアも募集していますので,こんなゲームにしてほしいというのがありましたら,GM宛てにメールしてください。こちらとしても,できるだけ完璧な状態で出したいと思っていますので,テスターの方も協力をよろしくお願いいたします。

4Gamer:
 頑張ってください。本日はありがとうございました。


 MMORPGを半年から1年で量産する生産力,それも,かなり毛色の変わった作品ばかりだ。中国という枠組みを取り払って考えても,そういったものを作る社風は貴重だ。
 ボヤージュ センチュリーの日本展開では,誤訳・珍訳が満載で,変な意味で話題になってしまったが,なんとなく彼ら自体がボヤージュ センチュリーで日本市場に上陸した破天荒な開拓者といった雰囲気もある。翻訳部分のローカライズが終われば完璧というわけでもないだろうが,不備については直す気満々という感じなので,テスターの人はぜひ協力してほしいところだ。
 正直に言えば,運営は日本の会社に任せたほうがいいのではないかと思うのだが,仮にローカライズを克服し,運営やサーバー管理なども中国側でサービスして成功を収めるようなことになれば,日本のオンラインゲーム運営業界に革命を起こすかもしれない。無謀にも思える戦略だが,よく考えてみると意外とローリスク・ハイリターンを狙ったものだというのが分かる。
 はたして中国からの直接運営がどうなるのか,舞街区がどのような形で展開されていくのかなど興味は尽きない。新作情報を含めて今後の動向に注目したい。
  • 関連タイトル:

    ボヤージュ センチュリー オンライン

  • 関連タイトル:

    机甲世紀II

  • 関連タイトル:

    ストリートダンス

  • 関連タイトル:

    天子

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