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Core 2
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  • 発表日:2006/07/27
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デスクトップPCと遜色ない基本性能。新世代ノートPCプラットフォーム「Centrino 2」を試す
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印刷2008/07/16 11:00

テストレポート

デスクトップPCと遜色ない基本性能。新世代ノートPCプラットフォーム「Centrino 2」を試す

4Gamerが独自に入手したMS-1651サンプル。原稿執筆時点で,MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンから国内展開されるかどうかは明らかになっていない
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 2008年7月15日の記事でお伝えしたとおり,Intelは開発コードネーム「Montevina」(モンテヴィーナ)こと,「Intel Centrino 2 Processor Technology」(以下,Centrino 2)を発表した。名前のとおり,既存のノートPC用プラットフォーム「Intel Cenrino Processor Technology」(以下,Centrino)後継となるCentrino 2だが,果たしてそのポイントはどこにあり,そしてゲーマーにとってはどういう意味を持つ存在なのか。今回は,4Gamerが独自に入手したMSI製のサンプル「MS-1651」を用い,いくつかのベンチマークテストから,その可能性を占ってみたい。

テンキーを装備したフルキーボード仕様になるMS-1651。サンプルということもあり,本体底面に製品型番などを示すシールなどは貼られていない
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デスクトップPCとスペックでほぼ並んだ

Centrino 2プラットフォーム


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Mobile Intel PM45 Express MCH。エンジニアリングサンプルであることを示す「ES」の刻印が見える
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MS-1651の底面カバーを取り外したところ。MXMとノースブリッジの熱はヒートパイプで送られ,CPUソケットを覆うように取り付けられたアクティブクーラーで冷却される
 Centrino 2で採用されるチップセットは,「Mobile Intel PM45 Express」(以下,PM45)をはじめとした,Mobile Intel 4シリーズ。同シリーズは,デスクトップPC向けとなるIntel 4シリーズチップセットのモバイル向け(=ノートPC向け)に当たるもので,PCI Express 2.0や,FSBクロック1066MHz,DDR2-800/DDR3-1066対応メモリコントローラの搭載が主な特徴だ。
 Centrinoでは,搭載チップセットがMobile Intel 900シリーズで,2世代も遅れていた。最新世代こそ45nmプロセスで製造されるCore 2 Duo(※いわゆるPenryn)のサポートが行われているものの,FSBクロックは最高800MHzに留まるなど,デスクトップPCと比べるとスペックの低さが目立っていたが,Centrino 2でようやくノートPCもデスクトップPCのスペックにほぼ並ぶことになったというわけである。

 MS-1651は,CPUに「Core 2 Duo T9400/2.53GHz」,チップセットにはPM45を採用し,メインメモリサポートはDDR2となるノートPCだ。PM45はグラフィックス機能を統合していないため,GPUとして別途,NVIDIAの「GeForce 9600M GT」を搭載する。

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ICH9M(左)とCore 2 Duo T9400(右)のエンジニアリングサンプル
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GeForce 9600M GTはMXMで提供される。チップ上の刻印は「G96-630-A1」。1Gbit(32Mx32)の1.1ns品となるQimonda製のGDDR3チップ「HYB18H1G321AF-11」を4枚で,容量512MBを実現する

 MSIの製品ページによると,製品版ではグラフィックス機能統合型チップセットである「Mobile Intel GM45 Express」(以下,GM45)を搭載するようだが,今回試したのは,表1に示したとおりの構成になる。

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「GPU-Z」(Version 0.2.5)実行結果
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 Core 2 Duo T9400およびGeForce 9600M GTの主なスペックは表2,3を参考にしてほしい。後者はデスクトップPC向けの「GeForce 9600 GT」と製品名がよく似ているが,ストリーミングプロセッサ数,メモリバス幅ともGeForce 9600 GTの半分で,その実,GeForce 9600 GTとはまったく異なる製品になっている点に留意しておきたい。「『GeForce 8600M GT』をシュリンクし,高クロック化したモデル」と説明するのがより近い存在だ。

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 NVIDIAによれば,Centrino 2プラットフォームにおいては,GM45と対応するNVIDIA製GeForceの組み合わせで「HybridPower」が利用可能とのこと。これまでソニー製ノートPCの一部などが,チップセットに統合されたグラフィックス機能とNVIDIA製GPUのどちらを利用するか負荷によって切り替える機能を独自にサポートしていたが,Centrino 2ではチップセットおよびGPUの機能として,正式サポートされることになった。


デスクトップ版Core 2 Duo搭載機と比較して

「デスクトップPCにどこまで迫ったか」を検証する


「CPU-Z」(Version 1.46)実行結果
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 テストのセットアップに入ろう。
 今回は,Centrino 2プラットフォーム搭載機が,グラフィックスカードを搭載するデスクトップPCにゲーム性能でどこまで迫るかをチェックすべく,表4の構成になるデスクトップPCを用意した。CPUには,「Core 2 Duo E8500/3.16GHz」のベースクロックと動作倍率を変更し,Core 2 Duo T9400相当にしたもの,そしてCore 2 Duo T9400と動作クロックが同じで,L2キャッシュ容量が半分の3MBになる「Core 2 Duo E7200/2.53GHz」を用意。GPUには,「GeForce 8600 GTS」を搭載するPINE Technology(XFX)製品「PV-T84G-UDF3」を用いている。MS-1651はOSがプリインストールされていたため,比較対象とWindows Vistaのエディションが異なる点はご理解いただきたい。
 以下,比較対象のデスクトップPCは文中とグラフ中ともに前者を「E8500@2.53GHz+8600 GTS」,後者を「E7200+8600 GTS」と表記する。

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Rampage Formula
X48搭載,DDR2対応のゲーマー向けマザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:3万6000円前後(2008年7月16日現在)
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 テスト方法は基本的に4Gamerベンチマークレギュレーション5.2準拠となるが,MS-1651のスペックを考慮し,「高負荷設定」のテストは行わず,「標準設定」のテスト結果のみをスコアとして採用する。また表1で示したように,MS-1651のディスプレイ解像度は最大1680×1050ドットになるため,解像度も1024×768/1280×1024/1680×1050ドットの3パターンに絞っている。
 さらに,レギュレーション準拠では「Crysis」のグラフィックス設定が高すぎるため,今回は全設定を「中」に引き下げたほか,現状のレギュレーションではWindows Vista環境で(Windows XP環境ほどには)信頼できるデータを得られない「Unreal Tournament 3」と「Half-Life 2: Episode Two」のテストを省略。代わりに比較的低スペックのPCでもプレイ可能な「モンスターハンター フロンティア オンライン」のオフィシャルベンチマークソフト(以下,MHFベンチ)のテストを行うことにした。


デスクトップPC向けCPUと遜色ないC2D T9400

9600M GTの実力は8600 GTSにいま一歩及ばず


 グラフ1,2は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の結果である。総合スコアだけ見ると,MS-1651は比較対象の9割弱と,それほど高い値を示していないが,3DMark06のデフォルト設定である解像度1280×1024ドットで計測したCPU Scoreを見ると,CPU自体の性能はCore 2 Duo E7200を上回っている。総合スコアが芳しくないのは,GeForce 9600M GTが足を引っ張っているためだろう。

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 続いてグラフ3,4は,CPUパフォーマンスの詳細を見るべく実行した「Sandra XII」(Version 2008.SP2c 14.24)の「Memory Bandwidth」および「Cache and memory」の結果をまとめたもの。メモリバスの転送レートを見ると,Memory Bandwidthだと,比較対象の「Intel X48 Express」より多少劣るものの,スコアにそれほど大きな違いはない。
 またCache and Memoryでは,CPUのL2キャッシュ容量差により,4MB BlocksにおいてMS-1651(のCore 2 Duo T9400)がE7200+8600GTS(のCore 2 Duo E7200)に差をつけている点に注目したい。やはりCPUやチップセットは,同等クラスのデスクトップPC向けCPUおよびチップセットと比べて遜色ないポテンシャルを備えているといってよさそうだ。

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 というわけで,いよいよGeForce 9600M GTへの懸念が強まってくるが,実際のゲームパフォーマンス検証に移りたい。
 まずグラフ5,6は,「Crysis」から順にGPUベンチマークとなる「Benchmark_GPU」,CPUベンチマーク「Benchmark_CPU」の結果をまとめたもの。全体的には3DMark06の総合スコアに準じた結果となっているが,3DMark06ほどには,MS-1651とE8500@2.53GHz+8600GTSの差は大きくない。グラフィックス設定を「中」に落とす必要はあるものの,Crysisをプレイ可能なレベルにはあるといえる。

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 一方,あえてグラフィックス設定を落とさず,レギュレーション5.2準拠でテストした「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)から,より実際のゲームプレイに近いスコアを取得できる「Snow」と,CPUがスコアを左右しやすい「Cave」のスコアをグラフ7,8に示したが,これもCrysisと同じ傾向だ。
 もっとも,レギュレーション5.2準拠では,1024×768ドットでもSnowの合格ラインである40fpsはおろか,30fpsすら到達できない。マトモにプレイする場合には,グラフィックス設定を相当下げねばならないだろう。

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 「Company of Heroes」では,1024×768ドットで60fpsを超えており,MS-1651でも満足にプレイ可能なレベルだ(グラフ9)。ただし,スコア自体はGeForce 8600 GTS搭載のデスクトップPCと比べてずいぶんと置いていかれてしまっている。

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 MHFベンチの結果をまとめたのがグラフ10である。ここでもMS-1651はデスクトップPCからかなり置いていかれてしまう。MHFベンチの場合,スコアがどういう意味を持つのか公開されていないため,断言まではできないが,Core 2 Duo E8500@2.53GHzとCore 2 Duo E7200で,L2キャッシュ容量の違いがスコアをまったく左右していないことを踏まえるに,GeForce 8600 GTSとGeForce 9600 GTのスペック差が,最大限“効いた”結果と見るのが正しそうだ。

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 最後に,参考としてPC総合ベンチマークソフト「PCMark05 Build 1.2.0」のスコアを表5に示す。ゲームと直接の関係がないため,詳しい説明は行わないが,CPU周りのスコアはやはり良好。一方,HDDなどI/O周りにボトルネックも確認され,ノートPCの限界も垣間見える。

※表をクリックすると,別ウインドウで拡大版を表示します。興味のある人は参考にしてください
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TDP 35Wであることを考えると

消費電力はまずまず


EISTを有効にすると,アイドル時にCore 2 Duo T9400の動作クロックは1.6GHzまで下がる
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 本稿ではデスクトップPCとの比較に重点を置いているため,結果は見えているが,念のため消費電力のチェックも行っておきたい。
 システム全体の消費電力について,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを30分連続実行し,最も高い消費電力を記録した時点を「(アプリケーションの)実行時」として,消費電力のログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」から測定した結果をまとめたのがグラフ11である。
 アイドル時については,CPUの省電力機能である「Enhanced Intel SpeedStep Technology」(拡張版インテルSpeedStepテクノロジー,以下EIST)有効/無効の両条件でスコアを取得しているが,MS-1651はやはりというかなんというか,アイドル時にデスクトップPCのほぼ半分,アプリケーション実行時にも60%弱の消費電力に収まっており,さすがノートPCといったスコアになっている。Core 2 Duo T9400のTDPは35Wだが,同じ動作クロックの「Core 2 Duo P9500/2.53GHz」なら25W。こちらだと,消費電力当たりの性能はより高くなるだろう(※価格もやや高くなるが)。

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 続いて,MP3エンコードソフト「午後のこ〜だ」ベースとなるCPUベンチマークソフト「午後べんち」を30分間連続実行し,それを「高負荷時」としてCPUの温度の計測を試みた。測定にはCPUのサーミスタの情報を直接モニタリングできる情報表示ユーティリティの「CoreTemp」(Version 0.99)を利用している。なお,比較対象となるデスクトップPC環境は,PCケースに組み込んでいないバラック状態で測定しており,テスト時の室温は24℃となる。
 こちらも結果はほぼ予想どおりなのだが,MS-1651は筐体が比較的小型ということもあり,高負荷時で90℃前後とかなり高い。アイドル時も50℃を超えているが,まあ,これはやむを得まい。

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TDP 35W版CPUはいわゆるDTR向けか?

より高性能なGPUを搭載する製品の登場にも期待


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 Core 2 Duo T9400搭載のMS-1651が示した「高負荷時の消費電力がデスクトップPCのアイドル時に近い」というのは,持ち運ぶことを想定したノートPCとしていささか消費電力が高すぎる。GPU搭載のCentrino 2ノートPCは,どちらかというとデスクトップPCの置き換え,いわゆるDTR(DeskTop Replacement)的に捉えておいたほうが間違いは少なそうだ。

 ただ,GeForce 9600M GTに関していうと,その型番から受ける印象とはかけ離れた実力しか発揮できていないと評せざるを得ない。GeForce 9600 GTクラスか,それより多少低い程度のパフォーマンスを期待するとがっかりするはずである。もちろん,3D描画負荷の比較的低い3Dタイトル,一般的なオンラインRPGや,それこそテストにも用いたモンスターハンター フロンティア オンラインをプレイしたりするなら十分だが,“それ以上”を狙うにはかなり厳しい。

 以上を踏まえるに, ゲーム用デスクトップPC的な使い方を想定して,Centrino 2ノートPCの購入を考えているのであれば,より高い3D性能を持つGPUを搭載したモデルを選択するのがベターだ。一方,可搬性に優れるノートPCでオンラインRPGをプレイしたいということであれば,TDP 25WのCore 2 Duo P9000/P8000番台を搭載し,GeForce 9600M GTクラスのGPUを搭載したモデルだと,バランスが取れるのではなかろうか。
 「ノートPCでゲームをプレイする」ことを目的とする人達にとって,Centrino 2は,なかなか融通の利くプラットフォームといえそうである。
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