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謎解きアドベンチャー「The (Other)World Syndrome」を紹介。現実世界で苦しむ若者が,本の中の異世界で癒やされる[BIC2026]
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印刷2026/08/18 17:36

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謎解きアドベンチャー「The (Other)World Syndrome」を紹介。現実世界で苦しむ若者が,本の中の異世界で癒やされる[BIC2026]

 韓国のインディーゲームイベント「Busan Indie Connect Festival 2026」(BIC 2026)に出展されていた,The (Other)World Labの新作PCゲーム「The (Other)World Syndrome」を紹介しよう。

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 プレイを始めると,最初に自殺や自傷行為,うつ病といった精神的苦痛を伴う表現が含まれるという警告画面が出て,物語の重さがうかがえる。

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 ゲームの軸になっているのは謎解きだ。ミステリアスな空間に散らばった資料を読み込み,紙に書かれた問題の答えを導き出す。たとえば序盤には,数字の並びから「今日の日付」を割り出す問題が出てくる。どれも本格的で,行き詰まったときのためのヒントも用意されている。

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 資料のなかでも目を引くのが日記だ。そこでは,高校時代の友人たちは仕事も生活も手に入れたのに,自分だけが置き去りにされている,といった心情が語られる。そんな焦りが年を追って書き継がれ,読み進めるほど不穏さが増していく。

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 謎を解いた先でたどり着くのは,天井まで届く本棚に囲まれた図書館だ。館内では「『異世界図書館』へようこそ!」と出迎えられる。棚に並ぶ本は1冊が1つの異世界で,開けばその物語の登場人物としてしばらく過ごすことになるという。

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 最初に開いたのは,非の打ちどころのない公爵アドリアンの物語だった。町へ出ると「ええっ!? あの巨大な竜をお一人でですか!?」と驚かれ,3人の令嬢から代わる代わるアピールされる。

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 一通り会話を終えたあと,現実世界に戻って眠りにつく。すると今度は,公爵ではなく現実の姿で同じ異世界に立つ場面が描かれる。令嬢たちの態度は一変し,「見た目も能力も平凡な人間に,何を期待しろというの?」と言い放たれる。歓待されていたのは公爵であって,主人公ではない。

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 目を覚ますと,再び現実のパートだ。高校時代の友人とバーで飲むことになるが,仕事も結婚も順調だという話を延々と聞かされ,一方的にマウントを取られる。上から目線の口調も鼻につき,主人公のメンタルは削られていく。

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 幸せの度合いを示す「しあわせゲージ」が尽き,主人公はまた異世界図書館へ向かう。2冊目に選んだのは,端正な容姿と確かな演技力を兼ね備えた韓国最高峰のスター,チャ・ドヒョンの物語だ。

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 ここから先は表記が韓国語だったので,会場ではプレイを切り上げたが,製品版は日本語に対応する予定だ。異世界の華やかな暮らしと,現実世界で苦しむ若者の生々しい悲哀を交互に見せる構造は印象的で,先の展開が気になる。

 今回は,The (Other)World LabのLee ChaeWon氏にインタビューもできたので,その模様をお伝えしよう。

The (Other)World LabのLee ChaeWon氏(中央)
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4Gamer:
 お時間をとっていただきありがとうございます。まず,「The (Other)World Syndrome」というタイトルの意味を教えてください。

Lee氏:
 韓国語では「異世界」と「この世界」が同じ発音で,単語の切れ目に空白を1つ入れるだけで意味が変わります。タイトルはこの2つを掛けたもので,一言でいうなら「皆さんを異世界へご招待します」というゲームですね。
 もともとは「異世界症候群」と読める表記だったのですが,最初に出展した展示会で「異世界というからファンタジーを想像して来たのに,中身があまりに現実的だ。むしろ『この世界』と読めるようにして,気になるようにしたほうが雰囲気に合うのでは」というご意見をいただいて,今の表記に変えました。

4Gamer:
 チームについても教えてください。

Lee氏:
 今は大学生6人のチームで,「異世界」をテーマにしたゲームジャムで出会ったのが始まりです。チームとしては本作が第1作になります。当時は私を含めて3人でしたが,アート担当が抜けてプログラマーと2人になり,そこから周りに声をかけて今の人数になりました。卒業制作ではなく,ゲームを作るのが楽しくて集まった仲間です。

4Gamer:
 Leeさんはどの部分を担当しているのでしょうか。

Lee氏:
 ストーリーは全部私が組んでいますし,ミニゲームなどの企画も私が担当しています。アートが上がってきたら「ここはもう少しこういう色味に」と方向を決めるところまで見ています。

4Gamer:
 それだけの範囲をご自身で見ているのに,チームが6人いるのはどうしてですか。

Lee氏:
 私が担当しているのは企画とディレクションで,細かい技術力は足りないのでメンバーの助けが必要です。それに全員が大学生ですから,開発だけに時間を使えるわけでもありません。6人で少しずつ力を合わせています。

4Gamer:
 特にこだわった部分,プレイヤーに見てほしいところはどこになりますか。

Lee氏:
 最初の異世界に,花を売って歩くNPCがいます。あの花商人が話す言葉が,このゲーム全体を通して私が言いたいことに近いと思ってください。
 もとは,「私も早く咲く花だったらいいのに」と泣いていた友人に伝えたかった言葉なんです。みんなが待っているのは,一番遅く咲く花なんだよ,と。どんなにつらくても,あなたが花咲くのはこの世界だし,あなたならできる。そう伝えたくて入れました。

4Gamer:
 これまでの開発期間はどれくらいですか。

Lee氏:
 通算では1年半です。ただ,途中で半年ぶんを作り直しているので,今のビルドは10か月ほどですね。

4Gamer:
 作り直すことになったのはどうしてでしょうか。

Lee氏:
 私の専攻は映像で,ゲーム制作は独学なんです。そのせいでプレイヤーが操作できるものではなく,見せるだけの作りになっていました。もうすぐリリースするつもりで展示会に出したのですが,「これはゲームではない」というご意見をいただいて,せっかくいいメンバーが集まったのだからもっといいものを作ろうと,一から作り直しました。

4Gamer:
 開発で苦労したのはどんなところですか。

Lee氏:
 実は,作ること自体がすごく楽しくて,大きくつらかったことはあまりありません。強いて言えば,締め切りに追われて眠れなかったことくらいです。

4Gamer:
 その締め切りは,何に向けたものだったのでしょうか。

Lee氏:
 運よく多くの展示会に出ることができて,これまでで8回になります。そうすると数か月に一度は必ず締め切りが生まれるんです。BICのように大きな場へ本格的に出るのは今回が初めてなので,少し緊張しました。

4Gamer:
 完成までの進み具合はどれくらいですか。

Lee氏:
 完成を10とすると,今は3といったところです。異世界が全部で4つあり,エンディングも複数用意しているので,そこを作り込むのに時間がかかります。

4Gamer:
 謎解きが軸のゲームですが,海外に向けたローカライズは大変ではありませんか。

Lee氏:
 謎を作る段階から,韓国だけでなく日本でも好んでいただけそうだと考えていて,ローカライズを前提に設計しています。ナンバープレートを使う問題なども,外国の方が見ても解けるようあらかじめ考慮しました。

4Gamer:
 リリースはいつごろを予定していますか。

Lee氏:
 来年の上半期にアーリーアクセスを始めて,下半期に正式リリースをと考えています。

4Gamer:
 最後に,日本の読者へメッセージをお願いします。

Lee氏:
 日本にいらっしゃる,この世界に疲れた皆さん。異世界で癒やされるように,たくさん準備していきます。

4Gamer:
 ありがとうございました。来年の発売を楽しみにしています。

  • 関連タイトル:

    The (Other)World Syndrome

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