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SteelSeries,ゲーマー向けヘッドセット新製品「Arctis」を発表。出力品質もマイクもデザインも同じで3モデル展開
SteelSeriesのフラグシップヘッドセットと同じスピーカードライバー,新開発の指向性マイク,新素材によるクッションを採用するという基本仕様は共通で,ワイヤレス&アナログ両対応(Arctis 7)か,USB&アナログ両対応(Arctis 5)か,アナログ対応(Arctis 3)かと,基本的には接続インタフェースと付加要素のみで差別化するという,ユニークな製品展開になっているのが大きな特徴だ。
というわけで,3モデルに共通の仕様をあらためて紹介したいが,まずスピーカードライバーは,「300ドルする,SteelSeriesのフラグシップヘッドセット(※具体名未公開)と同じ」とされる40mm径モデル「S1 Speaker Driver」を採用。また,「ClearCast」と名付けられたブームマイクは双方向マイクを搭載して高い指向性を確保し,従来にないレベルのノイズキャンセリング機能を実現しているという。
さらに,イヤーパッド部のクッションには“あの”「エアウィーブ」を,ヘッドバンド部にはスキー用ゴーグルと同じ素材をそれぞれ採用し,長時間の利用時における快適性を徹底的に追求しているとのことである。
また,バーチャルサラウンドサウンド技術としては,上位2モデルで「DTS Headphone:X」を採用。「Siberia 350」が採用しているアルゴリズムよりも新しく,また,統合ソフト「SteelSeries Engine 3」によるアルゴリズムの更新にも新規対応していると,SteelSeriesはアピールしている。
3モデルの主なスペックは表にまとめたので,参考にしてほしい。
CEOに聞くArctis
公式発表と被る情報も一部あるが,細かく新情報も入っているので,ぜひチェックしてほしい。
4Gamer:
SteelSeriesにはSiberiaという人気シリーズがありますよね。Arctisというのは,どういう立ち位置の製品になるのでしょうか。
Ehtisham Rabbani氏:
それを語る前に,開発の経緯を説明させてください。ゲーマー向けヘッドセットは現在,ほとんどオモチャのような扱いを受けています。しかし,オモチャではなく,ゲーマーが真剣に使おうと思ったときに応えられる(ヘッドフォン)出力品質,そして(マイク)入力品質を実現しなければなりません。
そこで私達は,世にあるすべての(ゲーマー向け)ヘッドセットを,もちろん自社製品も含めて仔細に確認し,何が良くて何が悪いのか,何がオモチャっぽく感じさせるのか,あらゆる要素を分析することにしました。
4Gamer:
どれくらいの時間をかけたのでしょうか。
2年以上です。
その結果として,スピーカードライバーには,弊社のフラグシップヘッド,つまり300ドルクラスのヘッドセットで採用するのと同じものを採用することにしました。しかもこれは,7,5,3と,すべてのArctisで共通です。
4Gamer:
つまり分析の結果,何よりも音質こそが重要であるという結論に達したわけですか。
Ehtisham Rabbani氏:
そういうことです。品質こそが最も重要です。「エントリークラスのモデルであっても,音質は最高であること」,これがArctisで今回目指したところです。
品質といえば,マイクのほうはいかがでしょう。
Ehtisham Rabbani氏:
いい質問です。次に私達はマイクで新しいデザインを採用しました。私達は世界で初めて,ヘッドセットにバイディレクショナルマイクを採用したのです。
4Gamer:
ほう,つまり指向性をがつんと持たせたと。
Ehtisham Rabbani氏:
ええ,バイディレクショナルマイクの採用により,マイクのフォーカス(指向性)は極めて正確なものになりました。歴史上,最も正確なゲーマー向けマイクになっていますよ。
4Gamer:
その割りに見た目はSiberiaのそれっぽさを踏襲していますね。
リトラクタブル(Retractable,格納できる)なデザイン。一般的なゲーマー向けヘッドセットだとデタッチャブルが主流で,ユーザーはマイクを分けて持ち運ばねばなりませんが,SteelSeriesの開発したリトラクタブルなブームマイクは,デザインに悪影響を与えません。
また,マイクユニット自体も,小さすぎず,大きすぎない。とても「ほどよい」サイズ感になっているのが分かるでしょう。
さて,もう1つお伝えしたいのは快適性です。
Arctisはこれまでで最も快適なゲーマー向けヘッドセットとなりました。「長時間ゲームをプレイしても疲れない」ことを徹底的に追求しています。
そのために私達はプロのアスリート(Athlete,運動選手)――e-Sportsアスリートではなく――から,運動時の快適性について学ぶことにしました。主にランナーやジャンパーなどから,ですね。
4Gamer:
それは面白いというか,新しい試みですね。どういう成果が得られたのでしょうか。
Ehtisham Rabbani氏:
高いパフォーマンスをもたらすランニングシューズやショートパンツ,Tシャツの研究を通じて,今回,ヘッドバンドやイヤーパッド部の布地には,陸上競技やサッカーで使われる素材を採用しています。
4Gamer:
(実機のイヤーパッドを触りつつ)イヤーパッド部を押した感じはとても軽いのですが,これ,スポンジじゃないですよね? 内部素材は何ですか。
新しい素材です。とても軽い織物素材である「エアウィーヴ」を全ラインナップで採用しています。
4Gamer:
エアウィーヴ!? あのエアウィーヴですか?
Ehtisham Rabbani氏:
日本で有名なんですか?
4Gamer:
日本ではトップアスリートが寝具などで使っているとして,とてもよく知られた製品ですね。そもそもメーカーが日本の会社ですし。
Ehtisham Rabbani氏:
まさにそれです。快適な寝具の素材としても,とても有名ですよね。
4Gamer:
それはびっくり。まさか日本製の素材を採用していたとは……。
ところで,ヘッドバンド部も見た目がちょっとユニークですけれども。Siberiaとはまた違う作りですよね。
ヘッドバンド部(の内部にある伸縮素材)は,スキー用のゴーグルで使っているバンドと同じものを使っています。あと,マジックテープで簡単に長さ調整を行えるようになっているんですよ。私の頭はあなたよりかなり大きいんですが(笑),ここを調整すると(と言って実際に調整して装着し)何の問題もなく,快適に被れます。
4Gamer:
このバンドって,マジックテープを外せば剥がせそうですが,交換にも対応しているんですか?
鋭いですね(笑)。Arctisではヘッドバンドを取り外せるようになっています。そして,ここを自分好みにカスタマイズしたい人に向けて,交換用バンドの販売を行う予定です。これでユーザーは,自分だけのArctisを手に入れることができるわけです。
4Gamer:
ええと,その手のカスタマイズ用パーツって,SteelSeries本社の直販ページからしか買えず,本社移転前はそれこそユーロでしか買えなかったりもしたわけですが……。
Ehtisham Rabbani氏:
その点はいま,解決に向けて動いています。すぐ,日本の皆さんに良い報告ができるようになると思います。
また,製品ボックスにはデカールステッカーを封入しましたので,(バンドの追加購入をしなくとも)好みに応じてカスタマイズしていただけます。
4Gamer:
デザイン面はいかがですか。Arctisは何と言うか,ずいぶんと「今風」なシルエットになったと思いますが。
今回,Arctisでは,「若いゲーマーが街中でも装着できること」を目標に立てました。なぜかというと,現在,ゲーマー向けヘッドセットは家に置いて,外出するときは別のものを使うというのが一般的になっているからです。
そこで採用したのが「ライフスタイルデザイン」で,見栄えがよくシンプルなので,ゲーム以外でも使っていただける。そういうデザインになっています。それを3モデルすべてで採用しています。
4Gamer:
となると,Arctisは3モデルで,出力音質も入力音質も,クッション素材も,デザインも同じということになりますよね。
Ehtisham Rabbani氏:
そのとおりです。Arctisでは,エントリーモデルを買おうが,ミドルクラスモデルを買おうが,ハイエンドモデルを買おうが,まったく同じヘッドフォン品質,まったく同じマイク品質,そしてまったく同じクッション素材からなる製品を手に入れられるということです。こんなことをやっている会社はほかにありません。
また,3モデルはすべて7.1chバーチャルサラウンドサウンドに対応します。上位2モデルはDTS Headphone:X対応です。一方でアナログ接続のエントリーモデルですらバーチャルサラウンドサウンド出力をサポートするのです。
4Gamer:
であれば,何が違うんでしょうか?
Ehtisham Rabbani氏:
この(※インタビュー会場にはArctis 5のみがあった)Arctis 5にあって(エントリーモデルである)Arctis 3にない要素,1つは(LEDによる)イルミネーションです。もう1つは,ゲームの音量とボイスチャットの音量とでバランスを調整する機能ですね。
そしてArctis 7ですが,こちらはワイヤレス対応です。また,ヘッドバンドが金属製となります。
4Gamer:
なるほど,使い勝手を左右する部分で差別化するわけですね。年内には日本でも販売が始まるという理解でいいでしょうか。
出荷自体は10月に開始するのですが,すでに(北米地域の販売代理店から)供給を上回る量の注文を受けてしまっていまして,出荷開始時点では,残念ながら欧州やアジアには供給できません。
来年の1〜2月くらいには,すべての国で出荷できるようにしたいと考えています。
4Gamer:
分かりました。国内発表を楽しみにしています。
SteelSeriesのArctis製品情報ページ(英語)
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