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現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
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印刷2008/03/12 14:59

レビュー

クリス・テイラー氏の骨太RTS「Supreme Commander」がさらにボリュームアップ

スプリーム コマンダー ゴールド エディション 日本語マニュアル付英語版

Text by 川崎政一郎

「Supreme Commander」の本編とアドオンを
セットにしたパッケージが登場


2月8日にズーより発売された「スプリーム コマンダー ゴールド エディション 日本語マニュアル付英語版」は,「Supreme Commander」の本編とアドオンをセットにしたお得なパッケージ
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 「スプリーム コマンダー ゴールド エディション 日本語マニュアル付英語版」は,2007年2月に発売された「Supreme Commander」本編(以下,SC)と,約9か月後に登場したアドオン「Supreme Commander: Forged Alliance」(以下,SC:FA)をセットにしたパッケージだ。開発を行ったのはChris Taylor(クリス・テイラー)氏が率いるGas Powered Gamesで,古くからのPCゲームファンにとっては,「ダンジョン シージ」や,「Total Annihilation」のシリーズでお馴染みのデベロッパだろう。
 SCの本編はこれまで国内で正式に発売されていなかったこともあり,ゲームの特徴について詳しくない読者もいると思われる。そこで本稿ではSCの要点を抑えつつ,SC:FAで追加された要素にも追っていきたい。

 本作は,SFをテーマにしたリアルタイムストラテジー(RTS)だ。ひとくちにRTSといってもさまざまなタイプがあるが,本作の戦闘はミクロよりもマクロに寄った作りで,“大軍隊を運用する面白さ”をウリとしている。マクロ視点で大量のユニットを操るための環境が,しっかりと整備されているのが大きな特徴だ。

リメイク作品ではないが,往年のクリス・テイラー氏率いるGas Powered Gamesのファンにとっては「2007年の技術で作ったTotal Annihilation」という表現がしっくりくる
画像集#002のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 それを代表するのが,本作ならではの「ダイナミックズーム」だ。これは航空写真なみの俯瞰視点から,ユニットを画面いっぱいに拡大させた状態まで,マウスホイールで瞬時にズームイン/アウトできるというシステム。「Google Earth」のようであり,ミニマップに頼ることなくマップ内の好きな位置へ直感的に移動できるのは,SCの発表当初,大きな反響を集めたものだ。ズームアウトするとほとんど点にしか見えないユニットの数々が,ズームアップさせて見るとしっかり「動いている」という光景は,長時間見ていても飽きない。

 RTSとしては,基本的にはユニットの数を揃えて力押しするタイプだ。一度に操るユニット数は数十〜百を超え,相手が力尽きるまで絶え間なく投入し続けるのである。大量のユニットを操ることに主眼が置かれているため,単体ユニット用のアクティブスキルといったものはない。例えば「WarCraft 3」に代表されるミクロ操作(少数ユニットの精密な操作)は,本作ではそれほど求められないのだ。

ゲームプレイを止めた状態で,ダイナミックズームを使い視点を切り替えてみたところ。ズームアップはマウスカーソルの位置を中心に行われるので,想像以上に直感的なプレイが可能だ。ズームがどの状態でも,ユニットの操作を行える
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 ユニットは主に陸/海/空の3カテゴリに分けられ,それぞれに対応する3種類の工場で生産できる。これら大半のユニットが射撃系の遠距離攻撃を行うため,接近戦は少なく,ズームアップさせてプレイすることは多くない。このあたりも,本作をマクロ寄りと呼ぶ理由の一つだ。

 各工場では,全部で3段階+αの“Techレベル”を上げることで,より強力なユニットが作れるようになる(特定ユニットのアップグレードも可能)。Techレベルを上げるには膨大な量のリソースと作業時間を要するものの,ユニットの数でよほど極端な差がない限り,Techレベルが高いものは低いものに負けない。
 そのため,なるべく早くTechレベルを上げておきたいが,これを逆手に取り,相手がTechレベルを上げる前(=ユニット数が揃う前)にラッシュを仕掛ける戦術も有効である。いずれにせよ,どのTechレベルで陸海空の軍隊を整えるかを想定し,資源採集からユニット生産までを計画的に行っていくことが重要だ。

画像集#006のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
ほぼすべてのユニットが遠距離攻撃用ということもあり,通常のプレイ時はかなり引いたカメラアングルとなる。静止画像のスクリーンショットだと,その魅力が伝わりにくいかもしれない
画像集#007のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
陸海空のユニットに対応した工場を建てて,そこで自軍勢力を生産していく。どの段階でTechレベルを上げるかが大きなポイントになる

 プレイヤーが選べる勢力は,SCで3種類,SC:FAで4種類。各勢力のバックグラウンドストーリーは後述するとして,ゲームプレイ方法や各ユニットの役割などは,基本的にどの勢力も共通している。「StarCraft」のように,勢力を変えるとまるで別のゲームになる……というほどの変化はない。
 ただしユニットや建築物の総数は非常に多く,SC:FAでは1種族増えたこともあって,トータルで350種類を超えてしまった。例えば敵の探知システム一つ取っても,視覚とレーダーとで別々に用意されており,それぞれに対応したカウンターユニットが存在するのだ。また,作成に数十分を要するが敵陣を焦土と化す核ミサイルなど,プレイヤーが選べる戦術の幅はかなり広い。それだけに,ユニットの基本性能や相性関係をしっかりと把握するには,長い時間がかかるだろう。

このひときわ巨大なユニットがACU。内政から戦闘まで何でもこなせるスーパーユニットで,さらに背中と両腕に兵器を搭載するといったアップグレードが可能だ
画像集#009のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 各勢力における最重要ユニットであり,また本作の大きな特徴となっているのが,プレイヤーの分身ともいえる「ACU」(Armored Command Unit)の存在だ。ゲームの開始時,自軍ユニットはACUが一体あるのみだが,それが資源の採集や兵器工場の建築などを行い,瞬く間に自軍が発展していく。
 しかもACU自身が抜群の耐久力を誇る戦闘ユニットでもあり,ゲームの中盤以降ではさまざまな武装やテクノロジでアップグレードし,最前線で盛大に暴れまわる。まさしく「Supreme Commander」(=最高司令官)と呼ぶに相応しいスーパーユニットといえよう。
 少々余談だが,本作といい「Total Annihilation」といい,そして次回作として現在開発中の「Demigod」といい,基本的には数を揃えるRTSでありながら,ACUのような超強力ユニットを柱に持ってくるゲームバランスが,クリス・テイラー氏のRTSらしさなのかもしれない。

画像集#008のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
全体的に,マクロ視点のほうが操作しやすい。画面はShiftキーを押して建築予約を行っているところ。作業終了予定時刻が表示されている
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ACUが破壊されると大爆発が起こり,周囲のユニットもろとも吹き飛ばしてしまう。何から何まで豪快で,「洋ゲー」らしい雰囲気を持っている


目まぐるしく変化する環境に応じて
リソースの収支バランスを調整していこう


ゲームのスタート直後,ACUが拠点を築き上げているところ。本作の内政要素は,RTSの中でもかなり難しい部類なので覚悟して挑もう
画像集#010のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 SCのプレイフィールを,ほかのRTSと比べて大きく変えているのが,独特なリソースの運用システムである。まずは採集から順番に見ていくと,「Mass」(鉱物)と「Energy」(電力)の2種類が登場する。このゲームではリソースが枯渇することはなく,MassやEnergyに関連した建築物を建てることで,これらを採集するペースや,貯蔵できる上限がアップするという仕組みだ。
 必要な建築物さえあれば採集作業そのものは自動的に行われ,多くのRTSで見られるワーカー(労働者)の類はいない。やや独特ではあるが,採集に限っては比較的シンプルな作りである。

画像集#011のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
Massを採集できるポイントはあらかじめ決められているが,Energyはどの場所でも生成できる。このように数多く建設するのが基本だ
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リソースの収支額が表示されたウィンドウには常に注目。この画面の状態だと,Massの量が秒間あたり1,そしてEnergyは秒間あたり10増えていく

 しかし,採集したリソースを運用する段階になると,途端に印象が変わってくる。本作ではユニットの生産や建築などに必要なコストが,作業開始時に一気に減るのではなく,作業終了までの間じわじわと減り続ける。少々分かりにくいが,要するにユニットの生産作業に合計で500のリソースを必要とする場合,「毎秒50のリソース減が10秒間続く」といった感じだ。
 大規模な軍隊を揃えるためのユニット生産予約や,Techレベルのアップグレードといった作業では,数分〜10分近く掛かることも珍しくない。何も考えずにこういった長大なタスクを複数抱えてしまうと,MassとEnergyの「トータル収支」がマイナスとなり,それが続いてリソースが底を尽くと作業効率が著しく低下してしまう。
 かといって積極的にリソースを使わずにいると,あっという間に貯蔵できる上限に達してしまい,それを超えた分は余剰分として切り捨てられる。一応,リソースを貯蔵できる上限は,対応した建築物を建てることで増やせるものの,それでも体感的にはかなり少なめだ。

画像集#013のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
ユニット生産などのタスクに応じて,リソースの収支額が減っていく。画面の状態では,Massの量にまだ余裕がありそうなので,もっと建築作業を行えるだろう
画像集#014のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
数分以上の時間を要するタスクは,作業用ユニットで応援させると効果的だ。もっともその分,リソースも急激に減ってしまう

 実際のプレイ中は,MassとEnergyの収支額が数値として示されているので,これに常に気を配らねばならない。ユニット生産などの指示によって,収支額がリアルタイムで変化していくため,リソースが枯渇しないように,なおかつ上限に達しないように上手にやりくりしていくのだ。
 しかし平常時ならともかく,ひとたび戦闘が開始されると,早急なユニットの生産を迫られたり,採集施設が破壊されたりで,収支バランスが一気に崩れることは日常茶飯事。こういった移りゆく環境に対応できなければ,勝利には程遠いのである。それにしても戦闘を重視したRTSで,リソースの運用にここまで細かな気配りが求められるタイトルは珍しいかも?

 そのため慣れるまでは,満足いく軍隊を揃えることさえ難しいのだが,このバランスを自在に操れるようになればこっちのものだ。敵対勢力よりも強力な軍隊を整え,相手をほぼ一方的に叩き潰せるだろう。このゲームでは,MassとEnergyの運用バランスが戦局を左右するといっても過言ではない。
 逆に攻撃時は,敵対勢力のユニットだけでなく,リソース関連の施設を破壊することがとくに重要だ。そうすることで相手はユニットの生産などのペースが乱され,たとえ表面上は大きな変化がなくとも,ボディブロウのようなダメージを着実に与えられるのである。局地戦でのカタルシスや一発逆転性といったものは少ないが,極めて戦略的なゲーム内容といえるだろう。

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内政だけを見てるぶんにはやりようもあるが,いざ戦闘が始まってしまうとそうもいかない。ちょっと目を離すと,すぐにリソースが溢れてもったいないことに
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敵陣へ進攻したときは,リソース関連の建築物をきっちり破壊しておきたい。相手の内政を乱すことができれば,着実に勝利へと近づいていく


「Forged Alliance」で新たなミッションが追加
インタフェースのリニューアルが嬉しい


「Forged Alliance」の各キャンペーンでは,3勢力の中から好きなものを選べる。見てのとおりシナリオの本数は少ないが,それぞれのボリュームはかなりのものだ
画像集#017のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 続いては本作のストーリーについて,SC本編からざっと追っていこう。このゲームの舞台となる銀河系宇宙は,かつて「Empire Earth」がほぼ全域を支配していた。しかし,あまりにも規模が拡大しすぎたことで内戦が勃発し,最終的にEmpire Earthは滅亡してしまう。

 その後急速に頭角を現してきたのが,旧Empire Earthのメンバーによって作られた「United Earth Federation」(UEF)。UEFはいかなる犠牲を払ってでも銀河系を再統一することを目標としており,そのあまりに苛酷な体制はさまざまな反発を生んでしまう。やがて,天才博士グスタフ・ブラックマン氏が生み出した,人間とAIの共存国家「Cybran Nation」と,“The Way”という哲学に従う教団である「Aeon Illuminate」は,UEFから独立すべく戦争を起こした。そしてUEFとCybran NationとAeon Illuminateの3勢力は,なんと千年もの長きにわたって戦争を繰り広げてしまう。
 プレイヤーはそんな中,いずれかの勢力の指揮官となり,この永遠とも思える戦いに終止符を打つべくACUに乗り込む,というわけだ。ここまでがSC本編のストーリーである。

CybranとAeonの幹部によるミッションブリーフィング。千年もの長きにわたって戦争してきた割には,意外とウマが合っているようだ
画像集#018のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 SCのキャンペーン終了時に,この戦争はほぼ決着がつくのだが,しかし安堵する間もなく,今度は2万年の歴史を持った強力なエイリアンの勢力「Seraphim」が侵攻してくる。UEFを初めとした3勢力は,今度は共同戦線を張り(=タイトル名の「Forged Alliance」),Seraphimを倒すため戦いを繰り広げていく。これがSC:FAのメインストーリーだ。

 このようなストーリーであるため,SC:FAのシングルプレイ用キャンペーンでは,打倒Seraphimが最大の目標となる。各シナリオの冒頭部では,最初にUEFをはじめとした3勢力の中から好きな勢力を選べるが,どれを選んでもストーリーに大きな変化はない。SCの経験者にとっては,使い慣れた勢力でプレイできるのは助かるといったところか。
 新たに本作のキャンペーンを始めようという人の場合,最初にいきなりSC:FAに挑戦するのはお勧めできない。というのも,SC:FAはアドオン(拡張版)であるため,SCのプレイが前提となっており,難度がすこぶる高いのだ。しかもSC本編の経験者ならご存じのとおり,シナリオが終了したと思いきや,そこからマップがさらに広がって新たな指令が下されるなど,シナリオ1本あたりのボリュームもかなりのものがある。おそらく初プレイの場合,シナリオ1本のクリアに3〜4時間は掛かってしまうだろう。
 SC:FAのキャンペーン冒頭にも,ごく基本的なチュートリアルが用意されているが,初心者は素直にSC本編のキャンペーンから始めるか,あるいは「スカーミッシュ」(対CPU戦のフリープレイモード)で,本作の独特なリソース採集→生産→戦闘の流れを,じっくりと学習したほうがいいだろう。

SC:FAのキャンペーンは開始直後から波乱の展開。壊滅寸前の自陣を復旧させるという,手ごわい内容のシナリオである
画像集#019のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 Seraphimは2万年もの間,銀河系と隔絶して独自の文明を築き上げてきたということだが,ACUをはじめとしたユニット構成や建築物などは,既存の3勢力と大きく違わない。また,UEFらの3勢力は千年も戦争してきたにもかかわらず,すんなりと共闘してしまうというSC:FAの取ってつけたようなストーリーは,本作においてさほど魅力的な要素とはなっていない。

 しかし,そんな些細な不満を吹き飛ばしてくれるのが,SC:FAで一新されたユーザーインタフェースだ。下の画面を見てもらえば一目瞭然だが,SC:FAでは項目ごとにインタフェースが独立しており,必要に応じて最小化が行えるようになったのである。しかも,4種類用意されたUIはいつでも切り替え可能で,これが非常に扱いやすい。
 かつてのSC本編は,仮に1024×768ドットの解像度でプレイすると,画面の下3分の1がこれらのウィンドウで占められてしまっていた。個人的にこの前時代的なUIにはがっかりさせられたものだが,SC:FAではこの不満が完全に解消された。この使いやすいUIであらためて,SC本編のシングル用キャンペーンをプレイしてみたくなってしまったほどである。

画像集#020のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
不必要なウィンドウをすべて最小化すると,画面内はとてもすっきりする。もうSC本編のUIには戻れないかもしれない
画像集#021のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
SeraphimにおけるTechレベルなどの進化体系は,基本的に既存の3勢力と一緒。すんなりプレイできる一方,少々物足りなさもある


ハードルは高めだが良作なので
RTSプレイヤーにはぜひ挑戦してほしい


ブラウザ風に見えるこの画面は「GPGnet」。ここまで多機能なマルチプレイ機能が用意された対戦ゲームは,なかなかないだろう
画像集#022のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 シングルプレイ用の主なゲームモードは,先述のキャンペーンミッションとスカーミッシュの2種類。そしてマルチプレイ関連のシステムは,すべて「GPGnet」と呼ばれる専用のサービスに集約されている。GPGnetそのものは,SC本編の頃から外部サービスとして存在したが,SC:FAではゲーム内に組み込まれ,このブラウザ状のインタフェースがすこぶる使いやすい。

 GPGnetの機能としては,ロビーチャットや実力に応じたマッチングサービスはもちろんのこと,人気マップのランキング集計や,フォーラムへのアクセス,アップデートを始めとしたサポート,さらにはMODや凄腕プレイヤーのリプレイファイルのダウンロードといったものまである。GPGnetはマルチプレイを楽しむための,ありとあらゆる環境を詰め込んだという印象だ。

GPGnet上で,評価が高いリプレイファイルを表示させたところ。従来コミュニティサイトが担っていた機能の多くが取り込まれている
画像集#023のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
 SCは以前から北米,ヨーロッパ圏で人気が高いシリーズということもあり,現在のGPGnetもなかなか盛り上がっている。例えば,希望するマップや勢力などをどのように設定しても,マッチングにそれほど時間がかからないのはありがたい。GPGnetを軸にしっかりと形成されたプレイヤー間のコミュニティは,それそのものが魅力的なコンテンツに変貌を遂げたといえるだろう。

 とはいっても,我々日本人プレイヤーの視点で見た場合,言語などの問題でこのGPGnetを存分に利用しにくいのは残念である。日本ではRTSの人気がけっして高いとはいえず,しかもリソース運用の難しさや膨大な種類のユニットなど,はっきりいって本作はかなり人を選ぶタイトルだ。
 個人的には,「Total Annihilation」から脈々と受け継がれる,本作の骨太のゲームデザインはとても気に入っているのだが,日本市場を冷静に見れば,やはり受け皿が小さそうなタイトルであるのは致し方ない。

 日本での盛り上がりには期待が難しいが,作品としての実力があることは確かだ。各ユニットの細かなギミックなど見どころ満載で,ドイツ産のミリタリー系RTSとはまた違った意味で,職人気質を感じさせてくれるタイトルである。コアなRTSファンは,ぜひとも一度プレイしてほしい。

画像集#024のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
北米やヨーロッパの人達にとっても本作は難しいのか,Tech1〜2で決着が着くゲームが多いようだ
画像集#027のサムネイル/現在の技術で甦った「Total Annihilation」こと「スプリーム コマンダー ゴールド エディション」のレビュー
本作に興味を持った人は,公式サイトのプロモーションビデオを一度見てもらいたい。画面写真だけでは伝わらない魅力が見つかるはずだ
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