インタビュー
今度のパンヤはPSPだ!「ファンタジーゴルフ パンヤ ポータブル」開発者インタビュー
4Gamer読者にあらためて説明するまでもないと思うが,本作はゲームポットが運営する「スカッとゴルフ パンヤ」を,開発元である韓国のNtreev Soft自らがPSP向けに移植したタイトル。
いつもはPCで遊んでいたパンヤを,いつでもどこでもプレイ可能なPSPで遊べるということで,発売まで待ちきれない思いをしている人も決して少なくないだろう。
今回,本作で開発ディレクターを務めたNtreev SoftのBae-heon Kim氏にインタビューする機会を得られたので,多くのパンヤファンが気になっているであろうことを中心に,質問をぶつけてきた。このインタビューと併せて,以前掲載したファーストインプレッションにも目を通していただければ,本作の大まかな姿が想像できることだろう。
PSP版の開発,そして日本語版のパブリッシャ決定に至るまで
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
昨年,G★2008の会場で「Fantasy Golf Pangya Portable」を見つけたときには,事前情報がなかったこともあって,非常に驚きました。どのような経緯で,PSPにパンヤを投入することになったんですか?
PC版のパンヤがある程度の成功を収めた頃から,このブランドをほかのプラットフォームに展開することを考えてきました。Wii用の「スイングゴルフ パンヤ」と「同 2ndショット!」が,日本ではテクモさんから発売済みですが,実は両作の発売以前からPSPへの投入に向けて本格的に動き出していたんですよ。
4Gamer:
というと,3年ほど前からですよね?
Kim氏:
ええ,そうなりますね。
PSPというプラットフォームは外出先でも遊べますし,PC版ともWii版とも異なる,新たなプレイヤー層に向けてもアプローチできるのではないかと考えているんです。
4Gamer:
市場の動向を見つつ,周到に準備を進めていたということなんですね。
では,今回のパートナーとしてタカラトミーを選んだ理由や,その時期を教えていただけますか?
Kim氏:
タカラトミーさんと販売契約を結んだのは,東京ゲームショウ 2008の頃です。実はほかにもいくつかのメーカーからオファーを頂いていたんですが,パンヤというブランドに最も理解を示してくれたのが,タカラトミーさんだったんですよ。
4Gamer:
タカラトミーとしても,PSPへの参入は本作が初めてとのことですし,相当な気合いが入っているんでしょうね。
ところでパンヤって,Wii版のリリース以前は,キャラクターやストーリーがあまり掘り下げられていなかったように思うんです。
Kim氏:
確かにそうですね。パンヤはもともとシンプルなオンラインゲームを目指していたものですから,キャラクターの性格やストーリーなどの細かい部分は設定していなかったんです。
4Gamer:
コンシューマゲームとして展開していくために,そのあたりを従来よりも強化することにしたということでしょうか。
ええ。実際,PSP版の開発にあたって,ストーリーなどは一から書き起こしたんです。これはけっこうたいへんでしたね(笑)。
4Gamer:
とくにどのあたりに苦労されましたか?
Kim氏:
印象深いのは,各キャラクターの言葉遣いですね。
例えばお礼の言葉一つをとっても,「ありがとうございます」「ありがと!」「感謝する」といった具合に,さまざまな言い回しがあります。このキャラクターなら,こういう言葉を選ぶはずだ。このキャラクターが,こういうしゃべり方をするのは似合わない。……などといった部分の調整には時間がかかりました。
4Gamer:
セリフ回しによって,プレイヤーの感情移入度も変わってきますもんね。
そういえば今回,日本語へのローカライズ作業もNtreev Softで行ったとのことですよね。こういったセリフ回しを翻訳するのは,難しくありませんでしたか?
Kim氏:
翻訳作業は,韓国語が堪能な弊社の日本人スタッフが担当したんです。そして出来上がったバージョンを,タカラトミーさんにチェックしてもらっています。また,QA(Quality Assurance:品質保証の意)についても,日本の会社で行っています。
4Gamer:
おお,それならまったく問題なさそうですね!
Kim氏:
もちろんです。弊社は日本市場を非常に重視していますから,ローカライズ作業にも細心の注意を払っています。日本人のプレイヤーから見ても,違和感のない作りになっているはずですよ。
4Gamer:
なんだかますます楽しみになってきました。
新キャラクター「シエン」はストーリーモードの中心的人物
それではゲームの中身についても聞かせてください。
まずは,シングルプレイモードのポイントを教えていただけますか?
Kim氏:
シングルプレイモードの一番の見どころは,長編ドラマ仕立ての「ストーリーモード」です。全部で三つの章に分かれていて,「エピソード1」ではPC版でおなじみのキャラクター達が登場し,それぞれの性格や特徴などを一通りおさらいできます。
4Gamer:
徐々にキャラクターが増えていく形なんですよね。
Kim氏:
よくご存じですね(笑)。一つのキャラクターで最初の章をクリアするごとに,新たなキャラクターが登場する流れになっています。
ちなみにエピソード1は,チュートリアル的な役割も持っていますので,このPSP版で初めてパンヤに触れるという方も,安心してストーリーモードから始めていただけると思います。
4Gamer:
通常のショットだけでなく,段階を踏んで特殊ショットの打ち方なんかも教えてくれるんですよね。
Kim氏:
ええ。そういう一般的なゴルフゲームとは異なる要素も,チュートリアルではカバーしています。
ストーリー自体もギャグを交えたパンヤらしい雰囲気で進行するので,きっとプレイしやすいと思いますよ。
4Gamer:
韓国版をプレイしてみたんですが,エピソード2から急展開を見せたのに驚かされました。
Kim氏:
エピソード2以降は,新たなキャラクターが次々に登場して,悪の勢力と戦っていくという設定のストーリーが展開していきます。
韓国のプレイヤーも,エピソード2以降の展開には驚いてくれたようで,こちらとしても嬉しく思っているんです。
まさに思うつぼといったところでしょうか。
個人的にエピソード2で気になったのは,新キャラクター「シエン」の存在でした。素足で刀を振り回すなど,ぶっ飛んだ印象を受けましたが,彼女はどういったバックボーンを持つキャラクターなんですか?
Kim氏:
シエンは,ストーリーモードで非常に重要な役割を担うキャラクターなんです。ある意味,主人公的なキャラクターであるとも言えるでしょう。
シエンの登場シーンでは,「ディープインフェルノ」のコースを取り上げているほか,「カズ」との絡みもあります。このあたりから,ぜひ想像を膨らませてみてください。
4Gamer:
ディープインフェルノといえば,あそこで空を飛んでいたドラゴンが……。
Kim氏:
おっと,そのあたりはストーリーの核心部分に結びついていて,ネタバレになってしまうので,ここでは控えさせてください。発売日までのお楽しみ……ということで(笑)。
4Gamer:
わ,分かりました(笑)。
では,ネットワークモードについて教えてください。本作は,アドホックモードで最大8人のマルチプレイができるんですよね。
Kim氏:
はい。一人がホスト役になってルームを作り,そこへほかのプレイヤーが参加するという,ごく一般的な形になっています。
4Gamer:
ネットワークモードでは,どんなゲームをプレイできるんですか?
Kim氏:
ストロークプレイやマッチプレイ,それからPC版でいうところの大会モードもサポートしています。ストロークプレイやマッチプレイでは,「1人対複数」といった変則的な対戦も可能なんです。
さらにこれらのマルチプレイは,参加人数が多いほど,獲得PP(Pang Point。ゲーム内での買い物などに使用できるポイント)にボーナスが加算されていくんですよ。
4Gamer:
ということは,1300近くもあるアバターアイテムを効率よく集めるには,なるべく大勢でマルチプレイを遊んだほうが良さそうですね。
……ところで,アイテムをほかのプレイヤーにプレゼントしたり,トレードしたりといったことは可能ですか?
Kim氏:
いえ,すべてのアイテムを自分で集めるシステムです。
皆さんそれぞれで,頑張ってアイテムを集めてください(笑)。
携帯機向けにゲームバランスを微妙にアレンジ
韓国版をざっとプレイしてみた印象なんですが,PC版より若干簡単になっているように感じました。
Kim氏:
PSP版はPC版よりも年齢が低いプレイヤーや,ライトなプレイヤーにも遊んでもらいたいと考えています。もちろん,PC版をやりこんだプレイヤーにも満足していただけるものにしなければなりません。この両方のニーズに,どうやって応えていくかは,開発時の課題の一つでした。
そこで最終的に,二段階の難度設定を設け,デフォルトを易しいモードに設定することにしたんです。
4Gamer:
やっぱりプレイしながら,「いつの間に,こんなにうまくなったんだろう?」なんて思ってたんですが,易しいモードだったんですね(笑)。
Kim氏:
はい(笑)。
具体的にはインパクトゾーンの広さやカップの大きさ,パンヤゲージのためやすさ,それと風の強さなんかが,難度設定によって変化します。PC版のベテランプレイヤーには,ぜひ難しいモードで遊んでもらいたいですね。
4Gamer:
そういえば特殊ショットを打つときも,“上/下”キーだけでなく,“L/R”ボタンで入力できるようになっていますね。
Kim氏:
はい。やはりPSPのプレイスタイルを踏まえると,L/Rの方が操作しやすいかなと思い,新たに追加してみました。
4Gamer:
上/下キーとL/Rボタンの両方で試してみたんですが,確かに両手の人差し指で入力できるL/Rボタンだと,より特殊ショットが出しやすいような気がしました。こういった部分も含め,PC版からの変更/追加要素はかなりの量になっているんですね。
韓国での反響はいかがでしたか?
Kim氏:
かなりの手応えを感じています。
どこでも手軽に遊べるというところが受け入れられているようです。パンヤの未経験者やゴルフゲームの初心者からは,ゲームの内容が分かりやすく,そのうえ長く楽しめそうだという感想もたくさん届いているんですよ。
4Gamer:
狙いどおりの結果が出ているわけですね。
Kim氏:
おかげさまで(笑)。
開発期間は長く,苦労もしてきましたが,頑張ってきた甲斐がありました。
4Gamer:
次は日本で,どのように受け止められるか……というのが気になるところですね。
すでにPCでパンヤをプレイしてきた日本のプレイヤーには,どんな風に楽しんでほしいと考えていますか?
ファンタジーゴルフ パンヤ ポータブルは弊社の自信作で,PC版の経験者に対しても新たな遊び方を提供できると信じています。例えば,今まで慣れ親しんだキャディを使ってコースを回ったり,各キャラクターのバックボーンや性格についても,ストーリーモードを通じてより深く知ることができます。
PSPを持ち歩いて,いつでもどこでもパンヤと一緒に過ごしてもらえると嬉しいですね。
4Gamer:
きっと日本では,これまでパンヤというゲームの存在自体を知らなかった人が,PSPで初めてプレイすることもあると思うんです。そんなパンヤ初心者に向けて,メッセージをお願いします。
Kim氏:
パンヤは単なるゴルフゲームにとどまらない,さまざまな魅力を持ったゲームです。ユニークなキャラクターの数々や,ファンタジー風の世界観,そしてアバターの着せ替えなど,実際にプレイすると一般的なゴルフゲームとは大分違った印象を受けると思います。
しかも初心者にとってもプレイしやすく,繰り返しによるマンネリ感もありません。一人でも多くの方に気に入ってもらえるように開発してきましたので,ぜひ気軽に楽しんでみてください。
4Gamer:
ありがとうございます。
……あ,最後に一つお聞きしたいことが! シエンなどのオリジナルキャラクターは,PC版パンヤには導入されないんですか?
Kim氏:
実は今日も,そのあたりも含めたミーティングをゲームポットさんと行っていたんです。ただ現時点では,詳しい部分まで話が進んでいないというのが実情です。正直なところ,まだ「ある」とも「ない」とも言えませんが,プレイヤーからの要望が多ければ本格的に検討しますよ。
4Gamer:
個人的には,実現してほしいと思っています。
本日はお忙しいところ,ありがとうございました。
ファンタジーゴルフ パンヤ ポータブルは,韓国で2008年末に発売されたばかり。つまりそれから丸4か月もかからずに日本語版が登場するのである。これは,Ntreev Softが日本市場を重視していることのあらわれだろう。
ゲーム内容に関しても,単なる移植にとどまらず,PSPというプラットフォームを最大限に生かすべく,大小さまざまなアレンジが施されている。新キャラクターやアバターアイテムも盛りだくさんだし,クオリティに関しても存分に期待してよさそうだ。
……などと客観的に書いてるつもりだが,筆者も韓国版に関しては仕事を忘れてどっぷりハマってしまった次第。でも,ストーリーモードはやっぱり日本語で堪能したいし,そもそもセーブデータが流用できるとは考えにくいし……ということで,今は韓国版のプレイを敢えて封印している状態だ。なんというか,蛇の生殺し状態である。4月16日の発売が今から待ち遠しい。
「ファンタジーゴルフ パンヤ ポータブル」公式サイト
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