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CoDMW2連載 / 第2回:モダン・ウォーフェア2が描き出す,現代戦の実相とは
スクウェア・エニックスから発売中の「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」(PC/PlayStation 3/Xbox 360。以下モダン・ウォーフェア2)をぐっと深く楽しんでもらおうという本連載も,いよいよ2回目。
今週は,モダン・ウォーフェア2のシングルプレイキャンペーンをより深く楽しんでもらうため,各ミッションの見どころなどを紹介していくのである。これでもう,第三次世界大戦が勃発しても安心だ。
第1回は前作「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」からモダン・ウォーフェア2へと続くストーリーをネタバレ覚悟で紹介したが,今回は可能な限りミッションの内容には触れない方向で書くつもりなので,モダン・ウォーフェア2が未プレイだという人も安心して読み進めてほしい。
そんなわけで,シングルキャンペーンのいくつかのミッションをピックアップし,「実はこういうことだったのだ」とか「ここに注目してちょうだい」という部分を白日の下にさらしてみようではないか。
モダン・ウォーフェア2の主要人物の一人であるシェパード大将が指揮する「タスクフォース141」とは,アメリカ特殊作戦軍(U.S.SOCOM)の隷下にあって特殊任務を遂行する精鋭部隊である。アメリカ海兵隊,レンジャー部隊,海軍のSEAL,CIA,そしてイギリスのSASなどから選抜された隊員によって編成されている。
専門の異なる部隊を一人の司令官が運用することで,指揮系統が統一され,作戦の円滑な遂行が可能になるとされている。CIAが混じっているのが一見,奇妙に思えるかもしれないが,実際に編成されたタスクフォースに情報機関が参加したケースは少なくない。
現実のタスクフォースで,ゲームのモデルになっていそうなものとしては,イラクで編成された「Task Force 77」(公式には「Task Force 145」と呼ばれる)がある。陸軍のデルタフォース,海軍の特殊戦グループ,陸軍第75レンジャー連隊,イギリス陸軍SAS第22連隊,および支援部隊で構成され,モダン・ウォーフェア2のタスクフォース141とよく似た編成だ。
2010年,Task Force 77は「Task Force 88」へ改編されたが,現在も高価値目標(HVT=High Value Target。敵の司令官や機密など,重要性の極めて高い目標のこと)を追って,世界各地で活動している(らしい)。別名,「ハンター・キラー・チーム」だ。
モダン・ウォーフェア2の世界では,ロシアはどうなっているのだろうか? 前回もちょっと触れたが,ゲームのオープニングムービーでは,前作の悪玉,イムラン・ザカエフが「新しいロシアの英雄」として尊敬され,マカロフが事件を起こす空港の名前も「ザカエフ国際空港」となっている。うーむ。
ゲーム内で明確な説明はないものの,内戦以降,ロシアはさらに混迷を深めているらしい。前作では,あんなに苦労したのになあ。
レンジャー連隊の二等兵のアレンがなぜ,エリートが集うタスクフォース141のメンバーに大抜擢されたのだろうか? という点が見どころというか,注目すべきポイントといえるだろう。
シェパード大将には何か考えがあって,あえて階級が低いものを選んだと推測されるが,とすると,アレンを推薦したフォーリー軍曹も,大将の思惑を知っていた可能性が十分にある。みんなも考えてみよう。
なんだかよく分からないけど,「奪回しろ」というから奪回したというプレイヤーも多いはずの,このミッション。マクタビッシュとローチが苦労して取り戻した「ACSモジュール」は偵察衛星の部品だ。
ACSとはAttitude Control Systemの略で,日本語では姿勢制御系または姿勢制御装置と呼ばれる。これで偵察衛星をコントロールできてしまうので,敵の手に落ちてはかなり困るのだ。のちに「敵がACSをコピーした」という言葉も出てくるが,コピーしたモジュールを,宇宙まで持って行って交換したとは考えられないので,ACSを遠隔制御する方法を解析した,ということなのだろう。コピーは絶対にいけません!
モスクワのザカエフ国際空港(架空の空港)で起きた,全世界を震撼させた事件。筆者が目を皿のようにして確認したところ,マカロフ一味が使っていた武器は,M4A1やM240軽機関銃,Thumper(M79グレネードランチャー),Striker(南アフリカ製)といった西側製の武器である。
旧東側の武器調達に事欠かない彼らがそれらを使った理由は……,まあ,説明するまでもないだろう。現場に残された弾痕を鑑定し,それらの武器をマカロフに調達したのが,アレハンドロ・ロハスと判明したというわけだが,よっぽど特殊な武器でも使っていない限り,実際には少々無理っぽい気がする。
ロハスを追ってやってきたのは,リオデジャネイロ。2016年のオリンピックが予定されているリオだが,銃撃戦の舞台となるのはリオデジャネイロにある“ファベーラ”だ。ファベーラとは特定の地名ではなく,ブラジルの大都市に必ずあるといわれるスラム街だ。
物の本によると,リオデジャネイロのものが最大で,数十万人もの人々が暮らしているらしい。レンガやブロックを積み重ねた簡素な家が連なり,細い路地が入り組んだ迷路のような構造になっているのは,プレイした人ならよくご存じのとおり。やはり犯罪の温床にもなっており,ギャングの抗争も絶えないらしい。
ローチやラミレスが左手首につけている謎のアイテムは,リストバンド型のパーソナルGPSレシーバだ。外見が似ているので,おそらくアメリカのガーミン社が製造/販売している「Foretrex201」がモデルだろう。ナビゲーション画面では進行方位角,移動速度,緯度/経度が表示されるものの,インプレイの最中は機能しておらず,アメリカだろうとブラジルだろうと,同じ座標を示している。
ガーミン社のGPSレシーバがアメリカ軍で使用された実績もあるので,このモデルが特殊部隊に採用されていても不思議ではない気はする。ちなみに,Foretrex201はすでに生産が終了しているが,後継製品が日本でも入手可能だ(デザインは多少異なる)。
シングルプレイキャンペーンの見どころの一つが,このミッションだ。なんといってもプレデターによるミサイル攻撃が白眉である。
MQ-1プレデターは,無人偵察機にAGM-114ヘルファイア空対地ミサイルを搭載したもので,レーザー誘導によるミサイルの遠隔操作が可能になっている。とはいえ,これはあくまで偵察機自身からの映像を見ながらレーザー誘導するもので,ゲームのようにミサイルの先端の画像をモバイル端末で見ながら誘導するというやり方は,コストや端末を奪われた場合の危険性などからも,あまり現実的ではない。
もっとも,すでにミサイルの赤外線画像誘導方式は実用化されているので,このようなシステムが将来登場しても不思議ではない。いずれにしろ,現代のハイテク兵器のクールな雰囲気がたっぷり味わえるミッションだ。
シェパード大将が「第8機甲師団から借りてきちゃった♪」とはしゃいでいる戦闘車両,「Stryker」(ストライカー)には先進的なアクティブ防御システム(APS=Active Protection System)が搭載されているという設定。
現在,アメリカ軍が開発中の“Quick Kill APS”は,周囲から発射された携行式ミサイルなどを探知/反応し,迎撃ミサイル(などの飛翔体)を当てることで飛行中にそれらを爆発させ,本体へのダメージを軽減/回避するというウソのようなシステムだ。同様のシステムとして,イスラエルのTrophy,ロシアのArenaなどが開発中だ。
とはいえ,このようなものが作動すれば,周囲の歩兵に甚大なダメージを与えるのは間違いないため,ゲームのような感じで運用するのは難しそうだ。
高度なセンサーシステムが必要で,なおかつ1秒以下という短時間で反応しなくてはならないため,現実のAPSは,実用段階にはまだ遠い。
モダン・ウォーフェアシリーズ,というかコール オブ デューティシリーズに戦争映画のオマージュが数多く見られるのは有名な話だ。前作コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェアのレンジャー部隊降下シーンは,2001年の映画「ブラックホーク・ダウン」に似ているし,「コール オブ デューティー 2」のノルマンディ上陸シーンは,1998年の映画「プライベート・ライアン」を思わせる過酷さだ。
で,このミッション「収容者#627」は,1996年の映画「ザ・ロック」のオマージュと思われ,シャワールームの場面がとくにそっくり。ちなみにモダン・ウォーフェア2のテーマ音楽を作曲したハンス・ジマー氏は,ザ・ロックの音楽プロデューサーでもある。
ついでにもう一つ映画トリビアを紹介しておくと,ミッション「バーガータウン」の原題である“Wolverines!”は,1984年の「若き勇者たち」に登場するゲリラの名前と同じだ。アメリカ本土に上陸してきたソ連軍に対して,ゲリラ戦を展開する勇敢な少年少女グループの名前がウルヴァリンなのだ。ちなみにこの映画,現在リメイク版が製作中らしく,米国では今年(2010年)9月に公開が予定されているんだとか。
ミッション「幕間」や収容者#627など,モダン・ウォーフェア2では頻繁に登場するライオットシールド(つまり盾)。
耐衝撃性に優れたポリカーボネート製なので,暴動鎮圧などに十分な防御力を確保しながら,透明であるため視認性が高い。とはいえ,ピストルやショットガン,サブマシンガン程度ならともかく,アサルトライフルやそれ以上に威力のある銃弾を,ゲームのように完璧に防げるかは疑問だ。曲面部分に当たれば弾道がそれるし,貫通してもボディアーマーがあるので,致命傷を負う確率は減るとは思われるが。
マルチプレイでも非常に役に立つアイテムなのだが,開けた場所や単独行動で使うと,案外あっさりやられてしまうことが多く,過信は禁物だ。とくに敵のシールドで叩かれて殺された場合,かなりの屈辱感があるので要注意。
囚人だったオッサンは,潜水艦から発射した核弾頭を成層圏外で爆発させた。
核兵器を高高度で爆発させることにより,電磁パルス(EMP)を発生させ,大規模な電子機器破壊を引き起こしたのだ。このため広範な停電が起こり,飛行中のヘリや航空機は墜落,武器の電子機器も破壊され,無線も機能しなくなった。
ちなみにホワイトハウスに照明が灯り,無線も問題なく使えるのは,万全のEMP対策がなされていたためだろう。
ホントかウソかは知らないが,高高度核爆発は,直接的な死者を出さず敵国のインフラに壊滅的な打撃を与える,新しい攻撃手段とされている。もちろん,各国とも万全のEMP対策が取られてはいるようで効果のほどは謎だが,多数の電子機器に頼る,高度情報化社会ならではの考え方だろう。
ついでにもう一つ。仮に大気圏外で核爆発が起きたとしても,そもそも大気がないため,周囲の衛星や宇宙ステーションが吹っ飛ぶということはないような気がするけど,どうなんでしょうね。
ミッションの最初に登場する空中に跳ね上がる地雷は「跳躍対人地雷」だ。ゲームに登場した円盤型のものについては正体が確認できなかったが,一般的なこの手の地雷は,1回めの爆発で1m50cmほど跳ね上がり,2回目の爆発で全方位に金属球を飛散させるという物騒なもの。
もちろん2回の爆発は非常に短時間のうちに続けて行われるので,ゲームのように起動後に伏せたところで,避けられるわけではなさそうだ。米軍のM16地雷を例にとると,攻撃範囲は200mにもなる。
ちなみに「バウンシング・ベティ」とは,第二次大戦中にドイツ軍が使った地雷の俗称で,跳躍地雷そのものは英語で“Bounding Mine”という。
シェパード大将の私設部隊「シャドウ・カンパニー」におけるシェパードのコードネームは,「ゴールド・イーグル」。
これ,前作CoD4のマルチプレイを熱心にプレイした人なら思い当たるものがあるはずだ。そう,全武器中最高の“ランク55”でアンロックされる,金色のデザートイーグルのことである。プレイヤーのステータスシンボルだったこの武器こそ,シェパード大将にふさわしい,というのはもちろん筆者の推測で,関係者に聞いたわけではないのですいません。ちなみに,シェパード大将が愛用する銃は44マグナム。ダーティ・ハリーみたい。
あんがい気づいてない人も多いようだが,キャンペーンをすべて終わらせれば,例の博物館に自由に行ける。ミッション選択画面で「MUSEUM」を選択すれば,思う存分ゲームの思い出に浸れてしまうわけだ。小粋な計らいではないか。展示されている等身大のフィギュアは,近寄ると本物そっくりに動き出す。
そんな博物館のカウンターには,「押してはならない」と書かれた赤いベルがある。禁じられると,したくなるのが自然の摂理……。だが,ポチッと押すと大変なことになるのだ。書かないけど。ちなみに,この博物館にはゲームに登場したすべての武器が納められており,しかも自由に手に取ることができ,弾薬まで用意されている。こんな博物館あってたまるか!
PC版のモダン・ウォーフェア2には,「Special Ops」というソロ,または二人での協力プレイが楽しめる,独立したゲームモードが用意されている。短時間で楽しめるので,前作のアーケードモードのような,おまけゲームと考えてもいいのだが,スケールはかなり大きい。
キャンペーンに出てきたマップが多いが,そこを使ってタイムアタックしたり,拠点を守ったり,一定数の敵を倒したりと,単純に楽しめるものばかりだ。ただし中には二人プレイ専用のミッションもあるので,すべてをソロで楽しむことはできない。
それぞれのミッションをクリアしていくことで,難度や成績に応じた星を獲得できる。Special Opsは五つのミッション群に分かれており,最初のミッション群で規定の星を獲得すれば,次の,よりハードなミッション群がアンロックされていく仕組みだ。
「単純に楽しめる」とは書いたものの,意外と骨のある内容で,星を獲得するためには何度も繰り返し挑戦することになるだろう。またCoD4を題材にしたミッションもいくつかあるので,前作のファンにもたまらないはず。オマケと片づけるには熱すぎるミッションが目白押しなので,シングルキャンペーンや,マルチプレイの合間にでも,ぜひ楽しんでもらいたい。
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