テストレポート
価格は税別約200ユーロ。BenQ ZOWIEの放つゲーマー向けUSBサウンドデバイス「VITAL」に触ってみた
XL2735と同様,VITALについても,ZOWIEブランドを率いるBenQのChris Lin(クリス・リン)氏に製品概要を聞き,また実際に試すことができたので,本稿ではその内容をレポートしたいと思う。
専用ドライバいらずで動作するVITAL
VITALは,世にあるモバイルWi-Fiルーターを分厚くしたような大きさの,何というか,「箱」といった感じの出で立ちをしたUSBサウンドデバイスだ。
ZOWIE製品らしく,PCで使うにあたって,ドライバソフトウェアのインストールは不要。Windows側のクラスドライバで利用できる。なお,VITALはPC以外にMacでも利用できるそうだ。
接続端子はヘッドフォン出力およびマイク入力,ライン出力用の3極3.5mmミニピン各1。ライン出力用は背面側(=USBポート側)なので,基本的にはヘッドセット(やヘッドフォン)での利用が前提という理解でいいだろう。
ヘッドフォン出力端子のインピーダンスは16〜250Ω。S/N比は440Hz,0dB時に96dBとされているので,かなりの高音質指向ということになる。
再生装置としては,量子化ビット数24bit,サンプリング周波数96kHzに対応。なのでいわゆる「ハイレゾオーディオ対応」製品という紹介も可能だ。
なお,入力側は量子化ビット数16bit対応,サンプリング周波数48kHzという仕様になっている。
筆者手持ちのノートPCにつないだところ。ドライバのインストールなしで,すぐにサウンドのプロパティにVITALが出現した |
再生側のプロパティを見ると24bit/96kHzに対応していることが分かる |
非常にシンプルな操作系と,設定内容の保存機能で使い勝手を重視
VITALをホストPCに接続すると,本体上面のタッチ式アイコンボタンやインジケータが点灯する。
パッと見,シンプルすぎて分かりにくいが,説明を聞くと,なかなか系統だってボタン状のタッチセンサー(以下,アイコン)がレイアウトされていて感心させられた。
上下2段,左右2列の2×2領域に分かれているアイコンだが,左上の[VOL]と[マイク]は,順に出力音量,入力音量調整用で,これらのアイコンをタップしてから,本体中央部にある[−][+]アイコンを操作することで,音量操作を行える。このとき,本体中央部で縦に13個並んだドット(・)が音量ゲージとして機能する仕様だ。
その隣の[TRE][BAS]は,それぞれ高音域(Treble,トレブル)と低音域(Bass,バス)の強調,抑制を行うためのアイコンで,やはり,タップしてから[−][+]アイコンを操作することで,対応する帯域の増減効果を調整できる。そのとき本体中央部で縦に13個並んだドットが調整レベルのゲージとなるのは,音量調整時と同じである。
左下の[スピーカー]と[ヘッドフォン]のアイコンは,セレクター的なアイコンボタンになる。VITALはヘッドフォン出力とは別にライン出力でオーディオアンプなどへの出力も行えるが,そのどちらに出力するかは,ここで選択することになる。
右下の[マイクミュート]と[タッチロック]は,意図的に制限を与えるような機能アイコンになっている。前者はマイクミュートの有効/無効切り替え,後者は不用意に本体へ触れてしまったときでも調整モードに入らないようにする機能の有効/無効を切り換えるためのものだ。
なお,VITALの各種パラメータは,PC側ではなく,VITAL本体側のフラッシュメモリに保存され,PCの電源を落としても設定は消えないようになっている。保存できる設定は1つだけだが,そこもシンプルな使い勝手を実現するための「あえて」の仕様ということになる。
欧州市場では約2万円で販売開始も,国内発売は未定
日本においてはどうかだが,マーケティング担当者いわく「前向きに検討しているが,明確な日程は発表できない。早くて2016年内,順当に言って2017年初頭というところ」だそうだ。
とてもコンパクトで,使い勝手もシンプルなVITALだが,ほとんどのPCがサウンドの入出力機能を持ち,ゲーマー向けPCやマザーボードの中には音質にこだわったものも出てきている。そんな状況において「わざわざVITALを購入する必要はあるのか」と,疑問に思う人もいるだろう。このあたりについては,追ってLin氏へのインタビュー記事を掲載し,ZOWIEの考えをお伝えしたいと考えている。
ZOWIEのVITAL製品情報ページ(英語)
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ZOWIE(旧称:ZOWIE GEAR)
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