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“幻のGPU”から一転,「GeForce GTX 480」は大量出荷へ――その背景を探る
このような場所では,ライバル関係を度外視して,同業者たちがざっくばらんに情報交換をすることも多い。しかも,この“夜の部”では,日中は別室に籠もって商談や打ち合わせをしているキーパーソンを捕まえやすいというメリットもある。
さて,グラフィックス業界関係者にとって,CeBIT 2010における“酒のつまみ”は,なんといっても「GeForce GTX 480」だ。
当初,初回の供給量は全世界で数千枚,それも,最初の数字はあまり大きくない数と言われていたGeForce GTX 480。だが,その数は,CeBIT 2010直前の数量割り当てミーティングの席上,(少なくとも大手パートナー向けの供給量は)いきなり「十数倍から,それ以上」に引き上げられたのだという。
この事実自体は,たいへん喜ばしい話だ。だが,「なぜ急に供給量が増えたのか」という疑問は当然出てくるわけで,パフォーマンスや仕様面でのペナルティ,つまりはスペックダウンが行われたりはしていないのか,そして,最終的な価格がどの程度に落ち着くのかといった話題で,盛んに意見交換が行われていた。
……業界内には「発熱と消費電力がネックとなって,GeForce GTX 480の歩留まりが上がらなかった」という共通の認識がある。そのため,グラフィックスカードベンダーのなかには,すでに液冷クーラーを搭載した製品の計画を進めているところもあるほどだ。
それだけに,このカラクリを探る動きは強く,ある関係者は「GeForce GTX 480の供給量が急激に増えたのは,発熱や消費電力の問題を解消すべく,動作クロックや,シェーダクラスタの利用効率を下げる工夫が施されたのではないか」と推測。また,欧州の報道関係者の間では,「シェーダクロックとコアクロックを同期させることで,省電力化対策が図られたのでは」「いや,初回ロットでは,CUDA Coreの一部が無効にされているのではないか」いう噂も飛び交っている。
いずれにせよ,GeForce GTX 480の“量的な問題”には劇的な進展があった,というのが,業界関係者共通の認識だ。これは間違いなく,エンドユーザーにとって朗報だろう。
あとは,価格と性能のバランスがどのレベルで取られるかだが,「これまでのミーティングの感触から,NVIDIAは,意地でも競争力のある価格に抑えてくるはずだ」と指摘する関係者が多い点も指摘しておきたい。
北米時間3月26日に正式発表される予定となっているGeForce GTX 480。その最終的なスペックと価格は,“小うるさい”報道関係者がドイツを去った,CeBIT 2010の会期終了後に,パートナー企業へ伝えられる見込みだ。
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