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[GDC 2013]良いレベルデザインとは何か。「HITMAN ABSOLUTION」のレベルデザイナーが考える10原則
ちなみにレベルデザインとは,ゲーム中のマップやエリア,ステージといった空間や環境を設計することで難度などを調整することをいう。基本が似たようなゲームであっても,マップの善し悪しで面白さがまったく違うという体験をしたことがある人は,読者の中にも少なくないだろう。レベルデザインとは,それだけ,ゲームの善し悪しを決める重要な要素なのである。
「HITMAN ABSOLUTION」公式サイト
Game Developers Conference公式サイト(英語)
その1「ナビゲートが楽しい」
ゲームを進行させるためには,プレイヤーに移動してもらわなければならない。その時の目的地までの誘導を,楽しいものにするというのがこの項目だ。プレイヤーが次に進むべき道をビジュアルで見せることが重要なのだという。このパターンのいい例として挙げられたのは「ミラーズエッジ」(PC / PS3 / Xbox 360)で,同作ではプレイヤーが進むべき方向に赤色のオブジェクトが配置されているため,迷うことがない。
その2「文字を当てにするな」
ゲームに熱中しているプレイヤーは,文字を読むことにまで気がまわっていないことが多く,文字による誘導は混乱を招きやすい。また,文字を読ませることで,どうしても没入感が落ちてしまうという。
その3「何をするのかを伝えても,やり方は伝えるな」
1から10まですべてをプレイヤーに伝えてしまうと,やらされている感が出てしまう。またある程度なら,目的は不透明であったほうがプレイヤーは頭を使い,より楽しめるのだという。
その4「教え続けよ」
その3と相反してしまっているようにも感じるが,プレイヤーが迷わないように常に気を配ることが重要だ。といってもひたすら文字を出すとかではなく,ある程度パターン化して暗示的に教えたり,大きなチュートリアルを用意して,一気に教えたりする。
その5「驚き」
常に驚かせ続けろという話ではない。たとえばジェットコースターのように,高速で回転して驚きを与えつつも,わざとゆっくりと登っていき恐怖心を煽るといった具合に,緩急をつけ,プレイヤーを驚かせるのだ。
その6「プレイヤーに権限を与えよ」
正直なところ,現実は嫌なことのほうが多い。ゲーム中では自由にしてストレスを解消させるということも重要だ。プレイヤーが何かすることで見た目が変わったり,違う世界に行ったりすると,何かの力を得たように思え,よりゲームに没入するという。
その7「簡単,そこそこ,難しい」
正直なんのことだか分かりづらいが,要は場所によって難度に差をつける必要があるということだ。当然プレイヤーは簡単なほうに進みがちだが,難しいほうをクリアした場合にはご褒美を用意するなどして,うまくバランスを取る。
その8「効率的に」
例えばブロックで何かを作るように,とにかく無駄なくデザインしていくことが重要なのだという。ただし,それを突き詰めていって,直線的にしてしまっては意味がない。プレイヤーに選択の余地を残しつつ,効率的にレベルをデザインしていく。
その9「エモーションを作れ」
これは,プレイヤーの感情を揺さぶるようなものを用意し,空間に感情移入させることを意味している。例えば芸術的な建物を用意して感動させると,プレイヤーの記憶に深く残り,よりゲームにのめり込みやすくなる。
その10「仕掛けによって誘導しろ」
本や映画であれば自動的にストーリーは進んでいくが,ビデオゲームはプレイヤーの行動によって進行する。したがって,プレイヤーのとる行動に合わせて仕掛けが作動し,その先に進むようなデザインにする必要があるという。とはいえ,ただ待つだけでは問題あるので,プレイヤーの行動を誘導するような仕組みを設けるといった工夫がいる。
そんな難しいレベルデザインなだけに,こうやって原則を言葉にして発表することには,大きな意味がある。漠然と感じていたことを言葉によって明確にする。当然すべての人がTalor氏の意見に賛同するとは限らないが,反論することで見えてくるものもある。こういった意見を発表する場としても,Game Developers Conferenceは機能していることを,あらためて感じた講演だった。
「HITMAN ABSOLUTION」公式サイト
Game Developers Conference公式サイト(英語)
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