プレイレポート
一人称のステルスアクション「Dishonored」で味わえる高い緊張感の秘密を追う
Dishonored
ベセスダ・ソフトワークスより,2012年10月11日に発売された「Dishonored」(以下,ディスオナード。PlayStation 3/Xbox 360)。女王暗殺の汚名を着せられ,摂政である伯爵に追われる身となった主人公コルヴォが,事件の真相を解明すべく活躍するという,完全新規IPのステルスアクションだ。
9月21日に掲載した本作のインプレッションで大まかなゲームの概要をお伝えしたが,今回は主人公コルヴォが,ある程度超常能力が使えるようになる序盤の2つのミッションで,いったいどんな活躍を見せてくれるのか,攻略的な要素も交えて紹介しよう。なにしろ面白くてなかなか止められず,原稿の締め切りもぶっちぎってしまった筆者だが,序盤のミッションを主体に,だいたい20時間ほどプレイしてのインプレッションとなる。
ちなみに,前回の記事ではPlayStation 3版をプレイしたが,今回はXbox 360版を使用しており,記事のボタン表記などもXbox 360版に準じたものとなっている。ただし,ゲームそのものについては,筆者が確認した限り,どちらのコンシューマ機向けでも違いは見つからなかった。なお,今回の記事には,本作の序盤のミッションのネタバレチックな部分も含まれているので,プレイ前にストーリーに関する知識を入れたくない人は注意してほしい。
「Dishonored」公式サイト
超常能力とユニークな武器で暗殺道を極めろ! ベセスダ・ソフトワークスの
「Dishonored(ディスオナード)」,発売前インプレッションをお届け
左手の装備切替が攻略のポイントに
ミッションに入る前に,コルヴォの基本的な能力に触れておこう。かつて女王の護衛官だったため,コルヴォは剣による戦闘術を身に付けている。戦闘時は,折りたたみ式のナイフを常に右手に構え,RTで攻撃しRBで防御できる。敵が剣を振り下ろすタイミングを見はからって防御すると,相手の体勢を崩せるので,その隙に攻撃をすれば一撃のもとに葬り去ることも可能だ。
ただし暗殺者であるコルヴォにとって,戦って敵を倒すことは必ずしも重要なことではない。剣による攻防は,使わないのであればそれに越したことはないと考えておくべきだろう。
一方,左手にはピストルやクロスボウなどの飛び道具か,「アウトサイダー」という謎の存在から授かった超常能力を一つだけ装備できる。複数を一度に装備することはできないが,LBを押すと出るサークルメニューや方向キーにショートカットを割り当てることで,素早く切り替えられるようになっている。超常能力には,スニークに必携のものもいくつかあり,さらに前回の記事にも書いたとおり,切り替えて使うことでコンビネーションなどが成立する場合もある。自分にしっくりくるショートカットを設定してみよう。
まずは「ダークビジョン」を覚えよう
コルヴォの超常能力は,ミッション2から使用が可能で,短距離を瞬間移動できる「ブリンク」が無条件で習得できる。それ以降はゲーム中に入手する「ルーン」というアイテムを消費することで,先のブリンクも含めると10種類の能力が習得できる。当然ながら,便利で強力な能力ほど,必要になるルーンは多い。またゲームで手に入るルーンの上限は決まっており,すべての能力を手に入れることができないバランスになっているため,どれを習得するかはプレイヤー次第……といいつつも,何度かプレイを重ねたうえでアドバイスすると,個人的には「ダークビジョン」を何よりも先に習得すべきだと思った。
これは壁の向こうにいる敵も含め,視界内の人間やウィーパー(疫病が進行したゾンビのような人間),動物などの姿とその視線まで見えるという,潜入には欠かせない能力だ。
潜入するミッションすべてにおいて,敵が巡回するルートを物陰から体を出すことなく見定めることができ,さらに一段階アップグレードすることで,隠されたアイテムや仕掛けられているトラップなども発見できるようになるので,マップ全体の構造をつかめる。
ルーンを手に入れると表示される,超常能力の習得画面。上の6種はマナを消費して使う能力で,下の4種は習得するだけでコルヴォの能力が上がるというものだ |
ボーンチャームは装備するだけで特殊能力を得られるお守りのようなもの。水を飲むことで体力やマナを回復したり,敵を気絶させるスピードが上がったりと,かなり役立つ |
前述のルーンや,「ボーンチャーム」と呼ばれる貴重なアイテムを探す際,左手に「心臓」というアイテム持つことでありかが分かるようになるのだが,残念ながら超常能力と心臓は同時には装備できない。
ボーンチャームは,装備するだけでさまざまな恩恵が得られるというものだが,筆者もミッションの遂行に夢中になるあまり,ルーンやボーンチャームを取り損なうことが何度もあった。だた,アップグレードしたダークビジョンを常に意識するプレイスタイルに変更したところ,そのあとのミッションでアイテムを取り逃すことはほとんどなくなったのだ。なお,このダークビジョンは,ルーン3個で2段階めまでアップグレードできる。アップグレードもできるだけ早くしておきたい。
周囲の敵を無数のワイヤーで絡めて切断するスプリングレーザー。設置する武器なので使い方が難しいが,音が静かでスニーキングには最適だ |
ダークビジョンでは,対象が壁の向こうにいるのか手前にいるかまでは分からないので,肉眼で見ることも重要。扉のカギ穴から中を覗くこともできる |
画面左下に出ているアイコンがステルスモードになっている状態を表す。ナイフは横に構えている。なお,武装をしまう(×ボタン長押し)ことで,少し早く移動できる |
敵を背後から締め上げると,殺さずに気絶させられる。これによりゲームのパラメータである「カオス度」が上がらず,一般人がコルヴォに友好的になり,ウィーパーも増えない |
したがって,もう1ランク上の華麗な暗殺術を行うには,超常能力や武器それぞれの効果をしっかり頭に入れておく必要があるのだ。各ミッションは再プレイもできるので,いろいろと試してほしい。
複数の結末が用意されたミッション
さて今回は,序盤のミッションの内容について突っ込んで紹介したい。とはいえ,最初のミッション「DISHONORED」では監獄からの脱出が主な目的となり,超常能力も使えないため,まずはコルヴォが暗殺者として本格的に活動を始める次の「HIGH OVERSEER CAMPBELL」から始めてみよう。
このミッションは,亡き女王に代わって実権を握った摂政伯爵の側近,キャンベル上級監督官から,女王暗殺時に誘拐されたエミリー王女の情報を聞き出し,同時に彼を始末するというものだ。本作は,目標となる場所や人物がナビによって表示される親切設計となっているが,舞台となる街や建物の中を行き来し,そこにいる者達の話を聞くことで,新たな手がかりが見つかることもある。ときには,その手がかりによってルーンやボーンチャームが手に入ったり,さらにはターゲットに何らかの影響を与えたりすることもあるため,無視はできない。
老婆の依頼はサブミッションとして2つ存在し,結果的にはそれぞれルーンが手に入るのだが,次のミッションでこのギャングに一泡吹かせた一件が,ちょっとしたシナリオの変化につながっている。また,キャンベルを倒す前の予行演習にもちょうどいい内容だろう。
ブリンクは,短い距離を敵に気付かれず移動できる。移動先を示す光の柱は自由に決められるが,壁の向こう側などには行けない。上は,仕掛けられたワナを回避しようとしている場面 |
敵の頭にあるイナズマのようなマークが3つのときは警戒度が最も高く,普段の巡回ルートを外れてコルヴォを探し始める。マークが赤くなったら,完全に発見された合図だ |
記事中,主人公のコルヴォを「暗殺者」としてきたが,彼は暗殺を生業としているのではなく,自らの濡れ衣を晴らす方法の一つとして暗殺があるだけであり,目的を何らかの形で達成できるのなら,必ずしもターゲットを殺す必要はないのだ。暗殺によらない場合,通常,かなりの余計な手間がかかるが,単に暗殺したときとは違った達成感がある。筆者は前回の記事で書いたように,一度ここで失敗しており,今回はあえてターゲットを殺さない結末を選択した。
キャンベルの館は見張りが多く,正面からの突破は困難なので,画面に表示されるヒントに従って水路から犬舎を通って潜入した。BACKボタンで表示されるメニューには,現在のコルヴォがすべきタスクのほか,「非致死」や「オプション」という目標別のタスクも同時に表示され,どれを目標としてミッションを遂行するかは自由に選べる。
老婆の依頼で,ギャングのアジトに潜入するコルヴォ。ギャング達は戦闘時に火を吹くという特技を持っているため,かなり手ごわい。ヤツらに気づかれずに潜入したいところだ |
水路から犬舎へと潜入したところ。ここには衛兵と共にウルフハウンドという番犬がいて,放たれているものはコルヴォに襲いかかってくる。この犬にポゼッションを使うことも可能だ |
犬舎から出ると,そこにはキャンベルの秘密の部屋があり,宝物の山が。装備品やルーンなどのアイテム以外は,取るとコインに変換される |
異端者の証は,烙印を押す焼きごてだった。これを手に入れることで,キャンベルを殺さず,辱めを与えて失脚させられる |
ここでは,ミッションの序盤で王政支持者の一人から依頼された「カーノー大佐を救う」というオプションタスクに注目してみたい。どうやらキャンベルは,自分と意見の合わない同僚のカーノー大佐に毒を盛って殺そうとしているらしいのだが,ミッション中,この毒の入った杯を目の前にする場面があり,杯を入れ替えたり,毒を両方に混ぜたり,杯を破壊するなどの行動が選べるのだ。ちなみに筆者は,無事カーノーを救い,さらにキャンベルを殺さずにクリアすることができた。何度も何度もゲームオーバーになり,時間もかかってしまったが,達成感は格別だった。
このように,序盤のミッションから,潜入するルートや展開に関わる選択肢が多数用意されており,プレイヤーごとにかなり異なるプレイが展開されることになるのは間違いなさそうだ。筆者が辿った道すじも,あくまで一つの例であり,もっと効率よくクリアしたり,アイテムを根こそぎ取っていくルートなどもあるかもしれない。またミッションクリア時のデータには,「誰も殺さなかった」「誰にも発見されなかった」というチェック項目もあり,この両方を満たすにはかなりの腕も必要となりそうだ(筆者は最初のミッションでしか,ここのチェックを満たしたことはない……)。プレイヤー同士が会う機会があれば,それぞれどんなルートでクリアしたかを話し合うのも楽しいだろう。
前ミッションの敵が,次のミッションでは味方に
ここでは前のミッションに登場したギャングのボス,スラックジョーが攻略の大きなカギを握っている。筆者は前ミッションで彼らに一泡吹かせているのだが,それがコルヴォのしわざということまでは,彼らは気づいていない。そのあたりについては,ギャング達の会話から分かるのだが,ここでコルヴォは,そんなスラックジョーの依頼を受けることで,新たなタスクを手に入れられるのだ。
目的地のゴールデンキャットは,キャンベルの館よりも潜入が難しい。さらにこのミッションでは前ミッションと同じ舞台ながら,街に監視塔が設けられ,コルヴォを攻撃してくる。筆者はスラックジョーの依頼をクリアすることでゴールデンキャットへの比較的楽なルートを通れたが,それでも,そこへたどり着くまではかなりの数のゲームオーバーを経験した。
ゴールデンキャット各所には衛兵が配置され,そこで働く女たちもコルヴォを客としては見てくれない。幸い建物の構造が複雑なことで,誰かに発見されたとしても,ブリンクをうまく使い,例えば,衛兵が来られない窓の外などに逃げたりしてかわすのも容易だ。そのため,追いつめられることはほとんどなかった。
ここでもしスラックジョーの依頼を受けていると,ターゲットである双子に会わずにミッションをクリアするというタスクが発生する。実際に双子を倒していくというやり方も試してみたが,それぞれかなり離れた部屋にいたため,一人ずつ殺していくのはかなり面倒だ。その前に,多少回り道をしてもスラックジョーの依頼を受けておけば,最終的に双子を殺すよりも楽にクリアができるというわけだ。
もちろん,もう一つの目的であるエミリー王女の救出も忘れてはいけない。彼女の救出は,幸い衛兵に見つかることもなく簡単に成功したが,これは筆者が潜入時にあらかじめ衛兵を倒しておいたせいかもしれない。
一人称の緊張感と,それをクリアしたときの達成感
どうしても派手な敵との戦闘や,超常能力を使ったクリエイティブ・キルなどの華麗なプレイが注目される本作。それはそれでかなり面白いのだが,筆者が強く感じたのは潜入時の緊張感の高さだ。ダークビジョンを使って衛兵の動きを個々に見極め,ちょっとしたスキをついて背後から倒し,誰にも気づかれない場所に死体を隠すという一連の動作がバッチリ決まるとかなり気持ちよく,それを積み重ねることでプレイの興奮度が少しずつ上昇していく。そして,邪魔者がいなくなった状況で最後にターゲットを倒し,見事に脱出したときの達成感は本当にたまらないものがある。
一人称視点というゲームデザインが,その緊張感と達成感(さらには没入感)をさらに高めているのも間違いないだろう。
同じミッションでも何度も挑みたくなり,プレイするごとに新しい発見があるのも魅力的だ。筆者は,ついに発売された製品版で,さらに先のミッションまで試してみようと思うと同時に,今回紹介したミッションも,もっと効率のいいルートを見つけるべく,再挑戦したいと思っている。
一人称視点で片っ端から倒したい,撃ちまくりたいという人には,そういったプレイも可能になっているが,じっくり挑める濃密なゲームを秋の夜長に楽しみたいと考える人はぜひ試してほしい作品だと,強く感じる。
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