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2017年,「World of Warships」はこうなる。台湾で開催されたイベントで,プロデューサーに話を聞いた
2015年9月の正式サービス開始から約1年半が経過したWargaming.netのオンライン海戦アクション,「World of Warships」。台湾で開催された「World of Tanks」のオフラインイベント,「Wargaming.net League APAC Season 2 Final 2016-2017」で,「World of Warships」の今後の展開に関する情報が公開された。これは,会場となった台北のEcoARKのステージイベントにおいて,ウォーゲーミング ジャパンで「World of Warships」のプロデューサーを務める柳沼恒史氏が発表したもの。さらに,柳沼氏に直接話を聞く機会も得たので,これらを合わせて紹介したい。
「World of Warships」公式サイト
「ハイスクール・フリート」とのコラボレーション
それぞれの艦には特別ボイスが用意されており,いずれも「World of Warships」としては初となる2人分の音声が収録されており,“艦長と副官の掛け合い”という形になるという。発売開始時期は未定ながら6月頃に行えれば,とのことだった。また,当初はASIAサーバーのみの販売を考えていたが,現在はグローバルリリースが予定されている。
これらの船がどのようなものになるかについて柳沼氏は,ゲームの世界観を壊すことなくゲームバランスが破綻しないものを作ることに苦労していると述べた。そのため,晴風がベースとなった「Kagero」(陽炎)と同じTier 8になるのか,同じくアドミラルシュペーが以前のプレミアム艦と同じTier 6になるかどうかはまだ分からない。
また,コラボ艦らしい特殊機能なども予定されているが,こちらも現在調整中だという。アニメの晴風は陽炎に比べて出力が向上しているが,その代わり機関がデリケートだ。こうしたことをゲームでも再現するかどうかは,有償のプレミアム艦でもあることだし,考えるべきことは多い。例えばカモフラージュ効果が高いということはあるかもしれないという。
さらに,ハイフリに登場するネコのキャラクター,五十六(イソロク)が艦長として登場するとのこと。イソロクは販売ではなく,「蒼き鋼のアルペジオ」のコラボ艦のように,ミッションの達成などを通じて入手する形になる。
「World of Warships」において,ネコ艦長の登場はさすがに初の試みとなるが,これは,アニメのキャラクターをなるべく多く登場させたいという意図に沿って行われるものだ。ちょっとした冒険でもあるので,世界中のプレイヤーの反応が気になると柳沼氏は述べた。
フランス,そしてパンアジアの技術ツリー
2015年末に行われたゲーム内イベント,「Project R」だが,これがパワーアップして帰ってくる。イベントタイトルは「Clash of the Elements」で,前回はコミュニティ全員でいくつかのマイルストーンに挑戦し,それらを達成することで幻の日本駆逐艦「Kamikaze」がもらえるというもので,この企画は日本発だったとのこと。
今回の「Clash of the Elements」ではプレイヤーが2つの勢力に分かれて競う形になるという。報酬としてもらえる艦や,実装時期などは今のところ調整中で,詳細は今後発表されるが,できるだけ近いうちに始めたいとのことだった。
さて,こちらもすでに公式サイトで発表されているが,「World of Warships」の技術ツリーに「フランス巡洋艦」が実装される。実装時期は,2017年内を予定しているとのことだ。
現在は一部のサーバーでテストが進められているという段階で,そのため,仲間や敵にフランス艦が混じっているのを目撃したプレイヤーもいるかもしれない。
フランス艦の特徴としては,長い射程が挙げられる。砲弾も強力で,さらにエンジンブーストも装備している。魚雷,ソナー,対空兵器もそれなりの性能を持っており,柳沼氏によれば,この長射程を活かした立ち回りが要求されるという。ただ,今のところ高Tier帯でのバランスがあまりよくないので,そのあたりの調整に時間がかかりそうだとのこと。
フランス艦としては現在,プレミアショップに戦艦「Dunkerque」がカムバックしているので,今のうちにこの艦を使って艦長を鍛えておくということも考えられるだろう。
さらに,PAN ASIA(パンアジア。アジア諸国の技術ツリー)の実装も予定されている。PAN ASIAの船としては,かつて「Anshan」(鞍山)と「Lo Yang」(洛陽)がプレミアムショップに登場したことがあった(現在は売られていない)が,それを拡充しようという。
ステージで柳沼氏がこのことを発表すると,やはり台湾の観客からは大歓声があがった。鞍山がもともとはソ連製,洛陽がアメリカ製だったように,パンアジアツリーにはさまざまな国で作られた船が集まることになるはず。もちろん,日本生まれの船もいろいろと考えられ,例えば台湾で「丹陽」になった駆逐艦「雪風」が真っ先に思い浮かぶ。
具体的な艦名は発表されていないが,柳沼氏は例としてタイを挙げており,日本で製造されたトンブリ級海防戦艦が考えられるところ。これらは現在はリサーチ中とのことだったが,2017年中には実装したい意向だ。今年,艦船の拡充も順調に続いていきそうだ。
公式トーナメントの開催も近いか。9月には新たなコラボの発表も
とはいえ,公式大会も始まっておらず,そのためのシステムもゲームに実装されていない現在,コメンテーター募集とは気が早いような気がしないでもない。これに対して柳沼氏は,「World of Tanks」のトーナメントは,手探り状態で進んできたので,いろいろなことが後手に回ってしまった。この経験に基づき,「World of Waships」の場合は,早めに対処していきたいという。
要するに,WargamingがWorld of Warshipsの公式トーメントを視野に入れていることのメッセージと考えていいだろう。2017年になるかどうかは分からないが,アジア・パシフィック地域でのトーナメントも考えているとのこと。東京ゲームショウではエキシビションマッチなども行われており,こうした経験から,例えば7人対7人がいいのか,あるいはもっと数が少ないほうが見ていて面白いのかなど,望ましいルールを探っているそうだ。
さらに柳沼氏は,9月に新たなコラボレーションの発表をすると述べた。
何とコラボするのかは現時点では言えないが,アニメ,または「World of Tanks Blitz」の大河原邦男氏のような,アーティストとのコラボもあり得るとのことだ。ちょっと先の話だが,楽しみにしたい。
柳沼氏は,「World of Warships」のプロデューサーとして,常にプレイヤーの視線でいたいため,すでに3300戦以上を戦ってきたとのこと。現在,気になっているのがマッチメイクとのことで,プレイヤーの意見も多く受け取っているという。また,チートやAFK(途中退席)があると,てきめんにゲームバランスが悪化するので,その対策もやっていきたいという。
また,Co-opをメインにプレイするのはもちろん問題ないが,CPUに比べて人間の戦い方は千差万別であり,継続してプレイしてもらうためにも,ぜひ対人戦も楽しんでほしいとする。とはいえ,チームワークが重要なゲームでもあるので,2017年中盤から後半にかけて,チーム戦をサポートするシステムを追加していく予定だ。詳細は今後,発表する予定だが,例えば艦隊の進むべき方向を矢印で表示するなど,そういったものが考えられられる。
3月に発表された空母,「加賀」については現在テスト中で,実装は「遠くない将来」とのこと。「加賀」に限らず,「Wprld of Warships」には日本人プレイヤーが多く,日本の技術ツリーの拡充は今後も重要な課題だ。要望が大きいのは戦艦「武蔵」だが,ゲームを始めたばかりの人でもTier10の艦が使えることになる“最高Tierのプレミアム艦”は,いろいろ難しいという。
そのため,同じく要望の多い「北上」はショップでの販売ではなく,例えば大会の賞品としてベテラン艦長に配布するという形を考えているそうだ。
冒頭にも書いたように,サービス開始から1年以上が経過した「World of Warships」だが,2017年にはいろいろな要素が加わり,さらに変化していくだろう。今後もぜひ,注目していきたい。
「World of Warships」公式サイト
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