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[GDC 2014]「Grand Theft Auto V」の臨場感を陰で支えるサウンド技術に,集まったオーディオマン達も驚き
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印刷2014/03/21 18:09

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[GDC 2014]「Grand Theft Auto V」の臨場感を陰で支えるサウンド技術に,集まったオーディオマン達も驚き

RAGE Technology Groupのオーディオプログラマー,Alistair MacGregor氏。Rockstar GamesのコアメンバーがGDCで講義するのは珍しい
画像集#001のサムネイル/[GDC 2014]「Grand Theft Auto V」の臨場感を陰で支えるサウンド技術に,集まったオーディオマン達も驚き
 2013年9月17日(日本では10月10日)に発売され,すでに3000万本もの大ヒットになっている「Grand Theft Auto V」PS3/Xbox 360)。その技術開発を担当したRockstar Gamesの専用部門RAGE Technology Groupで,オーディオプログラマーを務めるAlistair MacGregor(アリスタイア・マクグリーガー)氏が,Game Developers Conference 2014で「The Sound of Grand Theft Auto V」というテーマの講義を行った。

 Grand Theft Auto Vというと,サウンド技術よりも,広大なオープンワールドを描写する「RAGE Engine」のほうが知られているが,サウンド技術のコンポーネント自体は「RAGE Audio」という名称で呼ばれているのだそうだ。これは,もともと2008年5月に発売された前作「Grand Theft Auto IV」PC/PS3/Xbox 360)のサウンド技術を進化させたもので,今後のRockstar Gamesが抱えるほかのプロジェクトでも利用されていくことになると,MacGregor氏は解説する。

 Grand Theft Auto Vでは,BGMやセリフは前作の2倍に,メタデータは4倍にまで膨れ上がっているというが,それらのバックボーンには,サウンド効果をリアルタイムに自動生成できる「Synthetic Audio Tool」という技術があるという。これは,サウンド効果をよりダイナミックに,より忠実に再現するとともに,メモリへの負荷を極力抑えるため開発された新しい技術であり,よりリアルなサウンドを作り出せるよう,サウンドデザイナーが実験を繰り返すように微調整を行ったものであると説明されていた。

Grand Theft Auto Vを前作と比較すると,その情報量はBGMやセリフが2倍に,メタデータは4倍にまで膨れ上がっているのが分かるが,ウェーブメモリの構成内容はほとんど同じだ
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 これを使って,具体的にどのように音を生成しているのかは,残念ながら筆者には理解できなかったものの,雰囲気は「Unreal Editor」のような感じで,ノイズやオシレーター,双2次フィルタなど異なるコンポーネントをつなぎ合わせ,最終的に出力サウンドを構成している様子だった。これによって,自転車のスポークがチリチリと回る音や,エアコンの室外機,ハンマーで板を叩く音など,さまざまなサウンド効果を,その状況や環境に合わせて仕上げる様子が披露された。
 セリフや破壊音,車やバイクのエンジン音などは,より頻繁に耳にすることになるためか,サンプル音が利用されているとのことだが,効果音の合成システムの存在については,この講義を聴きに集まっていたプロのオーディオマン達も驚いた様子で,サウンド効果がスピーカーから流れ出すたびに拍手を送っていた。

「Synthetic Audio Tool」の画面写真。ハンマーで板を叩く音は,これだけのパスを通して合成するとリアルな効果となる
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最終的なアウトプットも細かく調整可能
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Grand Theft Auto Vでは,静的効果音が発せられる場所は,海辺,工業地,ダウンタウンといったように949ゾーンに分けられるが,これは前作の11倍の区画に相当するそうだ

 確かにGrand Theft Auto Vで遊んでいると,車を運転しているときにラジオが流れ,そのエンジンが全開で回り,さらにはタイヤのスキッドや周囲の車が鳴らすクラクション,標識の破壊音,パトカーのサイレン,そして携帯で電話している相手との会話など,同時にさまざまな音が聞こえてくる。こういった環境を実現するために,プレイヤーからは見えない部分でSynthetic Audio Toolのような新技術が利用されているということだろう。次にGrand Theft Auto Vをプレイするときは,サウンド面にも注意を向けたいものだ。

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