イベント
[GDC 2013]建設要素を盛り込んだEpic GamesのCo-opアクション「Fortnite」。快適な操作性を実現するための試行錯誤とは
さて,先にも述べたとおりFortniteでは,砦を破壊しながらプレイヤーを目指して進んでくるクリーチャーと戦いつつ,仲間と共に砦を強化しなければならない。ただ,Fortniteのプレイヤーはアクションゲームのファンが中心になることが予想されるため,どれだけスムーズに壁や床を設置できるのかという操作性は,非常に重要なポイントとなる。Bramer氏によれば,快適な操作を実現するためのプロトタイプ作りに何度も失敗しているらしく,今の状態に落ち着くまでに,3つのアイデアをボツにしたそうだ。
プロトタイプ第1号は,半透明の文字だけの“メニュー”が画面中央に出てくるという建築システムが採用されていた。この段階では,設置できるパーツがほとんど板一枚で構成されており,非常に細かかったのだという。そのため,プレイテストでは自分が思い描く場所に細かいパーツをくっ付けようと,カメラを近づけて作業するプレイヤーが多く,知らないうちに視界の外からモンスターに攻撃されてしまうということが多発した。また,パーツの種類が多く,文字だけのメニュー表示はとても利用できるものではなかったという。
その次に作成されたプロトタイプは,「Diablo」のようなアクションRPGによくある,1から10までのホットキーを利用する“クイックバー”と呼ばれる仕組みだ。これにより,グラフィカルなパーツの表示が可能になったものの,クイックバーのアイコンサイズでは,例えば工具用のハンマーと,戦闘用のスレッジハンマーの違いが分からず,テスターが混乱してしまったそうだ。
また,このバージョンでは,パーツを「壁1つ」の単位で表現して簡素化していたのだが,それでも窓やドアだけで9種類もあり,床や天井,階段などを加えると,スロットがまったく足りなかったそうである。
3つめのプロトタイプとして作成されたのが,クイックバーと同じくアクションRPGに多い“インベントリー”風なメニュー画面だ。確かにパーツの確認はしやすくなったように見えるが,この頃には「バルコニーの手すりの方向を変える」とか「屋根の高さを調整する」というような,細かなカスタマイズも必要ではないかという意見が出てきて,やはりすべてのパーツを表示するのは難しいという結論になったという。
これらを踏まえて最終的に発案されたのが,“タイル”式の「ブループリント」というシステムである。これは,壁,屋根,床,階段などのパーツが,その属性によって3×3,もしくは2×2のタイルで表示されるというもの。例えばドアのある壁を作るには,3×3で表示された壁のタイルのうち,中段の真ん中と下段の真ん中を削除して,ドア部分が空いた壁パーツにする。屋根や階段の場合は,クリックするとタイルが上下するので,それによって角度を指定できるといった具合だ。
素材はあらかじめ指定する形だが,レンガのような素材を揃えると,もともとあった木製の壁を取り壊すことなくそのままアップグレードできる様子だった。
Fortniteは,「Team Fortress 2」のような小気味良いアクション性と,「Left 4 Dead」のようなCo-opモードの楽しさ,そして「Minecraft」に見られるクラフト要素までもミックスさせたような作品だ。それだけに,いかに「プレイヤーにストレスをかけることなく遊んでもらうか」というのは大きな課題となるだろう。キモとなる砦の建設システム作りに,相当なプレイテストが重ねられているということは,今回の講演からも伝わってくる。
ビジネスモデルや,家庭用ゲーム機への対応など,まだ明かされていない部分も多いが,このまま順調に調整が進み,年内に遊べるようになることを期待したい。
「Fortnite」公式サイト
Game Developers Conference公式サイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- この記事のURL:
キーワード
(C)2011, Epic Games, Inc. Epic, Epic Games, the Epic Games logo, Fortnite, the Fortnite logo, Unreal, Unreal Engine 3 and UE3 are trademarks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. All rights reserved.