ニュース
NVIDIA,Pascal世代の新GPU「TITAN X」を発表。製品名から「GeForce」表記が外れた最上位モデルは,シェーダプロセッサ3584基を集積
北米市場におけるメーカー想定売価は1200ドル(税別)で,北米および欧州の居住者はNVIDIA.comから現地時間8月2日以降に購入可能。アジア市場では「coming soon」となっている。
NVIDIA TITAN Xは,TSMCの16nm FinFETプロセス技術を採用して製造される「GP102」コアを採用。120億トランジスタを集積し,シェーダプロセッサ「CUDA Core」は3584基を搭載する。動作クロックはベース1417MHz,ブースト1531MHzであり,理論演算性能値となる単精度浮動小数点演算性能は11 TFLOPSに達する仕様だ。
組み合わされるグラフィックスメモリは384bit接続のGDDR5Xで,総容量は12GB。動作クロック10GHz相当でメモリバス帯域幅は480GB/sに達する。
ただ,スペックには気になる部分もある。GP104の場合,“ミニGPU”的に機能する「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)を4基搭載し,各GPCは,1基あたり128基のCUDA Coreを集積した演算ユニット「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)5基で成り立つ仕様となっていた(関連記事)。
つまりGP104でGPCあたりのCUDA Core数は640基なのだが,640だと,GP102の3584基を割り切れないのだ。
現在のところ,明らかになっているのはNVIDIA TITAN Xの概要だけで,詳細スペックは未公開である。なので推測するほかないのだが,ひょっとするとGP102コアは(GeForce GTX TITAN Xの「GM200」コアと同じように)6基のGPCで3840基のCUDA Coreを搭載しており,NVIDIA TITAN Xでは,歩留まり率向上のため,SM合計2基を無効化したデザインになっているのかもしれない。
なにしろ,120億トランジスタという,16nm FinFETプロセス技術を用いて製造するLSIとしてはおそらく史上最大規模のチップである。一定の不良を許容しないと,歩留まりの問題が出てしまうという可能性は十分に考えられよう。
もう1つ,スペック面では,8bit整数演算性能値として44 TOPS(※1秒間に44×10の12乗回の演算実行)というスペックがアピールされている点にも注目しておきたい。
NVIDIA製GPUは,Kepler世代以降,32bit単精度の演算器を使って8bit整数×4のSIMD演算ができていたので,44 TOPSというスペック自体に疑問はないのだが,わざわざ「new deep learning inferencing instruction」(ディープラーニングの認識のための新命令セット)というコメント付きで,このスペックをアピールしているのは興味深い。
もちろん,「GP104やGP106でもサポートする命令セットで,数値演算プロセッサとしての利用も想定されるNVIDIA TITAN Xだからスペックとして公開した」という可能性もあるが,GP102で特別な――あるいはGP100譲りの――命令セットが入っている可能性もなくはないだろう。
そのほか,NVIDIA TITAN Xのスペックは表にまとめたので参考にしてほしい。確度にかかわらず,公式でない情報には「?」を加えてある。
なお,NVIDIA公式blogでは,NVIDIA TITAN Xの持つ性能について「irresponsible amount of performance.」「It was a bit reckless. But this is even more reckless.」と,ちょっと日本語に訳しづらい表現があった。ざっくり言えば「非常識なほどの性能がある」くらいの意味だ。
「GeForce GTX 1080」をはじめとするPascalアーキテクチャ世代のGeForceが見せてきた実績からして,とてつもない規模を誇るNVIDIA TITAN Xの性能にも大いに期待できそうだ。実物が登場するのが今から楽しみである。
NVIDIA TITAN X製品情報ページ(英語)
NVIDIA公式blogのNVIDIA TITAN X関連ポスト(英語)
- 関連タイトル:
TITAN
- 関連タイトル:
GeForce GTX 10
- この記事のURL:
Copyright(C)2013 NVIDIA Corporation