プレイレポート
「ハースストーン」新モード「マーセナリーズ」の先行体験レポートをお届け。開発チームへのインタビューも掲載
そんな新モードを先行体験する機会を得られたので,本稿ではそのプレイレポートをお届けしていく。記事の後半では,開発チームへのインタビューも掲載しているので,合わせて確認してほしい。
「ハースストーン」の新モード“ハースストーン マーセナリーズ”が10月13日に実装決定。恐怖の帝王・ディアブロもコラボ参戦
Blizzard Entertainmentは2021年9月1日,デジタルカードゲーム「ハースストーン」の最新情報として,新モード“ハースストーン マーセナリーズ”を追加するアップデートを10月13日に配信すると発表し,シネマティックトレイラーを公開した。
「ハースストーン」公式サイト
自分だけの傭兵団(マーセナリーズ)を組み上げろ! 発動順が勝負の鍵を握るコマンドバトルに注目
マーセナリーズは,6枚の傭兵カード(以下,傭兵)からなるデッキを使って戦うゲームモードだ。プレイヤーは自分だけの傭兵団を率い,依頼を受けて賞金首の撃破を目指したり,別プレイヤーの傭兵団と戦ったりしながら,チームを拡大していくことになる。
まずは,マーセナリーズの中核をなすバトルのシステムを紹介していこう。バトルでは6枚の傭兵で構成されるデッキを使用し,相手の傭兵をすべて撃破すれば勝利となる。デッキの中から傭兵を3枚を選んで戦場に配置したらゲームスタートだ。残りの傭兵は“控え”に配置され,味方が死亡すると控えから戦力を補填できる。
互いの傭兵が出揃ったら,味方の各傭兵が使用するスキル(能力)を選択する。ここで選んだスキルはすぐに発動するわけではなく,両プレイヤーが使用するスキルを選び終えたあとに,自動で処理される仕組みになっている。
各スキルには“速度”が設定されており,発動するスキルは敵味方問わずに速度の数値が低い(速い)ものから順に処理される(同値の場合はランダム)。相手の攻撃などで死亡してしまった傭兵のスキルは発動しないので,相手のスキルや速度を考慮したうえで戦略を練らなければならない。
ここまでの手順を,ざっくりとまとめると以下のような流れになる。パッと見ると複雑に感じられるかもしれないが,実際には戦場に出ている傭兵の数だけスキルを選ぶだけなので,慣れてしまえば難しくはない。
手順1 | デッキの中から,戦場に出す傭兵カードを3枚まで選択する |
↓ | |
手順2 | 各傭兵が実行するスキルと,使用する対象を選択する |
↓ | |
手順3 | スキルに設定された“速度”の数字が低い順に,自動で実行される。このとき,実行する前に死亡した傭兵のスキルは発動しない |
↓ | |
手順4 | すべてのスキルを処理した後,いずれかのプレイヤーの傭兵が2体以下になった場合,3体になるまで控えの傭兵を場に出す。控えが足りない場合は,そのままゲームを進める |
↓ | |
手順5 | いずれかの傭兵がすべて死亡するまで,手順2から4を繰り返す |
戦略を考えるうえで重要になるのが,マーセナリーズの独自要素である「兵種」の概念だ。マーセナリーズに登場する傭兵は「護衛(赤)」「術士(青)」「戦士(緑)」のいずれかに分類され,有利な兵種(赤→緑→青→赤)に対してはクリティカルダメージ(通常の2倍)を与えられる。
なお,相手が使用する傭兵は最初の3体を選び終えるまで確認できないが,全体の兵種構成は事前に把握できる。相手の兵種が偏っていればそれに合わせて出撃させる兵種も決めやすくなるだろう。もちろん,その裏をかかれる可能性もあるので,この時点で読み合いが始まっていると考えたほうがいい。
傭兵には成長要素が存在し,戦いを重ねる中で強くなっていく。具体的には,バトルの経験値で上昇する「レベル」と,特定の傭兵の絵柄が描かれた「傭兵コイン」を消費して行う「スキルのアップグレード」,条件を満たすと使用可能になる「装備」によって,能力が強化される仕組みだ。
経験値や傭兵コインは対人戦,ソロモードを問わずに入手でき,装備の解放条件はレベルやクエストなどに紐付いていることが多い。いずれにせよ,戦い続けていれば自然と成長していく仕組みになっている。
レベル | バトルを重ねることで入手できる経験値を貯めると上昇し,攻撃力と体力に影響する。最大値はレベル30 |
スキル | バトルの報酬として得られる「傭兵コイン」を消費することでアップグレードできる。最大アップグレード回数は5回 |
装備 | 特定の条件を満たすとアンロックされ,最大3種類の中から1つを選択できる。ステータスを向上させたり,スキルを強化したり,特殊なアビリティを得たりと,傭兵ごとに多彩な効果を持つ |
続いて,マーセナリーズ内で楽しめるソロモード「賞金稼ぎ」(通常のハースストーンにおけるソロアドベンチャー)についても触れていこう。
賞金稼ぎは,1つの傭兵デッキでマップの攻略に挑戦し,最後に待ち構えるボス(賞金首)の撃破を目指すゲームモードだ。賞金首を撃退できれば,デッキに組み込んだ傭兵の傭兵コインや,経験値などの報酬を獲得できる。
基本的なシステムは対人戦と同じだが,いくつか異なる点もある。まず,賞金稼ぎ内のバトルでは,敵が次に実行するスキルの効果や速度を事前に(自分が使用するスキルを決定する前に)確認できる。非公開の情報が“控え”のカード以外にはほぼ存在しないので,プレイフィールとしてはパズルゲームに近い印象だ。
それに加えて,敵を撃破すると“宝物”を3つの中から1つ選んで入手できる。これらは,賞金稼ぎに挑戦している間だけ効果を発揮する特別なアイテムで,その効果はいずれも強力だ。適切な宝物を選択していけば,より有利に攻略を進められるだろう。
それとは別に,プレイヤーにとって不利な要素もある。ソロモードでマップの攻略中に死亡してしまった傭兵は,ボスを撃破するかゲームオーバーになるまで使用不能になってしまうのだ。
宝物の効果は編成している傭兵に紐付いているので,宝物を持った傭兵が倒れてしまうと大きな戦力ダウンになる。マップ上のルート分岐で戦う相手が変わるので,道中でも有利に立ち回れるようにルートを選ばなければならない。
賞金首の討伐を終えたら,メインメニューに置かれた設備“キャンプファイヤー”を覗いてみよう。ここには定期的に訪問者が出現し,傭兵コインなどの報酬を得られるクエストを提示してくれる。
クエストを進めていけば新たな賞金稼ぎの情報も得られるので,マーセナリーズを始めたばかりで傭兵が十分に育っていない間は,賞金稼ぎとキャンプファイヤーを行き来して傭兵コインを収集していくのが基本的な流れとなる。
レアリティによる能力の格差はナシ。6枚の中に自分なりの戦略と対策を詰め込もう
今回のテストプレイでは,自分のデッキを組んで対人戦を行うこともできたので,その中で確認できた傭兵たちの能力や,それらを活かす戦略なども紹介していこう。
全体をざっと見たところ,傭兵のステータスは体力がやや高めに設定されている印象を受けた。最大レベルまで育成した時点での攻撃力が6〜15なのに対して,体力は69〜88あるので,戦闘でクリティカルヒットを受けても即死はしない。
スキルの効果はシナジー(相乗効果)を意識したものが多く,傭兵の種族(ドラゴンや獣など)を揃えるだけでもデッキとして機能する。ただ,それぞれの種族はいずれかの兵種に偏っていることが多く,特定の種族だけでデッキを組むとバランスが悪くなりがちなので,そこをいかに埋めるかは考えどころだ。
傭兵たちにはレアからレジェンドまでのレアリティが設定されているが,育ちきった時点でのステータスに大きな差は見られない。とくに賞金稼ぎで最初に入手できる傭兵たちは汎用性の高い能力を持つものが多く,育成すればさまざまなデッキで活躍してくれる。
個人的に強いと感じたのは,「Diablo」シリーズからコラボ参戦している「ディアブロ」だ。未行動の敵の数だけ全体6ダメージを繰り出す「ファイアストンプ」や,対象を全兵種からクリティカルダメージを受ける状態にする「アポカリプス」など,極めて強力なスキルが揃っている。
重要なのは,いずれもスキルの速度が“6”であるという点だ。味方にディアブロがいるなら速度7以上のスキルを持つ傭兵を多く編成することで「アポカリプス」の効果を最大化できる。逆に敵に回った時は,速度6以上のスキルを使用すると「ファイアストンプ」が強力になってしまうので,ディアブロを警戒してデッキを組む場合は,必ず速度5以下で動く手段を用意しておきたいところだ。
また,キャラクターが死んだあとに体力+10を得る装備「ブラックソウルストーン」の効果は敵味方関係なく発動するため,どんどん体力が増えていく。トークンを召喚するタイプのスキルとも相性がよく,常に戦場で戦い続けることも可能だ。
ただし,そもそも速度5以上の攻撃が存在しないガロッシュ・ヘルスクリームや,速度の遅い攻撃に反応して複数回攻撃を仕掛ける剣匠サムロー,壁となるトークンを連続攻撃で焼き尽くすラグナロスなど,対策となるスキルを持つ傭兵も多い。
戦略と対策を6枚の傭兵に中に詰め込むため,リストを眺めながら頭をひねるのはなかなかに楽しい。現時点では各兵種ごとに18枚(戦士は16枚)と少しカードプールが寂しい気もするが,それでもかなり幅広くデッキを組める。
ただ,育成にはそれなりに時間がかかるので,しっかりとカードリストを吟味し,最終的に組み上げるデッキを想定して育成を始めた方が良いだろう。まずはお気に入りの傭兵を見つけて,そこを中心に戦略を考えてみよう。
以上がマーセナリーズのプレイレポートとなる。最後に今回のテストプレイの前に行われた,開発チームへのインタビューを掲載して,本稿の締めくくりとしよう。お相手は,プロダクションディレクターのNathan Lyons-Smith氏と,ゲームデザイナーのAtes Bayraktarogle氏だ。
4Gamer:
マーセナリーズはゲーム本編とは根本的に異なるゲームでしたね。独立した作品としても成り立つようにも思えますが,なぜ“ハースストーン内の別モード”としてリリースしたのでしょうか。
Lyons-Smith氏:
我々は「ハースストーン」を,多様なゲーム体験を提供する1つのプラットフォームだと考えています。例えば,デッキを組んで戦うのと,バトルグラウンドに参戦するのでは異なる体験が味わえますよね。今回のマーセナリーズも,そうしたプラットフォーム内で選べる体験の1つというわけです。
4Gamer:
マーセナリーズには成長要素があり,プレイヤーによって進捗も変わってくるかと思いますが,対人戦でのマッチングはどのようになるのでしょうか。
Bayraktarogle氏:
成長要素が存在すると,対人戦において不公平が生じる可能性があり,それを危惧する声は内部でもあがっていました。そのため,マッチメイキングに関しては慎重に調整しています。現状では,各プレイヤーが所持しているキャラクターや装備のレベルなどを参照して対戦相手を決める仕組みになっているので,その点に関してはクリアできているのではないかと思います。
4Gamer:
今後もコンテンツの拡張が行われていくかと思いますが,新しいカードを増やす方向になるのでしょうか。
Bayraktarogle氏:
そうですね。今のところは,新しいカードを追加する方向で考えています。
4Gamer:
カードが増えると毎回育成をする必要が出てきますよね。“魔素”のように,育成に使用したリソースを融通できる仕組みは用意されますか。
Lyons-Smith氏:
現時点で,魔素のようなシステムは用意していません。まずは入手した傭兵たちを育成して,マーセナリーズの基本を楽しんでいただきたいです。成長に必要な傭兵コインはPvPでもPvEでも獲得できるので,自分に合ったやり方で集めてもらえればと思います。
4Gamer:
オススメのキャラクターやコンボがあれば教えてください。
Lyons-Smith氏:
最初に入手できる8人のキャラクターを使ったオススメのコンボとして,キャリエル・ロームとザレイラがあります。一番最初に入手できる仲間で使えるコンボですので,試してみてください。
また,ディアブロとバロン・ゲドンの相性も非常に良いですね。ディアブロの「ファイアストンプ」は火炎属性で,バロン・ゲドンは火炎コンボ(味方が先に同じ属性のスキルを使った時に追加効果が発動)を持っているので,全体に連続して大ダメージを与えられます。
4Gamer:
通常のモードではなかなか出番のないキャラクターも,マーセナリーズなら活躍させられそうですね。個人的にはキングクラッシュの出番が増えて嬉しいです。
Lyons-Smith氏:
キングクラッシュですか,いいチョイスですね。ポートレートもいろいろな種類を用意していますので,好みのものを探してみてください。子供の頃のキングクラッシュの姿で活躍させることもできますよ。
4Gamer:
インタビューは以上になります,ありがとうございました。
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(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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