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  • 発表日:2015/10/30
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印刷2017/03/04 17:15

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[GDC 2017]PCおよびMac用クラウドゲームサービス「GeForce NOW」の概要が明らかに

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 2017年1月に行われたCES 2017で,NVIDIAのCEOであるJen-Hsun Huang氏が,同社のクラウドゲームサービス「GeForce NOW」をPCおよびMacにも展開すると発表したことを覚えているだろうか(関連記事)。
 基調講演では,GeForce NOWを実行中のPCで,Steamにログインしてゲームをプレイする様子が披露されたが,実際にはSteamだけでなく,それ以外の主要PCゲームプラットフォームにも対応する予定とのこと。謳い文句通りに実現されれば,クラウドゲームサービスの可能性を大きく広げるものとなりそうだ。

Phil Eisler氏(General Manager of GeForce NOW,NVIDIA)
画像集 No.003のサムネイル画像 / [GDC 2017]PCおよびMac用クラウドゲームサービス「GeForce NOW」の概要が明らかに
 GDC 2017の最終日である北米時間2017年3月3日に行われた講演「How to Stream Your Game to Millions with GeForce NOW」(GeForce NOWであなたのゲームを100万人に提供する方法)は,新しいGeForce NOWがどのようなサービスになるのかを,具体的に説明するものだった。基本的には,GDCに来場しているゲーム開発者に向けた内容であったが,ゲーマーにとっても興味深いポイントがいくつもあったので,その概要をレポートしたい。
 講演を担当したのは,GeForce NOW担当ジェネラルマネージャーのPhil Eisler氏である。


シングルサインオンで各社のゲームタイトルがプレイできるように


 Eisler氏によれば,PCおよびMac用のGeForce NOWは,冒頭で触れたValveのSteamに加えて,Electronic Artsの「Origin」や,Ubisoft Entertainment(以下,Ubisoft)の「Uplay」,Blizzard Entertainmentの「Battle.net」,そしてCD Projektの「GOG.com」といった複数のプラットフォームに対応する予定であるという。主要なPCゲームプラットフォームは,ほぼ網羅するといっても過言ではない。

Steamだけでなく,OriginやUplay,Battle.netやGOG.comにも対応する予定
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PC,MacからGeForce NOWを利用するランチャーアプリがGeForce Appだ。ちなみに,Android端末であるSHIELDシリーズでも,同名のアプリが提供される予定
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 実際のGeForce NOWで,これらのプラットフォームを利用する手順を,Eisler氏は説明した。
 プレイヤーは,NVIDIAが提供するランチャーアプリ「GeForce App」上で,プレイするゲームを選択する。すると,GeForce AppがGeForce NOWのサービスに接続して,クラウド側の仮想PC上で選択したゲームをプレイできるようになるという仕組みだ。
 GeForce NOWで使うNVIDIAのアカウントと,SteamやOriginといった各ゲームプラットフォームのアカウントは,クラウド上で紐付けられるという。そのためGeForce NOWには,どちらかのアカウントでもログインできるし,GeForce NOWと各ゲームプラットフォームへ個別にログインする必要もないという,シングルサインオン環境を実現するとのことだ。

Uplayを例にした,GeForce NOWでゲームをプレイするまでの流れ。GeForce Appでゲームを選択すると,クラウドサービスとUplayに自動でログインして,ゲームが起動する
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Ubisoftと共同で,シングルサインオンの仕組みを開発中
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 現在NVIDIAは,Ubisoftと共同でシングルサインオンを開発しているという。最終的にはUplayだけでなく,SteamやOriginでも,同じようにシングルサインオンが利用できるようになるはずだ。

 ゲーマーが所有している各ゲームプラットフォームのアカウントを利用できるので,たとえばUplayで購入済みのゲームは,GeForce NOWでもプレイできるとのこと。セーブデータもクラウド側に保存されるので,たとえば旅先に持っていったノートPCでゲームの続きするといったことが,可能になるわけである。

GeForce NOWは,各ゲームプラットフォームとリンクしており,外出先でゲームの続きをプレイするということも可能だ
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 また,GeForce NOW上でオンラインマルチプレイのゲームをプレイすることも可能になる。ゲームそのものがNVIDIAのクラウド上で動作しているので,「クラウドサービスが使う超高速回線で,オンラインマルチプレイが可能になる」とEisler氏は利点を述べていた。

Marvel Heroes」「Paragon」「War Thunder」の3タイトルが,まずはGeForce NOWでのオンラインマルチプレイに対応する
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 こうしてみると,20時間の利用で25ドルからという価格を除けば,GeForce NOWはゲーマーにとって,魅力的なサービスになりそうに思える。統合型グラフィックス機能しかないノートPCでも,GeForce NOWがあれば,PCゲームをプレイできるというのは,やはり素晴らしい。
 というのも,今まさに筆者は,「DOOM」のキャンペーンを途中までやりかけた状態で,GDC 2017の取材に行くはめになったからだ。手元にあるノートPCは,非力なCore m3プロセッサ搭載マシンなで,とてもDOOMなど遊べない。「今ここに,GeForce NOWさえあれば,続きをプレイできるのにな……」と,切実に思ってしまった。

 Eisler氏によれば,北米および欧州で,GeForce NOW向けのクラウドゲームサーバーを増強しているところだそうで,「全米で高速回線を持つ家庭の90%は,30ms以内の遅延に収まる環境になっている」(Eisler氏)という。30ms以内といえば,60fpsでは2フレーム弱程度。本当にこれだけの低遅延を実現できるなら,十分すぎるほど実用的だろう。

北米および欧州におけるGeForce NOWサーバーの設置状況を示したスライド。米国だけで7か所のサーバーを設置し,低遅延のサービスを実現しようとしている
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据え置き型ゲーム機の4倍のPascalパワーを一般家庭に


 ゲーム開発者に向けた講演ということもあり,Eisler氏は,開発者にGeForce NOWの利点を強くアピールしていた。
 とくにEisler氏が強調したのは,GeForce NOWのクラウドサーバーが,PascalベースのGPUを使っていることだ。氏によれば,Pascalは「一般的な据え置き型ゲーム機の4倍以上のパフォーマンスを持っている」そうで,「GeForce NOWなら,高性能を要求するPCゲームをリビングでプレイできる」と主張していた。

Xbox One(※グラフではXB1)を基準に,各ゲームハードの性能を比較したスライド。GeForce NOWのPascalは「6」で,PlayStation 4の「1.5」と比べて4倍の性能を持つという。Eisler氏は,「PlayStation 4 Proに対しても,2倍の性能を持っている」と主張していたが,GPUを仮想化するクラウドゲームサービスなので一種の詭弁のような気がしないでもない
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ゲーム開発者向けの資料やテスト環境も用意している
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 質疑応答でEisler氏は,「GPUやCPUの世代が新しくなったら,GeForce NOWのサーバーも更新されるのか」という問いに対して,「アップグレードする」と答えている。GeForce NOWのサーバーは,性能が向上するように更新し続けるという点も,Eisler氏がアピールしたいところのようだ。

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 もう1つ,Eisler氏の説明で興味深かったのが,クラウドゲームをアップデートするためのサービス「Game Updater」である。ゲームスタジオがGame Updaterに,サービス中のゲームに適用するアップデートを送るだけで,GeForce NOWサーバー上のゲームを一括して更新する仕組みだそうだ。
 これにより「アップデートに関わる手間やネットワーク帯域を,大幅に抑えることができる」と,Eisler氏は利点を説明していた。

 Eisler氏は講演の最後に,「2017年第2四半期にスタート予定のEarly Access Programにぜひ登録してほしい」と呼びかけていた。これは誰でも登録できる早期体験プログラムだ。とはいえ,GeForce NOWのサービス地域に,今のところ日本は含まれていないので,登録してもあまり意味がないのが残念だ。
 いずれにしても,NVIDIAは,GeForce NOWの展開に本気で取り組んでいるというのが,この講演でうかがえた。Early Access Programがスタートすれば,どの程度実用的に使えるかも見えてくるだろう。今後の情報に注目したい。

NVIDIAのGeForce NOW 公式Webページ(英語)

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