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GeForce GTX 700
  • NVIDIA
  • 発表日:2013/05/23
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「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
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印刷2013/11/07 23:00

レビュー

史上最速と謳われながらGTX TITANより300ドル安い新型GPU,その実力はいかに

GeForce GTX 780 Ti
(GeForce GTX 780 Tiリファレンスカード)

Text by 宮崎真一


GTX 780 Tiリファレンスカード
画像集#002のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
 日本時間2013年11月7日23:00(※北米太平洋標準時7日6:00),北米時間7日に発表と予告されていたとおり,NVIDIAの新型GPU「GeForce GTX 780 Ti」(以下,GTX 780 Ti)が正式発表となった。その型番から想像できるとおり,GeForce GTX 700シリーズの新たな最上位モデルとなる。
 NVIDIAは,GTX 780 Tiを「Radeon R9 290X」(以下,R9 290X)へのカウンター,そして「地球上で最も優れたゲーム用GPU」と位置づけているが,4Gamerでは正式発表に合わせてリファレンスカードを入手できたので,さっそくその実力に迫ってみたい。


フルスペックのGK110コアでCUDA Core数は2880基に

メモリクロックは7000MHz相当となり,足回りも強化


 さて,今回明らかになったGTX 780 Tiのスペックだが,結論から先に言うと,これは「『GK110』コアのフルスペック版」である。

 そもそもKeplerアーキテクチャのGPUは,シェーダプロセッサ「CUDA Core」が192基集まって,L1キャッシュや16基のテクスチャユニット,ジオメトリエンジン「PolyMorph Engine 2.0」などと一緒に,「Streaming Multiprocessor eXtreme」(以下,SMX)という名の演算ユニットを構成する仕様だ。そして,第2世代Keplerアーキテクチャを採用したGK110の場合,SMXは3基一組でラスタライザである「Raster Engine」と組み合わされ,ROP以外のグラフィックス処理をこなせる“ミニGPU”たる「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)として機能する仕様になっている。

GK110のダイイメージ。GPCは5基がフルスペックとなる
画像集#005のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
 GK110コアベースのGPUとしては,すでに「GeForce GTX TITAN(以下,GTX TITAN)とGeForce GTX 780(以下,GTX 780)がすでに存在するがいずれも5基のGPCを搭載,これらを構成する総数15基のSMX中,GTX TITANでは1基,GTX 780では2基が,それぞれ無効化されていた。要するに,ダイ上で一部の不良を許容することにより,製造の難しいビッグチップたるGK110コア全体の歩留まり率を引き上げようとしていたわけだ。
 最上位モデルとしてリリースされたGTX TITANですらSMXが1基無効化されていたのは,フルスペックで動作する個体を確保するのがそれだけ難しかったということを意味するが,それだけに,GTX 780 Tiでフルスペック版のGK110,CUDA Core数にして2880基のGPUが登場してきたのは重要なポイントということになる。

GTX 780 Ti GPU。チップ上の刻印はGK110-425-B1だった
画像集#004のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
 GTX TITANでも実現できなかったフルスペック版GK110を,NVIDIAがこのタイミングで採用できた理由は,おそらく,GPUコアのリビジョン変更にある。というのも,GTX 780 Tiのチップ上にある刻印は「GK110-425-B1」で,GK110の後ろに続く3桁数字がGTX TITANより25大きくなっただけでなく,さらにその後ろに続く,リビジョンを示す2文字も,GTX TITANやGTX 780のA1から「B1」に変わっているからだ。
 リビジョンの変更によって,GTX 780 Tiとして動作できるフルスペック版GK110を十分に確保できるようになったということなのだろう。

GK110のブロック図。GTX 780 Tiはフルスペックなので,何も削られていない。CUDA Coreの数でいうと,GTX TITAN比で192基(約8%),GTX 780比では384基(約15%)多いことになる
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3Dアプリケーションで負荷をかけ,その状態をPrecision Xから追ったところ。GPUコアクロックは最大1019MHzに達した
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 GPUの動作クロックはベースが875MHz,ブーストが928MHz。もっともNVIDIAが示しているブーストクロックは「自動クロックアップ機能『GPU Boost 2.0』効果の平均値」であって,最大動作クロックではない。そこで,後述するテスト環境でEVGA製のオーバークロックツール「Precision X」(Version 4.2.1)を用い,自動クロックアップ機能「GPU Boost 2.0」の最大動作クロックをチェックしてみたところ,入手したリファレンスカードでは1019MHzまで上がるのを確認できた。
 手元にあるリファレンスデザイン採用のGTX TITANカードだと最大992MHz,GTX 780リファレンスカードだと1005MHzだったので,ざっくりとした比較ではあるものの,「ブースト時の最大動作クロックもリビジョン変更前より上がっている」と判断していいのではなかろうか。

 一方の“足回り”は,8基のROPユニットで1パーティションを構成し,それを6基搭載するという仕様になっており,端的に述べるとGTX TITANやGTX 780と同じ。組み合わされるメモリコントローラも64bit×6の384bit仕様で変わっていない。メモリ容量は3GBなので,GTX 780と同じになる。
 ただし,GTX 780 Tiでは,メモリクロックがGTX TITANやGTX 780の6008MHz(実クロック1502MHz)相当から,「GeForce GTX 770」(以下,GTX 770)とほぼ同じ7000MHz相当(実クロック1750MHz)へ引き上げられ,メモリバス帯域幅はGTX TITAN&780の288.4GB/sから336.0GB/sへと約17%向上した。この336.0GB/sというのは,512bitメモリインタフェースを持つR9 290Xの320.0GB/sをも上回る帯域幅だ。

GTX 780 Tiのタグライン(≒キャッチコピー)は「The best gaming GPU on the planet」
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 以上,GTX 780 TiというGPUでは,ほとんどあらゆる部分でGTX TITANを上回るスペックが実現されている(表1)。倍精度浮動小数点数演算プロセッサ(以下,DP)のフルスピードモードに対応しないので,GTX TITANのように「DPフルスピードに対応した“バーゲン版Tesla K20X”」としての利用はできないが,ゲーム用途でDPフルスピードに対応するメリットは皆無と断言してまず問題ない。だからこそNVIDIAはGTX 780 Tiを「地球上で最も優れたゲーム用GPU」と位置づけているのだと思われる。

※NVIDIAは,KeplerアーキテクチャのGPUがDirectX 11.2に対応すると公式blogで明らかにしている
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リファレンスカードのデザインはGTX TITAN&780を踏襲

GPUに合わせて? 基板もリビジョン変更に


カード長は実測約266.7mm。GPUクーラーの型番ロゴ部に色が入ったのが従来製品との主な違いか
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 引き続き,入手したリファレンスカードを見ていこう。
 カード長は実測約266.7mm(※突起部含まず)で,これはGTX TITANやGTX 780と同じ。というよりもその外観は,同じくグラフィックスメモリ容量が3GBとなるGTX 780リファレンスカードとまったく同じで,エンボス加工された「GTX 780 Ti」ロゴ部に色が塗られて,従来よりも型番が分かりやすくなったことを除けば,見分けが付かないレベルと述べていい。

GTX 780 Tiリファレンスカードの表と裏。GTX TITANやGTX 780のリファレンスデザインと非常によく似ている
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 もちろん,PCI Express補助電源が6ピン×1,8ピン×1という構成になっている点や,外部ビデオ出力インタフェースがDual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,DisplayPort×1,HDMI×1で,任意の組み合わせによる最大3画面――正確を期すと3+1画面――出力に対応する点も,GTX TITANやGTX 780のリファレンスデザインと同じだ。

補助電源コネクタは6ピン,8ピン各1で,外部ビデオ出力インタフェースはDual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,DisplayPort×1,HDMI×1。いずれもGTX TITANおよびGTX 780のリファレンスデザインから変わりない
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GPUクーラーを取り外したところ
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 「Vapor Chamber」(ヴェイパーチャンバー)技術を取り入れたNVIDIA独自のGPUクーラーを取り外してみると,基板の設計も,GTX 780やGTX TITANのそれを踏襲しているのが分かる。6+2フェーズ構成と思しき主電源部や,GPUの周りに12枚のグラフィックスメモリチップが配されるあたりは,従来からあるGK110搭載製品と変わらない。

 だが,間違い探しのように細かく見ていくと,電源部におけるキャパシタの数や配置に若干の変更が入っていると気づく。さらに,基板のリビジョンらしきシルク印刷に注目すると,GTX 780リファレンスカードが「180-12083-1102-B01」なのに対し,GTX 780 Tiリファレンスカードだと「180-12083-1102-D01」に変わっているのも確認できた。GPUコアと同じく,基板もリビジョンアップがなされたということなのだろう。

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電源周り。ほとんど同じだが,細かく見てみると,従来製品とはレイアウトが若干異なっていた
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基板上のシルク印刷に180-12083-1102-D01とあり,従来とはリビジョンの異なる可能性が窺える

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 なお,搭載されるメモリチップは,SK Hynix製のGDDR5「H5GQ2H24AFR-R2C」(7.0Gbps品,2Gbit)だった。これはGTX 770リファレンスカードが搭載していたSamsung Electronics製品とは異なるチップである。


ドライバにはGeForce 331.70 Driverを利用

4K解像度におけるテストも実施


 というわけで,テストのセットアップに入ろう。
 今回比較対象として用意したのは,先の表1に示したGPUだ。GTX 780 Tiと同じGK110コアをベースとしたGTX TITANおよびGTX 780に加え,NVIDIAが競合製品と位置づけるR9 290X,以上3製品となる。
 ただし,R9 290Xは,リファレンスカード上に用意された「Dual BIOS Toggle Switch」によって,安定動作を目指した「Quiet Mode」と,より高い性能を発揮するよう設定された「Uber Mode」と,2つの動作モードを持っているため,今回は両方のモードでテストを行うことにした。そのため以下,Quiet Modeで動作する状態を「R9 290X Quiet」,Uber Modeで動作する状態を「R9 290 Uber」と書き分けて区別する。

 そのほかテスト環境は表2のとおり。GeForceシリーズのテストには,全世界のGTX 780 Tiレビュワーに配布された公式最新版グラフィックスドライバ「GeForce 331.70 Driver」を用いた。対するR9 290Xのテストにあたって導入したのは,テスト開始時点の最新版となる「Catalyst 13.11 Beta V8」だ。

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NVIDIAコントロールパネルの「システム情報」からGTX 780 Tiのスペックを確認したところ
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 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション14.0と,現在準備中の同15.0をミックスしたものになる。「3DMark」(Version 1.1.0)と「Crysis 3」「BioShock Infinite」のテストはレギュレーション14.0完全準拠。同時に,レギュレーション15世代での導入を検討している「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)と「GRID 2」を,「SimCity」および「F1 2012」の代わりに含める。
 本来であれば「Far Cry 3」と「The Elder Scrolls V: Skyrim」のテストも行いたかったのだが,「Radeon R9 290」(以下,R9 290)解禁日遅延の影響を受け,テストスケジュールが逼迫したため,今回,両タイトルのテストは割愛する。

 なお,新生FFXIVベンチ キャラ編のテストでは,「グラフィック設定」プリセットから「標準品質(デスクトップPC)」と「最高品質」を選択し,解像度ごとに同プリセットで2回ずつ実行。その平均をスコアとして採用した。一方のGRID 2では,グラフィックス設定に「ULTRA」プリセットを選択のうえ,ゲーム側に用意された公式ベンチマークツールを利用して解像度ごとにテストを2回実行し,やはりその平均をスコアとして採用することとした。

 テスト解像度は基本的に1920×1080ドットと2560×1600ドットの2つ。ただ,R9 290のテスト用として短期的に入手したシャープ製の4K対応32インチディスプレイ「PN-K321」がまだ手元に残っていたため,今回,Crysis 3と新生FFXIVベンチ キャラ編,GRID 2の3タイトルでは3840×2160ドットでのテストも追加で実施する。

画像集#021のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
 ……と,ここまで読み進めた読者のなかには気づいた人もいると思うが,今回のテスト環境や方法は,R9 290のレビュー記事で採用したものとまったく同じだ。そのため,GTX TITANとGTX 780,それにR9 290X Quietのスコアは同レビュー記事から流用しているので,この点はあらかじめお断りしておきたい。なお,R9 290X Uberのテストは同記事中で行っていないため,今回は新たにテストをし直している。
 もう1つ,これはいつもどおりだが,CPU「Core i7-4770K」の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によって挙動が変わる可能性を排除すべく,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化してあるので,こちらもご了承のほどを。


GTX TITANより5〜7%程度高いスコアを示すGTX 780 Ti。4K解像度ではR9 290Xと互角以上に渡り合う


 性能検証のグラフでは,基本的にGeForce→Radeonの型番順に並べてあるが,グラフ画像をクリックすると,より描画負荷の高いテスト条件のスコア順に並び変えたものを表示すると案内しつつ(※ただし,並び変える必要のないグラフを除く),グラフ画像をテスト結果を順に見ていきたい。まずグラフ1は3DMarkの結果だ。
 3DMarkではGCNアーキテクチャベースのRadeonが高いスコアを示す傾向にあり,実際,R9 290X UberやR9 290X QuietがGTX TITANを引き離しているのだが,GTX 780 Tiはわずかながら,R9 290 Uber&Quietをかわしてトップに立っている。
 なお,GTX 780 TiとGTX TITANとのスコア差は4〜5%なので,スペックの違いを考えると妥当な結果になっているともいえよう。

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 Crysis 3のテスト結果をまとめたグラフ2,3だと,GTX 780 Tiは対GTX TITANで100〜107%程度,対GTX 780で112〜118%程度のスコアを示した。従来製品比でメモリクロックを大幅に引き上げた,メモリバス帯域幅でR9 290Xを上回ってきたGTX 780 Tiが,「高負荷設定」で8〜14%程度と,有意なスコア差を付けている点にも注目しておきたい。

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 Crysis 3と比べると描画負荷がかなり低くなる「BioShock Infinite」のテスト結果がグラフ4,5だ。
 ここでGTX 780 Tiは,「High」で5〜7%程度,「UltraDX11_DDOF」で7〜9%程度,それぞれGTX TITANより高いスコアを示している。R9 290Xとのスコア差は8〜18%程度に広がっており,比較的描画負荷の低いタイトルであっても,GTX 780 TiにおけるGPU規模と動作クロックの引き上げ効果は得られると述べてよさそうである。

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 グラフ6,7は新生FFXIVベンチ キャラ編の結果だ。ここでは,より負荷の高いテスト条件で,GTX 780 Tiが比較対象とのスコア差を広げている。2560×1600ドットの最高品質でスコア9800超を叩き出し,GTX TITAN比で約9%,R9 290X Uber比で約13%もの違いを生み出しているのはなかなかの見どころと言っていいだろう。
 もっとも,スクウェア・エニックスは,スコア7000以上で「非常に快適」ににゲームをプレイできるとしているので,今回用意したGPUなら,どれでもまったく問題なかったりはするのだが。

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 なお,スコアよりも平均フレームレートのほうが分かりやすい人も多いと思われるため,平均フレームレートベースのグラフ6’,7’も用意してみた。必要に応じてこちらもチェックしてもらえれば幸いだ。

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 続いてGRID 2のテスト結果がグラフ8,9である。このクラスのGPUにとっては,最も高いグラフィックス設定でも描画負荷が低すぎるためか,標準設定だと,GTX 780 TiとGTX TITAN,R9 290X Uber&Quietのスコア差はほとんどない。2560×1600ドットの高負荷設定でようやく数%の違いが出た程度である。
 余談ではあるが,GRID 2をレギュレーション15.0へ正式に組み入れるときは,ハイエンド環境向けに描画負荷をさらに高める方向で検討する必要がありそうだ。

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 ここからは,3840×2160ドット,いわゆる4K解像度環境でのスコアを見ていきたい。
 グラフ10はCrysis 3の結果となるが,メモリバス帯域幅が300GB/s超級となるGTX 780 TiとR9 290X Uber&Quietがほとんど並んでいるあたり,おおむね,メモリ性能順のスコアになっていると言っていいように思う。
 もっとも,その実スコアは「エントリー設定」でも30fps以下。4KでCrysis 3クラスのゲームをマトモにプレイするには,GTX 780 Ti(やR9 290X)でも1枚では力不足というわけだ。

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 新生FFXIVベンチ キャラ編を4K解像度で実行したときの結果がグラフ11である。
 ここではそのすぐ下にグラフ11’としてフレームレートベースのグラフも示してあるが,GTX 780 Tiは対GTX TITANで7〜8%,対GTX 780で16〜18%,対R9 290Xで14〜17%程度,それぞれ高いスコアを示した。最高品質におけるスコアで,GTX 780 TiとGTX TITANだけが,「非常に快適」に次ぐ「とても快適」という指標の,スコア5000〜6999内に収まった点も押さえておきたい。

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 最後にGRID 2の結果がグラフ12となる。ゲームアプリケーションの問題か,R9 290Xではゲームを正常に起動できなかったため,GeForce 3製品間での比較となるが,GTX 780 TiとGTX TITAN間のスコア差は,2560×1600ドットの高負荷設定と同じく4%程度だった。
 HIGH設定なら何の問題もなくゲームになるレベルのフレームレートが確保されている点は評価したい。

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消費電力はGTX TITAN比で最大14Wの増加

優秀なGPUクーラーの性能は従来モデルから変化なし


 本稿序盤の表1でも示したとおり,GTX 780 TiのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は250Wとされている。GTX TITANからCUDA Core数が増え,GPUコアおよびメモリのクロックが引き上げられている一方で,GPUコアのリビジョン変更がなされているわけだが,その消費電力にはどのような違いが出るだろうか。今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体での消費電力を測定,比較してみよう。

 テストにあたってはゲームでの利用を想定し,ディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 その結果がグラフ13で,GTX 780 TiとGTX TITAN,GTX 780はアイドル時の消費電力が83Wで揃った。アイドル時の挙動は従来製品から何も変わっていないと見てよさそうだ。
 ちなみにR9 290X UberとR9 290X Quietは,アイドル時にディスプレイ出力が無効化されるよう設定しておくと,省電力機能「AMD ZeroCore Power Technology」によってシステム全体の消費電力が75Wにまで低下していたので,この点は付記しておきたい。

 さて,アプリケーション実行時だが,GTX 780 Ti搭載システムの消費電力は384〜386Wで,GTX TITAN搭載システム比だと6〜14W高い。GPU規模の拡大と動作クロック引き上げの割には低いスコアにまとまっており,リビジョン変更の効果はあったと述べていいのではなかろうか。

画像集#036のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?

 搭載されるリファレンスGPUクーラーの冷却能力を見るべく,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.7.3)から温度を取得した結果がグラフ14となる(※最新版の0.7.4を使っていないのは,比較対象のGPU温度を0.7.3で取得しているので,それに合わせたため)。テスト時の室温は24℃で,システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態に置いたときのスコアとなる。

ここぞとばかり(?),NVIDIAは競合との間にあるGPU冷却能力の違いをアピールしている
画像集#023のサムネイル/「GeForce GTX 780 Ti」レビュー。GTX TITANより300ドル安い“史上最速GPU”,その実力は?
 もちろん,GPUクーラーがGeForceとRadeonで異なっているため,横並びの比較には適さない。その点は踏まえておいてほしいが,それでも,GeForceの3製品でアイドル時と高負荷時の温度がほぼ揃っていることからすると,GTX 780 TiのGPUクーラーは,基本的にGTX TITANやGTX 780に搭載されていたものと同じものと見ていいのではなかろうか。
 また,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,GPUクーラーの動作音も,GTX TITANやGTX 780と違った印象は受けない。ウルトラハイエンドクラスのGPUを冷却するクーラーとしてはなかなか静かだ。

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ゲーム用途でのGTX TITANを微妙なものにするGTX 780 Ti。当面は最速GPUとして君臨か


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 GPU性能のトップ争いはいまに始まったことではないが,2013年秋に関して言えば,「R9 290Xがコストパフォーマンスを武器に登場してGTX TITANに挑み,その立場を危うくしたところで,GTX 780 Tiがきっちりとカウンターを当ててきた」といったところになるだろうか。

 北米市場における搭載カードの想定売価が999ドル(税抜)のGTX TITANよりも,3Dゲームにおける性能が確実に高いにもかかわらず,2013年秋の時点における事実上の最速GPUが同699ドルなのだから,GTX 780 Tiは破格と述べていいように思う。もちろん,同549ドルのR9 290Xに圧倒的な大差を付けているわけではないため,ドルベースの価格対性能比では,R9 290Xや,その下位モデルとして同399ドルの値札が付けられたR9 290に軍配が上がるものの,「GTX TITANより300ドル安い」のはやはりインパクトが大きい。
 日本では謎のドル円相場が発動するため,“初値”は8万5000〜9万円程度くらいになりそうだが,二大GPUメーカーの新製品が出揃ったことで,2013年の年末商戦期にハイエンドGPU市場が“熱い”状況を迎えそうであることは,PCゲーマーの1人として歓迎したいところである。

 そんななか,立場が微妙になったのはGTX TITANだ。本稿の序盤で述べたとおり,DPフルスピードという大きなメリットはあるのだが,それを受けられるのはあくまでもCUDAプロセッサとして使ったときに限られる。しばらく最速GPUの座に留まるであろうGTX 780 Tiの登場によって,ゲーム用途おけるGTX TITANの務める役割は終わったと見るのが正解だろう。

GeForce製品情報ページ

GeForce公式ページ「GeForce.com」(英語)

  • 関連タイトル:

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