ムービー
二足歩行の巨大ロボット「タイタン」を駆って,未来の戦場を駆け巡れ!
タイタンフォール
2014年3月13日に,Xbox 360版に先駆けてPC版が発売された「タイタンフォール」。4Gamerでもこれまでに何度も取り上げており,注目していた人も多いだろう。かくいう筆者も,いつも一緒にゲームを遊んでいるFPS仲間と指折り数えて発売日を待っていた一人である。
本作はマルチプレイを主体としたFPSで,2010年に設立されたRespawn Entertainmentが制作を行っている。このスタジオは,「Call of Duty」シリーズで知られるInfinity Wardの元スタッフを主力としており,いわば,“オンライン対戦が可能なFPS”開発のエキスパートが集まって作られたのが本作というわけだ。
そんな「タイタンフォール」だが,2月にクローズドβテストが行われ,あまりにも要望が多かったのか,それともそういったプロモーション戦略なのかは分からないが,途中からオープンβテストへと変更され,CBT期間中には200万人を超えるユーザーがPC版とXbox One版をプレイしたという。
そして,ついに3月13日に製品版の発売を迎えた本作。寝食を忘れる勢いで(大げさだが)戦場を駆け巡っている筆者が,現在進行形で本作を遊んだ印象を語らせてもらうことになった。それでは,行ってみよう。
「タイタンフォール」公式サイト
他ジャンルの良いところを取り入れ
新しい感覚のFPSとして昇華
本作では,最大12人が2チーム(6対6)に分かれて対戦するが,実際にゲームを始めると,もっと多くのキャラクターが出現する。このキャラクター達はAIの兵士で,MOBA系で言うミニオンの役割を担っており,戦闘能力が低く,行動パターンも割とおバカ。とはいえ,結構な数がマップ上に現れるため,無視して放置しておくと拠点を占拠されることもある。
このミニオンもしくは敵プレイヤーを倒すと,軌道上で生産されているのであろう,人型の搭乗兵器“タイタン”の完成を早めることができ,画面右下にあるタイマーがゼロになるとタイタンの投下が可能になる。
巨大なタイタンに対し,人間であるパイロットは貧弱で,ちょっと接触しただけでも踏み潰されてしまう。では,どうやってタイタンに対抗するのかというと,本作の大きな特徴の1つであるパルクールのような移動方法がカギとなる(パルクールについては,YouTubeやニコニコ動画でParkourを検索すると,どういった移動術か理解してもらえるはず)。
パイロットは腰にジャンプキットと呼ばれるジェットパックのような装置を付けており,壁を走ったり2段ジャンプをしたりできる。この移動テクニックを使うことで建物の屋上から屋上へと飛び移ることができ,戦場をダイナミックかつテンポよく移動できるのだ。
一見すると難しそうに見えるかもしれないが,これが実に簡単。そのへんにある壁に向かってジャンプするだけで壁をタタタッと走り,再度ジャンプボタンを押せば壁から離れる。慣れてくると,目的の建物まで最短距離で移動できるようになるのだが,これが本当に気持ち良い。
建物だけでなく,敵や味方のタイタンに飛び移ることも可能で,この状態を“ロデオ”または“ロデオキル”と呼ぶ。味方のタイタンに飛びついた場合は移動手段となり,敵のタイタンに飛びついた場合は弱点が隠されたハッチを引き剥がし,タイタンに高いダメージを与えられるため,パイロットによるタイタンキルが可能になっている。
なお,パイロットはアンチタイタンウェポンも装備しているのだが,弱点を直接攻撃するロデオキルより破壊に手間がかかるため,ほとんどのプレイヤーはこちらを狙っていた。タイタン側にも対抗手段はあるのでハイリスク・ハイリターンだが,ロマン溢れる攻撃方法だ。
タイタンに乗り込み,敵を蹴散らせ!
さて,前述のとおりパイロットは特定の条件を満たすことで,軌道上からタイタンを投下してもらえる。その条件とは,画面右下に表示されるタイタン出撃までのカウントダウンタイマーをゼロにすることだ。ゲーム開始直後は残り時間4分からカウントダウンが始まるのだが,敵チームのパイロットやミニオンを倒すごとに残り時間が短縮され,より早くタイタンを利用できるという仕組みだ。
タイタンに搭乗するとコクピット視点に変わり,内蔵されたモニターを通じて周囲の状況を見ることになる。視点はパイロットよりも高くなり,より広域を見渡すことができるので,索敵がしやすくなる印象だ。
試合中盤ともなれば両チーム共にパイロットやタイタンが入り乱れるため,序盤よりも明らかに戦闘が激化する。とくにタイタン同士の戦闘は目を見張るものがあり,街中で行われる激しい戦闘はタイタンが増えるほど迫力を増すため,戦闘そっちのけで眺めてしまいたくなるほどだ。というか,これはまさに男の子が夢見た世界である。
中でも近接戦闘での殴り合いは格別で,映画「パシフィック・リム」でイェーガーが怪獣を殴っているワンシーンのような迫力があり,かつ,PRIDEでドン・フライ対高山善廣の壮絶な殴り合いを見ているような激しさを感じられる。
タイタンが敵の攻撃により行動不能になると,パイロットはコクピットから脱出を試みなければならない。成功すると,戦闘機の緊急脱出よろしく空高くパイロットが射出され,自機は爆発炎上する。
このとき前述した格闘攻撃を食らってしまうと,パイロットを操縦席から引きずり出したり,タイタンの腕をちぎり捨てたりといった演出が入る。パイロットキルにもなるため,これを狙ってくるプレイヤーは多く,やられた側としては本当に悔しくて,顔を真っ赤にしてしまう(主に筆者)。
マルチプレイが面白く,止めどきが分からない
マルチプレイには5つのゲームモードが用意されている。基本的なルールはチームデスマッチをベースとしており,2チームに分かれて戦うのだが,作戦内容はモードによって異なっている。
・消耗戦
いわゆるチームデスマッチ。先に規定のポイントに到達したチームが勝利
・拠点制圧
3か所ある拠点を取り合うルール。制圧下に入れた拠点からは一定時間ごとにポイントが入る
・ラスト・タイタン・スタンディング
タイタンに搭乗した状態からスタートするラウンド制のゲーム。敵チームのタイタンをすべて撃破するのが目的
・パイロットハンター
消耗戦とほぼ同じだが,敵プレイヤーを倒さないとスコアが入らない
・キャプチャー・ザ・フラッグ
敵陣から旗を盗み出し,自軍に持ち帰るのが目的のモード
・バラエティパック
上記5つのモードがランダムに選ばれるモード
現在は消耗戦と拠点制圧を遊んでいるプレイヤーの数が多く,キャプチャー・ザ・フラッグやパイロットハンターは人気がいま一つ。面白いモードなんだけどなぁ。
勝敗が決まると,今度は撤退戦が発生する。この撤退戦では,敗北側の陣営が作戦エリアから撤退するための脱出用降下艇がマップ上に出現する。負けた側のプレイヤーは,この降下艇に乗り込み,無事脱出するのが目的。対する勝利側は,脱出される前に敵パイロットを殲滅するか,降下艇を撃墜するのが目的だ。
正直,これがメチャクチャ面白く,たとえ負けていても,無事脱出できれば“してやったり”な感じで,逆に脱出されると“試合に勝ったのに勝負に負けた”といった気分になる。このさじ加減は絶妙と言っていいだろう。
ちなみに,1ゲームにかかる試合時間は長くて10分,早ければ7分ほどで終了する。最近のFPSと比べても明らかに短時間で,次々と遊べてしまうために止めどきが見つからない。筆者の場合,気付いたら3時間が経過していたなんてこともザラだ。
パイロットのレベルを上げて,いろいろな要素をアンロック
戦闘で得た経験値が溜まっていくと,パイロットのレベルが上がる。レベルアップすると言ってもRPGのように基本性能が上がるのではなく,使用可能な武器が増えたり,パイロットやタイタンのカスタム設定を保存できるようになったりする。
レベルを上げると受けられる最大の恩恵の1つが“バーンカード”だ。バーンカードは,特定の条件を満たすことで入手できるカードで,使用するとプレイヤーのステータスや取得経験値をアップさせたり,強化武器が使えるようになったりという恩恵が得られる。
試合には最大3枚のカードを持ち込むことができ,出撃時に3枚のうち1枚を選べば,敵に倒されるまでその効果が持続する。敵に倒されてしまうとそのカードは消滅し,効果も切れてしまう。そのため,戦局に合わせて上手に運用しなければならない。筆者は喜び勇んでレアカードを消費するも,10秒後に死亡といった悲しい経験をしている……。
プレイヤーは対戦中に得た経験値によって,レベルアップができる。レベルアップと聞くとRPGのようにステータスがアップするイメージがあるかもしれないが,本作の場合はパイロットの武装やタイタンのカスタマイズなどが可能になるシステムになっている。このへんは,最近のオンラインFPSでもおなじみだ。
レベルの上限は50だが,上限に達したプレイヤーはレベルをリセットすることが可能だ。リセットをすると,レベル1の初期状態に戻ってしまうが,ジェネレーションと呼ばれるランクが上がり,戦闘中に得た経験値にボーナスが加えられる仕組みになっている。このジェネレーションは,ゲームの参加者リストに表示されるので,ほかのプレイヤーのジェネレーションを確認したりもできる。
最初はジェネレーション1で,次がジェネレーション2となるのだが,ジェネレーション2からは次のジェネレーションに移行するための条件が設定される。この条件は割と厳しく,筆者は現在ジェネレーション3から4への条件をクリアすべく,日々努力しているのだが,なかなか達成できない。まあ,急がずゆっくり楽しみながらのんびりと気長にやっていこうと思っている。
キャンペーンモードはまあ,お気軽にどうぞ
本来ならマルチプレイよりも先にキャンペーンモードについて説明するべきなのだが,本作ではマルチプレイを先に説明する必要があったので,ちょっと話の流れが前後している。
その理由は単純で,本作のキャンペーンモードは対戦を通じてストーリーが進行するという特徴を持っているからだ。キャンペーンはIMCかミリシアどちらかの陣営に所属した状態で物語が始まり,同じ陣営で,同じシナリオを遊んでいるプレイヤー達とチームを組んで,敵プレイヤー達と戦うことになるのだ。
そう聞くと,勝敗によって物語が進まなくなるのではないかという疑問を持つかもしれないが,そんなことはない。本作のキャンペーンモードは勝敗に関係なく進むため,全戦全敗しようがクリア可能なのだ。
キャンペーンモードでは,どういう理由で戦場に出ていくのかというような説明が対戦開始を待つロビーで音声として流れてくるだけで,良く言えばシンプルな作りになっている。なんだか,昔よく聞いたラジオドラマを思い出す。
正直な感想を言えば,ちっともストーリーが頭に入ってこない。せっかくマルチプレイ対戦しながら物語を進めるという珍しいシステムを採用しているのだから,プレイヤーをもっと物語に引き込むような凝った作りでも良かったのではないだろうかという気がする。
もっとも,最近の海外産FPSではこの傾向が強く,手間暇かけてストーリーを紡いでも,誰も気にしていないようだから,まあいいや,というところなのかもしれない。
なお,キャンペーンモードを1周するとストライダーが,両陣営のキャンペーンを終えるとオーガが手に入る。すべてのタイタンを手に入れたい場合は,キャンペーンを2周しなければいけないので要注意だ。なお,手に入れたタイタンはジェネレーションを更新しても手元に残るので,再度キャンペーンをやり直す必要はない(ロードアウトのカスタマイズが可能なレベルにまで上げる必要はあるが)。
不満点もあるが
それ以上に満足度が高い
以上,発売から10日ほどみっちりと遊んだ感じをお届けした。私事で恐縮なのだが,ずいぶん長いことC4爆弾を設置するタイプのFPSにばかり仕事で関わっていたせいもあり,そろそろそういうタイプの作品に飽きていた。なんか新しいもんないかな,と思っていたところに彗星のごとく現れたのが本作だったのだ。
チームデスマッチが基本で,テンポが早く,かなり忙しいといった,どこかオールドスクールな雰囲気を感じさせつつも,巨大ロボが登場したり,MOBA系の要素を取り入れたりなど,今までにない独特なゲームに仕上がった本作。
筆者の環境によるものなのかもしれないが,日本語のフォントに問題があり,文字欠けが発生したり,日本語の訳文にやや違和感があったり,Originのオーバーレイが効かなくなったり,さらにはマッチングの不具合やプライベートロビーの未実装といった点があったりなど,不満点はそれなりにある。
だが,これらの不満点を凌ぐ満足度が本作で得られているのも事実だ。何かこう,今までとは違ったFPSを求めている人に本作はピッタリのタイトルだと思う。
なお,「こちら」に掲載した記事でもお伝えしたように,Xbox 360版「タイタンフォール」が4月10日にリリースされる予定なので,Xbox 360ユーザーの人も楽しみにしてほしい。……などと書いていたら,またプレイしたくなってきた。というわけで,筆者はちょっくらタイタンに乗ってくることにする。
「タイタンフォール」既知の問題とトラブルシューティング
「Titanfall」公式フォーラム(英語)
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(C) 2013 ELECTRONIC ARTS INC. TRADEMARKS BELONG TO THEIR RESPECTIVE OWNER. ALL RIGHTS RESERVED
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