インタビュー
PS4版βテスト直前の「新生FFXIV」について吉田直樹氏にインタビュー。リモートプレイの感触もレポートしよう
PS3からPS4へ完全な移行を実施する可能性はあるのか
4Gamer:
先ほどのプレゼンでクロスプラットフォームの拡充を行うという話がありましたが,単純にチェック作業がその分増えるわけですよね。
そうなります。もうすごい物量です。そもそも,大規模パッチは毎回あのサイズ(※パッチ2.1で約2GB)ですし,いまは裏で中国語版のローンチに向けても対応しています。さらに,PS4版が4月14日に発売されますし,現場はてんやわんやになっています。
4Gamer:
それを全部,新生FFXIVの開発スタッフで見ているわけですよね……。
吉田氏:
ええ。デバッグも含めて,すべてうちでやっています。中国語版の正式サービスが始まれば一段落すると思うのですが……。いや,ちょうどスライドして拡張パックの追い込みが始まるかな。
4Gamer:
まったく隙間がなさそうですね。
吉田氏:
スタッフからは今でも「このプロジェクト,まったく息つく間がないんですけど……」と言われてます(苦笑)。
4Gamer:
えっと,頑張ってくださいとしか……。ちなみに,拡張パックの追い込みが,中国サービスの今夏あたりになるということは,その近くで何かしらの情報も出てくるのでしょうか。
吉田氏:
それは時期が来たらお話しします。ただ,「ドラゴンクエストX」(以下,DQX)の拡張パックは,ほかのタイトルと比べると早いペースでリリースされたので,それをイメージする方は多いかもしれませんね。
4Gamer:
確かに,DQXの拡張パックは早かったです。
吉田氏:
一般的に拡張パックが出るのは,リリースからだいたい約2年後。そこまで時間をかけるつもりはないですが,新生FFXIVはDQXより少し多くの時間が必要だと思います。作業は結構進んでいるので,発表を楽しみにお待ちください。
4Gamer:
分かりました。ところで,パッチや拡張パックでは,最低限PS3版で遊べることは今後も確保されていくのでしょうか。
吉田氏:
次の拡張パックについては,PS3版の設計を全部入れてあります。
4Gamer:
「次の」ですか。
吉田氏:
その次がどうなのかは,まだ決めていません。
4Gamer:
そうなんですか。「ファイナルファンタジーXI」がいまもPlayStation 2をサポートしているので,どうしても,同じようなイメージを持つプレイヤーは少なくないと思うんですよ。
吉田氏:
そうですね。しかし,MMORPG市場ではこれからも新作が登場します。我々はそれらと戦うために,新生FFXIVを最新作にし続けなければなりません。ですが,PS3もいずれハードウェア的な限界がくるはずです。そのとき,プレイヤーのみなさんがゲーム経験的に喜べるものを,“PS3のために切り捨てなければいけない”という判断が必要になるならば,僕はきっと完全な移行を決断すると思います。
4Gamer:
なるほど。コンシューマゲーム機は単一のスペックで最適化しやすい半面,それ以上のスペックアップは当然望めないわけですし,それが進化していくうえでの大きな壁になるのは,想像に難くないです。
吉田氏:
古いOSのサポートを終了させていくのと同じで,我々が新しい体験をプレイヤーのみなさんに届けるために,どこかでハードウェアの進化に寄り添っていく必要はあると思っています。
もちろん,PS3でプレイしている方々のプレイヤー数は,我々が一番良く理解しているので,いずれにせよ当面は安心してPS3で遊び続けられるように,しっかりとサポートさせていただきます。
4Gamer:
プレイヤー数の推移による判断というのは分かりやすいですね。ただ,もし移行することになるとしたら,残るプレイヤーへの十分な理解と案内は必要になるでしょう。
吉田氏:
もちろんです。仮に数年後にPS3版のサポートを終了するのであれば,その際には手厚いサポートをさせていただくことになると思います。
4Gamer:
いまお話を聞いたとおり,今後しばらくのパッチや拡張パックで,PC版とPS4版,そしてPS3版で当然コンテンツ内容に差はないはずですが,例えばPS3版ではエフェクトが省略されるといった可能性はあるのでしょうか。
吉田氏:
省略というか,例えばLOD(Level of Detail:視点からの距離に応じて描画品質を変化させる技法)の距離が変わったり,パフォーマンスが苦しくなったときだけ仮想のものに置き換えたりはあると思います。ただ,オブジェクトに近づいたときに映るものは,PC/PS4版と基本変えないつもりです。
4Gamer:
なるほど。ちなみにパッチ2.16で装備品が雨に濡れる表現が実装されますが,PS3版にもこの表現が追加されるのでしょうか。
吉田氏:
入ります。というか,意地でも入れるとスタッフが言ってますので,実装されます(笑)。
4Gamer:
おお,頑張ってください。ところで,PS4版はPC版をベースにしているとのことですが,PS4は世代的に言うとDirectX 11ですよね。PC版のDirectX 11対応も進んでいるのでしょうか。
吉田氏:
内部的には64bit対応も終わってますので,中国語版の開発が終わったか,リリースできたあたりで,開発が本格化すると思います。
4Gamer:
そうすると,DirectX 11対応の新しいベンチマークが出るとか。
吉田氏:
ええ。DirectX 11版をリリースする際には,そのタイミングで出すと思います。
3月実装予定のパッチ2.2「混沌の渦動」
攻略コンテンツとは異なる無駄な遊びは増えていく?
4Gamer:
さて,残りの時間でパッチ2.2に関して教えてほしいと思います。以前「型紙」の名前で発表されていた,キャラクターの装備の見た目を変更するシステム「ミラージュプリズム」は,すべての武器/防具に対応するのですか?
吉田氏:
ほぼ対応していますが,例えば極タイタンにトナカイ(の衣装)で突入するのは……というところもあって,そのあたりは慎重になっています。それ以外であれば,基本フルオープンです。
4Gamer:
クラフター/ギャザラー装備もミラージュプリズムに対応するのですか?
吉田氏:
対応しています。ですから,見た目のアクセントとして「この部分だけ,あのデザインに」といった感じで,みなさんに楽しんでいただけると思います。ただ,基本的にそのクラスで装備できるものに限ります。
4Gamer:
ソーサラークラスが重装備でガシャガシャと歩くのは,といったことを以前も話していましたね(笑)。そうそう,公式フォーラムだったと思うのですが,ウルダハなどにいる踊り子の見た目をマネようとしたら,ファイター用装備とソーサラー用装備を付けていてマネできなかったという投稿があったように思います。
吉田氏:
あー,ありましたね。例えばですが,全クラスが装備できるオシャレ用のアイテムとして出していくといいかもしれませんね。それがクラフターでしか作れないとなれば,クラフトの価値も上がりますし。
4Gamer:
お,それは可能になるとかなり嬉しいです。
吉田氏:
そうですよね。ああ,でもレシピを作らなきゃいけないですね(笑)。
4Gamer:
ぜひお願いします(笑)。こうして,いろいろなコーディネートができるようになると,染色もより楽しくなりそうですが,さらに多くの装備を染められるようにならないのでしょうか。
例えば,各種族の初期装備もそうですね。「LIGHTNING RETURNS: FINAL FANTASY XIII」とのコラボレーションで,ライトニングが装備するミコッテ衣装の色が変えられたのは,ちょっと羨ましかったです。
吉田氏:
確かに初期装備の染色は,そろそろ開放してもいいかもしれません。ただ,いま開発スタッフは新しい要素を入れることに一生懸命になっているので……既存要素については,どこかでまとめて対応したいです。染色できる装備の幅については,ミラージュプリズムが入りますので,できる限り開放しろと話しています。
4Gamer:
なるほど,続報を楽しみにしていますね。さて,こうしたミラージュプリズムや染色もそうですが,MMORPGにおいて(攻略という意味で)“無駄”な要素というのは,そのゲームの世界観の広がりだったり,プレイヤーにゲーム中の遊びの幅を与えるものだったりすると思います。ですが,新生FFXIVは,この無駄要素がかなり少ないゲームですよね。こうした無駄要素は,今後増えていくのでしょうか。
吉田氏:
プレイヤーのみなさんが要望しているのは,よく分かっていますし,そろそろ時間をかけて遊んでいく要素,コンテンツをクリアしたので終わりではなく,やりこみ要素も揃えていこうかと頭を悩ませているところです。
遊びという意味ではゴールドソーサーの開発もスタートしていますが,そこで遊べるもの以外……時間をかけた自慢要素や成長選択肢,ほかにも例えば街の酒場で遊べるようなミニゲームがほしいですよね。それも最近になって,ようやく手が出せてきたかなという感じです。もう少しお待ちください。
4Gamer:
なるほど。
吉田氏:
フィールドを使った遊びも,もう少しほしいなと。高いところに登る遊びはローンチで入れたかったのですが。例えば,「こんなところに,こんな石碑があったのか! エオルゼアの高所全制覇」とか。最初から企画としてありましたが,入れられなかったので。
ジャンプを使った遊びで,コンテンツがクリア必須ではないものも考えてくれと,いま話していたりします。でも,「ジャンプでクリアできないゲームは入れないって言ったのに」と言われそうですかね……(苦笑)。
4Gamer:
それが必須であればプレイヤーは困惑するかもしれませんが,無駄な遊びの範疇であれば,世界の要素が増えることに異議を唱えるプレイヤーは少ないのではないでしょうか。
吉田氏:
そうであってほしいです。
4Gamer:
ともあれ,エオルゼアの世界の広がりに期待したいです。
ところで,パッチ2.16で地面にマーキングが行えるようになりますが,それはどこでもできるのですが?
吉田氏:
はい,できます。
4Gamer:
それは攻略の助けになりそうです。マーキングについてもう一つ,PCやNPCに付けられるマーキングの種類(※数字など)は増えないのでしょうか。
吉田氏:
それはPS3のメモリの制限もありますので。PC版のプレイヤーがマークしたのに,そのマークがPS3版から見えないという状態はよくないですから。
4Gamer:
なるほど。実は,善王モグル・モグXII世討滅戦の戦いで……。
吉田氏:
ああ,分かります。マークが足りないですよね。
4Gamer:
そうなんです。パッチ2.2では,極王モグル・モグXII世が登場するわけですが,きっとマークが足りないという声が大きくなるのではと。
吉田氏:
といっても,極王のコンセプトが,さてどうなりますか。果たして,順番なのか,どうなのか。
4Gamer:
攻略法そのものが変わる可能性はあるとして,多対多になるのは変わらないですよね?
吉田氏:
そうですね。極王だけというのも味気ないので。とくにモグル・モグは,旧FFXIV版を踏襲しなければいけないので開発は大変でした。それもあって,リリース直後は想定よりも難度が高くなってしまいました(※現在は難度が緩和されている)。
4Gamer:
強かったですね。初めは本当に勝てるのかと不安になりました。蛮神と言えば(※正確にはモグル・モグは蛮神ではない),パッチ2.2で登場する蛮神リヴァイアサンの映像を先日のプロデューサーレターLIVEで見ました。多くの近接クラスのプレイヤーが疑問に感じたと思うんですが……これ,戦闘で側面や背面は取れるんですか?
吉田氏:
リヴァイアサンは,これまでの蛮神と違った戦い方をしていただくコンテンツになりますが,当たり前のように背面も側面も取れます。そこはご安心ください。
4Gamer:
分かりました。最後に読者に向けてのコメントをお願いします。
吉田氏:
2014年は新生FFXIVの年として,「ファイナルファンタジー」シリーズ最新作として,新たなスタートを切る1年となります。その第1弾として,2月22日に日本のPS4の発売に合わせて,いよいよPS4版のβテストが始まります。
まだ,新生FFXIVをプレイされてない方は,ぜひPS4のベンチマークソフトだと思ってダウンロードしていただきたいです。レベル20あたりのイフリートを倒すぐらいまでは普通にプレイできますので,もしそれで気に入っていただけたらそのまま次のβテストも,製品版も,と検討してみてください。
すでにPC版/PS3版でプレイされている方も,PS4は視野に入れていただきたいハードだと思っています。PS4版はユーザインタフェースの選択肢としては,リモートプレイにしても,SHARE機能にしても,世界一だと思います。どうしてもゲーム自体に目が行きがちですが,プレイスタイルが大きく変わる転換期だと思いますので,ぜひゲーマーの方にも注目していただいて,いち早く触っていただければと思います。
そして,既存のプレイヤーのみなさん。これからもパッチをがんがん入れていきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
「新生FFXIV」PS4版特設サイト
公式コミュニティサイト「The Lodestone」
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」公式サイト
「PlayStation 4」4Gamer特設ページ
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