インタビュー
[CES 2014]「G-SYNCは明日のゲームに備える技術」「27インチモデルで650〜800ドル」。NVIDIA担当者にG-SYNCのアレコレを聞いてきた
なお,質問に回答してくれたのは,GeForce担当のシニアマーケティングマネージャーであるHenry Lin氏と,プロダクトマネージメントディレクターのVijay Sharma(ヴィジェイ・シャーマ)氏だ。
なお,G-SYNCに関する技術的な詳細については,2013年10月掲載の解説記事も合わせて参照してもらえればと思う。
NVIDIA,Vsync有効でも無効でもない第3のディスプレイ同期技術「G-SYNC」発表。その正体と狙いを明らかにする
「テアリングをなくしてGPUの性能をより引き出す」のが目的となるG-SYNC
――まず確認したいのは,G-SYNCがターゲットとしているGPUはどのあたりにあるのかということです。
G-SYNCは,GPUの処理性能が不足していてゲームのフレームレートが低い場合でも,映像を滑らかに表示できることが利点ですよね。そうなると,ミドル〜ローエンドGPUでは効果的であっても,高いフレームレートで表示できるハイエンドGPUでは,あまり意味がないように思えるのです。
Henry Lin氏(以下,Lin氏):
たとえば今日(こんにち)の場合,「GeForce GTX 760」は3Dゲームをプレイするのに十分な性能を持っています。しかし,ゲームのグラフィックス技術は毎年進化しているので,今後はさらに大きなパワーを必要とするゲームが登場してくるでしょう。
またディスプレイの側も,現在主流の1920×1080ドットから,2560×1440ドットや4K(≒3840×2160ドット)といった具合で,より高い解像度へと移行していくことになるかもしれない。
つまり,いま十分な性能を持つGPUでも,「明日のゲーム」では不十分になることがある。そのとき仮に,手元にあるGPUの性能が不十分となっても,G-SYNC対応ディスプレイなら映像を滑らかに表示できるので,役立つことになるでしょう。
2つめは,「テアリングをなくせる」ことです。たとえ高いフレームレートで表示可能なハイエンドGPUであっても,V-SYNCを無効化した状態ではテアリング(tearing,日本では語義からすると誤読である「ティアリング」読みが一般的)が起きてしまいますよね。G-SYNCによってテアリングをなくせるならば,ハイエンドGPUの表示能力を生かしやすくなるといえます。
だから,ハイエンドGPUがあればG-SYNCは不要,ということにはならないのです。
Lin氏:
この場で発表できることは何もありませんよ(笑)。ですが,我々はG-SYNCの技術と特許を有していますので,技術的な可能性を否定するものではありません。
――ノートPC用GPUは,デスクトップ用に比べると非力ですので,G-SYNCは非常に効果的なのではないかと思います。
Lin氏:
同感ですね。
――NVIDIAからディスプレイメーカーに提供されるG-SYNCモジュールに対し,ディスプレイメーカーがカスタマイズして独自の仕様を付け加えたりできるのでしょうか。たとえば,メーカー独自の映像補正技術を組み込んだりといったことはできますか。
Lin氏:
なんでもできるわけではありませんが,メーカー側でのカスタマイズは行えます。たとえば,OSD(オンスクリーンディスプレイ)をメーカー独自のものにカスタマイズするとか……。
Vijay Sharma氏(以下,Sharma氏):
色や輝度の調整メニューをカスタマイズしたり,メーカー独自のロゴを表示したりといったことは可能ですよ。
Lin氏:
――つまり(1台のディスプレイで)G-SYNCと3D Vision 2の両方に対応することは(切り替えて使うなら)可能なのですね。
Lin氏:
そのとおりです。
――G-SYNCは今のところ,PCとディスプレイの接続インタフェースとしてサポートする規格が,DisplayPort 1.2だけですね。なぜDual-Link DVIやHDMI 1.4には対応しないのでしょうか。HDMI 2.0はいかがですか。
Lin氏:
理由の1つは解像度にあります。今のところ4K解像度をケーブル1本で伝送できるのはDisplayPort 1.2だけなので,こちらを使っています。Dual-Link DVIでは解像度が足りませんし,現時点ではHDMIもサポートしていません。
Lin氏:
現時点では,1台のディスプレイでしかG-SYNCは使えません。技術的には対応出来ますので,ドライバソフト次第では可能になるかもしれませんね。
――27インチサイズのG-SYNC対応ディスプレイは,いくらくらいで販売されるのでしょう。
Lin氏:
ASUSの製品は799ドル前後,Philips(Royal Philips Electronics)の「272G5DYEB」は,製品では649ドル前後と聞いています。
――27インチサイズとはいえ,さすがにちょっと高いですね。
Lin氏:
まだ新しい技術なので,最初はどうしても,ね。競争が進み量産効果が出てくれば,低価格化も可能ですよ。
逆に私から質問してもいいですか。日本ではG-SYNCは関心をもたれているのでしょうか。
Lin氏:
それはすごい!
――私もASUSのG-SYNC対応4Kディスプレイは欲しいです。
Sharma氏:
皆そう言うね。でも,悪いけどこれはあげられないよ。僕が持って帰ってしまうからね!(笑)
G-SYNCの情報ページ
NVIDIAの2014 International CES情報ページ(英語)
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