インタビュー
【PR】「余分なことを落としていくと,シューティングゲームを作ることが最適解」――モスの姿勢や哲学,そして新作の情報などをまとめて聞いた
オリジナルのシューティングゲームをリリースし続ける,数少ない国内ゲームメーカーのうちの一つ,モス。
長らくゲームをプレイしている人にとっては,“ニッチ”とすら思われがちなシューティングゲームというジャンルに,新作タイトル「カラドリウス」を投入したことで(羞恥ブレイクという仕掛けも含めて)注目を集めた同社は,ゲーム作りにおいてどのような考えを持っているのだろうか。
今回は,代表取締役 駒澤敏亘氏と,開発部長 星野 仁氏に,会社としての姿勢や哲学などをたっぷりと聞いてみた。
モス開発部長 星野 仁氏。一度はSEとして就職したが,ゲームを作りたいという夢を持ってモスに転職。「雷電III」「雷電IV」などのタイトルに,プログラマーや企画職として参加し,「カラドリウス」シリーズではディレクターを務める | モス代表取締役 駒澤敏亘氏。セイブ開発でデザイナーとして活躍し,1993年に独立。現在は経営者としての仕事が多いが,「カラドリウス」では,プロデューサーとして大枠のコンセプト作りなどを担当。大のSF好きでもあり,社長室には多数のSF映画ガジェットが並んでいる |
なお,2014年8月28日にリリースされるPlayStation 3用ソフト「カラドリウス ブレイズ」,そして未体験のシステムへ踏み込むというXbox One用ソフト「雷電」(仮)についても話を聞いているので,そちらが気になるという方も,ぜひご一読を。
モス公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずはあらためて,モスという会社の成り立ちを簡単に教えてください。
1993年に,私が以前所属していたセイブ開発から独立して設立したのが始まりです。設立直後はビデオゲームの制作を基本事業としていました。PlayStationのヒットで,多数のデベロッパーが誕生した時期でもあるんですが,そこから入ってきた世代の開発会社はC言語をメインに使っていたんですね。一方,モスでは業務用基板向けにアセンブラ言語で開発をしていたんです。アセンブラが使える会社は限られていたこともあり,その分野で活躍することができました。
4Gamer:
アーケードゲームの開発会社,という立ち位置が評価されたわけですね。
駒澤氏:
そうですね。当時,「アーケードゲームはヤバイ」と言われていたんですが,気付くと今でも同じようなことを言われていて。それって,本当にヤバイのか? って思うんですけど(笑)。
でも確かにアーケードのシェアが家庭用にシフトしていきましたし,逆にアーケードはアーケードなりの生き方をするようになっていったんだと思います。
そんな時代なので,アーケードの業務だけでは立ち行かなくなり,家庭用やモバイルゲームの開発を始めるようになりました。さらに遊技機(パチンコ/パチスロ)の映像開発も行うようになって現在に至る,と。駆け足ですが,そんな経歴の会社です。
4Gamer:
家庭用向けにはどんなタイトルを手がけられてきたんでしょう?
駒澤氏:
弊社が開発を担当したタイトルですと,ナムコさん(当時)の「子育てクイズ マイエンジェル」がヒットしましたね。
もともと業務用の開発を手がけていたんですが,それがヒットして,基板がかなり売れたと聞きます。その流れで,PlayStation版も開発しました。幸いにして,こういったヒット作があったことで,会社が順調に成長していったというところはあります。
4Gamer:
そして2014年の現在も,アーケードやコンシューマでシューティングゲームを作るというところにつながるわけですね。アーケードにしろ,シューティングゲームというジャンルにしろ,他社が次々と白旗を上げていく中で,方向転換をしようと考えたことはありませんでしたか?
駒澤氏:
まあ,シェアもニッチなので,普通はやめようと思いますね(笑)。でも実際のところ,そう思ったことはないんですよ。「意地や趣味でやってるんでしょ?」と思われがちなんですけど,これは僕なりの経営学でして。
余分なことをそいでそいでそぎ落としていくと,「やっぱりシューティングゲームを作ることが最適解である」という結論にたどり着くんです。
4Gamer:
なるほど。今日はその考えを軸に,いろいろとお話を聞けたらと思います。
「モノ作りが好きである」という熱意こそが大事
4Gamer:
現在,モスではどのような規模でゲーム開発を行っているんでしょうか。
社員は50人ちょっといるんですが,私の部署ではゲームを,別の部署では7号遊戯機(パチンコ/パチスロ)の液晶開発を受け持っています。プロジェクトとしては常に5〜6個が並行して動いていて,それぞれに企画やデザイナー,プログラマーがチームを組んで一つのものを仕上げていきます。
4Gamer:
プロジェクトの立ち上げから完成まではどのような流れですか?
星野氏:
自社開発か受注開発かで多少は異なりますが,弊社は社内の企画担当が入るパターンがほとんどなんです。自社企画の場合はプロジェクト概要書みたいなものを作ってからがスタートで,受注開発の場合は大ざっぱなアイデアをクライアントから受けたところから開始ですね。
そこから企画職が,物量やスケジュールといっただいたいのマイルストーンを確定し,それに伴うチームを組みます。その後は打ち合わせで細かな仕様を詰めつつ,実際の制作作業を進めていきます。一つのプロジェクトにかかるのは,8〜12か月くらいがほとんどです。
4Gamer:
社内の企画職の方が,どのプロジェクトにも関わるんですね。
星野氏:
ええ。クライアントさんからは「企画もデザインもプログラムもそろっているので,丸ごとお願いできる」という評価をいただいています。また,問題点や改善案を弊社から上げられる点についても,助かると言っていただけています。
ゲーム開発はトライアンドエラーが多いため,企画職が社内にいるとそういったあたりを綿密に詰めながらプロジェクトを進められるのは,大きなメリットですね。
4Gamer:
まさに“ゲーム開発会社”であるということですね。そういう体制が確立されたのはいつくらいから?
星野氏:
僕は会社設立から5年後ぐらいの入社ですが,そのときはすでに今の体制……でしたよね?
駒澤氏:
いや,本格的にメーカー目線で動けるようになったのは,星野が来てから少し経ったあとの,創立7〜8年目ぐらいかな。
昔は作るスパンやコストを考えると,パブリッシャとデベロッパの間に明確な線引があったんですよね。そのほうがニーズに応えやすかったんです。
しかし現在は,開発のスパンがどんどん短くなっていく中で,いちいちメーカーへの確認と指示を待っているというスピード感では,とてもじゃないけど間に合わなくなっていますから。
4Gamer:
そういう時間すら削っていく必要があると。
駒澤氏:
そうです。ゲーム開発にかかる最大のコストって人件費ですから,時間が増えれば増えるほど,コストは増大していきます。だから,「このパブリッシャだったら,こう作るだろう」という目線を持ったデベロッパが欲されているのかなと思います。
その中でうちに関しては,自社開発の仕事もしながら人を教育しているというのが,ここ数年のニーズにハマっているのだと思います。
4Gamer:
ちなみに現在,企画職は社内に何人ぐらいいらっしゃるんですか?
星野氏:
ゲーム開発で6人,遊技機で4人いるので,全部で10人ほどです。ほとんどの場合はディレクターを兼ねることが多く,開発のラインマネージメントと並行してゲームのアイデア出しを行っています。
4Gamer:
チーム編成についても聞かせてください。
企画が立ち上がったあとでチーム編成を行うとのことですが,そのときの基準はスキルということでしょうか?
星野氏:
スキルはもちろん重要ですが,こちらから「こういうプロジェクトがあるんだけどやりたい?」と本人に聞くことが多いです。弊社ではいろんなジャンルのタイトルを開発していますし,一度プロジェクトがスタートすると短くても半年以上はかかりっきりになりますから。そうなると,やはり重要なのは本人のやる気なんです。
駒澤氏:
やりたいモノをやるほうが,モチベーションを高く維持できますよね。場合によっては1年以上の長期プロジェクトになることもありますし,そうなってくるとモチベーションを保つのがどうしても難しくなってきます。
だからこそ,それぞれがやってみたいと思う部分,スキルを伸ばしたい部分などを経験できたほうが,会社としても結果的に得になると考えているんです。
4Gamer:
なるほど。そうすることで開発力の底上げも同時に行っているわけですね。
ところで,開発の一部を外部に委託することはあるんですか?
星野氏:
開発ラインが複数あるので外部の方にお願いすることもありますが,プログラムでいえばシステムやエンジン的な部分だったり,デザインの場合は方向性といったいわゆる“骨組み”にあたる部分は自社で行います。
例えば乗り物を20種類作ろうというときには,1,2体を弊社で作ってから量産をお願いするといった具合です。考える部分,方針を決める部分を外にお願いすると,やはりやりとりの分だけロスが発生してしまいますので。
4Gamer:
社員をほかの会社のプロジェクトに出向させるデベロッパもありますが,そういったことは行っていますか?
星野氏:
採用面接のときなどに,かなりの頻度で聞かれることなので,他社さんがそういったことをやっているのは知っているんですが,弊社ではやっていません。むしろ,打ち合わせ以外で外に出ることはほとんどないぐらいで(笑)。
4Gamer:
これもまた,なるべく社内で完結させようということですね。
面接の話が出たついでにお聞きしたいんですが,モスに入社したいという方からは,どんな質問が多く出るものでしょうか。
星野氏:
そうですねぇ……。例えば,「デザイナー志望ですけど,ゲームのアイデアを提案してもいいんですか?」という質問は,とくにここ1〜2年年で増えました。おそらく,“モノを作りたい”という方が,以前より非常に増えているんだと思います。
その意味では,弊社は昔ながらの開発会社ですので,企画職でなくとも自分で考えながらゲーム作りに参加できる会社だと思っていただいて構いません。
4Gamer:
ほかの職種の方が,アイデアを出すというのは,実例としても多いものなんですか?
星野氏:
ええ。デザイナーやプログラマーの視点だからこそ思いつくアイデアというのはたくさんありますし,意見を出し合うほうがいいものができるんじゃないかな,とは思っています。
もちろん,すべてのアイデアを即採用できるわけではありませんが,さまざまな意見の中から光るものを拾い上げていくほうが,モノ作り,とくにゲーム作りでは重要になってくると思います。
4Gamer:
現状,人材のバランスも良く,みんなが能動的に仕事ができる環境にあるということですね。
星野氏:
それはあると思います。社内ではよく,「ゲームが好きじゃなかったらもっと別の楽な仕事をしているよ」なんて言ってるくらい,社内的にもいいモノを作ろうという意識は強いですね。
クリエイティブな仕事ってある意味“正解がない”ので,手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。だから,言われたことだけをやっているだけでは,楽なほうに流れてしまうんですよ。
4Gamer:
ああっ。耳が痛いです(笑)。でも非常によく分かります。逆に手を入れようと思うと,どこまででも手を入れたくなってしまうというか。
星野氏:
そうなんです。結局,自分が作ったモノを世の中に出したいとか,出せることが嬉しいとか,そういった意識を持っていないと長くは続けられないと思っています。出したモノが結果的に厳しい評価を受けることもありますけど(笑)。
でも,それすらありがたいと思える人にとっては,こんなに楽しい仕事はほかにないとも思いますね。
4Gamer:
社員として採用される人は,そういった熱意のある人を選ぶことが多いんでしょうか?
星野氏:
面接の際に,その気持ちがあるかは重要視しています。ですから,スタッフ募集にも「未経験者可能」と書かせてもらっていますし,実際に未経験者を採用したケースも何度もあります。
さすがに「PCってなんですか?」という人だと難しいですが,ゲーム開発に関わったことがない方や,趣味レベルでプログラムをやっていた方なんかも,入社しています。技術って結局,毎日触れていれば自然と身につきますしね(笑)。
4Gamer:
確かに。
星野氏:
入社してすぐにプロジェクトのメンバーとして,重要な部分を担当してください,といった無茶ぶりをすることもありませんし。
ゲーム開発って,ある程度は細分化が進んでいるので,スキルが十分でなくてもこなせる仕事はありますから,そこからまず学んでもらえれば,優秀になれると考えています。
4Gamer:
お話を聞いていると,人材育成にとても力を入れているような印象を受けます。
星野氏:
先ほども言いましたが,ゲーム会社で最も大きなコストって,ほぼ人件費なんですよ。裏を返せば,ゲーム会社にとって最も大きな資産が,人材だということでもあります。だからこそ,それをいかに育成していくかは,とても重視していますね。
だからこそ,モスにいてくれる以上はスキルアップですとか,本人がモチベーションを上げてくれるような環境作りは,とても重要なことなんですよ。
4Gamer:
人材育成って,いわば投資ですよね。その投資を惜しまないというのは,働くうえで非常に理想的な環境だという気がします。
星野氏:
そこは駒澤に感謝ですね。帳簿を見ながらいろいろとやりくりをしてくれていますので(笑)。
4Gamer:
とはいえ,実際に忙しくなると何日も家に帰れない……みたいなことはありませんか?
星野氏:
いやいや,家に帰れなくなるほどの忙しさって,現在はないですよ。マスター直前のプログラマーに作業が集中することはありますが,デザイナーや企画の人間が徹夜になるといったことはほとんどありません。
4Gamer:
ゲーム開発に関連するエピソードでは,何日も帰れないとか,会社に住んでるとか,そういった伝説も多いですけど,それはもう過去のことである,と。
星野氏:
そうですね。
4Gamer:
ふと思ったんですが,最近だと,企画職以外は全部外部に委託するというスタイルの会社も珍しくない中,御社の場合,総合力を高めていこうという強い意志が感じられます。
駒澤氏:
ありがとうございます(笑)。最終的にはこの仕事ってサービス業なので,ニーズに対してどのように応えられるかがキモなんですよね。確かに企画職のみの会社だと,リスクも高いですが最短,最安でできるとは思うんですよ。人数が少なくても構わないわけで。
でも一方,僕らのように全部を一社で担当できるのは,安全性が高いというメリットもあるんです。「そこは求めてない」と言われたらそこまでですが,ゲーム開発の仕事って“商品になってこそ”なので,そうした安全性をもってモノを作り上げていきたいというのが我々のポリシーです。そこに魅力を感じてくれるメーカーさんがいるうちは,このままで行くつもりです。
4Gamer:
非常にモスという会社の堅実さがうかがえるんですが,駒澤さんは「この先はこの仕事がおいしいらしいぞ」といった“山っ気”を持つことはないんですか?
駒澤氏:
いやあ,お金儲けに関しては毎日考えていますよ。ただ,実行に移すとなるとまた違う話で,障壁も多いですから。
結局,開発会社って,俗にいうヒット作を出していかなきゃいけないという使命があります。もっと平たく言うと“売れなければ次がない”ということですね。やはり会社である以上,長く存続させていかなければいけませんので,ある種の山っ気は必要だと思います。
ただ,そればかりを追い求めて近視眼的になってしまっては,会社の存続は難しい。そこのさじ加減が会社の運営には求められるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
堅実にものを作り上げる姿勢はよく理解できるんですが,そもそもゲームを作ることって,博打的な要素を含んでいますよね。例えば「ゲームにこのイラストを収録すると売上がX枚アップする」といった方程式があるわけでもないですし。
駒澤氏:
でもね……ほかの博打よりは勝率が高いと思うんですよ(笑)。今の世の中,博打じゃない商売のほうが少ないとも思いますし。
先ほどの星野の話にもありましたが,ゲーム開発という仕事を求めてくるということは,なんらかの夢を見てくる人がほとんどでしょう。自分自身もそうですから,だったらある程度の博打は打たなければならない。
……だから結局,“好き”っていうのは重要なことですね。それがないと最終的な判断が180度変わってしまいますから。
4Gamer:
“好き”という意識が,こだわりや諦めないという意識につながっている?
駒澤氏:
ええ。ストレートに「ゲームが好き」ということでもあるし,「サービスを提供することが好き」など,いろんなモノサシはあると思いますが,いずれにせよ愛情がなければモノの見方を誤ってしまうということだと思います。
4Gamer:
つまり結局のところモスという会社は,「ゲームが好き」という糸でつながっているんですね。
駒澤氏:
もっと言うと,「ゲームが好き」と同時に「ゲームを作るのが好き」ということですね。
作り続ることでシューティングゲームを再び芽吹かせたい
4Gamer:
その中でも,シューティングゲームに特化しているというのは,やはり根底に「好き」という意識があるからなのでしょうか?
真面目な話をしますと,会社を経営していく以上“組織としての強み”というのは必要です。その中でモスが持てる最大限の武器というのがシューティングゲームであって,それを作ることであったというだけなんです。それは,これまでの経験値であったり,「好き」ということも含めてですが。
誤解しないでいただきたいのは,ノスタルジックな様式美ということでシューティングゲームを作っているわけではないんです。シューティングゲームってシンプルでカジュアルに楽しめるし,プラットフォームやプレイヤーに左右されずに楽しんでもらえるだけの,幅広さがあるはずなんですよ。
4Gamer:
シューティングゲームの可能性を信じているということですね。
駒澤氏:
このご時世,シューティングゲームというと“30代以降の男性しか遊ばない”みたいなイメージがついてしまっています。でも,そうではない人達にとって,もっと気になって,触ってもらえる“テストパターン”を実践したいんです。
それでジャンルに賑わいができれば,僕ら以外の会社もその輪に加わってくれると思っています。そのためにも,“作り続けること”が大事なんです。
4Gamer:
シューティングゲームのすそ野を広げるために,作り続けているんだ,と。
駒澤氏:
ええ。会社なので当然タイトルごとの売り上げは大事ですが,数字(=売上)だけで判断してしまうと,将来の可能性まで摘み取ってしまいかねません。でも,そこが一番難しいところでもあります。最低でも次の一作を作れるだけの下地――販売成績であったりモノの評価――を毎回整えられるかが勝負なのかもしれないですね。
そうやって常に作り続けるモノの中に新しいエッセンスを加えて,チャレンジを続けることが,ストレートに重要なことだと思っています。
4Gamer:
なるほど,深いです。
駒澤氏:
でもぶっちゃけ,毎回崖っぷちですよ。
一同:
(笑)。
駒澤氏:
そりゃ,ほかのメーカーがどんどん撤退している中でウチだけがホクホクなわけはありませんから。
星野氏:
ただ,リリースもしないで「シューティングゲームって面白いですよ」と言ったところで,説得力ゼロですからね。昔と違って,出せば勝手に売れていくという時代ではありませんし。
4Gamer:
ええ。
星野氏:
作ったうえでイベントでの広報活動であったり,さまざまなプラットフォームでの展開であったりといったことで,実際に見て,触れていただき,普段はシューティングゲームを遊ばない人でも遊べるタイトルがあるんだということを知ってもらうことが重要なんです。
駒澤氏:
いわば,シューティングゲームを手に取るきっかけ作りですよね。
星野氏:
今のゲーマーがシューティングゲームのことを嫌いかというと,そんなことはないと思っているんです。自分でもプレイできることさえ知ってくれれば,プレイの機会はもっと増えると思うんですね。
4Gamer:
確かに,ちょっと難しそうという先入観で,食わず嫌いをされてしまいがちなジャンルかもしれません。
星野氏:
ジャンルは違うんですけど,「ぷよぷよ」がはやっていた当時,対戦がかなりマニアックに先鋭化していたんです。でも次にリリースされた「ぷよぷよフィーバー」では,勝手に連鎖が組まれていくなど,シリアスに遊んでいた僕のような立場からすると「ふざけんなよ!」という気持ちにもなったんですよ。ところが,いざ遊んでみると実に爽快で楽しくて(笑)。
それをきっかけに新しいプレイヤーも増えて,結果,今でもシリーズが続いているのは皆さんご存じのとおりです。
4Gamer:
すそ野を広げる施策が未来を築いているという分析ですね。
星野氏:
ええ。シューティングゲームでも最近だと,「LINE ドラゴンフライト」のように,左右にしか動けなくてもシューティングゲームの楽しさを存分に楽しめるものが出てきています。弊社の女子社員が遊んでいるくらいに,ハードルの低いものがシューティングゲームとして受け入れられているわけです。
ちょっと余談になりますが,「カラドリウス ブレイズ」の体験会を高田馬場ゲーセン・ミカドで行ったときに(関連記事),店にある「ナイトストライカー」を女子社員に勧めてみたら,けっこう面白がっていたんですよ。
4Gamer:
ほう!
星野氏:
かつてのゲームセンターは男性プレイヤーがほとんどだったので見えていませんでしたが,ナイトスストライカーのような“避けて撃つ”ゲームって,男女や年齢に関係なく楽しめるものなんですよね。何かの機会に遊んでみて,そこで「面白い!」とさえ思ってもらえれば,もっと遊んでみたいという欲求は出てくると思うんです。
4Gamer:
ジャンル自体がさまざまな層に受け入れられるポテンシャルを持っていたはずなのに,濃いファンに目を向けてきたばかりに,広がりを失ってきたという面はありそうです。
星野氏:
ことシューティングゲームに関しては,ジャンルの見た目であったり伝統であったりに縛られて,どんどんと狭くなってしまったのが実際のところですね。
それを少しずつでも広げていきたいんですよ。昔,自分がゲームを遊んでいたときに「うまいから遊ぶんだ」とは思わず,ただ楽しいから遊んでいたはずなんです。そういった感覚を伝えるようにはしていかないと。娯楽のはずなのに,筐体の前に座って「……よし,やるぞ!」と気合を入れないと遊べないくらい,気持ちのハードルが上がってしまいがちなところを,もっと軽くできるようにしたいんですよ。
- 関連タイトル:
カラドリウス ブレイズ
- 関連タイトル:
雷電V
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