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「Republique」の日本人UIデザイナーはUnity Game Jamがきっかけでスカウト。“デバッグ実績”や“架空レビュー”などユニークな開発体制も語られた「Unite Japan 2014」のセッションをレポート
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印刷2014/04/09 17:01

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「Republique」の日本人UIデザイナーはUnity Game Jamがきっかけでスカウト。“デバッグ実績”や“架空レビュー”などユニークな開発体制も語られた「Unite Japan 2014」のセッションをレポート

Republique
 Unity開発者のためのカンファレンス「Unite Japan 2014」の2日めとなる2014年4月8日に,「『Republique』チームへの参加から,海外のインディペンデントスタジオで過ごした日々の話」というセッションが行われた。スピーチを行ったのは,2013年12月にCamouflajからリリースされたiOSアプリ「Republique」のUI(ユーザーインタフェース)デザイナーである池和田有輔氏だ。
 本稿では,もともとゲーム開発者ではなかった池和田氏が本作の開発に携わることになった経緯や,Camouflajにおけるユニークな開発体制が紹介されたセッションをレポートしよう。

「Unite Japan 2014」公式サイト


池和田有輔氏
 ステルスサバイバルゲームである「Republique」の目的は,とある施設からヒロインの「Hope」を脱出させること。プレイヤーは,施設に設置された監視カメラなど数々の電子機器をハッキングしながら,彼女を出口へと導いていくことになる。
 開発元のCamouflajは北米の独立系開発スタジオで,創業者のライアン・ペイトン氏は,かつて「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」のアシスタントプロデューサーなどを務めた人物だ。

 記事冒頭でも触れたが,池和田氏は,広告やWeb,モーショングラフィックスなどを手がけるフリーランスのデザイナーで,もともとのゲーム開発者ではなかった。
 2011年の東日本大震災の影響で,当時手がけていた仕事が延期やキャンセルになることが相次ぎ,空白期間ができた際,モーショングラフィックスの制作に活用できると考え,Unityに触れるようになったのだという。

 その後,池和田氏は,Unityのセミナーなどを聴講した流れの中で,短時間でゲームを完成させるイベント「Unity Game Jam」に参加することとなった。そして,2013年4月のUnity Game Jamで開発に参加したゲーム「ハラモン」が,来日していたペイトン氏の目に止まり,池和田氏は「Republique」チームに誘われたのだという。

池和田氏のチームが「Unity Game Jam」で開発したゲーム「ハラモン」。ロケットから脱出した乗組員を,画面左のクリーチャーに食べさせるという内容
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 しかし,いきなり起用されたわけではなく,まずは当時の「Republique」のUIをリデザインするという,テストのようなオーダーが出されたとのこと。池和田氏は,どんなUIが求められているかをリスニングし,「SF感のあるUI」を作ってCamouflajに送付したところ,正式にUIデザイナーとして参加することになったと述べていた。

池和田氏起用前の「Republique」のUI(写真左)と,池和田氏がリデザインしてCamouflajに送ったUI(写真右)。製品版では,さらに新しくなったUIが採用されている
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 池和田氏は,最初は日本で作業していたものの,作業が進むにつれて,Skypeやメールを介して,遠く離れた地にいるスタッフとコミュニケーションを取ることに,効率の悪さを感じるようになる。そこで池和田氏は,Camouflajのオフィスで仕事ができるよう,シアトルで生活することを2013年夏に決めたと述べる。
 これだけだと,池和田氏が英語に堪能だからできた決断だと思われるかもしれないが,池和田氏は,英語をほとんど話せなかったとのこと。英語ができないからこそ,直接顔を合わせて密なコミュニケーションを取る必要があったと,池和田氏は説明していた。

 Camouflajは20人〜25人規模のスタジオのため,スタッフ一人一人が複数の役割を担っている。
 池和田氏は,少人数でプロジェクトを効率的に進行可能であることを,そのメリットとして挙げていた。たとえば「Republique」では,テストプレイのたびに根底から仕様を作り替えるようなこともあったが,そういう状況にもフレキシブルに対応できていたそうである。
 また,こうした体制を採ることで,デザイナー,技術者,あるいは非英語圏の人間というように,さまざまな観点から意見が求められるようになる。デザイナーといった単一職種の役割だけを担うよりも,チーム内の信頼関係を構築するうえで非常に役立つと,池和田氏は話していた。

Camouflajのスタッフ紹介スライドでは,一人一人のプロフィールになぜか愛猫の話題が添えられていた
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 また,Camouflajでは,Webアンケート作成ツールの「SurveyMonkey」を活用して,ゲームのポイントとなる部分についての意見交換を促進しているのだが,そのポイントは匿名性と,強制力を持たない点にあるとのこと。
 意見を述べる側は匿名で自分の考えを忌憚なく述べられるが,意見を受ける側はそれらをすべて反映させる必要はない。
 というのも,たとえばUIの配色などを決めるとき,「赤がいい」「青がいい」といった正反対の意見が出ることもある。この仕組みがあることで,さまざまな意見があることを確認したうえで,チームとして最適な判断を下しやすくなるというわけだ。

 池和田氏は,Camouflajがこうしたチーム体制を志向する理由について,スタッフそれぞれに「ゲームのアイデアを考えるパートナー」でありたいという意識があるからだと説明する。
 また,自身のアイデアがゲームに反映されれば,「自分の考えたこと」という責任感が生じる。それは,締め切り間際などの厳しい時期にも頑張れるモチベーションになるといった利点もあるそうだ。

池和田氏の作ったアートワークにスタッフから寄せられた意見の数々
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 さらに池和田氏は,Camouflajにおけるユニークな開発手法を2つ紹介した。
 その一つが「架空レビュー」というもの。ゲームの仕様が決まっていない段階でスタッフがレビューを空想で書き,そこに記されたアイデアをゲームに取り入れるのだという。
 実際,「Republique」エピソード2の開発では,この架空レビューから生まれたコンテンツがある。それがパズルゲーム「Blueprint 3D」とのコラボで,「Republique」の文脈に沿ったパズルを展開するという内容だ。ちなみに,こうしたコラボは,今後も試みていくとのこと。

「Republique」のエピソード2の架空レビュー
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 もう一つは,デバッグ作業を楽しくできるよう,アチーブメント(実績)システムと,それに合わせたインセンティブ報酬を用意しているという点だ。
 たとえば,「ある言語版をクリアした」「アイテムをまったく取らずにクリアした」といった実績を多数用意して,さまざまな条件下でのプレイを促す。さらに,もっとも多くの実績を達成したスタッフに何かしらのインセンティブ報酬を与えることで,デバッグ効率を高めるというわけだ。

Camouflajの所在地であるシアトルは,ゲーム関連の仕事に関わる人口が全米でもっとも多く,開発者同士の交流が盛んに行われているとのこと。ときには,開発者の友達にテストプレイに参加してもらうこともあるそうだ
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 池和田氏は,セッションの最後のトピックとして,「Republique」開発時のテストプレイの話題を挙げた。
 スマートフォンのようなタブレット端末では独特なタッチ操作になるので,Camouflajでは,初めてプレイする人が難度をどう感じるか,コツを掴むまでにどれだけかかるかなどを確認するため,とくにプレイテストを重視していた。その結果から,複雑な操作をワンタッチで行えるようにする必要性が,リリース直前に生じたのだという。
 それを解決したのが,「主人公が移動したあとで行動アイコンを表示する」というアイデアだった。
 通常であれば,プレイヤーが「あの場所に行けばこういうアクションが起こせる」と考えてからキャラクターを移動させるところだが,「Republique」ではその順番を逆転させたことで,プレイヤーの理解度が劇的に向上したそうである。
 ちなみに,この変更は急きょ行われたため,このときのUIデザインぶは池和田氏は関わっていないとのこと。

 なお池和田氏は,「Republique」における一連のテストプレイの結果を踏まえ,iOSの基本機能に含まれるタッチ操作であっても,たとえば2本指を使ったピンチズームのように,まだ多くのアプリで採用されていないものについては,安易に採用するべきではないとも話していた。

「Republique」リリース直前に追加された「行動アイコン」
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 「Republique」は,美麗なグラフィックスや深いストーリー展開など,開発段階から注目されていたタイトルだが,GDC 2014でIMGA ストーリー部門を獲得するなど,リリース後の評価も高い。
 全部で5つのエピソードで構成される本作は,まだエピソード1しか配信されていないが,池和田氏によれば,近日中にエピソード2がリリースされる見込みだという。しかし,残念ながら日本語版の開発にはまだ時間がかかるとのこと。とくにストーリー面での評価が高いタイトルだけに,今後日本語版がリリースされることに期待したいところである。
 今回のセッションで印象深かったのは,ゲーム開発者ではなかった池和田氏がUnityに触れイベントに参加したことで,ペイトン氏と出会いアメリカでゲームを作ることになった,という点だ。クリエイターを目指している人は,ただゲーム制作の勉強をするだけでなく,そういったチャンスが転がっているかもしれない,Unity Game Jamのようなイベントに参加することを検討してみてほしい。

「Unite Japan 2014」公式サイト


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